
のちにフラニーと名付けられたこの犬は、極端に衰弱した状態で真冬の路上をさまよっていた。救助隊が駆けつけた時は死と隣り合わせにあった。
だが彼女は、献身的な救助や愛情のこもった治療で驚異的な回復を遂げた。
絶望的状態にあっても、生きる希望を持ち続けたフラニーは、多くの人手を差し伸べられて元の姿を取り戻し、ついには永遠の家族にも巡り合えたのだ。
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Frannie - Be a Voice - Val's Pals GSD and Large Paw Rescue
極度の衰弱状態で見つかったフラニー
2015年の12月、テキサス州ヒューストンのスラム街で行き場のない犬たちを探していたボランティアが衰弱しきったフラニーを見つけた。連絡を受けた犬の保護団体Val’s Palsの救助隊が捜索に出て、いろいろ探した末に藪の中で丸まっている彼女を発見した。
駆けつけたスタッフの一人エリック・ホリデーさんによると、当時のフラニーはすべてをあきらめていたようだった。
死が目前に迫っていた彼女は、見つかるのがあと一日遅ければ、厳しい夜の冷え込みで冷たくなっていたに違いなかった。
重態のフラニーはすぐに動物の救急病院に運ばれた。そこのスタッフもここまでひどい容態の犬を見たことがなかったという。
願いが通じた?奇跡的に生還したフラニー
フラニーの年齢は2〜3歳らしかったが、体重はわずか10キロしかなかった。その年齢で健康なジャーマンシェパードの平均体重はおよそ32キロ。彼女は20キロ以上も痩せていて、その命は風前の灯火だった。
食事も困難だった彼女は点滴で栄養を与えられた。集中治療を受けるであろう彼女の容態は、その治療すら持ちこたえられるかどうかわからなかった。
消え入りそうな彼女の命をどうにかつなぎとめたいと思ったVal’s Palsのスタッフたちは、火を灯したキャンドルに手に集まり、ひたすら祈り続けた。
すると、その願いが通じたのかフラニーは奇跡的に一命をとりとめ、案じていたスタッフたちは生還を心から喜んだ。
2人のやさしい里親の協力で徐々に快方へ
それから5日後、フラニーは医療処置が必要な保護動物を一時的に預かる里親、ジル・ウォッシュバーンさんの家に移されて治療を受け続けた。
彼女は4時間ごとに少量の食事を与えられ、数日ごとに獣医の採血を受けた。
そして6時間おきの食事がやっとできるようになった彼女は、長期医療を行う里親のエイミー・ボラムウィルソンさんの所へ。ここでも彼女は定期的な健康診断を受け続けた。
フラニーをずっと見守っていたホリデーさんは、このように語っている。
「私たちが動物の救助を続けられるのは、フラニーのような犬に愛情や思いやりをもって接する彼女たちのような里親がいるおかげですよ」
ジルさんとエイミーさんは、孤独だったフラニーをあふれんばかりの愛で看病した。心優しい2人はフラニーにとって生涯忘れられない恩人になったはずだ。
ついに永遠の家族に出会い、同じ犬種の仲間も!
そして翌年3月、フラニーはついに永遠の家族に迎えられた。その家族は彼女と相性ぴったりで動物の里親もやっているジャンさんとジャック・ロング夫妻だ。来たばかりのフラニーは新しい環境に警戒していたが、ロング夫妻は長らく路上生活をしていたフラニーが元気になるよう精一杯努力し続けた。
幸いなことにフラニーは少しづつ調子を取り戻していった。食べ物に強い関心をもち、一日中走ったり遊んだりして過ごすようになった。
その後、ロングさんは別のジャーマンシェパードをもう1匹迎えた。フラニーにとっては初めての兄弟分となる仲間だ。
生きることを諦めなかったフラニーのハッピーエンド
こうして健康になったフラニーは素晴らしい暮らしを手に入れた。今となっては限界までやせ細り、死の淵をさまよっていたとは思えないほど。
ホリディさんはついに居場所を得たフラニーについてこうコメントしている。
「私たちがフラニーの過去を知ることはないでしょう。でも私たちは彼女に手を差し伸べたたくさんの人たちを知っています」
いろいろな人の善意や愛情に救われたフラニー。彼女の今後の犬生が健やかで幸せいっぱいでありますように。
追記:本文を一部修正して再送します。
written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
あら〜!!美人さん!
