
ブラジル、ミナスジェライス州カタス・アウタスにあるサンチュアリオ・ド・カラサ修道院の庭には、夜な夜なタテガミオオカミが顔を出す。
この修道院では、今や絶滅危惧種となった南米固有のタテガミオオカミに30年もの長い間、夜に餌を与えているのだ。
修道院のゴミ箱あさりをしていた彼らに食べ残しを与えたことがきっかけだ。今ではこの行為は公認となっており、マナーを守れば観光客も彼らを見ることができる。
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きっかけは修道院のゴミあさり
サンチュアリオ・ド・カラサ修道院の住人と、この土地固有のタテガミオオカミとのユニークな関係の始まりは1980年代初頭にさかのぼる。修道士たちは、大きな動物らしきものが、たびたび修道院の中庭に置いてあるゴミ箱をひっくり返して、中身を引きずり出し、残飯を食べていることに気がついた。
そこで修道士たちは、寝ずの番をして犯人を突き止めようと待機していた。するとその正体が判明した。体高が高く、手足が長いイヌっぽくてきつねっぽい動物が、食べ残しのゴミを漁っていたのだ。
この動物こそがタテガミオオカミである。

サンチュアリオ・ド・カラサ修道院 image credit:Josue Marinho/ CC BY 3.0
30年続くタテガミオオカミへのディナー提供
この稀有な生き物の観察を楽しむのと、夜な夜なゴミを漁るのをやめさせるために、修道士たちは食べ残しをわざと戸外に残すことにした。この習慣はもう30年間毎晩続いていて、タテガミオオカミもこの習慣を代々子孫へ引き継ぐ大切な役割を果たしてきた。

餌を食べるタテガミオオカミ image credit:Samuel de Oliveira Fortunato /CC BY-SA 3.0
保護意識を高めるため、誰もが見学することができる、
同時に、彼らを見にやってくる人間の訪問者も、実際にその姿を目にすることによって、絶滅の危機に瀕している彼らを守り、その棲み処を保護する意識を高めるのにひと役かっている。最近では、修道士たちは畜産学者や獣医、保全生物学者などのアドバイスを受けて、ここにやってくるタテガミオオカミ用に特別に調合された、栄養バランスのとれたエサを置いている。
生態学者によるその後の調査からは、こうしたエサやり行為が悪影響を与えたり、彼らの自然な行動や野生での生態的機能を変えたりするようなことはないことがわかった。
これは、動物を調教したり、飼い慣らすためではなく、彼らの野生を常に尊重するものであることは言うまでもない。
誰でもこの17世紀の修道院に詣でることができ、聖母マリアの像が見下ろす中、階段に座って、この魅力的な生き物がテラスでエサを食べる様子を観察しながら夜を過ごすことができる。
Maned Wolf
今や絶滅危惧種となったタテガミオオカミ
オオカミという名がついているが、一般的なオオカミとは異なる。体高が高く長い足をもつ、どちらかというキツネに似たイヌ科タテガミオオカミ属に分類される肉食哺乳類だ。
体の毛は赤茶で、長い脚、大きな耳を持ち、肩から背中にかけてタテガミのような黒い毛が生えている。

image credit:CC0 / Pixabay
南米の固有種で、初期のイベリア半島からの入植者は旧世界(ヨーロッパ)のオオカミに似ていることからタテガミオオカミと名付けたようだ。長い脚をもつタテガミオオカミは俊足でイヌ科では最速と言われている。時速90キロで走ることができるそうで、あのグレイハウンドより速いのだ。
地上最速のネコ科のチーターの次ぐらいに速いのだが、いちいち立ち止まって安全確認をする習性があるためなかなかその実力を見ることができない。
民話ではニワトリを睨んだだけで殺すことができると伝えられているが、実際にはおとなしい。雑食性で大きな獲物を狩ることはせず、おもに果実や齧歯類をエサとする。
・足ながっ!!どう見てもコラにしか見えない美脚の持ち主、南米のイヌ科最大種「タテガミオオカミ」 : カラパイア
悲しいことにタテガミオオカミは絶滅危惧種となっている。その主な原因は、ブラジル周辺の著しい森林破壊である。

