
中世や近代において、人狼の疑いをかけられた者は魔女のように裁判にかけられ、拷問によってその正体を自白させられた。実際に獣のような凶暴さに取り憑かれた連続殺人鬼である者もいれば、人との交わりを避けて暮らす狂人もいた。いずれの場合でも、彼らの存在は周囲を恐怖に陥れてきたのだ。
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10. パリの狼

その冬、飢えた狼の群れが街に侵入し、パリの住人40人を殺害した。狼は赤毛だと伝えられており(スペイン北部に住むイベリア狼と思われる)、その群れのリーダーは「コートード(切り尾の意)」と呼ばれ恐れられた。
すぐに群れの駆除が決定され、武装した住人は狼に襲いかかった。狼はノートルダム大聖堂の前に追い詰められ、全匹が息絶えるまで槍と石を投げつけられたという。
9. ギシンゲの狼

Manhunters - The Man-Eating Wolves of Gysinge - filmreszletek: farkasok (trailer)
8. ヴォーの人狼裁判

騒動が落ち着き始めたのは1653年のことだ。ユグノー派の牧師であったフランソワ・ペローが『悪魔学』というパンフレットを編纂し、人狼は鬱や幻覚によって起こるもので、魔術とは関係がないと主張した。こうした教会の態度は裁判にも反映されるようになった。1670年、12歳の少年は母親が人狼に変身すると訴えたが、これが真に受けられることはなかった。
7. ヴァレーの人狼裁判

他の地域の魔女裁判とは異なり、ヴァレー州ではオオカミ憑きを疑われた人間も訴えられた。当時のフランスとスイスの裁判所が魔術とオオカミ憑きを結びつけて考えていたからだ。
それから数年のうちに、魔女裁判はスイス中に広まることになる。ヨーロッパの歴史上おそらく初めての大規模な魔女狩りであり、ヴァレー州では100人もの住人が魔女とオオカミ憑きの容疑で火刑に処せられた。
6. トゥルクの狼

最初の犠牲者は8歳の少年だったが、発見された遺体は食いちぎられ、ひどい有様だったという。さらに似たような状態の犠牲者が発見されると、政府は狼討伐のために兵士15人とハンター9人を派遣した。
フィンランドでは現在においてもこの年は「狼の年」として知られている。狼が血に飢えた牙で子供を襲うという話が広まり、親たちは次は自分の子供が犠牲になるのではないかとひどく怯えていたという。1882年、老いてほとんど牙の抜け落ちたメスがハンターによって撃たれた。それから12日後、オスの狼が毒殺された。間も無く3匹目も殺され、事態はようやく沈静化する。
5. ブラデンボロの獣獣

事件は1953年12月29日、アメリカ、ノースカロライナ州クラークトンで起きた。その日の晩、ある女性が近所の敷地にいた異常なまでに大きな猫らしきものを追い払った。次に目撃されたのは大晦日の晩である。ブラデンボロ警察が犬が2匹殺されたという通報を農場から受けている。
それから程なくして、ブラデンボロ警察には巨大な獣が犬を襲って森の中に引きずって行ったと何度も通報されるようになる。地元の新聞紙が事件を聞きつけた時には、犬数匹が無残に殺され、血を啜られていた。
それから数週間、ブレイデン郡中で謎の生物が目撃され、羊、豚、犬が襲われるようになった。足跡から推測すると、体重は45〜70kgで、絶滅を間逃れたクーガー、クマ、狼などが疑われた。今日ではブラデンボロの獣の正体を未確認の動物ではないかとする説もある。
Vampire Beast of Bladenboro - Paranormal Documentary
4. メイン州パルマイラの包囲

2007年、パルマイラに住むある夫婦が恐ろしい夜を体験した。最近引っ越してきたばかりのシェリー・ロックウェル=マーティンとエリック・マーティンが家の前のポーチの座っていると、狼のような生物が忍び寄ってきたという。2人によると、その生物が人狼であるかどうかは定かでないが、時折後ろ足で立ち上がり、2mはあるように見えたそうだ。
その生物は、一晩中家の側から離れず、時折恐るべき知能を見せた。エリックは狩りの愛好家で猟銃を有していたが、シェリーの願いで鍵のかかった外の納屋に保管されていた。そのため、マーティン夫妻は一晩中家の中に閉じ込められることになった。
だが、不思議なのはこの人狼らしき生物の襲来だけではない。事件の発生前、マーティン夫妻の家の周りを囲む林の中に奇妙な光が見えたという。また、エリックは家の中で古風な服を着た子供の幽霊を目撃したとも証言している。住民の中には、マーティン夫妻の家はあの世との境界に建てられていると信じる者もいるらしい。
3. オハイオ州ディファイアンスの人狼

