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これまで科学が解き明かした猫の認知能力に関する7つのこと

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(著)

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 一体猫の頭の中では何が起きているのだろうか? 猫煩悩な飼い主の気持ちを少しくらい分かってくれているのだろうか? 賢さのほどは? 猫は本当に飼い主の味方なのか? それともあわよくば飼い主を下僕たらしめんとする狡猾な小悪魔なのだろうか?

 猫の飼い主のみならず、これから猫を飼おうとする人にも必見の、科学者たちが明らかにした猫の認知に関する7つのことを見ていくことにしよう。

1.猫はこれまで考えられていた以上に社会的認知能力がある

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 昔から猫は単独で生きる動物と考えられてきたため、その社会的認知についてはようやく研究が始まったばかりだ。だが、これは猫の祖先が単独行動動物であったことにおそらく起因する、よくある誤解だ。

 猫は非常に豊かな社会生活を送っている。確かに単独行動をとる猫もいるが、数百匹もの猫たちと複雑なコロニーを形成するものもいる。さらに大勢の猫たちが人間と生活を共にし、飼い主や一緒に飼われている犬や鳥などの動物たちと固い絆を育んでいる。

 そうした人間との絆や交流の研究からは、猫が人間の気分に応じて行動を変えることが判明している。ある研究では、落ち込んでいると答えた人に対して、猫が体を擦り付ける時間が長いことが明らかとなった。別の研究からも、飼い主の気分によってアプローチの方法が違うという結果が出ている。

2.猫は数がわかる

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 まあ、大雑把にということだが。2009年の研究によれば、猫を訓練すれば、点2個の集合と点3つの集合を見た目で区別できるようになるそうだ。また、ライオンを使った実験では、1匹のライオンと3匹のライオングループの鳴き声を記録したものを区別できている。多少なりとも数に強いことで、ありつける食事の量を増やしている可能性があるが、この能力の進化上の利点を理解するにはさらなる研究が必要だとのことだ。

3.猫にも体内時計が備わっている

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 愛猫家なら、猫は食事や就寝の時間をきちんと分かっていると感じている人もいるのではないだろうか? 猫の時間感覚は他の動物のものと一貫しているが、猫を対象としたきちんとした研究がないため、科学的にはっきりとした証拠がない。

 だが、猫が異なる長さの時間的間隔を区別できるという裏付けはいくつかある。1976年、猫を閉じ込める実験で、5秒と20秒ではその違いを区別していた。時間的間隔を区別する能力は、猫に体内時計が備わっており、出来事の長さを測っていることを示唆している。

4.視界から物が消えても物が存在すると認識する能力がある

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 人間の赤ちゃんの認知における一里塚は、ある物体が視界から消えてしまっても、それが継続して存在していると認識できる能力の芽生えだ。これを「対象の永続性」という。猫はハンターであるため、こうした能力があれば非常に有利だろう。

 そこで、科学者は可視移動試験(visible displacement test)で、対象の永続性を認識する猫の能力を試してみた。実験では餌などの猫の関心を引く対象を障害物の後ろに隠して視界から消し去った。猫が障害物の後ろを探しに行ったことから、実験は成功と考えられている。つまり、猫には視界から物が消えても物が存在すると認識する能力があるということだ。

5.場合によっては視界から消えた物を探し出すこともできる

 対象の永続性を認識する能力は、不可視移動試験(invisible displacement test)というさらに難易度の高い方法でも確認できる。この実験では、興味を引く対象を容器の中に入れてから、壁の後ろに移動する。そして、猫が見ていないうちに対象物を容器から取り出し、空の容器を見せる。

 これをクリアするには、対象物がもう容器の中には入っておらず、壁の後ろにある間に取り出されたのだと理解できなければならない。人間などの賢い動物ならば、壁の付近で消えた対象物を探し始めるだろう。しかし、この手法を用いた多くの研究では、猫はこれをクリアできなかった。

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 だが、不可視移動試験の別バージョンによる実験では違う結果が得られている。ここでは19匹の猫に、透明な部分と不透明な部分でなるスクリーンのような器具を見せた。ここには透明な紐で餌が取り付けられている。

 餌はスクリーンの透明な部分から見えるようになっており、それを動かして猫の気を引いた。猫が近づき始めると、餌はスクリーンの不透明な部分の後ろに引っ張られ、視界から消される。実際には後ろにあるもう1枚の第二スクリーンの裏に引っ張られている。そのため、猫は餌が第二スクリーンの後ろに消える瞬間を見ることができない。

 にもかかわらずこの実験では、ほとんどの猫が試験をクリアし、餌を見つけることができた。研究者は、この手法は元のバージョンに比べて、猫が進化した態様により適合しているのではないかと睨んでいる。例えば、紐に吊るした餌の動きは、自然界における獲物の動きにより似ており、猫は実験に興味を持ちやすいのかもしれない。

6.猫は因果関係を理解する能力はあるのか?

