この画像を大きなサイズで見る宇宙の星々は、我々の生命と同じように、誕生と終焉を繰り返している。光を放ちながらガスと塵を集め、新星(ノヴァ)としてその生を輝かせ、やがて超新星(スーパーノヴァ)の爆発によって自らの物質を銀河へと還す。その残響は星雲として漂い、新しい星々のゆりかごとなる。
新星や超新星、そして星雲は、宇宙が命を生み出し続ける循環の語り部だ。我々が夜空に見る星々の輝きの向こうには、無数の誕生と別れが息づいている。この記事では、そんな星たちの一生を、19枚の写真とともにたどってみよう。
本記事は公開後に構成を変更したため、写真番号の順序が一部前後しています。 (2025年11月8日)
超新星(スーパーノヴァ)とは
まず用語について少し説明しておこう。なぜ星の終焉を示す大爆発に「超新星」という、まるで新しい星の誕生かのような名前がつけられているのだろうか。
それは、元々そう考えられていたからである。ルネサンス期(16~17世紀)、まだ天動説が主流で、天体は不変の球体だと考えられていた頃、夜空に突然あらわれた明るい星は「新星」(ノヴァ)と名付けられた。
1885年、アンドロメダ銀河の中に、それまでに観測されてきた新星よりはるかに明るく輝く星が現われた。これが後に「超新星」(スーパーノヴァ)と呼ばれる現象である。しかし実際に超新星と名付けられたのは1930年代になってからだった。
1910年代から、光の成分を分解して観測する手法(分光観測)が進歩しはじめ、新星にはガス爆発特有の光スペクトルが見られたことから、新星とは実際には既存の星の表面の爆発であることが分かってきた。
1934年、天文学者のウォルター・バーデとフリッツ・ツヴィッキーは、天体物理学の大きな転換点となった「超新星と宇宙線について」と題された論文で、アンドロメダの新星を「普通の新星を超越する、まったく異なる現象」と呼び、次のように提唱した。
新星(nova)より数百万倍明るい爆発現象がある。これを「超新星」(super-nova)と呼ぶ。
新しい星が誕生する
1. わし星雲
この画像を大きなサイズで見るへび座に位置する「わし星雲」。この華奢な赤い光は、若い星々が放つ紫外線で輝く水素ガスの光だ。「創造の柱」として知られるガスと塵の柱のなかで、新しい星々が誕生してきた。
星雲内のガスや塵は、重力によって少しずつ集まり、密度の高い塊となっていく。やがて密度が非常に高まった中心部は、自らの重力で収縮し、温度と圧力が高まった「原始星」となる。最終的に中心部で核融合反応が始まると、新しい恒星として輝き始める。
2. りゅうこつ座イータ星(イータ・カリーナ)
この画像を大きなサイズで見る南半球から見れる「りゅうこつ座」(Carina)の中の恒星「イータ星(η Carina)」は、2つの恒星からなる連星系で、太陽の100倍以上もの質量をもつ。この星から放出されたガスや塵によって形成されたのが、宇宙でも特に大規模で明るい散光星雲(可視光で観測できるガスや塵の塊)の一つ、「イータ・カリーナ星雲」だ。
なお、「イータ(η)」とはギリシャ文字の7番目の文字であり、「りゅうこつ座の中で7番目に命名された恒星」であることを意味している。
イータ・カリーナ星雲は新しい星が誕生する領域として知られているが、同時に、りゅうこつ座イータ星は末期の恒星であり、近い将来(数千〜数万年以内)に超新星爆発を起こす可能性が高い、不安定な状態にあると考えられている。
過去には「疑似的超新星」と呼ばれる爆発的な質量放出を起こしており、イータ・カリーナ星雲の一部はその放出された物質によって形成されたものである。
星が静かに消滅する ― 惑星状星雲たち
太陽くらいの中程度の質量の恒星は、寿命を迎えても超新星爆発を起こさない。かわりに中心で起こっている核融合の燃料が尽き、核反応が弱まることで内側の圧力が減り、その反動で外層が膨張し(赤色巨星化)、やがて外層が吹き飛び、数千年~数万年かけてゆっくりと宇宙空間へと放出されていく。
