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ペルーの古代遺跡で集団生贄の証拠が発見される

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(著)

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 ペルー北部にあるプレ・インカ時代のピラミッド付近から集団生贄の儀式跡が発見された。“頭部の切断”や“王室のビールパーティ”など、詳細の解明が進んでいる。古代ピラミッド「ワカ・ラスベンタナス(Huaca Las Ventanas)」の隣で人骨が発掘されたのは2011年8月。それ以来、15メートル四方の穴からさまざまな遺物が出土している。

 この地には、紀元900~1100年にペルー北部沿岸で栄えたシカン文化(ランバイエケ文化)の首都が置かれていた。 アメリカ、ユタ州オレムにあるユタバレー大学の生物考古学者で出土品を調査中のハーゲン・クラウス氏によると、人骨は100体以上で、裸のまま埋められていた。頭部のない骨も見つかったという。 子どもと成人女性のペアが2組含まれているが、大部分は成人男性だった。

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 「大勢が集団で埋葬されているが、シカン人は争いを好まなかった」とクラウス氏は強調する。シカン文化は貿易を基盤とする経済力で帝国を築き、紀元1000年頃に絶頂期を迎えた。勢力は現在のエクアドルやペルーなど数千キロに及んでいた。

「発見された人骨はすべて、自発的に儀式に参加した地元住民と考えられる。“新しい生命がこの世に誕生できるように”死を祝福する儀式だ」とクラウス氏はメールでコメントを寄せた。 「シカン遺跡は聖地であり、先祖を崇める最も神聖な宗教儀式だけが行われていた。集団生贄の跡と解釈するのが妥当だろう」。

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 発掘の主任考古学者ホセ・ピニーリャ氏によると、シカン文化の他の遺跡とは異なり、遺骨の配置に特定のパターンがないという。ピニーリャ氏は、シカン国立博物館長カルロス・エレーラ氏と共にプロジェクトの共同ディレクターを務めている。

「腕や足を広げて放り投げていたり、注意深く折り曲げて平らに並べていたりする。膝を大きく曲げた状態もあり、変化に富んでいる」。

 穴の東端にあるビール醸造所で人骨1体が見つかった。折りたたまれ、チチャ(トウモロコシのビール)の醸造と給仕に使われた高さ1.3メートルの陶器製の瓶(かめ)の上に、うつぶせの状態で置かれていた。チチャは古代アンデス文明の葬儀の宴で一般的な飲み物である。

 醸造所があることから、厳粛な葬儀の宴が開かれたと考えられる。大量のチチャを参加者が飲み、死者にも捧げられたはずだ。

 発見された人骨の一部には頭部がなかった。また、発掘地内の小さな穴からは、切断された頭部が20個以上見つかっている。しかし、頭のない人骨と頭蓋骨との直接的な関係はまだ解明されていない。

 ユタバレー大学のクラウス氏は、「刃物の跡がないか研究室で調べる予定だ。埋葬時などに頭部が外れてしまったのか、亡くなったばかりの遺体から切断したのか明らかにしたい」と話す。

 遺跡には、シカンの神の頭をかたどった陶器や、頭の彫刻も散乱していた。陶器は副葬品の精巧な器の飾りとして使われ、彫刻はチチャ用のカップに施されていたと見られている。

 リャマ、ピューマ、サル、カメ、クマ、人間などの陶器製の頭も出土している。

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この記事へのコメント 27件

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  1. 2枚目の写真ってなんかCGっぽい質感。
    骸骨の髪の毛のもっさり感が不自然だ。

    • -1
  2. 2枚目、あきらかにブロック複製、量産してるな。w

    • 評価
  3.  だからと言ってピサロの蛮行が正当化されるわけじゃありませんよね?

    • +6
  4. この儀式自体、人間の持つ狩りと共食いの血生臭い本能を『神への供物』などという戯言で誤魔化した茶番劇に過ぎない。

    • 評価
  5. 古代人にとって、出産と死は、最も身近で不可思議な出来事だった。
    自然界では植物をみるとわかるように、大地が生命を育んでいる。
    これに動物の生命をなぞらえると、自然と人間の生命も大地が育んで
    いるに違いないという考えに行き着くわけで。
    そうして生命の源である大地は、生命を産み出すのは女だから、
    大地も女の神様に違いないというわけで、大地母神が考えだされた。
    一方で死は、生命の循環のサイクルのなかの、一つの仮定に過ぎないと
    考えられた。これは死がなければ、循環が途切れてしまい、なにも生まれ
    てこないという考えが根本にある。
    こうして『生のための死』という思想が生まれたわけ。
    つまり死を捧げることは、新たな生を育む行為だと、大昔の人々は考えて
    いたんだね。
    おそらく狩猟採集時代のほとんどの民族が、このような生まれ変わりの思想を
    もっていたということは間違いないんだね。
    それらは今も伝わる昔話を紐解くと、わかってくるのだよ。
    日本では『三年寝太郎』なんかが、そのことを裏付けている話なんだよね。

    • +2
  6. あ、あの・・・
    ズラは・・・
    何でもないです。

    • 評価
  7. どの写真も模型かフォトショップに見える不思議

    • 評価
  8. 集団生贄か、、
    どういう意味でしたんだろう

    • +1
  9. よくグンマの写真として使われてる画像の映画が面白かった
    メル・ギブソンが監督やってたんだな
    この映画が元ネタだったのかという驚きとメル・ギブソンの監督に二度びっくりした
    「アポカリプト」一度観てみるべし

    • -2
  10. ズラじゃないぞ、ヅラだ!
    かつら→ヅラ
    ココ試験に出るから忘れないように

    • 評価
    1. ※20
      地面=ぢめん
      だが試験に出るのは「じめん」だ。
      2枚目のCGのは、2年前に発掘された別のシカン文明の遺跡みたいだね。
      どの遺体にも骨まで達した多数の切られた跡が残っていて、
      生贄と言ってもさっくり殺される訳でなく、
      激しい虐待の果てに殺されたとの事だそうだ。

      • -1
  11. 王家の権力争いの成れの果てだったりして…王位継承者の子供と、その母親の二組、その親族と後ろ盾の実力者たち…宴会で酔ってへべれけの所を虐殺とか…

    • 評価
  12. 生け贄でFAなのか
    異民族に虐殺されただけじゃないのかねぇ

    • +2
  13. 二枚目 周りの石の模様が同じ・・・二人なぜかカツラ・・・
    すごい違和感です

    • 評価
  14. 蛮行。
    宗教とか儀式だとかいう言葉で
    肯定し、あまつさえ正当化してる。
    まぁ現代人の感覚だけど。

    • 評価
  15. 日本だって人柱にしたり堤防作ったら生贄投げ入れたりしてそう言う文化はある
    生贄なんて世界中にあるし特に珍しいことではないのではないのか

    • 評価
  16. 昔は命が大切であり、それを知りながら命を捧げる、という行為に意味を見出したのかもしれない
    特に子供は穢れを知らない等の理由で贄に最適だったのかもしれない
    生贄用の子供達、というのがいて、死を受け入れず、逆らったら首を切り落とし、そのまま贄として扱われたのかもしれない。

    • 評価

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