すぐに地元の新聞紙では人狼の噂が流行りのジョークになった。同紙は1941年の映画『狼男』のフレーズを引用し、センセーショナルに不安を煽った。それでも目撃者は後を絶たず、ある女性は家の玄関を引っ掻く生物を目撃し、3人が警察に保護を申請した。だが、騒動は間も無く落ち着き、いつも通りの日常に戻っていった。
2. オーストリアの人狼騒動

オーストリアで裁判が行われたのは今日幽霊ツアーで有名なモースハム城である。13世紀にザルツブルグ司教によって建設された古城は、1670〜1690年にかけて幾度も魔女裁判が行われたため、「魔女の城」と呼ばれるようになった。
この城では、1715〜1717年に謎の動物によって牛や鹿が殺されている。狼が原因と考えた城主はハンターを派遣したが失敗し、やがて人狼の仕業と噂されるようになった。1717年に数人の物乞いが逮捕され、拷問にかけられた。彼らは、サタンから「黒い軟膏」をもらい、それを塗ることで人狼に変身できると自白している。容疑者たちは有罪とされ、処刑されるか、城の地下牢に幽閉された。
Ghostcircle DVD - Moosham Castle, Austria DVD Trailer
1. ジェヴォーダンの獣

しかし、1766年2月には再び狼による事件が起きる。飢えた狼の群れによって18人が殺害されたのだ。ペリゴールの住民は兵士の到着を待つことなく、ハンターを組織しわずか1ヶ月で群れを殲滅した。ある初老の男性は狼に殺されかけた農夫を鉈で守ったことから、ルイ15世にその勇気を称えられ褒賞と子供の兵役免除が与えられた。
今日、それらの狼のうち2匹の剥製がティヴィエのシャトー・ド・ラザックに展示されている。
via:listverse・Translated hiroching
人狼なるゲームが流行っているが、歴史上に見る本気の人狼、およびオオカミはやばいくらいの伝説を残していたようだ。
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コメント
1. 匿名処理班
人狼ゲームは面白いよね。
ロボは?ロボとブランカは??
2. 匿名処理班
狼ってよほどの事が無いかぎり人間を襲わないイメージだけど
やっぱり空腹だったり人間の味を覚えると襲うんだねえ。
3. 匿名処理班
実話ではないけれど、狼といえば狼王ロボの名を思い出すなあ
4. 匿名処理班
おっかねえ狼の話でお腹いっぱいになった。
なるほどヨーロッパでは狼は悪の象徴なわけだ。
日本人には秩父などで祀られてるけど。
ところで、"母親が狼に変身"って、あの時の声じゃ…
5. 匿名処理班
ユーラシア大陸の狼は人を襲うが、アメリカ大陸の狼が人を襲った記録が殆ど無いのは、人間が最初に移住した時の力とそれに伴う狼の習慣の違いによるものらしいね
6. 匿名処理班
ロボとブランカは実在やで。写真も残っている。家畜被害は大きかったが人間を直接襲った記録はなさそうなのでここには入らないのかな?
7. 匿名処理班
ジェボーダンの獣は映画になっていて、ヴァンサン・カッセルが出てる。アクションと映像が見事だよ。
あと、アメリカ原住民の俳優さんが、野性味があってエレガント。
8. 匿名処理班
オーシャンズのナイトフォックスだっけ、古いアニメファンにはおなじみの
”ガリアンソード”も登場するよ<ジェヴォーダンの獣
9. 匿名処理班
ジェヴォーダンの獣って狼とは特定されてないんじゃなかったっけ
映画は大好き
クリストフ・ガンズは素晴らしいクリエイターだよね
10. 匿名処理班
※8
そうそう、怪しげな雰囲気でなかなか面白かったよね。
11. 匿名処理班
コートードってシートン動物記にあったフランスの狼王かな?
