
image credit:Brett Seymour/EUA/ARGO 2017
かつて、地中海に眠るローマ時代の沈没船から、最古のコンピューターと言われている謎の"アンティキティラ島の機械"が発見された。この沈没船を徹底調査する考古学プロジェクトが開始されたのは2014年のことだ。その結果、最新の捜索で、ギリシャ、アンティキティラ島沖に沈んでいるこの沈没船付近から、さらに人工物が発見されたという。
広告
アンティキティラの沈没船をダイバーたちが調査
2017年9月4日〜20日に、ギリシャの古代水中遺跡行政会とスウェーデンのルンド大学によって、水深50メートルのところに沈んでいる船を調査する潜水が行われた。現場は地震によって砂利が動いたせいで、およそ2100年前からこの沈没船が埋まっていた場所だ。
ここは、前の発掘では手つかずだったためまだまだたくさんのお宝が隠されていると予想されていた。発掘専用の金属探知機のおかげで、金属のお宝が大量に存在していることがわかっている。
新たに7体目のブロンズ像の腕が発見される

image credit:Brett Seymour/EUA/ARGO 2017
その場所の砂利下から、石棺の蓋、雄牛が描かれた青銅の円盤、人間の等身大ブロンズ像の腕など、さまざまなものが発見された。この沈没船は、1900〜1901年に海綿を獲るダイバーが発見したが、すでに6体分の彫像の手足が回収されている。
新たに見つかった腕は、7体目ということになり、本体が見つかれば計り知れない価値のあるお宝ということになるだろう。

image credit:Brett Seymour/EUA/ARGO 2017
なぜなら古代ギリシャから残っているブロンズ像はほとんど存在しないからだ。青銅は貴重な原料だったので、多くの像が溶かされて再利用されたが、その多くは海で失われてしまった。今日まで残っているブロンズ像は200体もない。しかも全身ではなく、頭だけだったり、体の一部だけというのが現状だ。
そのうちのひとつ、1900〜1901年に沈没船から破片が回収されたアンティキティラの若者像は、1902年にひとつひとつのかけらが張り合わされて全身像が復元され、完璧な全身像がついに海底から引き揚げることができた先例になった。
アンティキティラの機械と関連が?円盤型の金属も発見される

image credit:Brett Seymour/EUA/ARGO 2017
アンティキティラの機械という謎めいた遺物が発見されたことで、この廃船は有名になった。1901年に初めて発掘されて以来、この機械がなんの目的で作られたものなのか謎のままで、研究者たちは頭を悩ませている。円盤型のこの装置は、なにかの歯車のようで、天体などを研究するためのコンピューターではないかと考えられている。
最近の潜水で回収されたものの中に、アンティキティラの機械に一見似ている、青銅のディスク型のものがある。ネジをとりつけるための穴があいた4つの短いアームがついていて、表面には堆積物がびっしりついていた。
これはこの"機械"の一部で、その用途がなんなのかを示すさらなるヒントになるのではないかとチームは期待したが、CTスキャンによって、これは歯車ではなく、堆積物の下に雄牛の絵が隠されていたことがわかった。
アーティストによって復元されたが、これはおそらく盾のようのものの装飾の一部ではないかと研究者は考えている。この先、さらに研究が行われる予定だ。

image credit:Brett Seymour/EUA/ARGO 2017
発見された人骨のDNAが謎を解く鍵に?
ギリシャ政府による"アンティキティラへの帰還"プロジェクトで、これまでガラス製品、大理石像、アンフォラ陶器、ランプ、さらに2100年前の人骨も引き上げられている。この人物のDNAが、誰が、なぜこの船に乗っていたかについて、もっと情報を与えてくれるはずだ。今回の探索で、さらに人骨が発見され、ますます詳細がわかるかもしれない。船の一部らしき木の厚板も見つかったため、実際の船の大きさが判明する可能性もある。
次の探索は、2018年5月に行われる予定で、積み荷が保管されていたであろう船倉を調べることになっている。
via:nature / theguardian / cultureなど/ translated by konohazuku / edited by parumo
あわせて読みたい





