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天文学ミステリー:773年、地球上の放射性元素が謎の増加(各国研究)

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(著)

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 2012年12月、日本の研究者が興味深い発表を行った。日本スギの年輪を研究していた名古屋大学の三宅芙沙氏は、木に含まれる炭素14の量が西暦774年から775年までのあいだ、突如上昇していたことを発見したのだ。

 他の研究グループも同じような発見をし、その時期は西暦773年だという発表があった。この年、地球に何かが起きた可能性があるとして注目を集めている。

 地球上で炭素14は、宇宙線と窒素原子が衝突することで絶え間無く作り出されている。この炭素14というのは放射性元素であり、5700年という半減期で崩壊しまた窒素へ戻っていく。この崩壊と生成が一定のスピードであるため、本来大気中における炭素14の割合は一定に保たれているはずだ。

彗星の衝突説

 中国の研究グループは、この時炭素14の濃度が上がった理由を、彗星の衝突によるものではないかと推測した。彗星にはアンモニア(NH3)の氷を含んでいることがあるのだが、その場合宇宙線との反応によってわずかに炭素14を含むことになる。彗星が衝突することで地球に炭素14が降り注いだという説だ。

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 だが現在、フィンランド、オウル大学のイリア・ウソスキンとヨッフェ物理技術研究所のゲンナジー・コワルツォフがこの説を否定している。773年に増えた炭素14の量は18kgほどなのだが、この数値から彗星のサイズを割り出すと、直径100kmを下らないという結果になった。

 もしそんな巨大な彗星が地球に衝突したのだとしたらクレーターのような証拠が残っているはずなのだが、そういった証拠がない以上、彗星由来説はありえないと言わざるを得ない。

 残っている可能性としては、炭素14が地球の大気中で作られたというものだ。それには二つの可能性がある。

超新星爆発説

 一つは太陽系の近くで超新星爆発が起き、地球に大量の宇宙線が降り注いだ場合だ。しかし、西暦773年に超新星爆発が起きたという歴史的な記録もなければそれらしい超新星の残骸もない。

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太陽フレアの大量放出説

 二つ目は、太陽が高エネルギー粒子を突然放出したという場合である。これはどういった話かというと、平常時の1000倍もの大きさの太陽フレアが発生したのではないかということである。この説は当初否定されたが、宇宙物理学者が計算したところ、そういった規模の太陽フレアは3000年に一度くらいのペースで起こりうるということがわかったのだ。

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via:medium:原文翻訳:such

 しかしそれほどの規模の太陽フレアがあったのなら、古い文書などに記録があってもおかしくない。実際、西暦774年に書かれたある英語の文書に次のような記述があった。

 「今年は日没後、天に赤い十字架像も見え、マーシア人とケント州の男たちがオットフォードで戦い、不思議な蛇が南サクソンの地に見えた。」 さらに西暦776年に書かれたドイツ語の文書では、赤く燃えながら教会の上を動く二つの盾のようなものについて記されていた。それらしい痕跡はあったものの、これらは太陽フレアの確たる証拠とはならない。

 原因が宇宙にあることは間違いないだろうが、それ以外のことは今のところ、まだ誰にも分からない。

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この記事へのコメント 29件

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  1. これの量で年代測定してたのに、間違ってた可能性あんの?

    • +1
  2. 日本だと、桓武天皇の父上の光仁天皇の奈良時代末期だな
    光仁天皇のwikiだと「宝亀7年(776年)6月4日、太白、昼に現れる(国の乱れる凶兆)。」
    とあるけど、これがその可能性あるかも

    • 評価
  3. コズミックフロントで見た
    考古学などの年代測定で炭素14使うのに今までこんな現象が解らなかったんだね
    調べる人が居なかったんだろうか
    ちなみに炭素14を使った年代測定は戦後の物に対してはできないそうだよ
    各国の核爆弾実験で大気中にばらまかれた放射性物質の影響で正しい計測ができないらしい

    • 評価
  4. 西暦774から776年にイギリスとドイツで観測されたのはオーロラ?

    • +17
  5. 平常時の1000倍の太陽フレアってどんな感じなんだろな
    見てみたい

    • +6
  6. 日本でいう奈良時代に攻めて来た宇宙人VS古代の英雄たちで映画化
    フランク王国とかイスラーム帝国とか唐の時代だし、人材豊富だぞ

    • +4
  7. 日本で飢饉や疫病が流行って平穏祈願のために奈良の大仏建てられたのはこの頃?

    • 評価
  8. 大規模フレア説、昔は電気的な装置が一切なかったから天に十字架のレベルだけど今だったら文明滅亡レベルだよね。
    一気に中世へ逆戻り。

    • 評価
  9. コズフロでもやってたね。
    日本の女子大生の研究が注目されてるとかやってた。
    どうもその線が有力らしいけど、その後は聞かないなぁ、

    • 評価
  10. 774年から775年にかけて、宇宙空間から地球に飛来する放射線量が通常の約20倍に達していたという記録が残っていますね。

    • +1
    1. ※15
      そんなに電子機器が壊れるような影響があるものなの?

      • +5
  11. 注釈を付けておくと、炭素14とは成層圏で窒素(陽子:7個、中性子:7個)に宇宙から降ってくる中性子(熱中性子という宇宙線の一種)が衝突してビリヤードの球の様に陽子を突き飛ばし、陽子:6個、中性子:8個になったものです。
    炭素14は炭素14年代測定法という、出土した土器などに入ってる野菜カスなどから当時の年代を推測する測定法などにも使われています。

    • +1
  12. 彗星は昔から凶兆の星と言われているのは地上に落下して悪影響を与えた記憶があるからなんだろうな。山岳信仰では彗星や流星は天駆ける狐として信仰されていた。漫画などで知られる金毛九尾の狐も実は正体は彗星の可能性が高い。そして殺生石は地上に落ちた有毒なガズまたは放射能を発していた隕石の可能性がある。

    • +3
  13. このあいだのロシアの隕石みたいに空中爆発していれば、大きなクレーターが無くてもいいわけだ。あと海に落ちたとかの可能性もある。

    • 評価
  14. 九尾の狐にされたのは待賢門院とか美福門院、平安末期の鳥羽法皇の頃以降なんですが…

    • 評価
  15. 773~775年といえば、ちょうど日本では弘法大師 空海が生まれた時期だな

    • +3
  16. この件がらみか
    西暦775年、天の異変は記録されていたのか? – Togetter
    ttp://togetter.com/li/315711
    文系と理系のクロスオーバーでわくわくするまとめ

    • 評価
  17. 確か日本でも天体の異常が記録されてた事があったよなあ。
    794ウグイス平安京、だからそう言う時代だなあ。

    • +1
  18. 衝突したすい星が100㎞のでかいの一個だったんじゃなくて、もっと小型のが複数個いっぺんにきたのかもしらん。

    • +1
  19. 当時の人たちは一時的に携帯とか使えなくなったってわけですねー。
    さぞ大変だったでしょう。。。

    • 評価
  20. 隕石が海に落ちてたという可能性は?(´・ω・`)

    • +3
  21. それだけ大きな影響及ぼす大きさの彗星だったら
    まず空中分解しないから、クレーターか大津波引き起こしてないと
    おかしいという解釈でよいのかな??

    • 評価
  22. スーパーフレアが起きたら、電磁パルスで基盤の回路が焼き切れるから
    電子回路が入ってる物なんて対策してない限りもう使えないよ。

    • 評価
  23. 蛇、はオーロラを表すことが多いはずだから太陽フレアによる低緯度のオーロラが発生してたかもしらんね

    • 評価

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