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高齢者や障碍者のために無料で配管修理をする男性。世界中から善意の寄付が集まる(イギリス)

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(著) (編集)

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 イギリスでは、高齢者や弱い立場の顧客を狙って破格の修理代を請求し、肝心の修理はというといい加減にするという悪質な配管工のニュースがたびたび取り上げられ、問題となっている。

 しかし、ランカシャー州に住むひとりの配管工は違った。

 彼は、そうした悪質な配管工に騙された高齢者を間近で見て心を痛め、自ら非営利の修理会社を設立。高齢者や障碍を抱える人のために配管やボイラー修理を無料で請け負っている。

 彼の存在は、冬を迎えるにあたり、修理費の捻出に苦しむ人々にとっては非常にありがたく、無料修理を提供してもらったある女性の家族がそのことをソーシャルメディアでシェアすると、多くの人から彼に寄付金が送られた。

Hero Brit plumber refuses to take payment from sick and elderly customers

無料修理に感動した依頼人家族がSNSでシェア 

 ランカシャー州バーンリーに住む配管工ジェイムズ・アンダーソンさん(52歳)は、91歳女性宅のボイラー修理を女性の娘から依頼され、請け負った。

 その時、高齢女性が白血病を患っていることを聞いたジェイムズさんは、ボイラーの減圧と2か所の漏れを止めるため、1日2度その女性宅を訪問し、9月12日に取り寄せてしていた部品を取り付けた。

 普通であれば、出張費を含むこの修理代は480ポンド(約67000円)かかる。しかしジェイムズさんは、依頼人家族に渡す請求書に「0」と打ち込み、次のように記した。

依頼者は、白血病で終末期医療ケア中の91歳女性。

どのような状況でも修理代は一切請求しません。女性が(修理されたボイラーで)快適に過ごせるよう、24時間できる限りの対応をします。

 9月16日、ツイッターアカウント名Amy-Leigh Cookさんは、この請求書をツイッターでシェアし、ジェイムズさんの信じられないほど寛大な対応を称賛した。

非営利企業「Depher」を立ち上げ、無料修理に奔走

 過去にジェイムズさんは、高齢の男性が悪質な配管工に高額な修理費を請求されたことを知ったのをきっかけに、2017年に非営利の修理会社「Depher」を立ち上げた。

 クラウドファンディングと寄付を使って企業資金を集め、ランカシャー州全域でボイラーや配管修理の高額な支払いに苦しむ高齢者や障碍者たちを対象に、大抵は無料もしくは低価格でサービスを提供し、懸命に働いてきた。

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 ジェイムズさんは、一酸化炭素漏れや故障したボイラー修理、配管修理などあらゆる状況に対応する。しかし、コストがかかる仕事ゆえ自ら抱える負債額は8000ポンド(約110万円)にものぼっている。

 そのため余裕がなく、雇っていた2人の若者を解雇せざるを得なくなり、その後はジェイムズさん1人で仕事に出て、事務処理、広告対応をこなしてきた。

 ジェイムズさんは、幼い子供を含む5人の子供の父親だ。儲けにならない仕事に奔走する夫が原因でしばしば家計が圧迫することもあるため、妻は時に不満を感じることもあるようだが、同時に自分の仕事を十分理解してくれているとジェイムズさんは話す。

なぜ、そんな借金を抱えてまで非営利企業を運営するのかと、周りの人はよく言います。

でも自分には、他人が幸せで安全に暮らせるのなら、自分が借金を背負った方がマシという思いがあるのです。それは常に私の心にある生き方なのです。

ネット上で拡散した請求書については、病気の高齢者を抱えた依頼人一家に今以上のストレスと負担を与えたくないと思い、無料で請け負った仕事でした。

配管工の親切行為が拡散し、多くの寄付金が集まる

 ジェイムズさんは、この2年間2000件以上の依頼を同様にこなしており、91歳女性のケースは1例に過ぎない。

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 しかしツイッターで請求書をシェアされたことがきっかけとなり、ジェイムズさんの寛大な行為は拡散。世界中の多くの人から、「Depher」を通してジェイムズさんへ寄付金が送られた。その額は、なんと8万ポンド(約1120万円)にものぼったという。

