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雪上の「SOS」氷点下のアラスカで小屋を焼失した男性、23日間後に救助される(アメリカ)

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(著) (編集)

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 普段からどれほどアウトドア生活に慣れていても、万が一の事故や遭難は防ぎようがない。自然は万人にやさしく、万人に厳しいのである。

 今月、アメリカのアラスカ州にある氷点下の荒野で、小屋を焼失した男性が23日後に、奇跡的に救助された。雪上には「SOS」の文字が描かれていた。

 男性は、その後のメディアの取材で、23日間を激寒の雪山で生き延びた彼の壮絶なサバイバルライフを明かした。

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image credit:Alaska State Troopers (Official) SURVIVOR/Facebook

去年9月からアラスカの荒野で山小屋暮らしをしていた男性

 タイソン・スティールさん(30歳)は、アラスカ州スシトナ渓谷にある山小屋をベトナム戦争の退役軍人から購入し、2019年9月からチョコレート色のラブラドール“フィル”(6歳)とそこで暮らしていた。

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 山小屋は、アンカレッジの北西、スクウェントナという小さな町からおよそ32kmも離れた荒野の中で、外気温が氷点下26度という厳しい寒さと深い雪に覆われていた。

 その山小屋が火事になった。

 スティールさんによると、はっきりとした日付は定かではないが、火事は恐らく12月17日か18日に起こったということだ。

 その日、スティールさんは山小屋の中にある薪ストーブで、大きな段ボール紙を燃やしていたが、大きく燃え上がった火の粉が防止シートと厚板で建てられた小屋の屋根に飛び移り、激しい火災となった。

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LAWJR/pixabay

山小屋は全焼、愛犬を失う

 朝早く、屋根からプラスチックの燃えかすが雫のように落ちてきて、うたた寝していたスティールさんを目覚めさせた。

 この時には、ほぼ小屋全体に炎が回っており、スティールさんは身に着けていたズボン下とジャンパー、ブーツのみを着て外へ避難した。

 小屋が完全に燃え、煙が小屋の中に充満していたが、スティールさんは毛布とライフルを取りに再び小屋の中へ戻った。

 この時、愛犬フィルの姿が見えなかったので、スティールさんはてっきり逃げ出したと思っていた。しかし外に出た時、燃え盛る小屋の中からフィルの鳴き声を聞いたスティールさんは、フィルが小屋に閉じこめられたままになっていることを知った。

 火を消そうと必死になって雪を山小屋にかけ続けたが、火は中にあった数百発の弾薬とプロパンタンクに燃え移り、まるで戦争地帯のように燃えていたそうだ。

 結局、フィルを救い出すことができなかったスティールさん。小屋だけでなく、大切な愛犬まで失ってしまった。後に、彼はこの時の心境を、

この悲しみをどのように表現したらいいのかわからない。自分をひたすら責め続けた。悔やんでも悔やみきれず、ただヒステリックになって悲鳴をあげた。肺が引き裂かれたように感じた。

と語っている。

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southerndaydreamer/pixabay

生き延びるため、第2の小屋を造る

 スティールさんは、山小屋が全焼した最初の2日間は、雪の洞窟の中で夜を過ごした。外と比べて洞窟の中は意外に暖かく、スティールさんはこんこんと眠ったという。

 その後、小屋の残骸となった防水シートをかき集め、木材をスクラップし、小屋を暖めていた薪ストーブの周りにテントのようなドーム型の小屋を造った。

 ストーブに火をつけて、燃えた小屋から持ち出した少ない缶詰を温めて食べ、毎日を凌いだ。

 そして17日過ごした夜、特に寒さが厳しくなり、外に出たくなかったスティールさんがバケツの中に用を足すと、数分で尿が凍ったという。当時の外気温は氷点下26度。極寒の地で、スティールさんはわずかな衣類で暖を取り、寒さと戦い続けた。

燃えた山小屋の灰でSOSを雪に描き助けを求める

 スティールさんは、スノーマシーンを持っておらず、火災によりスノーブーツを失い、携帯電話も壊れてしまった。彼は燃えた山小屋の灰を使って、雪の上に目立つように「SOS」サインを描いた。

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image credit:Alaska State Troopers (Official) SURVIVOR/Facebook

 ユタ州に住む家族は、スティールさんと連絡が取れなくなったことを心配し、アラスカ州立警察に通報、捜索が開始された。

 1月9日にアラスカ州立警察の救助ヘリが雪上のSOSを発見。スティールさんを救助した。この時既に山小屋の火災から23日が経過していた。

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image credit:Alaska State Troopers (Official) SURVIVOR/Facebook