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 因果関係を理解する能力があれば、ある状況で起きた出来事を新しい状況に当てはめることができるようになるため、多くの種にとっては非常に有益なものだ。

 2009年の実験では、研究者は猫を訓練して、箱から垂直に垂れている1本の短い紐を引っ張るようにした。猫に見えているのは紐の先端だけであり、これを引っ張ることでを餌を手に入れることができる。

 次に、長い紐1本、平行の紐2本、交差した紐2本といった具合に、紐の配置を変えてみた。紐が2本あれば、その片方には餌が取り付けられている。実験の猫が餌を手に入れるには、正しい紐を引っ張らなければならない。チャンスは10回与えられた。

 猫は1本の紐を引っ張って餌を手に入れることはできたが、2本の紐がある状況では一貫して同じことができなかった。したがって、猫は紐と餌との因果関係を理解していなかったようである。

 しかし、実験方法をより猫向きにしなければ、猫の物理的な因果関係の把握能力を正確には計測できなかったのかもしれない。紐実験の研究者は、例えば、猫にとっては餌を手に入れなくても、紐を引っ張ること自体が十分報酬になっていた可能性もあると指摘する。

7.猫の認知能力は年齢とともに衰える

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via:braindecoder・原文翻訳:hiroching

 人間と同じく、猫の認知能力も年とともに衰える。最近の飼い猫は栄養状態がよく、また医療体制も充実しているために長生きする。しかし、そのお陰で猫の認知機能障害も増えてきた。これは脳細胞の消失や脳組織の縮小によって起きる。どちらも診断が難しく、かつ治療も困難だ。

 うちのけもの場合、台所のレンジ台などの危険なところに乗った時、しつけ人形をもってコラー!とその都度起こったら、しつけ人形を登ってほしくないところに置いておくだけで登らなくなったので、因果関係を理解しているような気もしなくもないのだが、そこんところどうだろう?猫飼いの諸君。

 ということで動画の方はトイレを流すと必ずその流れ具合を確認するけもだ。

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この記事へのコメント 41件

コメントを書く

  1. 8.ぬこは人類を下僕化する能力がある
    がない

    • +51
  2. テレビ見ているときに猫とか鳥とか消えると
    テレビの裏に探しに行ったりするよね

    • +1
  3. >紐を引っ張ること自体が十分報酬
    ネコ「なんと楽しい紐であることか!!」
    分からないでもない

    • +29
    1. ※3
      うちの猫はテレビの画面から鳥や小動物が消えると窓の外を確認しに行く

      • +8
  4. 因果関係は理解している。ただし、それに準じて行動を決定するかは 気分次第。

    • +38
  5. 猫の時間感覚はかなり正確だと思うけどな
    毎日同じ時間に寝ようって言い出すし起きる時間も大体同じだわ

    • +55
    1. ※5
      ある獣医の言葉
      「猫は犬に比べ馬鹿なんじゃない。やる気が無いだけだ」

      • +11
      1. ※32
        そりゃ研究そっちのけになるぐらいモッフモフにされてしまうからなぁ……人間側が。

        • +4
  6. 世界中にこれだけ猫を飼っている人がいるにもかかわらずあのきまぐれでかわいい生命体について人類は、さほど多くのことを知れていないという事実

    • +18
    1. ※6
      そうそう無駄に健康的な生活を強いられるよね。
      特に彼等の腹時計は正確。(たまに時間違ってるの分かってて強請るときもあるけど、注意すると直ぐに諦める。で、時間になると強請りに容赦がなくなり一歩も引かないんだよね)

      • 評価
  7. うちの猫はドアノブに飛びついて扉を開けるから因果関係は理解してそう

    • +24
  8. エサのある扉のカギを開けてしまう、レバーハンドルの扉をジャンプして開ける、他にも因果関係を多少なりとも理解している行動は取る。
    体内時計に関しても、うちの子達は確実に6:30に飼い主を起こす。休日でも。
    どんな行動も欲求によるものだと理解しているけど、違うのかな?
    猫は自由気ままといわれるくらい、自分の欲求に正直だからこその行動原理だと思う。
    そんな猫様の下僕に成り下がるのを至福に感じるのも私たちの欲求なんだなw

    • +17
  9. 飼い主をおちょくって愉快と思う認識能力がある
    へびを枕元において飼い主をびっくりさせるのは、母性本能どうこうではなくて。明らかに愉快だからなのだろう

    • 評価
  10. 具合が悪い時に、具合が悪い箇所を温めに来る。
    落ち込んでる時はずっと寄り添いそばにいる。
    これ不思議。

    • 評価
  11. ぬこ様ほんとすき。
    確かに、彼らは人間が思っている以上に、賢い生き物だと思いますね。

    • +8
  12. 猫は人間を「でかい猫」と思っている
    これは結構有名か。

    • +13
  13. 猫って個体差というか性格で行動がかなり変わるから実験は難しそう
    相当数集めないとあかんのでは

    • +6
  14. しつけ人形ってどんなの? なまはげみたいな人形?

