メインコンテンツにスキップ

自然界の掃除屋、大型の腐肉食動物が絶滅の危機に直面、人間にも影響が及ぶ

記事の本文にスキップ

21件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
image credit:Pixabay
Advertisement

 腐肉食動物(スカベンジャー)の中でも、大型種であるハイエナやハゲタカは、自然界の掃除屋とも呼ばれ、死骸を処理することで病気や水質汚染を防ぐ重要な役割を果たしている。

 だが今回、スタンフォード大学の研究チームは、世界中の腐肉食動物の約3分の1が絶滅の危機や個体数減少に直面しており、特に大型種が顕著であることを明らかにした。

 一方、腐肉食動物でもネズミなどの小型種については増加傾向にあり、この変化は自然界の生態系のみならず、人間の公衆衛生面においても、新たなリスクをもたらす恐れがあるという。 

 この研究は『PNAS』(2025年6月16日付)に掲載された。

生態系を支える腐肉食動物の役割

 「腐肉食動物(スカベンジャー)」とは、動物の死体を食べて生きる動物のことだ。

 特にハイエナやハゲワシなどの大型種は死肉を食べて死骸を片付け、自然界の中で病気の広まりや水の汚染を防ぐとても大切な役割を果たしている。

 たとえば北米・南米・ヨーロッパなどでは、腐肉食動物が約75%の死骸を処理しており、アフリカではハイエナが毎年200トン以上の死骸を片付けているという。

 こうした役割を果たす動物が減少すれば、死骸が放置されることで病気のリスクが高まり、生態系全体のバランスが崩れる恐れがある。

この画像を大きなサイズで見る
ヒメコンドルは16km先の死体のニオイまで嗅げるという/Credit: Maya Xu

大型の腐肉食動物に深刻な減少傾向

 今回の研究で、スタンフォード大学の生物学者チームは、海洋・淡水・陸上に生息する脊椎動物の腐肉食動物1,376種をリストアップ。その保全状況を国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストをもとに分析した。

 その結果、世界の腐肉食動物の約3分の1が絶滅の危機や個体数の減少に直面していることがわかった。

 対象となった腐肉食動物は200を超える分類群にまたがっており、特にメジロザメ属のサメ、ホワイトチップシャーク(ヨゴレ)、ハイエナ、ハゲワシといった大型の腐肉食動物では個体数の減少が顕著だった。

この画像を大きなサイズで見る
頭足類や甲殻類、海鳥、ウミガメ、エイ、クジラなどの死骸を食べるサメ、ヨゴレ Photo by:iStock

一方でネズミなどの小型腐肉食動物は増加傾向

 一方で、ネズミのような小型の腐肉食動物は、個体数が増加していることも確認された。

 研究チームはその背景として、大型腐肉食動物の減少により餌をめぐる競争が減ったことや、小型動物が都市部など人間の生活圏に柔軟に適応できることを挙げている。

 こうした小型腐肉食動物は、人間の周辺でも繁殖が進んでおり、生態系への影響に加えて人間社会への影響も無視できない。

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

高まる公衆衛生リスク

 小型腐肉食動物は、大型種に比べてより多くの病原体を媒介する可能性が高く、さらに人間の生活圏に近い場所に生息している。

 そのため、こうした動物の増加は今後、公衆衛生面で新たなリスクをもたらす恐れがある。

 スタンフォード大学の研究チームは、腐肉食動物の減少や分布の変化がもたらす影響について、今後もさらに注意を払う必要があると呼びかけている。

References: PNAS / Approximately one-third of vertebrate scavenger species may be facing population decline

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 21件

コメントを書く

    1. ハイエナが勘違いした馬鹿のレジャーハンティングの標的にされてるとか聞いたことがある
      悪を撃つんだとよ 吐き気がする

      • +1
  1. 自然界には人間が決めた状態を保たねばならないなんて道理はないし、なるようになるだけ。
    数十万年後、数百万年後にはその時代の生態系が築かれているし、自然にとってそこに人間がいようといまいとどうでもいいこと。

    • -17
    1. 未来に人間がいようがいまいがどうでも良いのはその通りだが、
      それを今現在好き勝手に自然をめちゃくちゃにして後始末もしない思い上がりの醜い言い訳にするんじゃない

      • +29
      1. 人間だけが「後始末をしなければいけない/考えなければならない」という義務感をもたないといけないという意見は違うと思う
        なぜなら、例えばこの記事にもあるように、肉食獣が「後始末を考えず食い散らかしている」からこそ、腐肉食動物であるハイエナやハゲタカはそのおこぼれをもらって生存することができているのである。つまり肉食獣はあなたが言うような「好き勝手に自然をめちゃくちゃにして後始末もしない思い上がり」そのものである。それは人間と何が違うのか、と言う話だ
        結論的に言うと違うのは、後戻りもできないほどの規模感やスピードで食い尽くしているのが人間だ、と言うことである。その部分が肉食獣と異なる人間の恐ろしいところだ。
        よって「自然をめちゃくちゃにして後始末もしない」のは肉食獣も人間も同じである。人間は肉食獣と違い、他の誰かが「後始末」できないほどのゴミを出している、というだけである。

        • -10
        1. 出来るのにやらねーのと出来る能力が無いのをごっちゃにすんなよ

          • +13
    2. 長期的にはそうなんだけど、短期的には今ニンゲンがやった好き勝手の被害を被るのはこれから生まれてくるあらゆる子供たちなんだよね
      ニンゲンにとって都合の良い近現代の環境を次代にも維持しようというのが環境保護の意義であると私は理解しているよ

      • +7
  2. なるようになるって意見は同感だけど、「高まる公衆衛生リスク」に対して人間がどうにかしようと考えるのも自然な話なんだよな

    • +20
  3. ニッチに適応するようにそのうち小型の腐肉食動物が大型化するんだろうなぁ(いつかは知らん)

    • +2
  4. 全く違う生物間でも同じ傾向というのが興味深い
    比較的大型種が多いのはライフサイクル故に個体数の回復難しいのだろうけそ、その原因はなんだろうか

    • +3
  5. ネズミ対策に猫を飼うことが奨励される時代がくる?

    • +4
    1. ネズミ等齧歯類はノミの運び屋でバイキンの宝庫だからね。
      中世にペストがあれほど蔓延したのは猫を悪魔と結び付けて虐殺したせいもあるという。
      デフォーの『ペスト』は17世紀ロンドンのペスト禍を描いたものだが、この時は何十万頭にも及ぶ犬と猫が処分されたという記述がある。

      • +3
  6. インドでは牛を大切にするから、死にかけで弱っているのを憐れんで人々がジクロフェナクという薬剤を投与して安楽死させるそうな。
    死んだ牛の肉を食べたハゲワシが大量死して約95%減った結果、昔からの風習である鳥葬もままならぬという。

    • +14
    1. へぇー!
      それは人間が直接に関わってるな

      • +1
  7. カラスに限って言うと、人間が出すゴミを漁るほうがはるかに安定かつ安全

    • +1
    1. 野生動物にとってはそうでもない。
      アフリカのどっかのヒヒの生息地にホテルが建った。
      そしたら元々は果実や木の葉を食べていたヒヒたちがゴミ捨て場の残飯を漁るようになって、
      人間同様、糖尿病やら心疾患やらの生活習慣病に陥ったという話。

      • +3
  8. 猫はネズミ避けにはなっても、それだけで腹を満たせるほど狩ってはくれないからなぁ

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。