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第一次世界大戦後、ドイツ各地に出没し、人々の心を癒した巨大なテディベア

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 第一次世界大戦後、ドイツ各地では巨大なテディベアが出没していたという。ボタンの目をつけ、歯を剥き出しにした笑顔のテディベアは、子どもや貴婦人、あらゆる世代の人々の人気者であった。ナチスドイツの軍人と握手し、若者たちを慰めた。

 このテディベアの着ぐるみは数十年にわたり活動していたようで、道行く人や旅行者と一緒にポーズを取って撮影された写真が数多く残されている。

 これらの写真は、アートコレクターのジャン=マリー・ドナによって収拾された。ベルリンの通りをぶらつく巨大なモフモフのクリーチャーに夢中になった彼は、1920年から1970年代にかけドイツ各地を巡り、いくばくかのチップのため、カメラに向かって通行人や観光客とポーズを取っていたテディベアの写真の収集に全力で取り組み、200枚以上入手した。

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 テディベアは、一緒に写真を取りたがる子供たちや大人たちのリクエストには必ず応じた。時には少年に背中を引っ張られたり、お洒落な貴婦人とキスをすることもあった。

 テディベアの色は茶色っぽい時もあれば白い時もあった。通りをぶらつき記念撮影に応じるクマの姿はおよそ5年間にわたって目撃された。

 モッフモフのテディベアは、抱きつこうとして胸に飛び込んでくる子をその胸に抱き、遠慮がちに近寄るシャイな子の頭を撫で、彼のもとにやってくるすべての子どもたちをやさしく受け入れた。その様子はまるでサンタクロースのようだったという。

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 そんな彼の噂を聞きつけたドイツ軍は、彼を一時的にナチスに拘束した。テディベアはドイツ国防軍のメンバーと握手を交わし、小さな鉤十字を身につけた少年たちのアイドルとなったのだ。

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 これらの写真は着ぐるみとそれを喜ぶ人々の微笑ましい光景だったのかもしれないが、だが、そこに見え隠れするのは、古写真に積もった埃にも似た、戦争の残滓への良心の呵責や悲しみである。

 この喜びと恐怖の葛藤がテディベアを忘れがたくさせるのだろう。人々はこの奇妙なテディベアを愛おしく思い、励まされると同時に、彼はいまでもどこかに閉じ込められたままなのではないかという妄想に陥ってしまうのだ。

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All images c Teddybar, 200 p.,19.5×22 cm, a series from the Jean-Marie Donat Collection, Innocences Publishing

via:WHEN GIANT TEDDY BEARS ROAMED THE STREETS OF NAZI GERMANY・written byいぶりがっこ / edited by D

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この記事へのコメント 33件

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  1. なんで口にリアルさを求めたんだろう・・・

    • +2
  2. 大戦期から戦後まで、かなり長く活動してるようで、中の人は交代してるんだろう。
    日本でこれやったら、あっという間に職質されるだろうな。
    秋葉原のウルトラセブンのようにw

    • 評価
  3. 今で言うゆるキャラみたいなものなのかな
    白黒写真だからなのか時代背景がそう思わせるのか
    単純なかわいらしさやほほえましさとは少し違う、不思議な気持ちになる写真だ。

    • +18
  4. 表情が結構とリアルで、少し怖いけれど
    時代背景が暗い時だったので、人々も心の癒しが必要だったのだろう

    • +10
  5. なんだか切なく思ってしまうのは私の感覚どっか違うからかしら

    • +9
    1. ※8
      時代の空気ってのも写真には写っているのかもしれませんね

      • 評価
    2. ※8
      この後に第二次大戦が起こり彼が守りたかったものがどうなったか考えるとね

      • +1
  6. なんか物悲しいよな…。
    最初はちょっとだけハッピーな着ぐるみの物乞いだったのに、人気のせいで広告塔になって消えたのか。中の人はどうなったんだろう。途中から軍人になったかなぁ。
    地元では都市伝説化してそう。

    • +3
  7. むしろナチスドイツが台頭してからは「明るい時代」だったんだよなあ…
    それくらいWW1でドイツが英仏にされたことはひどかった

    • +2
  8. 今は、着ぐるみ着てるとどうしても不審者や不審物持ち込みの問題があるんで
    あまり風当たりが良くないらしいね。
    愛媛FCの非公式マスコットと化したカエルさんも、国内外のスタジアムでたまに入場禁止になったりしてる。
    数年前にウサギの着ぐるみで日本一周してる人いたけど元気にしてるのかなあ
    あれも職質食らいまくってたような

    • +4
  9. Tedみたいなクマを想像したらリアルだった

    • +4
  10. 島本和彦のあまり知られていない佳作「愛しのテディーベア」(単行本「BATTLE FIELD」収録)を思い出した。
    パクリ批判とかではない、念のため(ストーリーは全然違うし)。ただ、でかいクマのぬいぐるみとナチス将校が並んでる絵面がね。
    もしかしたら、島本和彦もこれらの写真の一枚を見たことがあったのかなあ。
    第二次世界大戦を舞台にした連作で、島本(「逆境ナイン」描いた人だ)を勢いとツッコミどころだけの漫画家だと思っている人に、ぜひ読んでほしい漫画だよ。

    • +2
    1. ※19
      面白そうな作品集のご紹介に深謝。
      島本氏はそれほど好きではない(失礼)けど、興味持ったのでDLしてみます。

      • +1
  11. この後第二次大戦が起きるんだよな・・・
    写ってる人、特に子供たちも戦場や戦禍に巻き込まれてで散ったりしたのかな
    と想像するとなんか切なくなるな

    • +6
  12. 3はヘーア(陸軍)の軍曹だと思うよ。階級章、制帽の顎紐が黒革、ベルトのバックルが陸軍制式、マンテル(コート)の襟からチラ見えしてるのはドッペルリッツェン(今でもドイツ軍将兵の襟に輝いている)。

    • +7
  13. この時代だからもちろん本物のクマの毛皮使ってるんだろうな。
    昔の人の紹介っていつもお堅い情報ばかりだから、こういう人間らしさに触れるとより身近に思えてくるよ。

    • 評価
  14. こりゃMAN WITH A MISSIONの先祖ですわ
    立派に使命を全うしていたんだな

    • +3
  15. 良い…すごく良い…
    妄想が掻き立てられる

    • 評価
  16. 9は米軍兵士達がアイクジャケットを着ているから第二次大戦後の写真だと思う。

    • 評価

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