目頭が熱くなっちゃう!心も温まった!
2. 匿名処理班
このワンちゃんよかったです・・・この日本の寒空の下、多くの野良猫や地域猫は体調が悪くなると人気のないひっそりとした場所でじっとおとなしくして体調が回復するのも待ちますが、ほとんどの猫が寒さと飢えと体調不良でそのまま回復せず餌場に行くことも水分をとることもできず苦しみと寒さと孤独のまま亡くなっています。すべての猫が外ではなく暖かいおうちで人間とともに暮らせたら・・・。
3. 匿名処理班
ビフォーアフターが別犬過ぎる
加えて里親を容態に応じて引き継いでいくなんていう体制があることにも驚き
4. 匿名処理班
頑健なシェパードといえども、痩せ細っちゃうとこんなんなるんだ・・・
とてもじゃないがシェパードには見えん、なにかほかの犬種かと思った。
良かったねえ、ほんと。
敵にするとおっかないけど、もともとは力は強いが愛情深い懐っこい犬だからね。
5. 匿名処理班
元記事(Saint Francis AKA Frannieで検索)見てもどこにも「スラム街」なんて書いてないんだけど?
外部の人は「Fifth Wardは低所得層に住民とかゲットーとかいう偏見を持っている」というサイト見たけど
写真で見ている限り「スラム街」ではないんだけど?
PCじゃないんだけどそういうことはちゃんとしておかないと、と思うんだけどね
まあいいや
6. 匿名処理班
忠誠心が強い犬種がこんな目に遭っているのを見ると哀しくなるのと同時に怒りが湧いて来る
7. 匿名処理班
(ノД`)・゜・。ヨカッタ
8. 匿名処理班
下世話な話だけど、読んでるだけでどれだけ多額の医療費がかかったか想像に難くない
『可哀想だから』でポンと出せる額でなし、しかも明日にも召されるかもしれないのにここまでする人たちには頭が下がる
9. 匿名処理班
アメリカってこういうかわいそうな血統書野良犬いたるところにいるんだな。
犬にも格差社会か
10. 匿名処理班
飼えない事情になる事は誰しも起こりうる
そんな時は捨てたりしないで
責任を以って貰い手を探して欲しい
11. 匿名処理班
こういうのって、身体がある程度対なおってから心が立ち直るまでの問題行動については触れられない事が多いように思う
記事を見て保護犬譲渡に興味を持っても、問題行動のある保護犬と本気で向き合うのは半端な覚悟ではできないよね
そのへんも取り上げてほしいな
12. 匿名処理班
戻った体型以上に
諦めて絶望した眼が
再び信頼する眼になってくれたところに涙が出る
本当におめでとう、ぜひ幸せになってください
13. 匿名処理班
※8 症状のある子の預かりボラにも、飼い主になる自信もない。
自分もシェパ飼いで、先代のシェパは9才の保護犬だったが、
健康ですごくいい子(女子)で、まったく苦労しなかったから
いっしょに暮らせた。
(譲渡してくれた活動家さんによる神マッチング)
皮膚病の治療には、ほんとうに頭が下がるよ。
薬用シャンプーは、真冬でも10漬け置きだ。
それを最初は一日置き、回復に合わせて減らす。
肉を保存液に漬けて作られる、犬用オヤツが原因の事もある。
(獣医師&オヤツ製作者談)
14. 匿名処理班
しかも弟分が出来たのか。
最高の結末だな!!
15. 匿名処理班
なんてこった
ジャーマンシェパードだとわからなかった
子供の頃お守りと遊び相手になってくれたのがシェパードだったのに
ひどすぎて泣きそうになったけど今は幸せでよかった
助けてくれたたくさんの人たちにも幸あれと願いたい
16. 匿名処理班
どんな生物も死を迎えるものですが、あのまま冷たい所で絶望して終わるよりもっともっと笑って楽しんで美味しい物を食べてから逝く機会を与えられてよかった!
