つい先日も米南部オクラホマ州で、最強レベルと言われる巨大竜巻が襲い甚大なる被害を出した。自然は時に、人類に未曾有の脅威をもたらし、そしてまた、未知の美しさで驚嘆させる。
ここでは自然がもたらす10の自然現象を集めてみた。
カラパイアで既に個別に記事になっているものがほとんどだが、あらためてまとめてみることで、自然の驚異を何割増しかで実感してみよう。
10.火山雷
火山雷は噴火活動中に起こる"雷を伴う嵐"に近い。この現象が起こる理由については100%解明されてないが、理論的には、噴火の際にプラスに帯電した塵や砂などが大気中に飛び出し、すでにそこにあったマイナスの電荷に反応する。その結果雷が発生して、息を呑むような凄い眺めになる、ということだ。
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9.ブライニクル
南極や北極周辺などで海の表面が凍った時、その氷の下に周囲よりも特別に冷たくて塩分濃度が高い水が集まる。この塩水はその下にある海水より高密度なので、ゆっくりと沈んでいこうとするが、非常に冷たいので、下の方にある塩分の少ない水を凍らせながら沈んで行く。その結果、海面の下に巨大なつららが出来上がる。これは学術用語ではice stalactite(氷の鍾乳石)と名付けられているが、こんな凄い現象の割にはつまらなすぎる名前だ。なので"ブライニクル"というもっとカッコいいあだ名がついた(ブライン=塩水とアイシクル=つららを合わせた造語)。普通の英語には良い言葉が無かった、それで全く新しいのを思いついたってことだ(というか、単に2つの単語を合わせただけなんだけどね)。
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8.ペニテンテ
ペニテンテは高山で見ることのできる棘の山。一つ一つの棘は高さ4mになるときもある。見るからに痛そうな雪の針は、アンデス山脈の氷河のように湿度が低く、高度の高い地域で形成される。天気が良い時、熱い太陽の光で雪が昇華するために出来上がる。要するに雪は水にならずに、凍った状態から水蒸気になるということ。これは氷の中にちょっとしたくぼみを作り出し、そのくぼみの形がさらに日光を集める。雪原がそのような過程を経て、残ったラッキーな部分がこの針山なのだ。
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7.スーパー・セル
スーパー・セルは、周囲を回転させる性質があるという点では竜巻によく似ているが、"竜巻を生み出すことができる"という性質があり、重要なのはこの点にある。まず覚えておかなければならないことは、"近づかないで、出来るだけ離れる"こと。ちなみにスーパー・セルは他の4種類の嵐の中でも最も危険で、ついでに見た目も一番怖い。ただありがたいことに滅多に現れることは無く、発生はアメリカ中央部の春頃に限られているようだ。もし今後スーパー・セルに出くわすことがあったら、どこにいたとしても、"逆方向に移動しろ"というアドバイスを思い出して欲しい。
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6.ファイアー・レインボー(環水平アーク)
このカラフルな眺めはアメリカの全域など、中緯度地域の夏季によく見かけられるもの。上空の氷の結晶の方向がほぼそろったときに、この結晶で屈折した太陽光により見える現象である。一般の虹が太陽とは反対の方向に見えるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向に、ほぼ水平に現れる。地平に対して太陽が58度以上の角度の時だけ起こる。輪はとても大きいのでたいていはその一部しか見られない。雲の切れ端が燃えてるみたいに見えるのもそのせいだ。
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5.幻日
幻日は、太陽と同じ高度の太陽から離れた位置に光が見える大気光学現象。光輪の両端に独特な明るい点が2個あることで見分けがつきやすくて、その明るさによっては空に太陽が3つ並んでるように見える時もある。うれしいことにこれは世界のどこであろうと、いつでもみられる現象なので、もし近くだったらずっと観察することができる。ちなみに太陽が空の低い位置にある時に良く起こる。ただしあんまり長い間じっと見つめていると、目に良くないので注意が必要だ。
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4.ウォータースパウト(水上竜巻)
この竜巻は水上発生するので、基本的に大きな被害をもたらすものではないけれど、もしボートに乗ってる時に鉢合わせしてしまった場合は注意が必要だ。なぜならこの竜巻は時速305kmまで速度を上げることもあるからだ。実際、バミューダトライアングル内にあるような謎めいた難破船の数々は、この竜巻に運悪く出会った結果なのでは、と推測されている。これは水上のどこでも発生するけれど、特にアメリカのフロリダキーズでは年に400から500ものウォータースパウトが現れるそうだ。
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3.スノー・ドーナツ(雪まくり)
自然に転がる幻想的な雪玉だ。スノー・ローラーとも呼ばれる。日本では雪まくりという。これは稀にしか見ることのできない自然が作る雪だるまで、風により、地面に積もった雪がシート状にまくりあげられ、絨毯を巻いたような形になる。また中心部分はこのように崩れ、ドーナツ型になることが多く、70cm近くまで大きくなることがある。
2.コラムナー・バサルト(玄武岩の柱状節理)
一見地味な玄武岩が集合して蜂の巣状の断面が広がり、目を見張るような眺めになったのがコラムナー・バサルトである。このユニークな集合体は、溶岩が冷えるにしたがって亀裂が入ったためにできたもので、その亀裂の方向は元の流れに対して垂直に入る。ちなみにコラムナー・バサルトの集合体は世界中で見つかっていて、そしてやっぱり人々によじ登られたりする。
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1.フロスト・フラワー
簡単に言うと、フロスト・フラワーは霜でできた花。でももっと正確に言えば、この氷の花は、特定の草や、ある種の樹木の根もと辺りに蓄積する細かな氷の粒でできている。周囲の気温が氷点下で、その植物の内部の温度がそれ以上の時、蒸散作用と似たような過程でその表面に水分が引き出される。これが外側へと押し出され、壊れやすい氷の鎖を生み、不規則に広がる繊細な形状になる。というわけで、これは厳密には花でも葉でもない。でも実に可憐な姿だし、少なくとも2倍はオシャレだ。
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via:listverse 原文翻訳:R
コメント
1. 匿名処理班
すげ〜!
