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世界初。ナチス・ドイツ時代の暗号機「エニグマ」の内部3Dモデルが公開される

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 第二次世界大戦中、ドイツ・ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)が利用していたローター式暗号機「エニグマ」内部の3Dモデルが公開された。

 英マンチェスター大学の研究チームが、1500枚以上ものX線写真を撮影して作り上げたもので、世界初の試みとなった。

Enigma X-ray CT reconstruction – animation 2

当時解読が難航したエニグマ暗号機

 第二次世界大戦中、敵軍に指令が漏れることを防ぐためにドイツの陸海空軍で利用されたエニグマは、どこか大型のタイプライターのような見た目だ。

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image credit:William Warby/wikimedia

 その内部には複雑な作りのローターが内臓されており、これによって入力された伝言の文字を別の文字に変換し暗号化する。

 しかも1文字変換するとローターが回転するので、同じ文字を入力しても、その前とは違う暗号が出来上がる。

 いわゆる”エニグマ・コード”の解読がきわめて困難であるのはこのためだ。

・ナチスの暗号機エニグマの仕組み : カラパイア

 その解読に成功したのが、コンピューター科学や人工知能の父と呼ばれる英国の数学者アラン・チューリングを筆頭とする解読チームである。

 彼らの成功によって、戦争が2年は短くなったと言われている。

初となるエニグマ内部の3Dスキャンモデル

 そのエニグマをX線CTスキャンで解析しようと試みたのが、英マンチェスター大学の研究チームだ。

 彼らは1500枚以上ものX線写真を撮影し、そこから世界初となるエニグマ内部の3Dモデルを作り上げた。

Enigma X-ray CT reconstruction – animation 1

 解析されたエニグマは、1941年にベルリンで製造された後期モデルで、大戦で消失しなかった274台のうちの貴重な1台である。

 オーストリア連邦内務省に配備されていたものだと考えられており、現在の所有者は暗号愛好家のデビッド・クリップス氏である。

 エニグマのほとんどは、対戦末期に連合軍がナチスを圧倒するようになってから、ナチスによって破壊された。

 さらに大戦終結後、大戦中に暗号解読学校が置かれたブレッチリー・パークの解読技術の流出を防ぐために、ウィンストン・チャーチルがすべてのエニグマを廃棄するよう指示を出した。

 このため現存する実機は非常に少ない。

改良が重ねられていたエニグマ

 初期のエニグマは暗号化を行うローターが3基内蔵されていたが、さらに高度かつ複雑な暗号を作成できるよう、のちに4基に改良。このモデルはローターの数にちなんで「M4」と呼ばれている。

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エニグマM4 image credit:Magnus Manske/wikipedia

 これは大戦初期に連合軍に連敗し、どうにか戦況を打開したいと考えたドイツ海軍のカール・デーニッツ海軍総司令官の指示によって開発された。

 デーニッツ海軍総司令官はその出来にかなり満足していたようで、ニュルンベルク裁判では、連合軍が暗号を解読できたはずがなく、敗戦はレーダーと方向探知機のせいだと証言している。

References:manchester/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. 歯車計算機の芸術品だよなあ。
    それにチューリングの天才性に依存するんだろうけど、数学による暗号読解も芸術。
    まあ軍事機密のせいでいやな物語が追加されてしまうのが悲しいが。

    • +21
    1. ああもう、本当にカッコイイ…
      コレ実際にキー叩いて見たくない?絶対楽しいよ~
      ※1さんも言ってるけど、来歴がアレだもんだから
      中々無邪気に喜べないんだけど、歯車フェチにはたまらん逸品だよね

      • +8
  2. チューリングが生きていたらコンピューターはどんな発達の仕方をしただろう。天才の発想は予測がつかない。より本質的でスマートなニューラルネットワーク型のハードウェアが、とっくに出来ていたかもしれないな。

    • +11
  3. わざわざX線撮影なんかせずとも再度組み立て前提で分解ってできないの?

    • -6
    1. ※4
      歴史的遺物を壊すなんてとんでもない
      物理的に動く機構で人類史でも類を見ない複雑なものだからそのまま後世に残すべき

      • +5
      1. >>9
        壊すも何も分解して構造調べてるはずだよ

        • +7
  4. これを発明した奴とそれを解読した人の頭の内部を見たみたいわ

    • +17
  5. 文末に決まって入っていた「ハイルヒットラー」の一文から解読されてしまった

    • -4
  6. 第二次大戦を題材にしたゲームの任務で大体これとV2ロケットが出てくる。

    • +6
  7. 「とうとう脱いだ!?今あの子の秘密のベールが露わに!(※袋とじ)」

    • +7
  8. エニグマ自体にも欠点はあったけど、適切に使われていれば
    解読される危険は少なかったかもね。
    少なくとも、日本の外務相が使ってた”欧文印字機”よりは、強度が高いからさ。

    • +4
  9. [週刊]エニグマを作る
    とか売り出したら買っちゃいそう

    • +21
  10. >デーニッツ海軍総司令官はその出来にかなり満足していたようで、ニュルンベルク裁判では、連合軍が暗号を解読できたはずがなく、敗戦はレーダーと方向探知機のせいだと証言している。

    当時のドイツ軍の潜水艦から、エニグマの実機が連合軍側の手に渡っているのだから、まあ知らぬが仏って奴だろうね。

    • +3
  11. これが解読されてなかったらイギリスは降伏してたかもしれないんだっけ(うろ覚え)
    島国で物資の輸送がUボートに遮られてしまって

    • 評価
    1. ※15
      この暗号機の解読が無くても、連合軍は勝ったと思うよ?
      いくらドイツ軍が強くても、連合軍は10倍の物量投入だから
      ナチスドイツに勝ち目は無かったと思う
      でも第二次大戦の終結が数年間は長引いていたかも知れないし
      そうなればヨーロッパ大陸で原爆が使われていた可能性も出る
      歴史に IF はない・・・というのは多くの項目が未知数になるからだ

      • +5
    2. ※15
      チャーチルはアメリカの参戦で勝利を確信したと言うけれど、ドイツ人の戦争努力は凄まじく、最後の瞬間まで勝利は際どいものだったとも書いていたよね。
      それでもナチスドイツは勝利していたかも知れないという見解は、連合軍側でも概ね一致していたのだから、何か一つか二つの間違いでどう転ぶか分からなかったというのが実情だったんだろうと考えている。

      このエニグマ暗号機の解読は、ドイツ側にとってその間違いの一つだったのは確かだと思う。

      • -1
  12. 「暗号解読」という本で知ったわ
    こいつがなければコンピュータの開発も今ほど進んでなかったんだろうなー
    航空機にしても原子力にしても戦争が技術を発展させたんだと思うと複雑

    • +4
  13. エニグマの解読にはポーランドの貢献度が非常に高かった(ポーランドの成果なしでは解読できなかっただろうとまで言われている)ので、そのあたりも触れてくれていればと思う。

    • +6
  14. 何回か説明を見たけど、意味がわからないw

    • 評価

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