とりあえず今まで苦しんだぶんをこれから幸せ10年でチャラにするとしてそこからさらに10年幸せで過ごしましょう 異論はミトメーヌ
17. 匿名処理班
根気強く面倒をみる人たちに頭が下がるな。
18. 匿名処理班
目の前に具合の悪そうな犬、猫がいて、今の私が出来る事があるとしたら、寒くない処を提供する事と、水と自分の食料を分けてやる位しかできない。
そうしながら、里親を探して、でも見つからず、医者にもみせてやれず、そのまま死んでしまったら、「もっと力のある人間が保護できたかもしれない!!非力な奴が手を出すな!!」という意見がでてくるのだろうか。
たまに考えてしまう。
今の処、そういう状況にはなっていないけど。
19. 匿名処理班
フラニー良かった!!!頑張ったね。
本来の素晴らしい姿に戻ったね。
すごく元気になって良いお家と家族も見つかって本とに良かった。
当たり前だが動物は生きている。感情もある、痛みも苦しみもある。責任もって飼えないなら最初から飼うな!!!せめて無理だと思ったら責任もって他へ託せ!
20.
21. 匿名処理班
ずっと尻尾を振れる場所に行く事が出来て、本当に良かった。
22. 匿名処理班
※10
ヨーロッパにはそういうときのための動物保護施設がたくさんある。寄付金も常時募ってるけど、それだけではつぶれてしまうので、公的な補助も少なからず使われている。
飼い主の老化・死亡・アレルギーなど止むにやまれぬ事情のある時はもちろん、たとえ身勝手な理由でペットをいらないという人がいても、その結果動物が路頭に迷わなくて済むようになっている。
23. 匿名処理班
不思議だよなあ。
ヨーロッパじゃ科学的観点で証明できない、っていう理由でいまだに「動物には心があるか?」なんてことを喧々諤々と議論してると言うのに、一方でこういう無償の動物愛護活動が盛ん。
万物に精神が宿るアニミズムを原点とした生死観にある日本で、なくはないけどここまで手厚く面倒を見る施設はまだまだ常識レベルでは認知されていない(商売は別にして)・・・とか。
24. 匿名処理班
※23
心があろうがなかろうが、人間様は畜生よりも偉いから
畜生の面倒をみるのは当たり前の義務・責任なのです
という思考
25. 匿名処理班
>>18
18です。私の人生の課題の一つなので、何か御意見頂けると有難いです。
どのような御意見でも。
26. 匿名処理班
一神教の人達って
人間以外の動物や
他の宗教や人種や民族や国家の人達に対して
何故あんなにも
上から目線なんだろうと不思議に思う
27. 匿名処理班
※23
日本は法律で動物をモノ扱いする国だし、そもそもanimalの訳語が動物=動く物だもの。アニミズム精神は「バチが当たる」が信じられてた時代のみ生きてた。今はほぼ死んでる。そして、率先して新しいことをやる人間を叩いたり、野良猫の糞に眦釣りあげて怒る国民性でもあるから、動物愛護と聞けば活動内容も確かめずに叩こうとする人間が盛りだくさん。
ひきかえ、ヨーロッパは日本に比べれば何事もなあなあで済まさず追求していく性質。動物の心の有無問題もそう。ほとんどの人間が感覚でわかってようが、動物に心がないと考えている人間を論破するために、とにかく検証して科学的証明を追求する。そういう感じで、現状改革の動きは常にある。
向こうのほうが、動物を絶滅へ追い込むようなひどい仕打ちも先んじたし、その分、善意ある人たちの意識の高まりも早く(改革を躊躇わない分もさらに早く)、動物のことを考えようとする社会姿勢も先んじているのだと思う。
28. 匿名処理班
※25
自分も同じですが、正解は出せないと思う。ただ、見かけたら放置できないので連れ帰るしかないし、自力でできないことなら恥を忍んで周囲の人を巻き込みたいと思う。自分のためでなく犬猫のためなら、職場の人にカンパをお願いするとか。
たまにそういう人でネットで支援を得ている人も見るよね。そしてそういう詐欺までもあるみたい。本当の善行だけが支援を受けてほしい。
29. 匿名処理班
排他的な動物保護活動には辟易するが、こういうささやかな政治的アピールを伴わない動物保護は日本でももっと推進されるべき。マナーの問題もあるんだろうけれども、普通の賃貸物件でも動物を飼うことを許される社会になってほしい・