
ソ連で黒魔術研究が行われていた? / Pixabay
機密解除された1977年のCIAの報告書「ソ連と東ヨーロッパの超心理学」には、旧ソ連(現ロシア)が戦争兵器として利用するために、黒魔術やサイコトロニクス(電磁波などを用いて人為的な心理変更を行わせる)装置の研究を行っていたとの見解を示しているという。アメリカ(西側)とソ連(東側)が水面下で対立していた冷戦時代には、両陣営とも超能力や超心理学、魔術などを真剣に研究していたようだ。
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CIAの報告書に書かれたソ連の黒魔術
1977年春にリリースされた、CIAの報告書「ソ連と東ヨーロッパの超心理学」にはソ連の黒魔術研究に関してこう書かれている。1969年頃、ソビエトは黒魔術についての情報を収集する隠密の任務を遂行する公的グループを起ち上げたと言われている。
D・G・ミルザがヘッドを務めるこのグループは、モスクワに秘密の研究所を与えられ、魔術師や魔女の能力をもつ人たちや、彼らが使う呪文を識別、特定、評価する任務を担った。
この調査の結果、なんらかの超常現象システムが採用されたとは思えないが、集められたデータはほかの研究分野の役に立ち、超能力を獲得し、向上させるための訓練技能を改善させた可能性はあったかもしれない。
ゆえにこの研究は、ソビエトのさまざまなプログラムの中で今も生きているかもしれない

冷戦時代、米ソ間で活発だった超能力兵器開発競争
ソ連がかつて黒魔術研究を行っていたことや、CIAがこうした"超能力"について、わりとあっさり言及していることに、ショックを受けるかもしれないが、多くの人は、とくに70年代に米ソ間で、荒唐無稽にも思える超能力兵器開発競争があったことはよく知っている。ジム・シュナーベルの97年の著作『Remote Viewers: The Secret History of America’s Psychic Spies』は、CIAの報告内容へのちょっとした洞察を与えてくれる。
KGB(ソ連国家保安委員会)とGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)は、ソ連東部の広大な領土で、タフなシベリアのシャーマン、修業を極めたチベットの僧侶、もっとも優れたモンゴルの氣功師を求めて探しまわった。
シベリアの第八特殊部では、シャーマンたちが自分のセイコキネシス(念力)能力を使って、離れたところを走っている路面電車から人を落とそうとしたり、小動物を殺そうとしたりした。
超心理学者のラリッサ・フィレンスカヤは、I・M・コーガンのラボで、サイコキネシスマスターがラジオで海外の政治家の言葉を聞きながら、有害なPSI(超常現象)粒子を送ろうとしている映像を見せられたことがあると言っている。
情報伝達問題研究所(IPPI)では、あるとき、チベット人僧侶グループが意識を集中させただけで、数ヤード離れたところにある人の頭蓋骨を破壊することに成功したと言われている。
IPPIとカザフスタンのラボでは、シャーマンたちが、マトリョーシュカの人形や、手彫りの木のスプーン、土産のスプートニクの模型など、なんでもないものに、邪悪なPSIエネルギーを放ったとされる。
彼らは、浴びたものを衰弱させる放射性物質のような光線を放つことができると考えられた。これはまさに黒魔術そのものだが、PSI粒子だとか、PSI放射能などというあいまいな言葉で秘密にされていた。

jezdicek/iStock
シュナーベルは、こうしたシャーマンたちは、小動物やときには人間の心臓を止めたりすることができるという、出どころの怪しい話をまとめている。これが、アメリカを映画『ヤギと男と男と壁と』(2010年)の中で揶揄されている研究を駆り立てることにつながった。
旧ソ連で行われていたサイコトロニクス発生器の開発
シュナーベルのPSI粒子やPSI波についての記述は、旧ソ連のもうひとつのPSI研究と関係がある。"かなりの量の研究が、超能力効果を生じさせるために使用されるサイコトロニクス発生器の開発に費やされた"とされている。ここでいうサイコトロニクスとは、電磁波放射による神経や脳活動の外的誘導、特に脳に記憶される情報を誘導したり、精神に攻撃をしかけるという試みだ。
70年代半ばごろまでに、CIAとDIA(国防情報局)は、サイコトロニクス発生器のさまざまな報告を受け始めた。しかし、アメリカの諜報機関の多くの人間は、こうした話をロシアのPSI計画が狂気へと暴走した証拠としてとらえていたようだ。
その機械は、脳卒中や心臓発作を引き起こす、人々を不安に陥れ、方向感覚を狂わせる、人を攻撃的にさせ、精神をおかしくさせる、などなどだ。
この技術開発は、ヴィクター・インユシンというロシアの科学者の功績だという報告もあれば、ロバート・パフリタというチェコ人技術者の名をあげるものもある。
元KGB職員だとされるニコライ・コクロフは、かつての雇い主がこの発生器を、北米のある共同体に対して使って試したと主張している
アメリカにとって最大の脅威は、ロシアが、ある時点で、自分たちのPSI計画に金を浪費するのをやめることかもしれないと考えた、とシュナーベルは書いている。
References:The CIA's Secret Documents about Soviet Black Magic Assassins - The Daily Grail/ written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
還元主義的にはPSIなんてあり得ないってのが現代の主流だけど、
かつての錬金術の試行錯誤の如く、
こういう一見トンデモ研究も脳神経学とかに活かされたんだろうね。
2. 匿名処理班
西側先進国と(旧)東側の中心国では、超能力や魔術を研究する政府機関が普通にある。(あった。)
実は、日本だけが無い。日本の神は、第2次世界大戦終了時に死んだのだろう。
3. 匿名処理班
え?ロシアがPSI研究を止めるの?
