
image credit:Sampson the Service Dog in Science/Facebook
アメリカ・イリノイ州の大学にある研究室に、特別に出入りを許可されているゴールデン・レトリバーがいる。サンプソンという名のその犬は、神経科学研究所で勉強する障害を抱えた研究者である飼い主女性を日々サポートしている介助犬だ。
犬用の防護服やゴーグル、ブーツに身を包みながら、体の不自由な研究者を支援してくれる。女性は、「介助犬が非常に高いレベルの訓練を受けていることをもっと知ってほしい」と話している。
Cute dog dresses in PPE and works hard in the laboratory | SWNS
防護服を着用し研究室への出入りを唯一許可されている犬
ゴールデン・レトリバーのサンプソンは、イリノイ州東部シャンペーンにあるイリノイ大学の神経科学研究所に、特別な出入りを認められている介助犬だ。飼い主は、神経科学者のジョーイ・ランプさん(56歳)。元馬の調教師だったランプさんは、2006年に乗馬事故に遭い、頭部に深刻な外傷を負った。
前頭前野を激しく損傷した他、眼窩や頬骨、2か所の椎骨、顎、鎖骨など23か所の骨折に見舞われ、体の左側に永久的な神経損傷が残った。
この事故がきっかけで、「人間の脳についてもっと詳しく知りたい」と思ったランプさんは、大学で神経科学を勉強することを決めた。
現在、同分野で2つの学士号を持つランプさんだが、更に博士号の取得に向けて取り組んでいる。
毎日、大学の研究室で勉強を続けるランプさんにとって、介助犬のサンプソンのサポートは欠かせない。
最初は、安全上犬を研究室へ入れることは禁じられていた。しかし、ランプさんは許可を求めて何年も大学側に掛け合ってきた。
そしてついに、防護服を着用するというガイドラインのもと、サンプソンの研究室への立ち入りが認められたのだ。事実、サンプソンは大学で研究室に出入りできた最初の介助犬となった。
「厳しい訓練を受けた介助犬の存在をもっと知って」
ランプさんは、サンプソンがいかに厳しい訓練を受けたうえで、日々自分を支えてくれているかをこのように話している。研究室では、常に危険な化学実験も行われていますから、介助犬は絶対に防護服を着用しなければならず、飼い主も介助犬から目を離すことは禁止されています。
マットの上に最大4時間伏せた状態で、飼い主のコマンド(指示)があった時のみ動くようにも訓練しています。
また、私が何かを落として跪いて拾おうとした際に、傍に来て体を支える支柱の役割も果たしてくれるし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の兆候を察して素早く反応してくれたりもします。
初めて研究室への立ち入りが許可されたサンプソンに、防護服を着用させるには慣れてもらわなければならず、ランプさんは日常生活の中に防護服ルーティンを組み込み、次第に慣れさせたという。
今では、その姿がすっかり身に着いたサンプソン。防護服を着用している間は、ランプさんをサポートする介助犬としての役割をしっかりと果たし、研究室から出ると、ランプさんとフリスビーをしたり、キャンバスを走り回ったりしてちゃんと息抜きをしているようだ。
サンプソンは、普通の犬のように泥んこになって走り回るのが大好きですが、とても優秀な介助犬です。サンプソンのサポートがなければ、私は学者になることも、神経科学プログラムをナビゲートすることもできなかったでしょう。
私のように、障がいがあっても科学を学びたい人はいます。障がいのある人や、介助犬の飼い主への理解を深めるためにも、より身近な観点から見ることが大切なのではないでしょうか。介助犬が、非常に高いレベルの訓練を受けていることを、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。
このように語るランプさんは、現在勉強の傍ら、世界中の大学と協力して、より多くの介助犬を研究室に導入できるよう働きかけている。
ランプさんを日々支える介助犬としてだけではなく、立派な実験助手でもあるサンプソンとランプさんの日々の様子は、Facebookやインスタグラムアカウント『sampson_service_dog』からも閲覧できる。
written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
防護服、ゴーグル、足のカバーとか可哀想だなと、とてもcuteではないけど、仕方ないのかなと思いながら見ましたが。。なんだかなあという感じ
2.