本ではクールトーって書かれてたけど、尻尾がないって意味だから合ってるはず
12. 匿名処理班
ついこの前、「狼さんが森を救う」って記事を書いたばかりじゃないか (TAT)
13. 匿名処理班
映画のジェヴォーダンの獣、大好き!マークダカスコスがかっこよかったなぁ
14. 匿名処理班
タイトルが下記である以上、
ロボが入ってないのは納得いかん!
>歴史上有名な10匹のオオカミと人狼伝説
と思ったのだが、
内容を読むと人を襲うことが前提なのね。
ロボたちは主に家畜を襲ってただけだもんね。
その意味では至極健全なオオカミだ。
15. 匿名処理班
※4
思いっきり実話だよ。
16. 匿名処理班
やっぱり狼王といわれたロボがいないのはなんとなく腑に落ちないな
17. 匿名処理班
俺の読んだシートン動物記には、ロボともう一匹フランスの狼王クルトーってのがいたと思う。
これでいうとパリの狼なのだろうか?名前ちがうけど確かこんな話だった気がする。
18. 匿名処理班
狼の居た環境に入り込んだ人類が悪かった事例が圧倒的に多いのが、お互いにとって悲しい結果となってしまったのが何とも…
うちの子(ウルフドッグ)も、お年寄りや犬嫌いな人が見ると非常に嫌悪を抱く様で、散歩の時間など気を付けなければいけない事が多いです。ただデカいだけで子供みたいに人なつこく猫好きで口がデカく頭もデカいけどクルクルパァ(笑)な所があり、注射が怖い普通の犬なんですけどね(笑)
19. 匿名処理班
冤罪も多い気がする
20. 匿名処理班
真っ先にロボが思い浮かんだ
ランク外とか納得いかん
21. 匿名処理班
だいたい最後は人間が殲 滅してるじゃないですかやだ〜!
22. 匿名処理班
ロボがいないんだね
23. 匿名処理班
一番最初に挙げられてる話、実際はパリに群が侵入したどころじゃなく、数年にわたってパリが完全に狼に包囲されたんだよな。
今みたいな火器のない時代によく駆除できたもんだと思うわマジ……。
24. 匿名処理班
狼も普通の犬みたいに喜怒哀楽があると思うから、何とも切ない気持ちで記事を読んだよ。。
25. 匿名処理班
狼王ロボはランク外か…
小学校時代にシートン動物記を読んでから自分の中ではずっと素晴らしいヒーローだったのだが
26. 匿名処理班
今じゃ狼がバンドを組んでるんだもんなぁ…(しみじみ)
27. 匿名処理班
今の狼とは別と考えた方が良さそう。作られた経緯とか無視すれば『野生化したピットブル』みたいなもんでないすか?
28. 匿名処理班
「ジェヴォーダンの獣」は、なんか政治的に利用されたんではないかという説もあったりして、狼より人間のほうが怖いかも〜
29. 匿名処理班
みんな狼王ロボが大好きで嬉しいな
30. 匿名処理班
シートン動物記が入ってない
31. 匿名処理班
動物は理性を除く機能は人間と同等と考えたほうがいい。
理性がある分だけ人間が有利なだけ。 そうすると世の中が見えてくる。
32. 匿名処理班
はいはい、狼の所為、狼の所為
33. 匿名処理班
シートンは本国ではあまり知名度がないって聞いたけど
こういうの見るとそうなんだなと感じるね
輸入先で(しか)評価されてないってのは洋の東西を問わずあるよね
34. 匿名処理班
ロボとブランカの話は無いのか・・・としょんぼりしてたら
コメ欄にめっちゃ出てきてるwww
35. 匿名処理班
昔は家畜を殺されたら一家飢え死にみたいな農民も多かっただろうし、
戦死者や病死者の死体を食って人の味を覚える狼も多かったろうから、
狼が恐れられたのも全く故なしとは言えない
人と野獣の共存は難しいね
日本でも狼に人が襲われた話は結構あるし
詳しくは平岩米吉の『狼ーその生態と歴史』を読んでみて
36. 匿名処理班
※20
