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自分の心の中を振り返る。カラスには人間のような高度な認知能力があることが判明(ドイツ研究)

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(著) (編集)

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カラスの高度な認知能力 / Pixabay
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 「鳥頭」とは記憶力が弱いことを意味する言葉だが、一部の鳥に限って言えば、まったく当てはまらないどころか、逆に驚くほど高い知性を持ち合わせている。

 カラスは道具を使いこなすだけではなく、道具を改良したり、自制心で目先の欲を我慢したり、本当に鳥かと疑いたくなるような賢さを持っている。

 最深の研究では、自分の心の中を振り返るという、人間をはじめとする一部の高度な哺乳類にしかないとされてきた認知能力があることが判明したそうだ。

鳥と哺乳類の脳の構造の違い

 鳥と哺乳類では脳の構造が大きく異なる。哺乳類の認知能力を生み出しているのは、6層構造の前脳(新皮質)だと考えられている。

 己の心の中をじっと見つめ、それを内省する力。これまで人間や一部のサルにしかないとされてきた高度な認知能力は、この6層構造の新皮質があるおかげだ。

 一方、鳥類であるカラスの前脳は単純な核構造で、層構造はない。確かに高い知能を持つカラスではあるが、脳の構造が異なる人間のような主観的な認識を体験することができるのか?

 実験の結果、カラスには自分の心の中を振り返るという、一部の高度な哺乳類にしかないとされてきた認知能力があることが判明した。

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Pixabay

曖昧なサインを解釈して報告させる実験

 ドイツ、テュービンゲン大学の研究グループが『Science』(9月25日付)で発表した研究では、カラスに曖昧なサインを見たかどうか報告させるという実験を行った。

 まずカラスを訓練して、光が点灯したらイエスを意味するパネルをつついて、それを見たことを知らせるように躾ける。

 それから今度は光をごく曖昧なものに変える。その光は認知できるギリギリの範囲のものなので、カラスは自分が光を見たと思ったのかどうか解釈して報告しなければならない。そのためカラスは「イエス」と回答することもあったし、「ノー」と回答することもあった。

 この実験中、カラスの神経細胞の活動がモニターされていた。なおカラスの神経細胞は一部のサルと同じ15億個ある。

 するとカラスの感覚神経は、実際に光を目にしたときではなく、光を見たと回答しようとしたときに活発化していたという。一方、実際には光を目にしているのに、見たと認識していなければ、感覚神経は静かなままだった。

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image by:Tobias Machts/University of Tubingen

カラスには主観的な体験がある

 曖昧とはいえ、光の刺激は一定だったので、もしカラスに主観的体験がなければ、神経細胞の反応もまた一定になるはずだ。

 しかし実験で確認されたのは、カラスが光の刺激に単純に反応しているのではなく、主観的な体験を示す神経細胞の反応があるということだった。

 カラスは自分が主観的に認識したもの(光ったと思ったのかどうか)に気がついており、それを報告していたのだ。

私たちの結果は、カラスの脳の高度な処理を司る神経細胞が主観的体験に左右されている。より正確に言えば、主観的体験を作り出しているということを明確に示しています

と、研究グループのアンドレアス・ニーダー氏は話す。

 こうしたことから、意識の起源がこれまで考えられていたよりもずっと古いものであることも推測できるという。

 人間とカラスの共通祖先が存在したのは3億2000万年前のことだ。したがって、意識もまたその当時にまでさかのぼれるということになる。

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Pixabay

高度な認知能力は結合パターンで作り出される

 『Science』(9月25日付)にはもう1つ、鳥の知性に関する研究がドイツ・ルール大学のグループによって報告されている。

 その研究ではハトとメンフクロウの神経解剖学的な特徴を詳細に調べたもので、おそらくはカラスにも共通しているだろう鳥の知性の基盤らしきものを発見している。

 先述したように、鳥には哺乳類のような6層構造の新皮質がない。その代わりに、ハトとフクロウの神経細胞は適切な角度で結合することで、新皮質に似た列方向に並んだ演算回路を形成している。彼らの高い知能は、これによって作り出されている可能性があるという。

 構造が異なる哺乳類と鳥類の脳が、同じく高度な認知能力を作り出せるという事実は、脳が多様な構造をとりえることを示している。

 同時に、高度な脳には多数の神経細胞が結合して形成された回路が備わっているという共通点もある。進化は少なくとも過去に2回、結合回路を搭載した脳構造を発明したということだ。