いやいや、続けて下さいよ!
ラスプーチンから続く貴方がたのオカルト研究が、
ジャパニーズサブカルチャーの妄想力供給元なんですよ!
4.
5. 匿名処理班
要は超能力の軍事利用ね。
無神論の共産主義者による黒魔術がどういう方向にいくかは知らないが。
6. 匿名処理班
いやいや何をおっしゃいます、CIAだって「双子を使った超長距離通信」だの「念写によるICBMサイトの特定」だのKGBやGRUに負けず劣らずの突き抜けっぷりで有名だったんですよ、実はそのどれもが良い線行ってた(どの研究でも、最終的には7〜8割程度の正答率にはもっていけたそうです)なんて信じられます?でもね、いつも最後に問題になるのはその「確実性」だったみたいですよ、「8割の確実性で全面核戦争を起こすわけには行かない」って言う、至極真っ当な判断で全てのPSI研究は闇に葬られていったんですよ。
7. 匿名処理班
何故か懐かしさを感じる話題だ…何でだろうと思ったらアレだ
凄いムーっぽい
8. 匿名処理班
>>2
明治政府が科学的に証明できない物事を過剰に排除したせいだと思ってる
西洋の考え方を勘違いして取り入れる、明治政府のいつものパターンよ
9. 匿名処理班
冷戦時代のソビエトか…ムー民いそうだな🗿
10. 匿名処理班
フッフッフ諸君、この研究がすでに終わったという説を信じていただけるのかね
11. 匿名処理班
>>7
こんなところにムー民がっ!
12. 匿名処理班
レーガン大統領はナンシー夫人の占星術で対抗して冷戦に勝利したのか!!
13. 匿名処理班
ブラックマジック ウーマン♪
14. 匿名処理班
ソ連が超能力研究やってなかったらマブラヴ生まれなかったかもなぁ
マブラヴが無かったら進撃の巨人も存在し得なかったはず
二次関係に絞って考えただけでも影響力やべーな
15. 匿名処理班
>>3
月刊ムー
16. 匿名処理班
恐らく 原案?は ドイツ敗戦後に押収したナチスの関係書類やデータ
ヒトラーが 随分とオカルト系に熱心だったと聞いたし
17. 匿名処理班
ねぇムー民、こっちむいて♪
18. 匿名処理班
浦沢直樹のMONSTERの人格形成実験を思い出した
19. 匿名処理班
※8
科学、学問の立場に立つならやってなきゃおかしいんだよな
20. 匿名処理班
今も研究が続いている可能性はないの?
21. 匿名処理班
神を信じない共産主義者がなんで黒魔術を信じたんだ?
単なる予算獲得の手段としか思えない。
22. 匿名処理班
日本も二次大戦で色々やったという話があるが何処まで本当なんだろう。
23. 匿名処理班
度重なる暗殺の危機を潜り抜けるちょび髭総統の強運の秘密は何なのか?とか
単なるオカルト趣味では片付けられない国家的な要求で科学アカデミーで解き明かしたかった
そういうのも当時は背景にはあったようです
24. 匿名処理班
※21
世界に轟いた科学的発見・熱力学の第一法則は、当初非科学的と思われたアインシュタインの主張が認められるとともに科学の世界からは追放され、結果として広島と長崎が消し飛んだ
しかしながら当のエンリコ・フェルミを始めとした一部の科学者は敢えて熱力学の第一法則を前提とした研究を行い、結果、ニュートリノが発見され現代の科学の世界でも最先端に存在し続けている
科学と非科学の間にあるのはほんの一枚の薄皮に過ぎないし、その薄皮は幾度かの実験で簡単に剥がれてしまうものでしか無い
とくにあの時代は常識が日常的に否定される科学の発展の時代だったからね。成功の陰に当然ある失敗の実験を見て後世から否定するのは無意味だよ
25. 匿名処理班
※17
あちゃ向いて ホイ!
26. 匿名処理班
カルロス・三棚
27. 匿名処理班
※23
キューバのカストロ議長も同じだ
何百回も実行されたアメリカの暗殺計画をことごとく回避している
ソ連のエージェントがついてたかもしれないが、それだけじゃ説明がつかないほどの回避能力なんで
「第六感があったのではないか?」と言う人もいる
28. 匿名処理班
※6
でも諜報は多くの情報を集めて照らし合わせるのがセオリーだから
8割の精度があればその手段の一つとしては十分そうだよなぁ
超能力は個人の才能頼みで組織的な運用継続が不安定とか
サイバー・電子戦の時代になっちゃってそっちに予算とられたなら分かる
29. 匿名処理班
陰の支配者「大衆には、オカルトなんてものは無いと思わせておくのが一番だ。」
30. 匿名処理班
>>2
日本にもあるよー
31. 匿名処理班
>>6
そ!8割の成功率。
これは良くて、だから。訓練した人のね。
自然界には様々な揺らぎがありまして…
32. 匿名処理班
もぉムー民はこの手の話にすぐ食いついちゃうんだから…
つまらないこと言うけどさ
カストロの暗殺回避は第六感やオカルトじゃなくて、ソ連のバックアップもあったし東側のスパイを使えた&アメリカが一枚岩じゃなかった(暗殺派はもいたけど一派にすぎない)だから情報が漏れる下地は十分にあったのよ。同じ組織に属しても別派閥の足ひっぱりたがるやつはいるからね…
それと、正答率8割は予算もらうためのごにょごにょだと思われる…
有用なデータだけを意図的に集めて効果をアピールする手法は今でもよくあるし
それ以上正答率あげると、本番で失敗した時の言い訳ができないから