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レアケース。父親の異なる双子が体外受精で誕生(イギリス)

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(著) (編集)

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父親の異なる双子が誕生 image credit:Fallon Michael/Unsplash
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 異なる父親からの双子が生まれるという確率は、非常に稀なケースだが全くあり得ない話ではなく、ある研究では400組に1組が「父親が違う双子」というデータもあるようだ。

 生命の誕生はいずれにおいても神秘的であり、特に長期にわたって子供を授かることを望んでいたカップルにとっては、それぞれのDNAを受け継いだ双子の誕生は夢のような出来事だ。

 去年、イギリス在住の男性カップルがその夢を実現させた。カナダにいる代理母を介して匿名の卵子を使用し2人の精子と受精させたところ、それぞれの胚が着床、父親が異なる双子の赤ちゃんが無事に生まれたのだ。『Upworthy』などが伝えている。

家族を望んでいた男性カップルが体外受精治療にチャレンジ

 2018年、イギリスのロンドン在住サイモンさんとグレアムさんは、2人の間に互いのDNAを持つ子供を持つことを強く望んでいた。

 しかし、イギリスでは異なる父親により受精した2つの胚を同時に着床させるという画期的な治療法は行われておらず、代理母をカナダに拡張して検索していたところ、12歳と5歳の息子の母であるメグ・ストーンさん(32歳)と出会った。

 当時、パートナーと別居したばかりだったメグさんは、誰かの助けになりたいと代理出産のサイトを見ていた時に、サイモンさんとグレアムさんのプロフィールを発見したという。

 メグさんからの協力を得られると知ったサイモンさんとグレアムさんは、まず匿名の卵子提供者を選び、その後LAの不妊治療クリニックに飛んで胚を受精する治療を行った。

私たちは、最初誰が子供の生物学上の父親になるか悩んでいました。グレアムは私がなるべきだと言いましたが、私はグレアムこそ最適だと思っていましたから。そしたらクリニック側から、私たち2人ともが父親になれる可能性があると聞かされたのです。(サイモンさん)

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Bellezza87/pixabay

胚の半分ずつに2人の精子を受精

 クリニックは、サイモンさんとグレアムさんの「可能なら2人で生物学上の父親になりたい」という願いを叶えるべく、胚の半分ずつをサイモンさんとグレアムさんの精子で受精させることに成功した。

 その後、2人は正式に結婚し、メグさんの住むカナダへ新婚旅行に行き、直接メグさんと初対面を果たした。

最初は緊張しましたが、メグは長い間会っていなかった妹のようなとても親しみやすい雰囲気を持っていて、会ってすぐに私たちを温かいハグで迎えてくれました。彼女が、私たち2人の人生を変えてくれることにとても感謝していると、私たちは伝えました。(サイモンさん)

 その後、受精し凍結された2つの胚は、半年後にメグさんの子宮へ入れられた。2週間後、メグさんから妊娠していることを告げられたサイモンさんとグレアムさんは大喜びしたが、更に嬉しい出来事が起こった。

 数週間後のスキャン検査で、メグさんは双子を妊娠していることがわかったのだ。2人のDNAを受け継いだ双子だと知り、サイモンさんとグレアムさんは天にも昇る気持ちになった。

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3194556/pixabay

36週目に無事双子の赤ちゃん誕生

 これまで、メグさんからはイギリスにいるサイモンさんとグレアムさんのために、FaceTimeで妊娠状況を知らせてもらっていたが、19週目のスキャン検査には2人はカナダへ飛び、メグさんのお腹に手を当てさせてもらい、双子の存在をしっかりと確認することができたそうだ。

 少しの触れ合いの中でも、2人はメグさんがとてもいい母親であることを知り、自分たちの生まれてくる子供が、最高の女性の手の中にあると喜びに包まれた。

 そして迎えた36週目。何週間も前から心配してカナダに駆け付けてきていたサイモンさんとグレアムさんは、それぞれ両脇でメグさんの手を握り、陣痛をサポート。

 やがて、女児が誕生し、数分後には男児が無事に生まれた。

 後に女児はアレクサンドラ、男児はカルダーと名付けられた。カルダーはグレアム、アレクサンドラはサイモンの特徴をとてもよく受け継いでいるという。

メグは、父親の異なる双子を無事に妊娠・出産するという素晴らしい仕事を果たしてくれました。私たちの夢が実現できたのはIVF(体外受精)のおかげです。いつも家族を持ちたかった私たちの夢が叶いました。

 このように喜びを語るサイモンさんとグレアムさん。かかった時間や費用は25000ポンド(約350万円)と決して容易な道のりではなかったが、それだけの価値はあったと言う。