3. 匿名処理班
サンプソンさんがしてることは素晴らしいと思うし必要なことだと思うけど、訓練や服のこととかを見ると、ちょっと考えてしまうね。
こういうことこそ、人の技術が進歩してロボットに任せたり出来ると良いんだろうけど。
4. 匿名処理班
防護服一式は周囲へ抜け毛を飛ばさないようにする効果と、薬剤から体を守るためのものだね
お仕事モードの表情と遊びモードの表情のギャップが可愛い
5. 匿名処理班
最後の生き残りの相棒って感じ
6. 匿名処理班
ラボラトリー・レトリバー
7. 匿名処理班
犬も凄いが飼い主も凄いな。
犬の防護服に対する意見は色々あると思うが、こういうのを身に着けるのを本当に嫌がる子もいればあまり気にしない子もいるので「可哀想」かどうは個体による。
8. 匿名処理班
こういうのきらい
9. 匿名処理班
Instagramの写真1枚目が目の錯覚で、犬にまたがってるようにみえました。
犬可愛い!
10. 匿名処理班
自分の実験室で溶剤がはねて革の腕時計が一部が脱色しちゃって拭いただけで放置してたら数時間後に表面がボロボロになって廃棄せざるをえなかったことがあるからこれは大事だよ。
可哀想の前に安全
11. 匿名処理班
鼻と口が剥き出しなのが気になる
12. 匿名処理班
犬の嗅覚は優れていて、人間とは比べられない程匂いに敏感で急所でもあります。
研究室であれば薬品等で刺激臭を放つ物も扱うはずですし、目や手足だけでなく鼻も守ってあげないといけないのでは?
13. 匿名処理班
似合ってるね!
14. 匿名処理班
>>11
犬はパンティングすることでしか体温を下げられないから安易に口周りを塞げないんだよ
不必要にものに触らない躾は受けてるだろうし大丈夫だと思う
15. 匿名処理班
サンプソン(心の声)
「暴れまわりたい、そのうちな」
16. 匿名処理班
こういうことを言うべきではないのかもしれんけど
めっちゃかわいい
17. 匿名処理班
好きなときに昼寝して好きなときに庭を駆け回って一生を過ごす犬もいて、こういう風に研究室で長時間ジッとしている犬もいる
後者を単純に可哀想と言ってしまうのは賛否あるのかもしれないけど可哀想と感じてしまった
いくら犬は賢くて共感力が高いとはいえ、人間ほどの達成感を感じることはないだろうし人に貢献することに生き甲斐を覚えることもないだろうから
そんな単純な話じゃないんだろうけどね。頭良くないのでこういう話はただ単に"なんか可哀想だなぁ"と思ってしまう
18. 匿名処理班
此の子も凄いが落馬で障害負ってから神経科学に興味を持つまでは未だしも、最先端にまで突き進むランプさんに脱帽
尊敬するわ
19. 匿名処理班
なんかスッキリしねえな
20. 匿名処理班
俺より何倍も賢そう
21. 匿名処理班
現在56で2006年に事故にあったってことは少なくとも40歳過ぎてから大学で勉強し始めて学士までとったってすごいな
犬の境遇を可哀想と言う人もいるけど某盲導犬のcmみたいに
案外当のサンプソンさんは楽しんでるかもしれないしそれはなんとも言えないね
22. 匿名処理班
ハスキー「ボクも入りたい〜♪」
23. 匿名処理班
かわいい上にとても偉い子だな
24. 匿名処理班
>犬は嗅覚すごい、薬品のニオイも相当
>嗅ぐハメになってる
このワンコのデータもとってほしいわ
25. 匿名処理班
>>10
それこそ そんな危険な場所に大切な介助犬を入れるコトに疑問を感じる
仕方ないのかもしれないんだろうけど
ロボットが対応してくれる時代が早く来てくれるコトを希望するわ