
水中からドクドクと吹き出す赤い液体は、実に奇妙な光景だ。地元の映像製作者であるタヴィッシュ・キャンベル氏は、今年の4月、6月、10月にバンクーバー島キャンベル川付近でこの液体の出所と正体を探った。
Blood Water: B.C.’s Dirty Salmon Farming Secret
配管から川に放出される真っ赤な液体
この赤い液体は、ブラウンズ・ベイ・パッキング・カンパニーが所有する養殖タイセイヨウサケ処理工場が所有していると思われる排管から流れ出ている。
image credit:vimeo
「排管に近寄ってライトで照らした時、レギュレーターが詰まるかと思いましたよ。信じられませんでした」と映像の中でキャンベル氏は語る。

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液体の正体は、養殖処理工場が排出した魚の血液
このぞっとするような廃水は、魚の血液に潜む病原菌への懸念を抱かせる。ブリティッシュコロンビア州にいる天然サケの3分の1がこの湾を通過しているからだ。キャンベル氏は血液が混ざった海水のサンプルを回収し、その解析を専門家に依頼した。その結果、寄生虫や魚レオウイルス(piscine reovirus)など、数多くの病原菌の陽性反応が確認された。
このウイルスは人間には問題ないが、サケに感染すると心臓や骨格筋に甚大なダメージを与えるという。

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しかし問題の処理会社は、海に流す排水は殺菌処理済みで、違法性はないと自社のサイトで主張。また同州のサケ養殖協会も処理工場を弁護している。
飼育管理の問題で近年批判をあびている養殖産業
近年、魚の養殖は天然の漁獲高を上回っており、魚の主要な供給源となっている。こうした傾向は天然の漁業資源に対する懸念が追い風となったものだ。しかしここ数年、サケをはじめとする養殖産業には批判も浴びせられるようになってきている。例えば、狭い養殖場でぎっしりと育てられることで病気が蔓延し、天然の魚まで感染の危険にさらされるという。