 同警察のケン・マーシュ警官は、23日ぶりに救助されたスティールさんの姿を見て、後に次のように述べている。

肩まで伸びたボサボサの髪は首にかかって、ドレッドヘアのようになっていました。乱れた赤褐色のあご髭も胸のあたりまで伸びており、その姿は、映画『キャスト・アウェイ』のトム・ハンクスの姿を連想させました。

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image credit: youtube

「YouTubeからアウトドアスキルを学んだ」

 奇跡のサバイバーとして救助されたスティールさんは、温かいシャワーを浴びた後、「もし助かったら絶対これを食べたかった」と自らリクエストしたマクドナルドのバーガーセットを買ってきてもらい、それを食べてようやく落ち着いたようだ。

 多くのメディアでスティールさんのサバイバルニュースが報じられ、取材を受けたスティールさんは、このように語っている。

生き延びるためになんとか缶詰を燃えた山小屋からかき集めましたが、熱でほとんどの缶は開いていて、食べたらプラスチックが燃えたような味がしました。

使い慣れていた薪ストーブに大きな段ボール紙を放り込むなどという、すべきではないミスをしてしまいました。第2のテントでは、樹皮とろうそくを使って薪ストーブを燃やし続けました。

私は、きちんとした訓練など受けていません。ただ、いつも好きでアウトドア生活をしていただけで、スキルの多くはYouTubeをたくさん見て学びました。

 寒さが厳しいアラスカの荒野で20日以上も生き延びたことは、地元の警察をも驚かせる事態だったようだ。

 しかし、火災となり愛犬を失うという辛い出来事を経験したスティールさんは、今後ユタ州ソルトレイクに住む両親の家で暮らす予定だと明かした。

両親は犬を飼っているので、私の癒しになってくれることでしょう。

 なお、スティールさんの救助の様子を捉えた動画がシェアされているFacebookには、愛犬を失ったスティールさんへの励ましの声が、多くのユーザーらから寄せられている。

References:Sunny Skyzなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 37件

コメントを書く

  1. 「スキルの多くはYouTubeをたくさん見て学びました。」

    ハンパねぇ..!相当なタフガイでもあるんだろうな。

    • +13
  2. > 肩まで伸びたボサボサの髪は首にかかって、ドレッドヘアのようになっていました。

    それはサバイバルの結果としてなったワケではないのでは…
    だって23日間だよ?

    • +10
    1. ※2 ※13 ちゃんと読めば理解できる。男は2019年9月からこの山小屋で暮らし始めたからそれからずっとカットしてないってことだろ。

      23日で伸びたなんてどこにも書いてないんだけど、最近はYoutubeばっかりで活字読まなくなって、文脈読み取るのを苦手とする人が増えているって聞いたけど、コメ欄みてるとさもありなんだな。

      • -1
      1. >>18
        普通の顎髭は3か月で胸まで伸びない。偉そうに御講釈垂れてるがミスリードの域にさえ達してないのは君だぜ。

        • -4
      2. >>18
        あなたこそ、推理小説か何かの読み過ぎで「疑り深く」読む癖が付いてるのでは?
        文脈を「素直に」読み取れば、23日放置された結果そうなった、というニュアンスになる文章でしょうよ。

        「初見では◯◯だと思ったけど、よーく読み返してみると◯◯とは書いてないぞ!」なんて体験を読者にさせるのは、ミステリーの叙述トリックなら悪かないが、ニュースなら一種の悪文だよ。

        そのような限定的な読解能力を活字離れと結びつけるのは間違ってると思う。

        • +7
      3. ※18
        「ボサボサ~になったのは23日間サバイバルしたから」とも読める記事だから疑問に思っただけだろ。揚げ足取りにも程がある。
        あと知らない人にむやみに噛みついちゃいけないぜ。人間じゃなかったら保健所に連れてかれてるところだ。

        • +7
      4. ※18
        だってタイトルが23日後に救助だし、記事の流れ的には火災と生き延びたことによる風貌の描写が来ると思いきや、山小屋暮らしを始めたことによる風貌の話になったから違和感がある人も当然いると思う

        なぜそういうことまで考えずに18のようなことを言えるのかがわからん

        • +1
  3. 犬の方に関心が集中しそうだけど自分は生き残ったら最初に食いたかったのがマックだってのが気になった
    ボクシングの井上尚弥も一番うまい食べ物は試合後に一回だけ自分に許してるカップヌードルだって話してたし、似たような話良く聞くよな~と
    ジャンクフードが脳に刻んでる快楽ってやっぱ強烈なんだなと

    • +18
    1. ※3
      この場合は、ジャンクフード云々より、日常生活に戻ったと自分に一発で理解させる食べ物だったんじゃないかと想像する。

      • +29
      1. >>15なるほどなあ、ホッと出来る食べ物って身近なものだしな

        追い込まれていざ危機から脱出して食べたいものってステーキやワイン!とか妻の作ったビーフシチュー!とかよりおにぎりとかビール飲みたいとか何か簡素なものになる気がするわ

        自分はおにぎりと豚汁かな…塩むすびを豚汁で流し込んだらきっと最高だわ

        • +6
  4. たー、すー、けー、てー、くー、れー ! !