References:phys/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 45件

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  1. 鳥類は飛ぶために、体のいろいろな部分を軽量化、簡素化しなくてはならなかった。大きくて重たい脳などは論外なのである。
    その代わりに、哺乳類とは異なった脳の構造や神経細胞の配線を行い、知能を発達させてきたわけだ。
    だから、単純に構造や重さを哺乳類と比較して鳥類の知能を判定してはいけないわけだよね。

    近所のカラスによく話しかけていたら、こちらが近くを通ると向こうから鳴いてくれるようになりましたよ。

    • +23
    1. >>1
      途中まで読んでカラスが1にそう説明してたのか、と思ってしまった

      • 評価
  2. カラスの勝手でしょー

    がリアリティを帯びてきた

    • +7
  3. 鳴き声に個体差があって面白いよね。
    うちの近所だけでも低音のイケボの子とかしゃがれたハスキーな子とか、ちょっと音程が怪しいヘタかわいい子なんかがいる。

    鳴き声の回数と意味の一覧のサイトがいくつかあって8回までしか書かれてないんだけど、近所の子は9回、10回と鳴くんだけどあれはどういう意味なのかなあ。

    • +9
    1. >>4
      カラスは声真似とかもするよ。声帯がインコやヨウムより発達してないからあくまでそれっぽい感じだけど、犬のワンッと言う単発的な音から救急車のサイレンまで。

      • 評価
  4. こういう記事を読むと「進化論」の限界を感じます。
    「科学的」にもっともらしく見えるものの,観測結果が詳細で正確になるほど窮地に立たされたプトレマイオスさんの「周転円説」みたいに。
    自分の目に正しく見えても実は,それまでに受けた“教育”のせいで“盲目”にされていることに気付かない事があります。
    ニーチェさんの言う“神”は確かに死んでいるでしょう。
    でも絶対者がただ1人でデザイナー,設計者,造物主,クリエイターだからこそ,この世界は美しく,秩序あるものとなっているように思います。

    • -28
  5. 動物の知能を図る場合には単純な脳の大きさよりも体全体に対する比率やニューロン密度の方が参考になるそうですね

    • +1
  6. *1
    こういう記事を読むと「進化論」の限界を感じます。
    「科学的」にもっともらしく見えるものの,観測結果が詳細で正確になるほど窮地に立たされたプトレマイオスさんの「周転円説」みたいに。

    自分の目に正しく見えても実は,それまでに受けた“教育”のせいで“盲目”にされていることに気付かない事があります。

    ニーチェさんの言う“神”は確かに死んでいるでしょう。でも絶対者がただ1人でデザイナー,設計者,造物主,クリエイターだからこそ,この世界は美しく,秩序あるものとなっているように思います。

    しかもこの方の信頼できるアドバイスが「聖書」の形で多言語文書化されていて,その中には「受けるより与える方が幸福」とか逆説的なのもあって面白いですよ。人間社会がなぜ混沌としているかのシンプルな答えも分かるし。

    • -24
    1. ※7
      気持ちはわかるけど、カンブリア爆発のころの生物とか考えるとデザイナーは気がくるってるように思える。現代でもそのころの生物かと思うような深海の生物のデザインを見ると私は進化論を支持したくなるな。

      • +5
    2. ※7
      ひとつ確実に言えることは
      ここは啓蒙の場でも布教の場でもないということです

      • +12
    3. ※7
      エントロピー増大則はご存じですね?秩序あるものは無秩序へ、混沌へと必ず向かっていく。時間の矢の向きを変えることができない限り、この縛りから逃れることはできない。造物主は美しいものを作っておきながら、それをすべて破壊するように世界の法則を作ったんだから皮肉なもんです。

      進化論の限界といいますが、むしろより裏付けるような結果でしょう。多様な脳構造を持つものの中から、生存に有利な構造を持つものが現存の種として残っているから、今まさに隣人として彼らが存在するのだと思います。

      学説に説明できないほころびが出たとしても、それに置き換わるものはやはり学説です。

      • +3
    4. ※7
      こういう記事になる様な華々しい例だけじゃなくて、生物のもっと広い面を見ると意見が変わると思う。生物には計画性があれば絶対やらないヘンな点、ねじれが沢山ある。イカ・タコの目と比べた人間の目、パンダの親指、鯨の骨盤、等々。
      光合成もそうで、これを自力で獲得したシアノバクテリアだけ。他はシアノバクテリアを取り込んで葉緑体とした一次植物がいて、一次植物を取り込んだ二次植物もいて、さらにそれを取り込んだ三次植物…と無駄に重複して無秩序だ。
      これが、生物がピンチの陥って色々試して運よく生き延びる奴がいて…の繰り返し、進化の結果そのものだと思う。

