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なぜ、人は呪いを信じるのか?

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(著) (編集)

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zms/iStock
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 昔から世界中どこの国にも呪いによりもたらされたと噂されている現象は数多く存在する。

 それは科学技術が発達した今も同様で、人は、抗うことのできない不可解な現象を目の当たりにすると、そこに抗うことのできない不可解な超常力が働いているのではと信じる傾向がある。

 こうした呪いとは、いったいなんなのだろうか? 

海外で噂されている呪いの例

 イギリスのテレビダンスコンテスト「ストリクトリー・カム・ダンシング」は、有名人がプロのダンサーとペアを組んで、社交ダンスを競うTV番組だが、これに出演したセレブは必ずと言っていいほど、離婚、破局、スキャンダルに巻き込まれると言われている。

 この「ストリクトリーの呪い」は、必ずしもショーのタイトなスケジュールや、長い練習時間、親密なダンスが原因だとは限らないようだ。

 フランスで毎年開催されるツール・ド・フランスには、優勝した選手が必ずといっていいほどアクシデントにみまわれるという「ツール・ド・フランスの呪い」があるそうだ。

 その他にも、「ジェームズ・ディーンの車の呪い」はよく知られているし、ジェームズ・ボンドの次回作もまた、最新の”呪い”として噂されている。

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Jonny Lindner from Pixabay

科学的観点から見る「呪い」を信じる心理現象

 科学的な観点からみると、呪いは理性的に説明できる。どうして人々が悪い出来事を超常現象、超自然の力のせいにするのか、はっきりさせてくれる。

 例えば、呪いを信じる行為は、思考スタイルから起こることがある。心理学者のダニエル・カーネマンによると、意思決定をするときには、明確なふたつの方法があるという。

 ひとつは、ほとんど無意識のうちにとっさに心を決めるやり方。この方法は、直感的で、偏りがあり、機能的にはエラーを起こしやすい。

 もうひとつは、落ち着いてゆっくりと理性的に考えを進める方法だが、呪いを信じる人たちは、無意識や主観的、直感的な思考の仕方が優位を占めているのではと言われている。

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Amber Avalona from Pixabay

 他にも、呪いを信じるのは、カオスの原因となるわけのわからない世界を理解したいという願望から起こる可能性もあるという。

 なぜ、雲がなにかの形に見えたり、トーストのこんがり具合にキリストの顔を見たりするのだろう?

 わたしたちは、無作為な情報の中から、規則性や関連性を見出す、アポフェニアや、意味のある信号を含まないノイズから有意味なパターンを見出してしまうパターニシティと呼ばれる現象に陥りやすい傾向がある。

 呪いの場合、なんでも物事に規則性や関連性を見い出したいと願う私たちの傾向が、さまざまな出来事の原因を、偶然や人的エラーではなく、災難や不運と結びつけてしまうようだ。

人はバーナム効果の影響を受けやすい

 また、人はバーナム効果の影響を受けやすい。これは、ごく一般的な情報なのに、それがさも自分に当てはまっていると思い込んでしまう心理現象のことだ。

 呪いの場合、ちょっとした不運を特別な個人の重大なジンクスと結びつけるクセとして説明できるかもしれない。

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Andrew Martin from Pixabay

呪いを信じる人の心理的傾向

 そのほかの心理的傾向によっても、呪いを信じやすくなることがある。

 呪いを信じる人は、潜在的に悪運に結びつく動かぬ証拠を探したがり、それと矛盾した情報には見向きもしない傾向があるのかもしれない。

 こうした偏った確証傾向が、超自然の力のせいかもというただの推定を支える、いちおう筋は通っているが、論理的には一貫性のない話を生み出す。

 例えば、ツタンカーメンの呪いの場合がそうだ。この話は、ファラオの墓に分け入った者に呪いがふりかかるというものだが、ツタンカーメンの墓を発掘した時点では、考古学者たちにはなんの災難もふりかかっていない。

 しかし、マスコミが”ファラオの呪い”を報道したことによって、のちに起こった発掘チームメンバーの死や災難が呪いと結びつくことになってしまった。同じように、『ポルターガイスト』や『オーメン』といった映画も、時間がたつにつれて呪われているという評判がたつようになった。

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yuriz/iStock

 呪いの力が人々に与える影響は、正確なことを信じたいという気持ちから発生する。これは、その出来事に関して、人間の力ではどうしようもないと感じる、外的支配力から生じる場合が多い。

