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1000年前に失われた神殿を発見、アンデス地方のティワナク文明の謎が明らかに

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(著)

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約1000年前の神殿 / Image credit:Capriles et al ., doi: 10.15184/aqy.2025.59
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 アンデス地方で最初期かつ最も強大だったティワナク文明は、西暦1000年頃に急速に衰退し、姿を消した。その謎を解き明かす手がかりとなるかもしれない約1000年前の神殿遺構が発掘された。

 この神殿は、かつての交易、宗教、政治の中心地であった可能性が高く、文明崩壊の理由を探るうえで極めて重要な意味を持つ。

 発掘を進める国際研究チームは、この神殿を通じてティワナクの広大な影響圏や社会の仕組みを物質的証拠から解明しようとしている。

 この研究は『Antiquity』誌(6月24日付)に掲載された。

ティワナク文明とは?

 ティワナク文明は、現在のボリビア西部、チチカカ湖の南東岸にあたる標高約3,850mの高地で紀元前1世紀頃に発祥した。

 西暦500年から900年頃にかけて最盛期を迎え、精巧な石造建築や大規模な灌漑設備、天文観測を基にした宗教儀式を発展させた文明として知られている。

 都市ティワナクは数万人規模の人口を擁し、アンデス高地の広範囲に影響力を及ぼしたとされる。これらの技術や宗教文化は後のインカ文明に大きな影響を与えた。

 しかし、気候変動や環境破壊、社会の混乱などが重なり、西暦1000年頃までに急速に衰退したと考えられている。

 都市は放棄され、政治的・宗教的中心としての機能を失い、最終的にインカがアンデスを支配する15世紀には完全に廃墟と化していた。

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プマ・プンク遺跡はティワナクが6世紀に建造したT字型で戦略的に配置された人工段丘状の丘陵だ。Photo by:iStock

交易と宗教の中枢だった神殿を発見

 アメリカ、ペンシルベニア州立大学、ボリビア国立考古学研究所、サン・アンドレス大学などの研究者からなる国際研究チームは、ティワナクの中心地から南に約210km離れたカラコジョ市郊外の丘の上で新たな神殿群の遺構を発見した。

 これらの神殿群は、調査地周辺の地形や地域名に基づき「パラスパタ神殿群」と名付けられた。

 今回、国際研究チームが発見した神殿は、ティワナクの中心地から南に約210km離れたカラコジョ市郊外の丘の上に位置している。

 発見された神殿遺構は縦約125m、横約145mと、市街地の一区画に匹敵する規模を持つ。

 複数の区画が組み合わさった建物と、内部に沈んだ中庭が一体となった構造で、宗教的・政治的に重要な場所であったとみられる。

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A)最近撮影された空中写真をもとに正確につなぎ合わせたパラスパタ神殿の正確な地図画像
B)色の異常を強調するために加工された合成画像、格子線と補助線を重ね、神殿の構造の区画が分かるようにしたもの / Image credit:Capriles et al ., doi: 10.15184/aqy.2025.59

 この神殿遺構が建つ丘は、生産力の高い高地、乾燥した西部、農業に恵まれた東部の谷を結ぶ三つの主要交易路の交点に位置していた。

 このことから、交易と信仰の結節点として人々が集い、儀式や取引を行ったと考えられている。

 神殿の配置は春分の日の太陽の動きに合わせられており、天体観測を重視した宗教儀式が行われていたことを示している。

 現地では「ケル」と呼ばれる杯の破片や、東方のコチャバンバ渓谷で栽培されたトウモロコシを使ったチチャ(トウモロコシ酒)の痕跡も見つかっており、祝祭や儀礼の場であったことを物語っている。

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発掘現場から出土した、ティワナク様式の陶器の破片の一部  / Image credit:Capriles et al ., doi: 10.15184/aqy.2025.59

ティワナク文明はなぜ滅びたのか?

 ティワナク文明の崩壊は、気候変動による農業生産の低下、社会的不安、環境の変化などが複合的に影響したとされるが、決定的な原因はいまだ特定されていない。

 パラスパタ神殿群の発見は、その謎を解く重要な糸口になると期待されている。

 神殿群の構造や出土品の分析を進めることで、ティワナク社会の支配体制や経済活動の実態がさらに明らかになる可能性がある。

 発見地のカラコジョ市は、国や州の文化当局と連携し、遺跡全体の保護と調査を進めている。

 研究チームは「今もなお発見されていない重要な遺構が、この地に眠っている可能性がある」と述べており、今後の調査の進展が注目されている。

References: Cambridge / SCI / Popularmechanics

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この記事へのコメント 6件

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  1. Palaspata Temple
    住所 8XH8+V9, Caihuasi, ボリビア
    座標 17°40’11.3″S 67°02’02.6″W

    • +3
  2. 色からして弥生土器と同じ土師器の一種だと思うんだけど、形状が似てるよね。
    縄文土器のように低温で焼かれた強度のない時は厚くなるから装飾を付けたりするんだけど、弥生土器等の土師器や須恵器は薄く作れるから実用性を追求した結果同じような形状になるのかもしれない。

    • +2
  3. ティワナク遺跡のカラササヤと似ているから
    それを元にした復元図がある
    でも、ティワナク遺跡は、無理な復元をされたようで
    こっちの方が本来の姿を残しているかもしれないんだよね

    • +3
  4. 中米から南米にかけての文明は突然廃墟になるイメージだな。
    後継の文明も見当たらず突然歴史から消えてるイメージ。

    • +1
    1. 人がいなくなったわけじゃないんだよね
      ジャングルになりやすい場所だから
      人が少なくなると維持管理ができなくなって
      別の住みやすい場所に移住する
      そこで人が増えて都市になる
      そのころには別の文明といえるものに変容している
      そんな感じじゃないのかな?

      • +2
      1. 中東や西アジアなんかもパッと消えてるんだよな。
        遺跡は残っているし周辺地域にはそこに巨大な国があったという話はあるのに。

        • +2

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