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さあ探すぞ!新種の見つけ方

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(著)

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 驚くべきことに科学者たちは日々50種もの新種を記載しており、例えば、ロンドン自然史博物館では年間400種が特定されている。

 もしあなたが新種を発見したいのなら、どこを探せばいいのだろうか? 新種を見つけやすい特に知られていない種類はあるのだろうか? そのコツは何だろうか?

 現在、知られている種は120万種ほどだ。毎年、そこに15000~20000種が追加されている。そして、2011年の推定によれば、今なお750万種が発見されるのを待っているそうだ。

 2014年2月12日、新種の甲虫が特定された。六角形の頭は、金属的な青緑と紫の光沢を放ち、そこからギザギザの触覚が生えている。

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ダーウィニルス・セダリシの唯一の標本

 だが、記載された新種はただの甲虫ではない。かのチャールズ・ダーウィンがビーグル号での航海の途中、1832年にアルゼンチンで採取したものだ。そのまばゆい姿と歴史的な由来にもかかわらわず、180年の時を経て、ようやくテネシー大学のスティリアノス・チャツィマノリス氏が新種であると気がついた。彼はダーウィニルス・セダリシと命名した。

 驚きのストーリーであるが、今後もこうしたことは何度でも起きるだろう。今日では地球上の種などほぼすべて判明していると思うかもしれないが、実際は数百万種が未発見のまま残されている。

 学者が新種を発見したと考えたとき、まずそれが記載済みでないかどうか確認しなければならない。つまり、博物館のコレクションを探索し、専門家に意見を聞き、DNA鑑定などを行う必要があるということだ。それから名前を決め、その詳細、特に他種と区別するうえでの特徴を公表する。自然から抜け出そう

 新種が発見されたとニュースが報じられた場合、発見場所はしばしば非常に変わった場所である。例えば、2013年にはオーストラリア、クイーンズランド州北部にあるメルビル岬の人里離れた山岳地帯に研究者がヘリコプターで赴き、カエルやヤモリなど新種3種を発見した。

 誰も足を踏み入れたことのない熱帯雨林や深海から標本を採取できる人なら、新種を発見する可能性は高いだろう。

 だが、そうした場所なら簡単に見つかると思っているのならそれは誤解だ。それよりももっと可能性が高く、しかも旅費も大してかけずに済む方法がある。チャツィマノリス氏がやったように、博物館に足を運んで、そこに長年保管されている標本をつぶさに観察してみるのだ。

博物館で標本をチェックしよう

 「大きな自然史博物館は、最後に残された大フロンティアの一つでしょう」とロンドン自然史博物館のマックス・バークレー氏。発見者のチャツィマノリス氏もダーウィンのコレクションは研究され尽くされていると思っていたので、非常に驚いていたそうだ。

 博物館の標本が何十年もホコリを被っていたからといって諦めてはいけない。ダーウィニルス・セダリシが眠っていた182年という期間は、通常よりも長いものだが、それでもそうした事例は以外と多い。

標本にするまでに3、4年、新種認定までには平均20.7年

 2012年、フランス、パリの国立自然史博物館が、新しく採取された標本が種として記載されるまでには平均20.7年かかると推定している。

 これほどの時間がかかる答えの一部は、ロンドン自然史博物館の象徴でもあるヒンツェホールから続く分厚いドアの向こうにある。16×73mの部屋には、22個の引き出しがついた1100個の保管棚が並んでいる。そして、そこには17万種からなる1000万匹の甲虫が収められている。甲虫を収める箱はきちんと区分けされ、400匹の甲虫それぞれに小さな文字が書かれたラベルが添えられている。

 「もし、冒険から2万匹の甲虫を持って帰ってきたら、それを仕分けして、標本にするまでに3、4年はかかるでしょうね」とバークレー氏。それから科に分類され、最終的に種へと分類される。

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自然史博物館のマックス・バークレー氏と標本の虫

 当然専門家チームも作業しているので高望みはいけないが、それでもそれほど競争率が高いわけでもない。むしろ最大の問題は、それを見分けることができる専門家が見つかるかどうかだ。甲虫は40万匹もおり、それらに精通した専門家が常に世に存在するとは限らないのだ。

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文字通り膨大な昆虫が収蔵されている

 バークレー氏のチームは、保管室の上の階で種の特定を行っている。その中の1人、昆虫学者のロジャー・ブース氏は観察中の甲虫に興奮していた。肉眼でかろうじて見える0.3mmのそれは、顕微鏡を通すと茶色く見えるが、素人目にはそれほど興奮するものではない。

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標本の多くは数十年間誰の目にも留めれていない

 こうしたホコリっぽい博物館での地味な作業が性に合わなそうならば、別の手もある。あなたのごく身近なところから新種が見つかることもあるからだ。

身近なところで新種が発見されることもある

 例えば、ロンドンの王立植物園のブリンナー・デンティンジャー氏は、妻が買ってきた干キノコ(ポルチーニ)の袋の中から新種の菌類を3種発見した。2007年に発見されたサンショウウオの仲間パッチ・ノーズド・サラマンダーは米ジョージア州の田舎道から20m離れたところで見つかった。大西洋ヒョウガエルの発見地はニューヨークのスタテンアイランドだ。

 特定の種はあまり注目されていないことを覚えておくのもいいだろう。2011年の研究によれば、870万種のうち記載されているのは14%でしかないが、界ごとの割合は判明しているという。植物の70%が既知であるのに対して、藻類では50%、単細胞原生動物では22%、動物や菌類ならそれぞれ12%と7%に低下する。