      • +6
    5. >>7
      それが真だとしたら、カカポやドードー、ならびに恐竜に絶滅を避ける術を与えなかった絶対者はずいぶん残酷なサイコパスだなぁとしか思えない、それは見にくく無秩序な絶対者だ。とっとと手を引いてほしいもんですね。

      • +5
      1. はて、何を言っているんだね?
        絶滅? 誰がそんなものを見た?
        恐竜は何かの骨を見つけた人類がたわけた妄想を膨らませているだけに過ぎないのだよ。大昔にそんな生き物がいたなんて観測できないだろう?
        それは電子が観測するまで実在してないのと同義だ。ふぇっふぇっふぇ、科学は観測不可能なものについて保証しない論じないで結論づいとるんじゃよ
        そんな曖昧なものがいたと信じているお主はまさしく神の存在を信じる我々と変わらぬのじゃ
        あとカカポとやらは実は絶滅してないそうじゃぞ。良かったな
        ドードーは美味しかったので仕方がない。人類が悪いのじゃ

        • 評価
  7. 賢さが明らかになるたび
    カラス問題あるとこのカラスを上手いこと躾れないものかって思うな

    • 評価
  8. カラスに限らず、鳥類って賢いイメージが強い。
    うちの鸚鵡で餌を一瞬チラ見せした後の反応を見てみたけど、見えた瞬間より僅か後に催促してた。
    あれは鈍いんじゃなくて、それが餌かどうかを考えてから催促してたのかな……やっぱり鈍いだけかな。

    • +2
  9. 先日、近所のドン・キホーテで、店頭のワゴンに積んであったポテチを盗もうとしているカラスを見かけた。

    ポテチの袋をワゴンから引っ張り出すところまでは行けるんだが、そのあと地面に落としたところで、どうにも行きかう人間の目が気になるらしく、まごまごしていた。

    これがもっとほかの鳥なら、さっさと盗んで飛んでいくところなんだろうけれど、頭が良すぎるのも善し悪しだねw

    • +3
  10. カラスとの知恵比べはなかなか骨が折れる。
    物干しにつるした針金ハンガーを巣材として何本持っていかれたことか。
    しかし私はカラスは好きだ。

    • +11
  11. カラスほどペットに適した生き物はいないのに

    何故害鳥扱いされるのか

    正直鳥さんの中では一番飼いたい生き物だ

    • +1
    1. >>14
      ぶっちゃけ下の処理が大変なのよ。
      鳥は体軽く保つため所構わず飛びながら排泄すりらからうんたのしつけが出来ないし、カラスは雑食なのでニオイも量も多いのよ。

      • +1
  12. こんなに賢いのに鏡像認識はできないのが不思議

    • 評価
  13. 恐らく、研究すればこんなことくらい犬でも猫でもできることがわかるだろう。

    • -3
  14. 愛護団体はイルカの命はその知性の高さを根拠の一つとして
    守れと叫ぶのになぜ、カラスの命に対しては同等の声を
    上げないのか。不憫なカラス

    • +5
    1. ※19
      逆にあなたに聞きたいんだが、なぜ愛護団体はカラスの保護を訴えていないと思ったんだ?
      というか、先進国じゃ大抵の場合カラス含め野生鳥類を勝手に駆除する行為は違法になるけど

      • +1
      1. ※37
        調べもせずただ文句だけ言ってるからじゃない?

        • +1
  15. 人間だけを特別な存在にしたいというキリスト教以来のしがらみが少しずつ剥がれていくな。
    20世紀頃までは動物には感情もなくてただ機械のように周囲の刺激に反応しているだけだ、みたいな説がまかり通ってて、少しでも反論すると「動物を擬人化して解釈を歪めている!」って批判をされる事も珍しくなかったが。動物を擬人化して解釈する事の問題も確かにあるけど、アカデミックの世界では動物にも意識や感情があると言っただけで「人間になぞらえた愚かな解釈」扱いされた時代があるからな。

    • +8
  16. カラスのつがいに餌をやってたら蟹歩きしながら寄ってくるようになったけど巣立ち雛を連れ歩くようになったら来なくなった。迂闊に人間に慣れさせないようカラスなりの教育なのかもしれない。若鳥が独り立ちしたらまた来るようになった。

    • +6
  17. 良いんだか悪いんだかわからないけど「烏も思い込みをする」ってことだね。
    敵と認識したら許さない(人と同じくらい修正が効かない)とか 。
    まあ人間らしいじゃないか。

    • +1
  18. やはりカラスはスバラシイ!
    と思うカラス好きの俺

    • +4
  19. カラスは賢いと思うが、この実験の解釈はちょっと強引だと思う
    光ったと思ったから押す、ってのはそうだろうけど刺激にセンサ(視覚)が50%で反応しただけでも同じ結果になるような?