    • +8
  15. 猫の研究者
    なんと素敵な響きか
    生涯をかけて猫の秘密に挑み続けるのだ

    • +2
  16. 個体差があるけど、状況に応じて声色や態度を駆使し
    主張をはっきり表せる猫はいる。
    怒った、嬉しい、等の基本ばかりではなく
    「ねぇもう帰ったら?」等の高度なメッセージを。
    少なくとも人間側のフォーマットを理解し
    それに沿って考える事が出来る証拠。
    あるいは人間も実は猫並って事かw

    • +8
    1. ※19
      「猫は少なくとも人間を人間と認識していない。むしろ同等と思っているふしがある(英研究)」
      ここカラパイアの記事で紹介されてまっせ。

      • +4
  17. 人間と一緒で個体差あるよね。賢い子 馬鹿な子。でも人間と違って賢くても馬鹿でも 猫はみんな可愛いのさ。

    • +12
  18. ロシアンブルーは時間に厳しいらしい
    ですよ

    • +3
  19. ワイ、人間。
    5のGIFはワイでも確認しに行く。
    ワテ猫レベル・・・

    • +41
    1. ※22
      プラスをつけようとしてマイナスを押してしまった
      大賛同なのに申し訳ない…!!

      • +1
  20. 猫は因果関係を理解してるぞ。ただし、すぐ忘れるんだが。
    うちの猫は俺の鼻を舐めて、髪も舐めて毛づくろいしてくれる。
    …友達らしい。

    • +4
  21. 野良の子猫三匹を引き取って飼い主探しをした事があるんだけど、生後間もないにも関わらず、弱っている演技をして人間の同情を引く奴がいるのに驚いた(私が保護者だと理解した途端に態度を変えて、兄弟の頭を踏みつけて餌に殺到しやがった)
    こういう部分が「猫を被る」の語源なのかねえ?

    • +17
  22. 家で昔飼ってた猫は、エサ係の長男が決まった時間に立ち上がった瞬間、餌場にダッシュしてた
    その時間以外や、その時間でも他の人間だと動かなかったから、体内時計と因果関係の理解は、たしかにあったと思う

    • +6
  23. うちの猫はドアの前で振り返って鳴いたらドアを開けてもらえることを覚えている。猫様にしつけられました。はい。これも社会性?

    • +8
  24. ドア開けてードア開けてードア開けてー・・・って言われても放っておくと自分のまえあしで開けるのがなんか好き。

    • +6
  25. しかしなんでこんなに猫の研究は進んでないのか

    • +1
  26. うちの猫は前日シーバを与えると次の日も貰えると思ってしばらくキャットフードに
    手を付けようとしないで俺を見上げる。 調子に乗るな。高いんだぞあれ

    • +4
  27. 特定の条件と現象を結び付けて覚えているのは間違いないが(猫缶を開ける音に反応するとか)、それが因果関係を理解してるのか、条件付けされただけなのかは区別が難しい気もする。
    例えば私は、今はもう呼び出しのない仕事に就いているのに、携帯の着信があると過去の経験から反射的に「仕事の呼び出し!?」と思って身構えてしまうんだけど、これは単なる条件付けによる反応だよね。因果関係だけで言うなら身構えないはず。
    或いは因果関係ってのは、突き詰めると複雑な条件反射なのかな。

    • +2
  28. うちのネコは因数分解を理解している!

    • +17
    1. 定義を明確にしよう。
      (1)「AをどうするとBが起きる」←これを因果関係の理解と言うなら、猫は「因果関係がわかる」。
      (2)しかし、「なぜAをこうするとBが起きるのか」という「メカニズムの関心と発見と理解」を因果関係の理解と言うなら、猫は絶望的なまでに「因果関係がわからない」。
      (と、言うより、※37の言うとおり、メカニズムを解明しようとする気がまったく無い)
      (1)に関しては、人間以上に敏感で、人間がドアを開けるのを見て、ドアノブにぶら下がってドアを開ける。
      しかし(2)の能力がゼロ(と言うか、やる気がゼロ)。
      「水道の水をわざわざ難しい飲み方をする猫」は まさにこれで、一度成功したやり方だから、それを続けているだけ。で、他の方法を試そうともしない。
      (人間でもいるけどね。一度成功した方法に固執する人)
      自然界で生きて行く上では、基本的に(1)の能力がありさえすればよく、(2)の能力はあまり必要とされないからだろう。食事の種類もそうだけど、猫は一度パターン化すると、それ以外を受け入れにくい傾向があるようだ。
      ただ、「疑問に思う能力」がないかというと、そうでもないらしく、昔飼っていた猫は満月を見て「あれはなんだろう?」という感じで ずっと見ていたことがある。

      • +3
  29. >>猫は数がわかる
    ネコ「最大で24目標を同時追尾できます」

    • +1
  30. 座ろうとしていた椅子や座布団にサッと座る能力

    • +5

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