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意外なところで新種が見つかることもある

 これは食用できたり、利用価値のある種が注目されることや、単純に特定の生物は見つけやすいことに起因する。例えば、多くの菌類は極小でそれらの食糧源の中に潜んでいる。しかも、その姿もよく似ている。

 この段階で、そもそもジャングルを探索したり、博物館に入り浸ったり、大変な労力を払って種に名前をつける行為に意味があるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。そして、種の定義に絶対のものなどないと知れば尚更かもしれない。

 一般に、2つの生物が他の種のそれよりも多くの共通した特徴を持っており、交配して子を残せる場合に、同じ種に属しているとされる。

 だが、犬の犬種を見れば分かるように、種の品種は実に多様だ。また、雑種も子孫を残せる。したがって、ある生物が新種であると言えるほど異なると判断する行為は、本質的に主観的なものなのだ。

魔法のキノコ

 だが、まず言っておきたいのは、未知の種が非常に有用な能力を有している可能性だ。これは特に菌類について当てはまる。これについて、デンティンジャー氏は「菌類は世界の基礎」と述べている。人間は食や薬品に関して菌類に大きく依存している。物質を腐らせるのも菌類であり、植物もこれなしでは生きていけない。こうした重要な作用のすべては、既知の10万種の菌類のわずか1%からもたらされている。その潜在的な価値が分かるだろう。

 それだけではない。いくつかの科学の大発見は、種の違いを理解することなしに起きることがなかった。一例を挙げるなら、そうした理解がなければダーウィンが進化論を着想することはなかっただろう。ダーウィンがマデイラ諸島やカナリア諸島についたとき、彼が注目したのは昆虫間の違いだった。個々の種をつぶさに観察して初めて、そこにあるパターンが見えてくる。

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カナリア諸島のグラン・カナリア島

種の収集は自然界を守るために必要

 種の収集は自然界を保全するうえでも役に立つ。種は単に食や木材を提供するだけでなく、水を浄化し、作物を受粉させたりもする。種の違いを理解すれば、それぞれが果たす役割も判明し、そうした利益を保全する必要性が認識されるだろう。

 また、ときに直接的に便利であることもある。1951年、ハンガリーの昆虫学者がオーストラリアを訪れたとき、牧場に牛糞が異常に長く存在することに気がついた。これでは牧畜に利用できる土地が少なくなってしまう。観察の結果、オーストラリアのフンコロガシは、カンガルーやウォンバットの小さくて硬い糞に適応していることが判明した。1880年代から導入された牛の大きくて、柔らかい糞には対応できなかったのだ。そこで幾つかの実験の末、50種ほどの海外のフンコロガシが20年かけて導入され、牛糞の清掃にあたることになった。

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分類学の実用例の一つでるフンコロガシ

 これぞ昆虫学が大きな経済効果を上げた驚異の事例である。

via:knowledgenuts・原文翻訳:hiroching

 新種発見はパルモのかねてからの夢なのだが、今はインターネットで文献を調べることもできるわけだし、常に好奇心を持ちながらまずは身近なところから地道に探していくことにしようっと。

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この記事へのコメント 16件

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  1. 要するに見分けられるかが全てであってジャングルの奥深くまでいく必要はないってことだけど
    むしろハードル高いっていうか夢がないわそれ

    • +1
  2. どこにでも新種発見の可能性があるということはむしろ夢がそこら辺に転がっているようなもんジャマイカ

    • +5
  3. 千石正一か海野和男か荒俣宏か、お好きな将来をお選びください

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  4. 近所でも、まだ名前もついてない菌類とか結構あるよ

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  5. この間真青なマイマイカブリと真緑の蛾が部屋に入って来て、これは新種か!てwktkしたけど普通にいる個体だった。

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  6. 沖縄には、まだまだ新種がいっぱいいるらしいけどなぁ

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  7. 何年か前に、ロンドンの街角で新種の生物が発見されてたね

    • +1
  8. コケ・菌類なんかは新種を発見しやすいと思う。コケの分類は地獄だが・・・

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  9. 身近で発見するのは難しいそうだ
    よくコスタリカで暮らす日本人研究者(昆虫)が紹介されているが、発見の可能性が高い場所で地道に研究するのが真っ当な手段なんだろうな。

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  10. メダカが実はまだ種として記載されてなくてちゃんとできれば新種になるけど、もう人手で世界中に広がってるから原産地がどこかも分からなくなってとても論文にできないと聞いたことがあるなあ。

    • +1
  11. 一番難しいのは他の大人が忙しく働く時間に
    地面にはいつくばって虫の観察をする仕事を続ける
    スポンサーを見つけること。子供が時々新種を見つけるのは
    その両方を気にしないでいい立場にあるから。
    海洋生物は写真や映像に需要があるけど虫は意外と
    金にならない。魚や水棲生物の方が研究対象としての
    奥深さ(映像・食料資源・生態)等で研究需要がある。
    生活を考えて泣く泣く虫の研究をあきらめてる学者は多い。

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  12. サイクルの早い種を狙えば確立上がるんだろうな

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  13. 1,2年ぐらい前に東大の敷地や皇居で新種が見つかったことがあったなあ
    案外身近すぎると気が付かないものだよね

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  14. 今年は虫採りしてる子供をあまり見なかったな
    あまりにも暑かったからだろうか
    未来の昆虫博士カモン!

    • +2
  15. 発見したい新種って誰が見ても新種って思うような珍妙なものであって
    単に見分けが難しかった誰もが知ってるものを20年かけて判別しても逆に悲しくなるわ

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  16. 整理されていない甲虫ならハネカクシとかゾウムシだな

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