    • -11
  5. 火事の中に愛犬が取り残されて自分ではもうどうすることもできない状況を想像すると胸が張り裂けそうになる

    • +65
  6. 一人でやってりゃよく生き残ったねで済んだんだがな
    そんな無茶な生活にラブラドール付き合わせるなよな

    • +13
    1. ※10
      アラスカの田舎で暮らすなら犬は必須じゃろ。熊やら狼やら。

      • +14
  7. 極寒の地に軽装で、と言うと全然違う状況だけど『ウインド・リバー』と言う映画を思い出す。
    中々厳しい内容の映画ですが、良い作品なので興味がある人はぜひ。

    ところで火事だけでもショック大きいだろうに目の前で愛犬亡くすのは本当に辛かったろうな、自分のミスが原因ともなれば、なおさら。
    それでもなお生きようと思って23日も耐えたのはすごい精神力。
    youtubeで知識を得たとのことだけど、自分も漫然と見てないでちょっと真面目に見ておこうか、という気になった。

    • +12
  8. たった23日で髪がボサボサの肩までかかって~とか意味不

    • -6
    1. >>13
      苦髪楽爪、っつーくらいで結構なストレス環境だと髪はやたら伸びるらしいし、整えなきゃ実際よりも荒廃した印象を与えるし、寒さとかで身を縮こめていれば猫背になって肩に着くんじゃね?

      • +3
      1. >>17
        苦髪楽爪は、ストレスで髪が伸びやすくなると言うお話ではなく
        貧乏で働きづめだと髪を切る暇もなくて伸びっぱなしになるが、爪は労働で割れてしまうからこまめに切る。
        逆に裕福で楽に生きられる人は髪を切りに行けるし爪が割れるような労働をしないから爪は長くなる。という意味ですよ

        • +4
  9. 愛犬は本当に可哀想な事をしたな・・・
    とにかく生還出来て良かった。

    • +16
  10. ボサボサに突っかかってる人がいるけど、23日の間髪を洗えなかったらどうなるかくらい想像つくでしょ

    • +8
  11. りあるthelongdarkだな。あっちはカナダで飛行機事故だけど

    • +1
  12. こういう事があるから人里離れた場所は怖い

    • +8
  13. 自然の中で生活したくなる気持ちもわからなくはないけど

    • +8
  14. おおきい段ボールを薪ストーブで燃やしたものが屋根に燃えうつってるのに 気づかないで寝てた、という状況が最初理解できなくて。

    想像してみたら
    段ボールのまだ火がついてる燃えカスが煙突つたって 外に出、それが屋根をもやしたのね。だからプラスチックがとけてくるまで気づかなかったんだ。やっと合点がいった。
    キャンプでも調子のって薪もやしまくると火の粉でテント穴だらけになるもんね。それの大きい版か。

    • +15
    1. ※25
      なるほど外側からってのもありうるのですね
      ABCのニュース動画に消失前の様子があるのですが
      ビニールハウスの中に小屋があるような造りなんですよね

      Man rescued after three weeks in Alaska wilderness l ABC News
      (ABC News,Youtube,watch?v=h-LOBKtpDNA)

      キャビンと呼ぶのもどうかと感じてしまうこれを
      ベトナム退役軍人が所有していたんですね…
      戦争後遺症などよく語られることではありますが
      やはり社会を避けて森や山に隠れてしまうのかな
      隠棲の地か定期的に隠れに来たのかなと考えると悲しい気持ち

      • +3
  15. 屋根の煙突周りの処理が甘かったのだろう。
    煙突の周りだけ雪が解け、熱で厚板が乾燥(又は炭化)→煙突から火の粉が落ちて着火(もしくは火力を上げ過ぎて高温になった煙突の熱で着火) って感じか

    • +2
  16. 想像を絶する苦難を生き延びた彼に、まずは称賛を贈りたい。
    だが、いくつか気になる点もある。

    とりあえず、こんな環境での一人暮らしにもかかわらず、スノーマシーンを持ってなかったのは何故なんだろう?
    外部との連絡手段も、携帯電話のみだったようだし…
    まだ30歳、仕事とかどうしてたんだろう…?

    • +3
  17. ワンコ焼死したの?
    記事読まなきゃ良かった…

    • +9
  18. 先月借りて観たザ・マウンテン思い出したわ

    • 評価
  19. 雪の中は0度以下に下がりにくいので万が一遭難したら真っ先にかまくらをつくるように

    • +4

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