1か月以上毎日空港内で「誰か」を探し回り、待ち続けながら失意の中息絶えた犬（コロンビア）

　コロンビアの空港にて衰弱しきった一匹の犬が保護され、病院に運ばれたにもかかわらず、わずか2日後に亡くなるという悲しいニュースが海外メディアで報じられている。

　獣医師の看病もむなしくこの世を去ったその犬は、およそ一か月以上にわたり、誰かを探しているように施設内を歩き回り、行き交う旅行客のにおいを嗅ぎ続けていたという。

　人々が差し出しす食べ物や水すらも口にしなくなり、ずっと誰かを待ち続けていた犬。彼女は深刻なうつ状態と絶望の果てに、2年にも満たない生涯を終えたとみられている。

一か月以上も空港内をさまよっていた犬

　コロンビアのパラネグロ空港にて「一か月以上も首輪のないメスの犬がさまよっている」という連絡を受けた保護団体はすぐに現地に向かい彼女を保護した。 　明らかに消耗し、まとも立ち上がることもできなくなっていたその犬は、すぐに動物病院に運ばれた。

食事も摂らず悲しみに暮れるヌーベ

　診察したアレハンドロ・ソトモンテ獣医師によると、彼女は2歳に満たないほど若く体重も標準だった。また、極めて重いうつ状態をのぞけば、深刻な病状も現れていなかったという。

　医師は、落ち込んだ様子で食べ物も受けつけない彼女の回復を願うと同時に、スペイン語で「旅する雲」を意味するヌーベ・ヴィアヘーラという名を贈り看護を続けた。

最善を尽くすも容態が悪化。帰らぬ犬に・・

　ヌーベを見た人々の話を総合すると、彼女は空港に現れた当初は人々から食べ物をもらっていたそうだ。

　だが最後のほうでは、日課の捜索も断念した様子で、見かねた旅行客やスタッフからの食べ物も拒み、フロアの隅に向かってよろよろとはっていたという。

　その様子に心を痛めた誰かが、地元の保護団体に連絡したのだ。

　しかし、団体や医師が最善を尽くしたものの、彼女の悲しみと落ち込みはさらに激しくなり、体調も急速に悪化していった。 　その急変は病院の栄養管理や薬の投与でも止められず、ヌーベは救出からわずか48時間でこの世を去ってしまった。

消えた主人を待ち続け、生きる気力を失った可能性も

　彼女を最期まで看取ったソトモンテ獣医師によると、ヌーベは首輪こそつけてなかったが、野良犬のようなふるまいをみせることはなかったという。 　「野良犬たちは強い生存本能を持っており、うつに陥ることなく、簡単にある場所から別の場所に移動できる。また、彼らは主人を持たないが、同時にあらゆる人が飼い主になれます」

　「私たちはヌーベ・ヴィアヘーラにはかつて主人がいて、帰る家もあったと推測しています。なぜなら彼女は決して空港を離れなかったし、誰かを探しているように人々を嗅ぎ続けていたからです」

　さらに医師は、犬が重いうつを患った末に死を選ぶ可能性がある、という研究について語り、今回の悲しい出来事はそれに当てはまるだろう、と述べている。

via:news.com / noticiasrcn/ odditycentral / facebookなど / translated by D/ edited by parumo

　もしヌーベに主人がいたとしてもその人物が故意に彼女を置き去りにしたかどうかはわからない。メディアの情報では捨てられた可能性が高そうだが、悲嘆にくれたまま旅立ってしまった彼女の魂が安らかであることを祈るのみだ。

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