    • -1
    1. ※28
      そうではないのだよ!
      ちょっと複雑だからこの記事では丸められちゃってるけど、元論文みれば詳しく書いてあるよ。

      概略だけ説明すると、
      カラスがYesと答える時にのみ活動している神経細胞が見つかってるんだよ。
      この神経が反応するのは、①明確な光刺激があり、カラスがYesと答えたとき、②曖昧な光刺激があり、カラスがYesと答えたとき、③光刺激がなく、カラスがYesと誤答したとき。
      しかもこいつはカラスが答えるより「前」に活動している。
      答えるのと同時なら、単にカラスの体を動かすための信号かもしれないけどそうじゃない。
      これは「よし、つつこう」というカラスの意志決定だと考えるのが尤もらしいのだ!

      • +5
  20. なんかこういう今更感な研究結果見ると、人間が思ってるより賢い生きものって沢山いるんだろうなーと思う。

    • +3
    1. ※29
      認知や意識があると「証明」するのは難しいんだよ。
      あるに決まってると信じていても証明できないならあると言ってはいけないのが研究者だから。
      それでもなんとかあると証明したくて、その方法をずっと模索し続けて、最近ようやく「認知がある」と考えるのが「最も合理的な解釈」であるといえるレベルの実験をできるようになってきたんだよ。
      今更っていわれるとすごく悲しいわ。

      • +6
  21. 知ってたよ。
    烏はアタマがいいんだ。

    ここの管理人のパルモだってネコ好きのニンゲンみたいな記事を書いてるけどほんとうはカラスかもしれない。日々カラスを観察しているとカラスにはそんなことさえ出来るんじゃないかと、それくらいカラスには可能性があると感じる。

    そもそもカラパイアというおかしな名前からしてどことなくカラスっぽい。多分ほんとうはカラスパイアにしようとしたんだけどこの仕事をするにあたって巣から落ちてしまいカラスの世界に帰れなくなったことを忘れないためにスなしの名前にしたんだと思うそんなことができそうだと思えるくらいカラスはアタマがいいと感じることが多々ある。大学で自販機からパンを買おうとしてるのを見たこともあるんだ。

    • +9
  22. 昔カラスの雛を保護しましたがコンタクトレンズが反射したのか、目をつつかれ痛い!と言ったら睫毛をすいてくれましたよ。鏡を見せたらすぐに後ろを確認!子供の頃は、目が青くて本当にきれいなんです。

    • +3
  23. 昔から「哺乳類と同じ脳の構造ではない→だから高い知性は持てない」って断定する論調になぜ?って疑問を感じてたけど、実際今は異なる進化の過程で高い知性を持つようになった生き物も色々知られるようになってきてなんか嬉しい
    そりゃこれだけの系統の生物が居て同じ場所に到達する設計図は一つじゃないよな。人間だから人間に近いほど賢い!と思いたくなる人がいるのもわかるけど

    • +3
  24. 八咫烏みたいに、外国でもカラスを良いイメージとして捉えてる国があるよね。レイヴンとか。賢いからだろうね。
    八咫烏が好きなので、カラスモチーフのグッズを買ったりしてます。

    • +1
    1. >>40
      イギリスのロンドン塔ではアーサー王がカラスに姿を変えたといわれ、カラス(レイヴン)を飼ってるよね。
      ハンガリーでは、幽閉されたマーチャーシュ王がカラスに指輪を咥えさせ、母親の元へ飛ばし自分の無事を知らせた伝説から、カラスモチーフのグッズとかがあるし
      ブータンではカラスが国鳥だとか。日本の八咫烏とも何か繋がりがあるかも?

      • +1
  25. 学生時代、授業中に窓の外を見てたらカラスが棒を穴に通す遊びを延々と楽しそうにやってたのを思い出した
    賢い生き物は遊び心があるよね
    もしかして証明が難しいだけで、人間と同じように過去や未来の概念を持ってる生き物も結構いるのかもしれない

    • +4

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