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インドの貧しい親子の愛情と絆を描いたストップモーション・アニメーション『Tokri(The Basket)』

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(著) (編集)

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親子の愛情と絆を描いた感動のアニメーション image credit: youtube
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 静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術はストップモーション・アニメーションと呼ばれ、特徴ある動きによって強いインパクトを与える動画を制作できることから、現在「古くて新しい撮影技術」として注目されている。

 今回紹介するのは、8年の年月をかけて完成したストップモーションのクレイ・アニメーション『Tokri(The Basket)』だ。

 インド、ムンバイに住む貧しい一家の日常を描いたものだが、ある日娘は、父親の大切にしてしまう懐中時計を壊してしまう。落胆する父親を見た娘は、時計を修理するために奮闘するのだが…

Award-Winning Stop Motion Animated Short | Tokri (The Basket)

切ない父と娘の物語を描いた15分のストップモーションフィルム

 インドのアニメーション界の巨匠と言われるスレッシュ・エリヤット監督と、制作責任者ニリマ・エリヤットの両名によって、8年がかりで作成されたストプモーション・アニメーション『Tokri(The Basket)』は、インドのムンバイを舞台とした貧しい親子の切ない物語だ。

 決して裕福ではないが、両親に大切に育てられて幸せに暮らしている少女は、ある日両親が仕事で出かけた後、父親が家宝として大切にしている金の時計をこっそり眺めていた時に、壊してしまう。

 少女は父親に叱られることを恐れ、自分が壊したことを言えないまま過ごすが、時計が壊れていることに気付いた父親は激しいショックを受け、すっかり元気をなくしてしまう。

 なんとかして父親に元気を取り戻してもらおうと、少女は両親が内職でしていたバスケット(籠)作りを始める。

 そして、ムンバイの混雑した路上で売って、小銭を稼ごうとするが…。

スレッシュ自身の経験が織り込まれた作品

 実は、この作品はスレッシュの過去の経験に基づいて作成されたものだそうだ。

 ある日、信号待ちで停止していたスレッシュの車に寄って来た1人の少女は、映画の中のようにバスケットを売ろうとしたという。

 しかし、その子供を冷たくあしらい車で走り去ったスレッシュ。その後、激しい罪悪感に襲われた。

 少女がバスケットを売らなければならなかった理由は何だったのか、もし自分が買っていたら少女の状況は変わったのだろうか、なんて自分は無神経な人間なんだ…そんな思いが交錯し、頭の中に残り続けた。

 そしてそれは、後に『Tokri』という父と娘の切ない作品になって完成したのである。

Tokri (The Basket) Behind the Scenes – Animating Tokri

あらゆる細部を緻密に再現して撮影

 撮影の舞台裏には、店やバス、車、行き交う通行人など、ムンバイの混雑した街や道路を再現した膨大なセットが準備された。

 スタッフは、実際の路上の様々な店やスラム住宅の内装を参考にし、現在の人々の暮らしや文化を再現。

 特別な要素を備えた賑やかな街並みの中で、バスケットを必死に売ろうとする少女の切ない思いは、空想を交えて物語の中に織り込まれて行く。

 決してハッピーエンドとはならなくても、テーマとなっている「家族」「過ち」「赦し」は視聴者の心にじゅうぶん伝わってくる作品に仕上がっている。

 スレッシュとニリマ・エリヤットのスタジオEeksaurusは、これまでにも何百という映画を作成しており、カンヌライオンズなどからも高評価を得ているという。

Tokri (The Basket) Behind the Scenes – Pre Production

written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. 細部の小物にまでこだわってる感じが最高。

    • +5
  2. 腑に落ちないなーと思って観てたけどラスト良かった
    籠が車に轢かれるとこは「ああっ」って声出ちゃったw

    • +5
  3. ああ。運転手はスレッシュ自身がモデルだったのか……
    過去の自分を反省し贖罪の気持ちでこの作品を作ったのか。

    最初はお涙頂戴の作品は苦手だなあ、と思ってたけど……う~ん。そうか……

    • +2
  4. なんだかチェーホフの短編でも読んだような気分
    とても好き

    • +1
  5. ストップモーションアニメとしては素晴らしいのですが
    監督の贖罪意識で作ったと言うことなんですが、
    いまいちストーリーが共感できなかったです。

    壊したんならそこは子供らしく素直にちゃんと
    謝らしてもらいたかったって思っちゃいました。

    てか、自分の罪の意識で少女に謝らしたくなかったのかも。

    • -2
    1. >>6
      この後謝った、父は許した、そう想像できるけどなぁ。

      • 評価
    1. ※8
      なんとなく、日本でいうと昭和40年代とか
      そんな風味を感じる。

      これが昭和30年頃までならまだ
      子供の手作り路上売りでも金を稼ぐ道があったけど
      (昭和20年代のシケモク拾いとか靴磨きの類など…)、
      急速に街が経済発展していってオシャレな市販品が溢れ
      貧民の昔ながらの素人手作り工芸品みたいなのは
      見向きもされなくなった、的な…。

      • +3
  6. この国の”貧しい”人というのは、我々が思うある意味で失敗した人間ではなく、特定の人種だと成功しようがしまいが貧しいことから逃れることのできない”格差”のある国で、そのことを理解しないと分からないし、そこまで踏み込んで文章を書かないと日本では理解できないし、内容がどうなのかも、きっちろリサーチしないといけない記事では?

    • +2
  7. インドのスラムテーマだとインドのスラムの小さな兄弟がなんとかしてスラムの外にできたピザ屋でピザをくおうとする映画「ピザ!」とか面白かった

    • +2
  8. 籠くらいであんなに大金を払うとか凄い良い人!
    と思って見てたら少女の妄想だった。
    これ人形に合わせて車をわざわざ作ったのかな?
    それとも車は既製品で車に合わせて人形のサイズを決めたとか?
    どっちだろう?

    • 評価
  9. なぜインドでは深刻な人権蹂躙が今でも続いているのか?
    それは、未だにヒンドゥー教が幅を利かせているせいで、インドのイスラム教キリスト教仏教の信者が少ないからだ。
    それらの宗教に改宗せず、民族の神話とその神々やらを捨てないどころか重んじてしまう人間が未だに存在している限り、インド(+日本もだが)の人権問題は一向に解決されない。

    • 評価

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