コメント
1.
2. 匿名処理班
銅って再利用されやすい金属なので、世界中の使われる銅にも
かつてローマで盾や巨大像など偉大な品で使われてた可能性が
高いって以前航空機解体の担当者が言ってたな
金銭的価値の金よりもこのような普通に使われる品こそ重要な歴史の
証人かもしれん
3. 匿名処理班
「アンティキティラ島の機械」をはじめて知ったのは「地球ドラマチック」って言うNHKの番組だったなー、あの番組のナレーションは渡辺徹さんだった、落ち着きのある聞き取りやすい、すばらしいナレーションだった。
徹さん、身体に気をつけて是非長生きしてください。
4. 匿名処理班
珍しくも、本当に謎な古代遺物
古代文明関連は、大抵は石造りで金属製って数える程だしなあ
5. 匿名処理班
どんな発見があるか楽しみだねw
それにしても、例の機械って文献なんかの記録やら模造品やらなにも残って無いんだよね?
有名な学者が作ったなら何かしら残りそうだけど・・・
無名の天才が作った一点物だったのかな?
6. 匿名処理班
※5
少し後の時代の文献に、同類と思われる装置の話が載ってる
7. 匿名処理班
※5
文献記録にはそれらしき物は見つかってるし、遺物が見つかってなかっただけで歯車等の基礎技術も文献には既にあった
実際には、もっとあった可能性はあるけれど、本文でも触れられているように、ギリシアの青銅品がローマの青銅品の原材料にされてたので、消滅してる可能性が高い
8. 匿名処理班
ヴォイニッチ手稿があんなオチだったから、
こっちも解明してみたらすごい拍子抜けする目的で作られてるんじゃないかとちょっと思う・・・
いや婦人病がしょーもないと言いたいわけじゃないけども
9. 匿名処理班
※2
現代のモノ、たとえばおもちゃなんかでも、
最初から希少価値を狙って製造数を絞ったものより、
大量生産されたもののほうが、誰も丁寧に扱おうとしない分、
価値が出やすいそうですね
10. 匿名処理班
アンティキティラの機械は今も謎ってことはなく、天文関係の計算機ということで決着してると思うんだけど。
実物はアテネの博物館に展示されている。
アンティキティラの機械にはオーパーツと言われたものが実際にその次代に作られた本物だった稀有な例としてのおもしろさがあるね。
11. 匿名処理班
※5
↑の3さんが言ってるBBC制作の番組では
アルキメデスが作ったものが原型になっているのだろうと言っていました
ローマの将軍がギリシャのシラクサ(アルキメデスが住んでいた)から略奪し、
後にローマの政治家キケロが、その将軍の孫の家で
月の満ち欠けや日食を計算するアルキメデスの装置を見たと言う記述があるそうです
ギリシャ占星術と歯車の歯の数の関係や
刻まれた古代文字の解読等大変見応えがある素晴らしい番組でしたw
翻訳無しならYouTubeにあがっていましたw
12. 匿名処理班
ブロンズ像とはいえ沈没船探査してて腕が出て来たらビビりそうだわ
13. 匿名処理班
※8
ヴォイニッチ手稿のような図は中世ではありふれたものだよ。この間も中世の図版がカラパイアで紹介されていて「ヴォイニッチ手稿みたい」というコメントがたくさんあったけど、それくらい中世ではありふれた絵柄と図なんだよ、ヴォイニッチ手稿は
ギリシャの数学・物理の知識から推測されるアンティキティラ島の機械は、上記と違ってちゃんと最初から古代の専門家が検証しているものなんだよ
14. 匿名処理班
バラバラになったのを一つにするのに、ピースを海の中から探さなければならないとは、なんと難易度の高いパズルだろう
15. 匿名処理班
※13
これを忘れてた
数学・物理→+天文学
16. 匿名処理班
発見された「腕」を見て思い出したけど、有名な「ミロのヴィーナス」の腕とかも、切断されたものが、どこかに沈んでいたりするのだろうか?
まあ、こっちの方は材質が大理石で今回の記事の腕の「ブロンズ」ではないけれど。
17. 匿名処理班
※16
丁度それについて書こうと思ってたんだが。
もしかしたら腕は青銅だったということだって、あるかもしれない。全部が大理石じゃなきゃいけないなんて、誰も決めてないのだし。
18. 匿名処理班
これだけのお宝を積んだ船、普通の交易船ではなくギリシャ都市国家の
どこかの御用船だったのかな?
19. 匿名処理班
今の時代から2000年後にどんな技術が残るのだろか?
ビルは残らないだろうし金属類は消え去り、PCの部品などはすぐに消滅しそうだし
2000年後新たにできた文明から今を覗くとやはり古代ギリシャのような
存在に見えるのかな?
2000年後は遥か遠い未来に見えるけど
2000年前はそれほど昔に感じない不思議。
20. 匿名処理班
※19
火成岩を磨きあげて、そこに彫るしかない!
そして風化を避ける為地中に埋めるんだよ