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映像はすぐに一般の人々の目に留まり、政治家も事態を注視しているようだ。議会でこの件について質問を受け、「『なんだこりゃ?』と私も地元の人々と同じ反応をしましたよ」とジョージ・ヘイマン ブリティッシュコロンビア州環境大臣は発言した。
キャンベル氏が回収したサンプルは当局が検査中であり、また必要に応じてさらなるサンプル調査が行われると大臣は答弁した。
via:vimeo / iflscienceなど/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
人は欲張りなんだよね、良かれと思ってやったことの穴が必ずある。
2. 匿名処理班
そんなに違法性もなく影響もないのならこの得体のしれん排水を
処理会社と協会が思う存分飲んでくれや
それで健康に害がなければ正しいと認めてやるよ
3. 匿名処理班
寄生虫は仕方ないとしても赤潮の原因になりそうだなぁ...
4. 匿名処理班
危険を煽りすぎる
どこの海水でもも寄生虫や魚レオウイルス(piscine reovirus)など、数多くの病原菌の陽性反応が確認されるのは当たり前
病原菌がいないほうがおかしい
海に流す排水は殺菌処理済みなら問題は無い
5. 匿名処理班
セカンド・インパクトの赤い海が実は、コレだったのか…
6. 匿名処理班
何じゃこりゃ・・・本当にゾッとするわ・・・・・・。
7. 匿名処理班
これ白身魚のマスを、赤身のサーモンにする奴?
8. 匿名処理班
時間はかかるだろうが、
まずは、この排水による影響の精密な調査を。
養殖業の担う役割は今後も大きくなるだろうから
企業や業界は社会的責任も大きくなると自覚しないと。
これは、養殖・加工業に限らず畜産etc、
広く抱えている問題だと思う。
9. 匿名処理班
いうて魚捌いたあとの港も結構血塗れだよね
ホースでじゃぶじゃぶ流してるけど、流した先は同じことじゃないのかな。
10. 匿名処理班
排水そのものにはほんとに害はないのかもしれない
あと採取したサンプルが海水と混ざってる時点でサンプルとしての価値はほとんどないので(寄生虫や魚ウィルスとかは大体どこの海水にもみられる)海水と混じる前の排水自体のサンプルをとることが重要かな
11. 匿名処理班
こういういかにも外人が作ったザ・コーヴ的な作りのドキュメンタリーは金の臭いがぷんぷんしてどうも信用出来ない。
大体海水中の寄生虫が本来はいなくてこの処理施設のせいでいるみたいに宣伝しているのも気に食わない。
もともと海水にいる生物なのに何言ってんだ?って分かる人は思うけど分からない人にはこれが環境を汚染して寄生虫やレオウィルスが本来いないはずなのに生息してる!って勘違いさせているんだろうね。
12. 匿名処理班
鮭の身自体は実は白身。海でエビを食べる事により
身が赤くなる。赤い身の色が良い程高値で売れる。
流されてるのは本当に「血液」だけなんだろうか?
13. 匿名処理班
散々恩恵にあずかっておいて、不手際があると一斉に叩くとかわがまますぎる・・・
14. 匿名処理班
まず「人間には影響のないウイルス」と言う点が一つ
次に「健康な魚は広い海で生活しているので、ほぼ影響は0に等しい」と言う事がある。
熱帯魚を飼育してる人はわかると思うが、隔離された空間で汚染された水による病気の発症は高くなる。
逆にいくら病気の魚やウイルスがあっても、飼育水が綺麗ならば病気に感染する事はまれだ。
簡単に言うと「いくら湾内とは言え、あのレベル程度の汚染では健康な魚は感染しない」と言う事だよ。
それこそ湾内がこの真っ赤な汚染水で赤くなるくらいじゃないと無理だね。
15. 匿名処理班
鉱山の排水は大変だ
養殖会社ももっと苦労しろ
16. 匿名処理班
数値が出てるのに安全だと言い張れる根性は評価する
17. 匿名処理班
血の池地獄みたいな天然のものだったらカッケーと思ったけどマジもんの血なのか…
18. 匿名処理班
レギュレーターが詰まるかと思った
↑これちょっと好き
19. 匿名処理班
チリ産ギンザケも日本の商社が沿岸で養殖させてるが、餌料の海洋汚染が騒がれてるって聞いた。 日本では回転寿司の寿司ネタ。サーモンはコレ。日本の消費者はチリの海洋汚染に手を貸してるって構図だわな。
20. 匿名処理班
燃やして灰にしてからじゃあかんの?
21. 匿名処理班
※9
確かに。
ホースでまとめて流してるから赤が目立つけど、大体の港はホースで出しっぱの水で魚捌きながら足元の排水溝にそのまま流れてってるよね。
あれは排水溝の先でろ過とかしてるんだろうか・・・
22. 匿名処理班
こういうのは相対的な量の問題だから一概にどうこうは言えないよね。
それより、やっぱ血液(体液)には豊富な栄養があるからか排水口のまわりにウニが群がってるのがなんか楽しい。
自然は、いかなるものも無駄にはしないのだよな。
23. 匿名処理班
カナダでは前にも大量の養殖サーモンが生け簀から逃げ出したことがあったりしたから、この件だけでなく養殖場の管理体制自体に疑問の目が向けられてるのかも
24. 匿名処理班
地球の出血
25.
26. 匿名処理班
集めたら1日で熊1頭分にも満たなさそう。
27. 匿名処理班
コレに限らず産業廃水って生活排水みたく下水処理場に送られず直接海や河に垂れ流しなんだよね
人間活動のある地域の海はモルディブみたいな奇麗な水にはならんよなあ(南の海水は栄養価が低くて澄んでいるというのは置いておいてもね)
28. 匿名処理班
とりまカナダ産のさけは潔白が証明されるまで買わないことにした
29. 匿名処理班
沈殿させて処理…というか、肥料に利用しないのか…。
30. 匿名処理班
良い話題だね
31. 匿名処理班
モルディブにfish tankって魚処理工場の排水口前のダイブポイントがあってこんな感じ。血は出てないけど、魚の切れ端や皮がごろごろ海の中を転がってきて、それ目当てで魚とかエイの大群が群がり、さらにそれを見るために大量のダイバーが群がる。深く考えなかったけど、病原菌とかも一緒に流れてたのかな。。。
32.
33. 匿名処理班
※19 しかもこの産業は外国が利益を独占していて、
現地の人々は何も恩恵に預かれないらしい。
そこはちょっと、改善してほしいな。
生サーモン(塩をしてないサーモン)の塩焼きがダイスキ。
たぶんこういった海外の養殖場のものだと思う。
色はアスタキサンチンという物質でコントロールしているのではなかったっけ?
34. 匿名処理班
魚は血液が赤い(人間と同じ鉄を含むから)
35. 匿名処理班
人間は存在してるだけで害
反出生主義に拍車がかかるだろう