image credit:CC0 / Pixabay
訪問する前に知っておくべきこと
修道院の指示に従って、オオカミたちに敬意を払って欲しい。不必要に大きな音をたてたり、急な動きをして彼らの邪魔をしたり、触れたりしないように。彼らはストレスに弱いのだ。
さらに、修道院周辺の歴史的環境や、そこに住み働いている人たちへの敬意も忘れないようにしたい。彼らはこのすばらしい環境や自然、野生動物を守るというかけがえのない仕事をしているのだから。
サンチュアリオ・ド・カラサに車以外で行く方法は、ブラジル、ミナス・フェライスの州都ベロオリゾンテのバスターミナルから、バスを使ってサンタバーバラの町へ向かう。(ただし交通事情によっていは、2時間以上かかる場合もある)
サンタバーバラに着いたら、タクシーで曲がりくねった丘の道を登ったらサンチュアリオに到着する。料金は50〜60レアルだ(1600円前後)。
Maned Wolf at the Santuario do Caraca
written by konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
かなーり向かしにムツゴロウさんが行って、それを番組にして放送してた。とにかくすごかった。ムツゴロウさんはタテガミオオカミも友達になってた。すごい。
2. 匿名処理班
タテガミオオカミ大好きなんだけど絶滅危惧種だったんだ。悲しい。
保護活動広まってくれればいいなあ。
3. 匿名処理班
脚長くて別世界のコラージュイラストやC.G.合成みたいな姿なんだよね
4. 匿名処理班
ゴキや蚊、ドブネズミやハエとか何もしなくても圧倒的な生命力と適応力でどこででも
生きていける生物と簡単に絶滅危惧種になってしまう生物の差は何なのか
人間の手によるものでなくても環境の変化に適応できずに人間の補助が必要な生物はどの道
未来は無いと思う
5. 匿名処理班
上野動物園で見られますよ。
6. 匿名処理班
実際会うとなると危険だな・・・、タテガミオオカミが、じゃないよ、ブラジルがだよ。
7. 匿名処理班
すんごいしゅっとしててかっこいいな
8.
9. 匿名処理班
なんかファッションデザイナーのイメージイラストみたいなスタイル
10. 匿名処理班
想像以上にギャラリー多くて、オオカミさんも喰い辛そうで笑うわ。
11. 匿名処理班
パッと見、バランスの悪いコンちゃん?
リカオンに見えなくも無い。^^;
12. 匿名処理班
※4
このタテガミオオカミの場合はヒトの生存・生活や経済活動で利のある土地(この記事でいう平地、沼沢地を当然含むでしょう)とモロかぶりしたかどうか、人の肉体、人の生活を種の保存に利用できるかできないか、ではなかろうかと。せっかくグーグルマップが貼ってありますので航空写真に切り替えて右下のマイナスをぽちぽちしてみるとさすが修道院、わざわざにもほどがあるほど険しい場所に作られています。そういう場所ほど天に近いということもあるのでしょうか。ここなら金や産業・遊興での土地開発は難しいでしょうか。さらに範囲広げた周囲をよくよく眺めるとまったく安心できませんが。
ここでたった30年ほど前からの観察ということですから、タテガミオオカミの中でも狭いテリトリーの山・森林に定着できる種類(なんてのが果たしているかどうかは知らないのですが)というよりは、生きられる場所を求めて移動(逃げ落ち、いや逃げ登りでしょうか)してきたのかなーと考えます。生きられる場所と子育てできる場所はまたちょっと違うでしょうから心配ですね。お言葉どおりに未来はないのかもしれません。
13. 匿名処理班
「人間の生活に害のある動物」は絶滅する。
少数派がいくら頑張っても絶滅するというのは、世論を曲解するメディアや通らない条例と同じ。
そして、「地球に対して著しく悪影響のみを与え続ける」という少数派の特徴をもった人類もそう近くないうちに絶滅する。
14.
15. 匿名処理班
「そう近くないうちに絶滅する」
遠いのかよww
16. 匿名処理班
果物好きな雑食なら
🍎🍏🍌🍒🍅🍎🍉🍑🍓🥝🍈🍠🥕🧀🥒🥦🥩🍖🍗🍙🌰🥜
毎日美味しい物一杯あげたい
そのうち家族も連れて来て欲しい
17. 匿名処理班
*15
生活のスケールまで落とせば遠いよ。
僕もあなたも心配しなくていい。
18. 匿名処理班
絶滅したら大変
今のうちに捕まえて剥製にしないといけない
19. 匿名処理班
かわいい
20. 匿名処理班
細長いキツネさんみたい
21. 匿名処理班
シーアーガイナー
22. 匿名処理班
※5
メス死んじゃったし子供は足未発達らしいし、今のうちに見といた方が良いかも…
23. 匿名処理班
こんな沢山停止した人間に囲まれた状態で、しかも自分を全員が凝視してくるから
タテガミオオカミ側からしたら緊張しまくりだろうなw
他の生き物の縄張りで食料を摂取するって野生生物界では絶対命がけだし
24. 匿名処理班
上野動物園にいなかったっけ?でけーって驚いて、オオカミってかイヌなんだーって友達と話した思い出
25. 匿名処理班
海外の施設?で飼育員さんに甘えてる子がめっちゃ可愛かったわ。
飼育員さんが檻から出ようとすると「行かないで」って
靴や服を甘噛みして引き止めようとしてるのがもう可愛くて…
タテガミオオカミ大好き。
26. 匿名処理班
………なんか貧相やな 顔つきも幸薄そうな🦊