 生まれた双子は、生後7週目にイギリスへ父親と共に戻り、以降すくすく元気に成長しているそうだ。

 1歳の誕生日には、メグさんがカナダからお祝いに駆け付けてくれた。「今や、サイモンとグレアムは私にとって兄弟のようなもの。また、科学の力に驚かされています」と語るメグさん。一方、サイモンさんとグレアムさんは、「私たちを父親にしてくれたメグには感謝の言葉もない。双子が成長したら、メグのことを話して聞かせたい」と話している。

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. どちらか片方着床の予定が、両方着床して双子になったで良いのかな
    代理母さんタフだわ

    • +17
  2. 双子の話とは逸れちゃうけど
    セイ子やラン子の提供ならまだしも
    代理母をやってくれる人はほんま聖女だと思うわ

    • +20
    1. >>2
      ほんまにね
      自分が代理母やったとして産んだ赤ちゃんを渡せる自信ないすわ(実際代理出産した子供渡さないってトラブルあるし)
      自分の気持ちを殺せて、どんなことをしても子供が欲しい人たちの気持ちが解る女性じゃないとできないんだろうね

      • +8
  3. さも意外なことのように書いてるけど、2つ戻してるんだから、両方着床すれば当然二卵性の双子になるわけで、最初から双子の可能性を想定してる。ヒトの子宮はそもそも1人用なので母体にも胎児にもリスクのある妊娠だけど、彼らにしてみたら一度に2人でおトクぐらいな感覚なのかもね。

    • +16
    1. ※4
      ポルックス(不死身な方)と双子なのはトロイア戦争で有名なヘレネらしいぞ
      カストル(人間)と双子なのはクリュタイムネストラ
      兄弟には違いないが

      • 評価
    2. >>4
      レダさん男×2、女×2の四つ子産んでるからねぇ
      でも卵だから出産楽々だったかも

      • 評価
  4. 猫と同じ事、人間にも出来るもんなんだなぁ

    • +1
  5. 本来なら『二人分の異なる父親の遺伝子を持つ子供が一人産まれる』はずだったのが、『異なったお父さんの遺伝子を二人分持つ子供が、双子として産まれた』って事?
    ちょっと待って情報の整理が追いつかないし、そんなレアケースが生まれるようになった医療の進歩にも驚きを隠せられない

    個体ごとにお父さん猫が違うという猫って言うより、ジョジョ風に言えば『ジョナサンとDIOの遺伝子を持った、同じお母さんから産まれた双子のジョルノ』みたいな感じか?

    • -12
  6. 自分は鈍いので、男性カップルだというのを、途中で気がついた…。確かに、金銭的なやりとりとか、よくわからんが、うんでくれた女性はすごいなと思う。

    • +7
  7. 一つの卵に精2つ入れたら胞状奇胎になっちゃうから
    単純にどっちか当たれで受精卵二つ入れたらどっちも当たっただけだな

    • +7
  8. 最初タイトルで首傾げたけど、なるほど、こういう『父親の違う双子』ちゃんか!
    そうか、体外受精や代理母、こういうタイプの需要(と言うと失礼かもしれないけど、ごめん)もあるわけだ……パパたちもこの子たちも幸せになりますように

    • +3
  9. 代理母のメグさんのランシじゃだめだったのかなあ。。。子供によっては、母(もしくは父)を永遠に探し求めてしまう問題もあるらしいし。

    • +1
  10. 昔飼っていたウサギはいろんな雄の子供を産んでいたなあ

    • +2
  11. 喜ばしいね

    ところで、結果的に双子は異父キョウダイ?
    それだと胚を2つ入れた時点で双子の想定はされるものではないの?
    さらに、もし1人しか生まれなかった場合はLAのクリニックの言う「2人ともが1人の子の遺伝子上の父親になれますよ」が成立しないし、なんかよくわかんない。ギャンブル的な意味合いでは無いだろうし。
    それともこの双子にはどちらもが2人の父親の遺伝子が入ってるという事??

    • 評価
  12. これ、偶々胚が二つに分裂できたから良かったけど
    遺伝的な母一人父二人のキメラにするつもりだったのか
    キメラには自己免疫疾患に苦しむ人もいるし
    オススメする方法じゃない

    • +1
  13. この記事で書かれている男性カップルの二人と代理母による双子の妊娠はもちろん喜ばしい事なんだけど、冒頭の「400組に1組が『父親が違う双子』」という話(リンク先記事を読んだ感じ、記事本編の様な体外受精の話ではなく、近い時期に複数の男性と関係を持ったことによる自然妊娠)の方に関しては正直ちょっと戦慄してしまった

    • +1
  14. エゴというか倫理観というか
    どこまで行くんだろうなあ

    • +4
  15. 1歳になるまで乳母雇うのか? 母親の母乳から免疫獲得するんじゃなかったか?

    • 評価
  16. リトバス思い出した
    2人とも大事にしてほしい

    • 評価
  17. いい話風たけど母性の搾取に思える
    まあ同意ありで金払ってればいいのか?
    わからん…

    • +1

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