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氷からトゲがシャキーン!氷のスパイク化現象の原理と作り方

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(著)

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 氷の上からニョキーンとトゲのようなものが伸びることがある。このトゲは必ず60度の角度で形成されるということをご存知だろうか?そもそもなぜ、このようなトゲができるのか?その謎について、科学を題材としたVeritasium が動画で解説している。

Ice Spikes Explained

 冷凍庫で氷を作って取り出した時に、氷に角が生えているのを見たことはあるかい?なぜこのような角ができたのか?氷の魔人が触手を伸ばしているわけではない。

 その理由はこうだ。

 まず、水を冷凍庫に入れると、冷気が直接あたる表面で蒸発冷却が起こり、表面から凍っていく。水が凍って固体となると、その体積は約8%膨張する。(この原理は、液体の時は分子が隙間に入り込み、平均3から4本だった水分子が、固体の氷になると4本の水素結合で規則正しく並び隙間がうまれるためである。)

 外側から氷という固体になっていくと、液体のままの水は中へ中へと追い込められていく。そして行き場がなくなると、固体である氷の一点を突き破り、上へと逃げ場を求めるのだ。氷の結晶は60度の角度で形成されるため、この時にできる氷の穴は通常、三角形をしている。そして穴から出た水が上へいくと同時にその表面から凍っていく。水はさらに逃げ場を求め、全て凍って固体となるまで、上へ上へと突き出るのだ。

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 この氷のトゲは一般的な冷凍庫で作ることができる。その際に重要になるのが次の3点だ。

1「理想的な冷凍庫の温度は-5℃から-8℃」温度が低すぎると、氷から飛び出た水がすぐ凍ってしまい、角ができにくくなる。-5℃から-8℃はゆっくりと凍らせることができる最適な温度となる。

2「水道水より蒸留水のほうがよい」水道水に含まれている不純物により、角の形成が難しくなる。

3「冷凍庫の送風機を使う」送風機を使うことで、空気を循環させ、蒸発冷却を促す事ができる。

 この条件を上手く満たすと、とても大きな氷の突起物さえ作ることができる。水盤などにできる「氷の花瓶」がよい例だ。

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 このような現象を見ると、興味深い事実がみえてくる。そもそも、このような突起物は水の異常性の一つ「固体になると体積が増える(密度が低くなる)」という性質によるものだ。もし、水にこのような性質がなければ、この地球は全く違う姿になっていただろう。

もし氷の密度が水より高かったら地球はどうなる?

 氷というのは水と比べ密度が低いため、水の上に浮かぶことができる。そして、太陽光を通すことで、氷の下の水は液体の状態を保つことができ、生物たちが生息できる環境となっている。

 しかし、仮に氷が水より密度が高かったと想定すると、氷は水中に沈むこととなる。表面にさらされた水は凍り、氷となり沈み、新たに表面にさらされた水が氷となり沈む、それが繰り返されるのだ。その結果、底面から氷が積み重なり、水中で暮らす生き物たちは、徐々にその場を奪われていくこととなってしまうだろう。

 最終的には、全ての水が凍り、氷になってしまう。生物の暮らせる環境ではなくなってしまうのだ。地球は真っ白に染まり、太陽光を反射し熱を蓄えないため、冷たくなる一方だ。

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動画翻訳:melondeau

 つまり、水が凍った時に膨張しなければ、地球は極寒の地となり、生物の姿が消えた雪玉となってしまうのだ。

 また、最初の環境次第では逆の可能性も起こりえる。もし氷が水より密度が高く、水中に沈んだとしても、そもそも地球上に少しの氷しかない状態だとしたら、水はより多くの太陽光を吸収し、地球の温度は上がる。どちらにせよ、氷が沈むと地球は極寒になるか、極暑となり生物の生きる余地はなくなる。

 氷が水よりも密度が低いおかげで、我々生物は生きていられるってわけなんだね。この特性がなかったら、氷のトゲも作る事ができないしね。てことで、夏休みの理科実験は、氷のトゲとかどうだろう?

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この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 氷の方が密度が高かったら、ある水深以下は全て氷になりそうだなぁ

    • +1
  2. 沈んだ氷は圧力と地熱で水に戻るから地球は雪玉にはならないと思うよ。

    • -3
    1. ※2
      氷の方が密度が高かったら圧力が高まると余計に氷になりやすいのでは?

      • 評価
    2. ※2
      「圧をかけると液体になる」は氷が水より体積が大きいから起きる現象。
      圧により体積の小さい形=水という形態をとろうとするからそうなる。
      もし水より氷のほうが体積が小さいならば、水に圧力をかけることでより体積の小さい氷となる。
      そして地熱を受けやすい深部に行けば行くほど水圧は上がり、より強固な氷となる。
      これで※1の言う「ある水深以下が全て氷」が出来上がる。

      • 評価
  3. もし氷が水の下に沈むなら「アイス・アルベド・フィードバック」が発生せず、地球の反射率が氷によって下がらないので、太陽熱を吸収しやすくなり温暖化するともいえるな。

    • 評価
  4. 氷のとげとげなんて見たことがなかったので、とても新鮮です

    • 評価
  5. うちの冷蔵庫たまになるわ、2年に一度くらい見る
    上からたれたんだと思ってた

    • +9
  6. 昔(昭和40年代)の冷蔵庫でよく見たやつ。懐かしい。

    • +2
  7. おーこれ長年の謎だったんだよ!
    パルモたんありがとうさんきゅーですあいしてます!

    • +1
  8. アイスパックを凍らせると、真ん中あたりが山のように盛り上がるのも、同じ理由かな?

    • -1
  9. あの少佐専用の例のアレみたいでかっけえ!!

    • 評価
  10. 会社の冷蔵庫でこれができてて何故こうなるのか先輩と議論したな

    • +2
  11. 体積についての説明ありがたい
    氷のままでも溶けても、コップの水があふれない理由が分かった

    • 評価
  12. 昔の冷蔵庫(の冷凍庫)で見たなあ、こういう氷…
    ついでに、金属製の製氷皿に指がくっつきやすかったことを思い出した40代

    • 評価
  13. >冷凍庫で氷を作って取り出した時に、氷に角が生えているのを見たことはあるかい?
    (見たこと)ないです

    • +6
    1. ※20
      北極点に陸地はないけど、北極圏には結構陸地があるよ。
      南極ほどじゃないけどね。

      • +3
  14. こんな沢山つんつんしてなく、一本だけだけど初めてこれが出来ててびっくりして調べたら、なるほどという感じです。

    • +1

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