冤罪じゃなかったら本当に人狼だったって事になるだろw
魔女狩りにしろ、誰かにとって都合が悪い人間を消す為の作り話だよね
37. 匿名処理班
Production IGの人狼を思い浮かべた私
38. 匿名処理班
ロボかっこよすぎ。
犬だけどほれるわ。プロポーズされたら喜んで受ける。
39. 匿名処理班
なおジェヴォーダンの獣の剥製はハイエナのもよう…
いやそもそもシャステル(ジェヴォーダンの獣を倒した人)が射ったぞとしか書かれてない胡散臭い物体なのだが
40. 匿名処理班
ニホンオオカミは大したことないが海外のハイイロオオカミは人間瞬殺出来るからなあ
それでも憎々しい猪鹿を間引いてくれるなら歓迎するわ、さっさとエゾオオカミ輸入しろ
秩父で祀られてるようにニホンオオカミは農家にとっちゃ守り神なんだよ、畜産は知らん
41. 匿名処理班
「狼男だよ」
42. 匿名処理班
おい、ロボもだがクルトーはどうした?
43. 匿名処理班
尻尾が切れた狼王クルトーをリーダーとした一群はヒトの味を覚え、パリの街を包囲して、救援に駆けつけた部隊までもを襲ってその兵士やウシ、ウマを喰ったそうだ。
シートン動物記ではある騎士と一騎打ちになったラストだった。
木村しゅうじさんが挿絵を描いてたやつ。
オオカミはやっぱりかっこいい!
44. 匿名処理班
※39さん
ブランカさんを超えるいい雌(おんな)で無い限り、望みは薄いぜ?
45. 匿名処理班
※43
その名前は出てないけど載ってるみたいよ。
46. 匿名処理班
歴史のフィルターで、やんごとなき人が犯した事件は、狼の仕業になってない?
ウルフガイ 犬神 明
47. 匿名処理班
ブランカを殺された後ロボの遠吠えを聞いてシートンが後悔するとこでいつも泣く
48. 匿名処理班
悲しくて最後まで読めなかった
49. 匿名処理班
※48
でも仕事として請け負ってたし、
後悔しつつも結局はロボも捕殺してしまったんだよな
仕方がなかったことだけれど、
作品内では仲間を削がれブランカを失った哀しみ&パニックで、
ロボの群れは壊滅状態という描写だった。
もうロボを見逃しても良かったのでは・・・・・・なんて後世の人間は考えてしまうけれど、ロボに対する恐怖やそれまでの被害を考えるとそれは無理な相談だったんだろうな。
50. 匿名処理班
※48
そのコメントに泣いた
51. 匿名処理班
子供は襲わなかったウィニペグのオオカミみたいなのもいるからなぁ。
52. 匿名処理班
ブブララデデンンボボロロのの獣
やっぱロボがほしいよな。
53. 匿名処理班
ロボの話がいっぱいでウレシイ。
オオカミは悪いイメージ作られてる感じ。
ロボの話でアラスカのロミオの話を思い出してしまったよ。
54. 匿名処理班
狼みると人間がいかに彼らを迫害してきたかが滲んでくるようで申し訳なくなる…
絶滅に追いやったり大量に狩ってみたり 住み分けできんかったのかな
55. 匿名処理班
こんなモン大半が人間の所業。狼は死体の始末とスケープゴートに使われただけだワ。
56. 匿名処理班
※51亡くなった飼い主が子供だったから人間を恨んでも子供は見逃したんだよね。ウィニペグのオオカミ。悲しい話だ。
シートンのオオカミの話だとバッドランドのビリーが好きだ。
ロボとは逆に、人間を縄張りから追放する話。
仲間を守るために群れの最後尾に回って、崖で犬の群れを蹴散らすシーンが痺れた。
57. 匿名処理班
シートン動物記では狼王ロボとバッドランドのビリーが印象的だったな
ビリーは結局人間に勝ったし
58. 匿名処理班
おい狼王はどうした?
別格か?
59. 匿名処理班
フェンリルとスコルがおらんぞ
神話上の存在だけど神話ってのは過去の人間が作ったもんだろ
なら歴史上有名と言っても過言ではない