残された中心部分は非常に高温となり、大量の紫外線を放出して周囲のガスを照らす。この状態を望遠鏡で見ると円盤状の惑星のように見えたことから、「惑星状星雲」と呼ばれている。
3. らせん星雲
この画像を大きなサイズで見るらせん星雲は太陽系に最も近い惑星状星雲だ。地球から見て、みずがめ座の方向に700光年、つまり光速でも到着まで700年かかる距離にある。一部のスピリチュアル界隈では「神の目」と呼ばれている。
4. らせん星雲
この画像を大きなサイズで見るハッブ宇宙望遠鏡で撮影すると可視光の高温のイオン化ガスが強調され、赤外線望遠鏡で撮影すると低温の塵や分子ガスが強調される。同じ星雲でも、見る光の種類が違うと見え方が大きく変わる。
5. エイトバースト星雲(8の字爆発星雲)
この画像を大きなサイズで見る南半球から見れる「ほ座」(船の帆の星座)に含まれる惑星状星雲「NGC 3132」は、その二つの円が重なったような形から「エイトバースト星雲」(8の字爆発星雲)や「南リング星雲」などのニックネームを持つ。星の両極からガスが勢いよく吹き出したため、このような対照的な姿となった。
6. リング星雲
この画像を大きなサイズで見る一方、日本からも見れる「こと座」の中にある惑星状星雲「M 57」は、「環状星雲」「リング星雲」の愛称で知られている。
7. 砂時計星雲
この画像を大きなサイズで見る日本では沖縄の大東諸島より南だけで観測できる「はえ座」(虫のハエの星座)の方角には砂時計星雲の愛称を持つ惑星状星雲「MyCn18」がある。
8. バタフライ星雲
この画像を大きなサイズで見るさそり座の中にある惑星状星雲「NGC 6302」は、まるで蝶が羽を広げたような姿をしており、バタフライ星雲と呼ばれる。中心の星が強烈な風で両側にガスを噴き出し、美しい羽を形づくっている。
9. NGC7026
この画像を大きなサイズで見るはくちょう座のしっぽの先端に位置する惑星状星雲「NGC7026」も、蝶星雲や砂時計星雲と同じく、2つの極を持った構造で、中心部から正反対の2方向にガスが噴出したため、このような形状になったと考えられている。赤に見えるのが窒素ガスの光、青が酸素の光だ。
この星雲に愛称をつけるとしたら、どんな名前がいいだろうか。
10. NGC 2440
この画像を大きなサイズで見る日本では新潟より南で見ることができる「とも座」の方角に位置する惑星状星雲「NGC 2440」は、複雑にねじれた形をしている。「Bow-Tie Nebula」(蝶ネクタイ星雲)と呼ばれることもあるが、同じ愛称の星雲が他にある(NGC 40)ため、一般的な用語としてはあまり定着していないようだ。
この星雲の中心で小さく微かに光る点は20万℃の熱を持ち、かつて最も高温の星として知られていた。
11. キャッツアイ星雲
この画像を大きなサイズで見るりゅう座にある惑星状星雲「NGC 6543」は、キャッツアイ星雲と呼ばれているが、その周囲は、まるで玉ねぎの断面のように、11個以上の輪に囲まれている。この星は1500年間隔で大きな質量放出を繰り返していたことが観測結果から示唆されている。
12. 木星状星雲
この画像を大きなサイズで見るうおへび座に位置する惑星状星雲「NGC 3242」は、英語圏では「Jupter’s Ghost」(木星の幽霊)と呼ばれるが、日本では木星状星雲と呼ぶのが一般的だ。これは19世紀に星雲のカタログを作製した天体観測者ウィリアム・ヘンリー・スミスが、「大きさも色も木星そっくりだ」と説明したことに由来するようだが、実際のところ木星とは似つかない。
木星状星雲の中心には、かつて恒星だった星の核が残されており、これが白色矮星と呼ばれる。白色矮星は、太陽くらいの中小質量の恒星が寿命を迎え、外層を放出した後に残る、高温・高密度の“燃えかす”である。核融合はすでに終わっており、内部の熱をゆっくり放出しながら冷えていく段階にある。