 自分の知覚ではどうにもお手上げとなると、人はますます謎めいた外部の力を受け入れるようになる。心理学者はこれを呪術的思考と呼んでいる。

 呪いを信じるのは、さらに特定の人格特性とも関係している。とくに、その人が曖昧さや神経症的なことにどれだけ耐えられるかという点だ。

 曖昧で不確かなものに対する耐性は、その人が不安に対処できるかを示す。曖昧なことに耐えられない人は、閉鎖的になる傾向がある。

 それは、その証拠を疑いの目をもって考えず、すぐに結論に飛びつく失敗として現われる。こうした要素は、本質をでたらめに、早合点してしまうことにつながる。一方、神経症は呪いに対して心配や不安をつのらせ、常に頭から離れない状態にしてしまう。

 極端なケースでは、呪いを信じ込むと自分に自信がなくなり、将来の成功も危うくなる。心理学者は、これを自己達成的予言と呼んでいる。

 こうなると、不幸を避けられないという認識が生まれ、災難をほのめかされると、否定的な結果を招く。これをノセボ効果という。まったく無害な薬を服用しても健康を害してしまう現象だ。

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VeraPetruk/iStock

呪いを信じる社会的要素

 呪いの影響は、その文化的背景から発生することもある。とくに、教育や社会の中で出回っている話を通して、呪いの概念は長い時間をかけて不動のものになっていく。結果的に、文化として社会に受け入れられ、もっともだと思われるようになる。

 例えば、「邪眼」は世界中で知られている。もともとは、悪意を持って睨みつけることで相手に呪いをかける魔力だが、最近では、大成功した人がまわりから羨望と嫉妬を集めると、その羨望と嫉妬の眼差しでその人の幸運が帳消しになってしまうという呪いになっている。

 社会的には、マスコミ報道が呪いという概念を生み出すことがある。近年の例では、Momoチャレンジがある。

それでも呪いの力は信じられていく

 呪いの科学的な根拠はなにもないが、それでも呪いが人々に与える心理的影響は相変わらず大きいのだ。

 呪いを信じることは、意思決定の能力を弱め、幸せや自信を感じられなくしてしまう。極端な場合は、自分の頭で考えられなくなったり、異様な考えに憑りつかれたり、奇妙な行動に出てしまう場合がある。

 これだけの否定的な証拠があるにも関わらずそれでも呪いは信じ続けられている。それこそが「呪い」そのものではないだろうか。

References:Why do people believe in curses?/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 37件

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  1. ネットやSNSで自分は影響力を持っていると勘違いしがちな現代人と大差ないのではないでしょうか?

    • +4
  2. 自分自身というのは一番の敵であり一番の味方でもある。
    どちらにも偏らない冷静さこそが重要。

    • +5
  3. こっちが呪い返しの術をしてるのを知らないで
    自分の念力に過信して呪いを掛けて掛けて掛けてした結果
    パンチングボールみたいな顔になった奴をしっている。
    (自分の呪いが自分を襲ってたのに気付けなかった模様)

    • -11
  4. 人対人の呪いもさる事ながら
    なんでもない仕事なのに、付く担当がことごとく失敗したり怪我したり離婚したりとか呪われてるとしか思えない案件もあったりする
    もちろん誰もやりたがらない

    • +6
  5. 人間には観測できないパワーがあるんだよ

    • +4
  6. 前もって分からずにいきなり現れると普通に怖い

    • 評価
  7. 昔は科学もないし呪詛とかも『普通に存在するもの』として扱われていたからこそ大きな効果を発揮できたんだよ
    プラシーボ効果はメカニズムもわかっていて現代でも使われているけど
    同じように信じる人へ呪いを掛けたら当然のように呪われるだろうね

    • +5
  8. そんなこと言われてもね。
    ヤバいって言われてるのに「気のせい」。
    痛い目にあっても「たまたま」って、何の救いにもならないからね。

    そりゃ御守りの一つも持ちたくなるってもんですよ。
    理論武装ならぬ精神武装だと思えば心強いじゃん。

    • 評価
  9. 所謂「認知バイアス」が呪いでしょ。
    ・稀によくある
    ・1足りない
    ・現場猫(ハインリッヒの法則)

    • +6
  10. オカルトやスピリチュアルな事を信じないって言う人も
    お守りをゴミ箱に🗑捨てたり
    お墓や祠にゴミ捨てたり落書きなんかはしないだろうな

    • 評価
    1. ※16
      後者は普通に犯罪じゃん
      オカルト関係ない

      • 評価
      1. >>34
        犯罪に該当する以前に
        罰当たりそうで出来ないって事だよ

        • 評価
    2. ※16 信じないということと 敬意を持たないということは別物だ

      • +3
  11. 呪いそのものが何かを起こす、というよりは、「呪いをかけたい」とか「呪いがある」と念じる心の動きが、人をマイナスの方向にひっぱって行くのではないかと、前からなんとなく思ってる。で、「人を呪わば穴二つ」って本当。これは何度も実見してる。

    • +8
  12. クッ!右目が疼くっ!
    暗黒破壊神の封印が弱まっているっ!