2. 匿名処理班
「玄武岩の柱状節理」 ←ラノベっぽい
3. Pちゃん
2のコラムなんちゃらね、ウチの近くにもあるよ。
っつってもこの写真みたいにキレイな縦じゃなくて
横倒しなんだけどさ「知る人ぞ知る」みたいな
スポットになってる@北海道
4. 匿名処理班
ソルスセイム島だ!
5. 匿名処理班
日本の玄武洞のは
昔は石材として採ってたぐらいだけれど今では眺めるだけで、
壊したりすると玄さんにおこられるよ。
6. 匿名処理班
たぶんファイアーレインボーとほぼ同じ現象は中学のとき授業中に出たな
もっと虹色が淡くて広範囲にグラデーションが広がってたけど
授業中止で観察会になった
あれ虹色は固定してて色分けされたガラスの向こう側を雲が流れてく感じ
写真と違って実際は雲がどんどん動いて変化してくから巨大アートフィルム見てるみたいで飽きないよ
個人的にオーロラより壮麗と思う
もう一生見るチャンスはないだろうから貴重な体験した
7. 匿名処理班
ネーミングセンスありすぎ
8. 匿名処理班
ふと目に入ったRさんが気になって自然現象どころじゃない。
9. 匿名処理班
>そしてやっぱり人々によじ登られたりする。
俺も実際に行ったらそうするだろうな
10. 匿名処理班
きれいやなー
自然かなわんなー
11. 匿名処理班
いちいち名前がかっこ良すぎる。
12. 匿名処理班
すげ〜!
13. 匿名処理班
しぜんのちからってすげー!
14. 匿名処理班
感動〜
15. 匿名処理班
玄武洞のことしみじみと思い出してたら
#5に玄さんの名前が!!!!!!!!
16. 匿名処理班
ファイアーレインボーって・・・「彩雲」でしょ?
割とよく見るよ?
17. ミルクちゃん
うわー 本当にすごい
自然ってすごいねー
この地球に乾杯♪
18. 匿名処理班
6番彩雲じゃないの?
19. 匿名処理班
氷系が多いな
20. 足野浦板井
よじのぼろうぞ
21. 匿名処理班
『ゆきまくり』の再版を!絵本『ゆきまくり』の再販を!!
22. 匿名処理班
ブライニクルかっけぇw
RPGに出てくる攻撃魔法みたい
23. 匿名処理班
彩雲と環水平アークはちがうものですよ
彩雲は光の「回折」現象によるもので、光源を中心に水滴粒の大きさで決まる距離に
同心円上やしましまに色がついて見えます
冬場に結露した窓越しに外の明かりを見るともわもわみえるあれと同じ原理です
環水平アークは光の「屈折」現象によるもので、大気中の氷晶が
ある程度規則的に漂ってるときに太陽高度によって決まる角度に見えます
(幻日もだいたい同じ原理でみえる現象です)
ちなみにこの氷晶の向きがばらばらになると、太陽に暈がかかって明日は雨、となります
24. 匿名処理班
玄武岩の柱状節理→ハガレンの錬成の時にでてくるやつ思い出した。かっこいい
25. 匿名処理班
スーパーセルに質問
逆方向に逃げると言う事は 近ずいて来たなら近ずけ 遠のいて行くなら
遠ざかれという事?
26. 匿名処理班
火山雷、恐怖より美しさだな
27. 匿名処理班
ペニテンテ(照)
28. 匿名処理班
水上竜巻ってモノによっては
ドラゴンが天に登っていくようにも見える。
そこから生まれた伝説みたいなものもあったりするのかな?
29. 匿名処理班
柱状節理は玄武岩かどうかは忘れたけど、福井の東尋坊やそばの雄島に大きいのがあるよ。
なかなかに見ごたえあるので機会があれば行ってみるといい。
30. 匿名処理班
よじ登りたい
31. 匿名処理班
>米21さんありがとう。
雪まくり知ってる人がいた、嬉しい。
あの絵本は素晴らしく、小さい頃に何回も読んでいたよ。覚えるくらいに。
32. 匿名処理班
スーパーセルかっけえ