
ここでは心理学を悪用した10の非道徳でやり口の汚い、卑劣な事例を見ていくことにしよう。
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10. 捕虜の尋問プログラムを悪用し、情報を引き出す技術を開発

ところが残念なことに、9.11以降、CIAや国防総省の多くの高官たちは、手段を選ばずに捕虜から情報を引き出すことこそが、心理学者たちの義務だと考えるようになった。
軍の心理学者、ミッチェルとジェッセンは敵の抑留者を落とすために、軍のSEREプログラムを逆に解析して、ストレスを与える姿勢をさせる、水責め、屈辱を与えるなど、敵の士気をくじくさまざまなテクニックを編み出した。
彼らの解析成果の多くは、学習性無力感という言葉を作ったドクター・セリグマンの研究がきっかけになったという。犬が逆らわなくなるまで徹底して電気ショックを与えると、彼らはチャンスがあっても痛みから逃げようとしなくなるという。セリグマン自身は軍のこうした行き過ぎた拷問テクニックへの関与を否定していたが、彼の研究は確かにSEREの逆行分析をした心理学者に影響を与えていたのだ。
9. 心理作戦(PSYOP)で有力者に戦争を支援させる

コードウェルは心理作戦の実行に不本意だったし、実際に行ったことはそれほど極悪非道なものではなく、公に入手可能な情報を集めてそれを分析し、訪れた政治家たちと共有しただけだというのだが、本当はなにがあったのか詳細は闇の中だ。コードウェルの説得法のからくりの全容は本当のところはわからない。
8.北朝鮮による大規模人民洗脳

金正日が死んだとき、国民がみんな泣き崩れている場面を見たことがあるだろう。他国の人は北朝鮮政府によるやらせだと考えているが、10年以上前に脱北したある北朝鮮人女性は、あのシーンの感情は本物だと語る。脱北から10年以上にもなるのに、あの総号泣シーンを見ると、北朝鮮時代に戻って、金正日の神性をもう一度信じたくなるような気になるというのだ。洗脳がよっぽど強烈で、時間がたっても消えないということになる。一度植えつけられてしまった嘘と決別するのは、実際はとても難しいのだ。
7. 社会からの孤立させ精神を崩壊させる拘束方法

ブラッドリー・マニングは、アメリカが海外の軍事作戦で行っている非道を内部告発をして有名になった。まだなんの罪にも問われたわけではなかったのに、マニングは迅速な裁判を受けることができず、軍は勝手に彼に密告の罰を与え始めた。実際に裁判にかけられる数年前に、マニングは監禁され、枕やシーツといった基本的な備品すら与えられず、房を出るのは一日に1時間の運動のみ、もちろんまったく外の世界と接触することはできなかった。
刑務所の医師はこうした処置がマニングの精神状態にダメージを与えることを十分自覚していたのに、彼を人道的に扱う提案もせずに、抗鬱剤を無理やり飲ませるだけだった。結果的にマニングは正式な裁判を受ける頃にはすっかりおかしくなってしまっていた。
6. 感覚遮断実験

学生たちは、つや消しのゴーグル、ホワイトノイズ(あらゆる可聴周波数のノイズ)を発するヘッドホンをつけ、あえて触覚も制限された服を着せられた。その結果、彼らは一時的に認識機能障害になり、暗示にかかりやすくなることがわかった。今でこそこのような実験は非人道的だと思われるが、当時はヘブは被験者を苦しめるようなつもりはなかった。ただこれほど早く劇的に実験の影響が出てきたことに驚きを隠せなかったという。
のちにユーアン・キャメロンという心理学者がヘブのこの実験に興味をもち、治療と称して、自分で考案した感覚遮断を患者に施した。患者を病院に監禁してどこにも行かせず、感覚を遮断して、薬で暗示をうけやすい状態にさせ、彼らを“再プログラム”しようとした。ヘブ自身が”邪悪である”と語っていた実験を再び行ったキャメロンが訴えられたことは言うまでもない。
5. 精神分析医による恐怖支配”ガス燈”実験

残念ながら、心理学の技を学んだ者が同じような手を使うことがある。ある医者が精神治療学を悪用し、ある種のカルト集団をたちあげて、患者に性的虐待を与えた。ついに医者は告発されて、その恐怖支配は終わりを告げたが、患者のひとりはトラウマからあやうく自殺しそうになったという。
4. サイエントロジー(新興宗教)が使う、批判的思考を植え付けるプログラム

このプログラムのおもなポイントは、人をあらゆるものに対して批判的にさせることだ。訓練を受ける人はほかの訓練者と面と向かって座り、ずっと動かず、言葉も交わさずにいる。それから『不思議の国のアリス』からの引用をランダムに無理やり聞かされ、その間も笑ったり、特別な反応をしめしてはいけない。
その他、牛攻めと呼ばれるテクニックもある。これは、相手がなにか反応するまで悪意のある罵り言葉を聞かせるというもの。トーレニング中に適切に対処できないと、落第ということでまた最初からやり直さなくてはならない。こうしたテクニックを組み合わせて、言われたことを鵜呑みにするように人を改造していく。
3. 罪悪感と委縮を誘導して尋問するテクニック

威圧的な尋問方法は、思考し、計画し、自分のことは自分でできるようにする人間の脳の高度な処理能力を崩壊させてしまう。
実際に、軍隊のマニュアルでは尋問は、権力を大いに活用するよう勧めている。相手を委縮させ、罪悪感を抱かせて情報を吐かせるという方法だ。同じ相手に長時間拷問または尋問されると、当人はどうすることもできない状態になり、しまいには尋問者を親のようにすら思い始め、心が崩れそうになる。尋問者はその弱みを利用して、情報をもらさないと悪いという罪悪感を抱かせるようにする。
2. 催眠術で偽の記憶を植えつけるテクニック

今は患者を助けると称して、悪意をもって患者に真偽の疑わしい記憶をよみがえらせる心理学者もいる。虚偽の抑圧記憶のせいで、無実の人間が第一級殺人の罪に問われ、長期の裁判になってしまったことがあった。虚偽記憶を植えつけるのは難しいことではないというのは残念ながら事実だ。わたしたちは決して起こりえないことを簡単に信じ込まされてしまうことがあるのだ。
1. 尋問目的の過度の感覚刺激

例えば、大音量の騒音や水責めなどの過度の刺激を与え続けると、人はまともに反応したり、考えたりすることができなくなる。同じリズムの音を繰り返したりすることも催眠的な効果がある。これは、正常にきちんと周辺のことを処理し続けるためには、脳には異なる刺激が必要だという事実に基づいている。
米軍はグアンタナモで、抑留者に対して大音量の音楽を聞かせる、眼前でストロボのライトを発光させるなどの過度刺激を与えた。不幸なことに、人はだいたいどんな形の拷問にもうまく対応できない。こうした高度な過度な尋問テクは、多くの囚人たちをもう自分の存在すら終わりにしたいと思わせてしまうのだ。
via:listverse・原文翻訳:konohazuku
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