    • +1
    1. >>19
      破ぁっ‼

      寺生まれの俺には、霊も暗黒神も同じこと。

      • +3
  13. ももの天然水CMのジンクスを知った直後に某モデルが不幸な目に遭ったときは正直信じたけどあれも偶然。呪いなんてない。
    でももし自分にオファーが来たとしても断る。怖い

    • 評価
  14. これの逆もあるよ
    前に人から聞いたんだけれど、山道なんかにある道祖神やお地蔵さまは拝んでおいたら例えその後事故にあって怪我をしたりしても
    「あの時拝んでおいたからこのくらいで済んだ」
    って思えるからなるべくご挨拶しておいた方がいいんだって

    • +14
    1. >>22
      真の悪人か、もしくは真の善人相手に、呪いは効かない気がする。

      • +2
  15. >ひとつは、ほとんど無意識のうちにとっさに心を決めるやり方。この方法は、直感的で、偏りがあり、機能的にはエラーを起こしやすい。もうひとつは、落ち着いてゆっくりと理性的に考えを進める方法だが、呪いを信じる人たちは、無意識や主観的、直感的な思考の仕方が優位を占めているのではと言われている。

    でもこういう右脳で生きてる人を社会的に持ち上げてるよね。インスピレーションがどうとかいって

    • +1
  16. 基本、「呪い」というのは人の無意識下に刷り込む暗示のこと
    だから無意識に定着しなければ発動しないし、逆に定着しちゃうといくら意識で認識したとしてもそれだけでは祓うことはできない
    そして人の無意識には主語の概念がなく、ある述語に対して自分と他人を区別できないという性質がある
    つまり他人を呪った時、無意識はその呪いの対象に呪っている自分自身をも含めてしまうらしい
    本物の呪術師は自爆を回避する方法を熟知している(そしてそのあたりの知識は門外不出の企業秘密だそうで。)が、そうではない素人が下手に呪いをかけるとたいてい自分自身にその呪い振りかかる結果になるんだと
    僕は専門家じゃないから具体的な回避方法についてはよく知らないんだけどね

    • +3
  17. 安倍晴明「あそこに花が咲いているであろう。あれに人が”藤”と名を付けて、みながそう呼ぶようになる。すると、それは”藤の花”になるのだ。それが最も身近な”呪 ”だ」

    • +4
    1. >>28
      やはり安倍晴明ものは、夢枕貘さんのが、いちばん趣きがありますな。

      • +2
  18. 呪われてても、動く人は動く。ポジティブに生きよう!

    • 評価
  19. 記事に出てくるような◯◯の呪いみたいな知られていることが前提の呪いならば心理的な要因や無意識化のなんたらもわかる話ではあるけども・・・。
    例えば丑の刻参りであるとか、密教系の呪詛なんかであるとか、対象者がそもそも自分が呪われていることを知らない場合はこの記事の言うような前提が崩れるわけだけど、何故かこの手の記事(研究)はその部分には触れないんだよなあ。そうなると単なるチェリーピッキングになってくるのであまり意味を成さない研究になってしまうんだが。

    • +3
    1. ※30
      同じ原理だよ
      相手に起こる不幸は偶然に過ぎないんだが(人生必ず浮き沈みがあるもので、一生なにかの不幸に見舞われない人間などというのは存在しない)、事前に呪術的儀式をしたことによって「呪いの儀式をしたから相手に不幸が起きたに違いない」と合理化してる

      呪いをかけられたと信じる側か、かけたいと望む側かの違いがあるだけで、
      どちらもカオスに規則性を見出したい人間の願望のなせる技

      • +1
  20. 意識の力は、現実に影響を及ぼせると思うんだよ。ポジティブな祈りも、ネガティブな呪いも、意識の波動が調和的であるとか粗雑であるとか、人はその見えない波動を絶えず感じていると思うんだよ。社会に愛などの調和的な波動が多ければ人々は精神的に安定するだろうし、破壊的な波動が多ければ苛立ってくるだろうし、密教の呪法のような自然現象や社会に影響を及ぼす念の力ってあると思う。心の科学は奥深いと思う、禅とか神秘主義の知恵を取り入れて、総合的な心の科学を作っていけばいいと思う。

    • 評価
  21. カッパみたいな画像何回見てもギョッとするから
    控えて欲しい

    • 評価
  22. ハッキリ言って ストレス解消。でも、悪い奴はその内酷い目にあって、呪いが効いたと勘違いするんだよ。

    • 評価
  23. 俺を振った女の胃に穴を開けてやったことならある
    心にぽっかり穴を開けてくれたお返しに

    人を呪うための準備や方法を紹介してるサイトは多数存在してるけど、その方法が必ずしも正しいというわけじゃない。その準備に没頭する気力が何よりの材料になるってだけのこと。出来れば呪いを信じてない奴に使ってやるのが有効的。偶然の一言で処理してくれるから。

    • -2

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