 この事態に感激の涙を流すジェイムズさんは、メディア取材で次のように語った。

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ロンドンに住むある女性は、電話で私の借金を支払うために個人口座に2000ポンド(約28万円)を振り込むとオファーしてくれました。また別の男性からも、1000ポンド(約14万円)の寄付がありました。

私は今、どれほど周りの人々が親切で素晴らしいかを実感しています。

寄付金は、これまでの借金の返済にあてることができますし、Depherが提供する支援の幅を広げる資金としても役立ちます。

今では、アメリカやフランス、オーストラリアなど世界中の人々から「どのように非営利の配管修理業を運営しているのか」という質問が多々寄せられるようになりました。

もし世界各地で、配管ビジネスが非営利で運営されるようになれば、様々な国で高齢者や障碍者たちがより一層社会の恩恵を受けることができるようになります。

私は、この国の高齢者や障碍者がこれから迎える厳しい冬に、ボイラーや配管修理の費用がないばかりに体調を崩したり、命を縮めたりしてほしくありません。そういうことは起こってはならないし、誰も苦しむべきではないのです。

 今後、更なる支援のために、ランカシャー州だけでなく全域でこの事業を広げたいと望んでいるジェイムズさん。

 多額の寄付金のおかげで、事業拡大という望みを持つことができた今、既に各地域の配管工と連絡を取っており、解雇した2人も再雇用できそうだと喜びを露わにしている。

 「特に親切なことをしているという思いはなく、自分が正しいと思うことをしているだけ」と語るジェイムズさんだが、他人のために尽くす寛大な人となりだからこそ、多くの人から称賛の声が寄せられているのだろう。

References:The Sunなど / written by Scarlet / edited by parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. 十数年後には叙勲されて「Sirジェイムズ・アンダーソン」に、
    数十年後には聖人に列せられて「Stジェイムズ・アンダーソン」になるのかもね。

    • +19
  2. ぼったくりの配管工に嫌がらせされるのは確実
    負けずに頑張って欲しいやね

    • +18
  3. 配管工を主人公に据え置くゲーム作ってる会社からの支援の申出はまだかな
    企業イメージアップの絶好のチャンスだよ

    • +14
  4. 私はガレージのシャッターの修理ができます。
    手動タイプの上げ下げが重い、
    電動タイプを動かすとキーキー鳴るという
    内容でお困りの関西エリアのカラパイア読者の
    高齢者、障碍者の方はどうぞお気軽に。
    金属の溶接と金属製品の修理補修もできます。
    クリンゴン人、アダマンチウム系ミュータント
    の方もどうぞお気軽に。マジで行きますよ。無料です。

    • +5
  5. お姫様助けたり、亀の魔王を倒したりもいいがやっぱり配管工は配管直して人助けしてこそだ

    • +7
  6. 寛大な行為というよりも、慈悲の行為だね。
    優しさが実践哲学になっているんだな。

    • +12
  7. とある科学者が言っていたとか。
    科学者に最もふさわしい職業は配管工、もう一度人生をやり直すなら配管工になりたい。

    地位や名声で腐敗することなく、スポンサーのために捏造したり自説に不利なデータを無視したりすることもなく、
    ただ目の前の管を正しく繋ぎ、正しいことを考えて、正しいことは何かを求め思考し行動し続ける存在。一見単純作業に見える純粋な労働時間にこそ、この世で最も良いアイディアが生まれる

    • +10
  8. 日本でもそうだけど、床下、内装系は、
    見えないだけあって悪質業者が少なくないからなぁ。
    頑張ってほしい。

    • +9
  9. 半端な気持ちではできないことだと思う
    借金負ってまでとなると、なんのために働いているのかわからなくなる時もあると思う
    寄付でとりあえず借金は清算して、いい仕事を続けて行けるようにしてほしい

    • +8
  10. >私は、この国の高齢者や障碍者がこれから迎える厳しい冬に、ボイラーや配管修理の費用がないばかりに体調を崩したり、命を縮めたりしてほしくありません。そういうことは起こってはならないし、誰も苦しむべきではないのです。

    ほんとに、泣いてしまった。泣いてる。神さまのような人。この心美しい方とご家族に、幸せが雨あられとふりそそぎますように!