木星状星雲の周辺は青緑色に見えることが多く、これは電離した酸素の発光によるものだ。太陽の質量は、この木星状星雲の中心星と同程度と考えられており、太陽も50~60億年後にはこのような姿になると予想されている。
19. 小さな幽霊星雲
この画像を大きなサイズで見るへびつかい座の惑星状星雲である「NGC 6369」は、小さな幽霊星雲とも呼ばれる。淡い色に拡散していて、やがて宇宙に溶けていく瀕死の星雲だ。星雲が宇宙に還る姿である。
青緑色のリングの部分は、直径が約1光年(約9.5兆km)もある。電離した酸素、水素、窒素がそれぞれ青、緑、赤に発光している。
星が爆発する ― 超新星という最期
太陽よりずっと重い星は、寿命の終わりに超新星爆発を起こす。これは星そのものの崩壊を伴う大爆発だ。
18. ティコの超新星
この画像を大きなサイズで見る1572年、カシオペヤ座に突如現れた明るい星。当時は新星と呼ばれていたが、実際には恒星の死を見ていたのだ。太陽や月を除けば空で一番と言える明るさで、昼間でも見え、約1年半にわたって観測された。
この超新星「SN 1572」(※SNはSupernovaの略)は、発見者のティコ・ブラーエの名前から「ティコの超新星」と呼ばれる。
上記の写真において、青い部分(高エネルギーX線成分)は爆発による衝撃波を示し、赤い部分(低エネルギーX線成分)は爆発によって吹き飛ばされた恒星の外層、すなわち鉄やシリコンなどの重元素を多く含む高温ガスを示している。
NASAの2014年の研究によると、この超新星爆発の衝撃波が周辺のガスを通過する際、ガスの中の電子が5000℃から2億℃まで一気に加熱されたことを明らかになった。その後、これらのガスは冷却されながら徐々に宇宙空間へと拡散している。
13. かに星雲
この画像を大きなサイズで見るおうし座の中央に位置する「かに星雲」は、1054年に現れた超新星「SN 1054」の残骸だ。
この超新星は、古代中国やイスラム世界の天文学者たちが当時の歴史書に詳細な記録を残している。また、時期は少しずれるが日本でも鎌倉時代の藤原定家の日記『明月記』に、陰陽師から聞いた過去の話として次のような記述がある。
《原文》
後冷泉院・天喜二年四月中旬以後の丑の時、客星觜・参の度に出づ。東方に見わる。天関星に孛す。大きさ歳星の如し。《意訳》
西暦1054年4月中旬ごろの深夜1時~3時ごろ、新しい星がオリオン座の付近に出現した。東の空に姿を現し、おうし座ゼータ星の近くに尾を引いて輝いた。その大きさは木星ほどであった。
この超新星が起こる前、この一帯は非常に暗かったため、どんな星が爆発したのかは正確には分かっていない。爆発した星は非常に大きな質量(おそらく太陽の8倍以上)をもっていたため、星の中心核が重力でつぶれ、中性子星を形成されたと考えられている。
この中性子星は非常に強い磁場を持ちながら高速に自転している。発電機と同じ仕組みで電磁誘導が起こり、荷電粒子が加速されて強い電磁波が放射される。。このような中性子をパルサーともいい、その規則正しい点滅から「宇宙の灯台」と呼ばれることもある。
特に、かに星雲のパルサーは「かにパルサー」として知られている。かに星雲の写真の中央で、渦のように青白く光っている部分の中心がパルサーである。
JAXAや東京大学などが参加する国際研究チームは2021年、かにパルサーの回転周期にあわせて莫大なエネルギーが電波として放出され、周辺の星雲の光を変化させていることを確認した。その成果論文は科学誌「Secience」に掲載された。
14. カシオペヤ座A
この画像を大きなサイズで見るカシオペヤ座Aは、おそらく1680年頃に地球に到達したと考えられている超新星の残骸だ。この超新星は、先ほどの「SN 1054」とは違って、歴史的な記録がほぼ残っていない。爆発によって生じた可視光の多くが、地球に到達する前に星々や塵にさえぎられてしまったためと考えられている。
15. カシオペヤ座A
この画像を大きなサイズで見る星が遺すもの ― 宇宙に還るガス
16. トールのかぶと星雲
この画像を大きなサイズで見るおおいぬ座の中にある散光星雲「NGC 2359」は、北欧神話の雷神トール(Thor)がかぶる兜に似た形をしていることから、「トールのかぶと星雲」(Thor’s Helmet Nebula)と呼ばれる。
17. トールのかぶと星雲
この画像を大きなサイズで見るこの兜の泡のような形は、中央にある末期状態の星(WR 7)から吹き出る恒星風が、自分自身の外層や周囲の星間物質を押し出すことで作り出された。このガスや塵は、まさに「星の遺産」として宇宙に還元されている物質である。
トールのかぶと星雲は直径約30光年におよぶ発光星雲で、WR 7の強烈な紫外線によって輝いている。現在、WR 7はすでに寿命の終わりに近く、遠くない将来(数十万年以内)には重力崩壊型の超新星として爆発する可能性が高いと考えられている。
イータ・カリーナ星雲と同様に、トールのかぶと星雲も「大質量星が放出したガスと塵によって生まれた星雲」であり、恒星がその生涯の終わりに宇宙へと物質を還す壮大な過程を示している。
星の死は次の命の始まり
星が死ぬとき、その体をガスや塵として宇宙にまき散らす。そのかけらが集まって、また新しい星が生まれる。そうして、宇宙は何十億年も「命の循環」を続けているのだ。
超新星爆発は我々が住んでいる銀河系の中で、100年から200年に一度の割合で発生していると言われている。
References: Buzzfeed
















数兆年?
瀕死というかもう死だというか
こういう写真の色って恐竜の図鑑みたく適当に色塗りしてるわけじゃないんだよな?
キレイもなにも
ある程度の予測だけでフォトショとか使って想像で色付けしてるんだけどね
>>4
あれはカメラの特性だから。
色が付くのにはちゃんとした理由がある。
フォトショとかでたらめ言うなよ
キャッツアイ星雲が二つあるなー
前から思っていたけど、光速すら何年もかかる星の質量から誕生日ってどうやって求めるのだろう?
惑星じゃなくて恒星だと思うよ。
綺麗だな。惑星ではないけど
数兆年もの間ってどういう事?
宇宙が誕生してから百数十億年しか経ってないのでは
あまりにも叙情的すぎる記事にも思えるが、我々の大雑把な知覚は星雲ガスや重元素の微妙な旋律を理解できてないんだろうな
超新星自体はこの中で3つぐらいしかないね
あとは全部惑星状星雲だ
ただ名前と違って惑星とは関係なく恒星の死にゆく姿だよ
19は猫の目に似てる
以前コズミックフロントでパルサーのCG作ってたな。
かっこよすぎて笑った。
綺麗
18番がくらげに見える
凄い……星がいっぱいダ……。
りゅうこつ座イータ星系の画像がぶつかる2つの岩に見えてしかたがない・・・
怪しげなネタならともかく真っ当な科学ネタなんだから
もっと科学的に正確な記述をしてほしい
いずれ地球もこうなるの?
絶好調であるッ!!!!!(画像2的に)
ほとんど惑星状星雲だね。
惑星状星雲は超新星爆発でできたものじゃないよ。
ちなみにかに星雲とか超新星爆発でできた星雲は超新星残骸(スーパーノヴァレムナント)とか言うね。
惑星状星雲は太陽程度の恒星が死ぬときにガスをブシューって出してる。
超新星爆発は星のガスが大爆発で周囲に撒き散らされてる。衝撃波もすんごい。
X線とか高エネルギーでよく見える。
わし星雲ってこれ多分超新星ちゃうね。
多分SPITZERの赤外線のイメージで、5μm(3μmかも)と8μmと24μmの三色合成だと思う。
ちなみにこういう色付けは波長の短い事に青、緑、赤を割り当てて、それぞれの色合いの強さを適当にあわせて作ってる。赤は24μmで、これは熱いダスト。こういうのは超新星爆発があったら全部ぶっ壊されてるはず。わし星雲の中心の星団によって加熱されてることを示してる。
こういう画像ってすっごい綺麗だけど、その画像の示す意味までわかるともっと面白くなるね。