    • +12
  11. 近年珍しい本物の善意を見た気分
    亡くなったら天使がリムジンで迎えに来そう

    • +5
    1. >>16
      >天使がリムジンで迎えに来そう
      この表現ツボったw
      ほんとそう思うしそうなるべき
      ただ、世の中悪いことや醜いものがあふれすぎてそちらばかり目につくけど、我々が知らない&伝わりにくいだけで、こういう善意や正義の人もたくさんいるんだと思う
      みんなちゃんと報われたらいいのにね

      主に欧米のこの手のニュース見るたび感心するんだけど、寄附(支援)する側も含めてフットワーク軽いし行動早いよね
      別にそれを引き合いに日本をディスるとかじゃないけど、いいと思ったことはそれぞれが自分のできることをとにかくやる!っていう文化が確立してるところは羨ましいし見習いたいな

      • +5
  12. こういうスケールの大きなことをやれる人でも、アンダーマイニング効果って起きちゃうのかな

    • 評価
  13. スキンヘッドで昔ヤンチャしてた感じの人だね~。日本だと元ヤンで人情あつい親方ってとこかね。

    • -7
  14. ジェイムズさんは心からの善意でやってたし、最高にイカス奴なんだろうけど、

    これ、寄付が発生した事でビジネスモデルとして成立しちゃったんだよな・・・
    そうなると、模倣するモデルが増えるかもしれないし、
    そもそも、過剰ダンピングによる市場の囲い込み問題(焼畑モデル)みたいな話になってくるのでは。
    (俺らにイメージしやすいのは「いらすとや」とか)

    いろいろ考え方はあると思うけど、こういうのはボランティアではなく公平性を加味した上で政治で対応していくべき事だと思うんだよな。
    まぁ、そういう考え方は日本人的なのかな?
    宗教観の違いとかもあるよなー。

    • +1
  15. ここまで利他的な人って本当に尊敬する。
    なかなかできないよ。

    • +7
  16. こうゆう本物の善人も世界にはいるからな・・・

    • +6
  17. 待ってくれ
    家族がいるのか
    子供がたくさんいて借金生活か
    それは幸せとは呼べないんじゃないか
    或いは逃避ではないのか
    真に幸せであることを望むが、現実はいつも期待を裏切る

    • 評価
  18. 年金暮らしの年寄りのために子供のいる世帯が苦労するのか…
    自分の好きな事をしたいなら家族なんか持たないで欲しいわ。
    俺みたいに苦学生で奨学金の返済で苦労してると好き勝手してる我儘親父にしか見えん。

    • -6
  19. 己の信念を貫く配管工はなぜこんな格好いいんだ

    • +1
  20. 自分の家庭を守った上で、できる限りで他人に善行するって発想にはならないの?
    なんかもやもやする・・・

    • +2
    1. >>29
      家庭を守るとは言うが
      金以上に大切なモノを子供に教えたんだから、十分に親としての責務を果たしていると言えるんじゃないか?

      確かに貧乏は辛いが
      それ以上に人として大切な事を知らないまま育つほうが不幸だよ

      • +1
  21. たまたま無料にした仕事の件がバズっただけでボランティアやってるわけじゃないのに。
    2人雇って2年で借金100万くらいですんでるならきっちり金取ってる。
    単に商売が下手なだけで。

    • -1
  22. 善意といえど無い袖は振れぬ。持続可能性を担保する仕組みが必要だ

    • 評価

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