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沖ノ島から出土した1300年前の国宝「金銅製矛鞘」に豪華な文様がX線撮影で確認される

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(著) (編集)

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国宝「金銅製矛鞘」 / Image credit:「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会・宗像大社
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 福岡県の世界遺産・沖ノ島で出土した国宝「金銅製矛鞘(こんどうせいほこさや)」をX線を使った最新技術で調べたところ、「黄金の鳳凰」の見事な文様が施されていることが判明した。

 この文様は、異なる素材を組み合わせて模様を表現した工芸技法「象嵌(ぞうがん)細工」により刻まれたものだ。

 金銅製矛鞘は6世紀後半から7世紀初頭にかけて作られたもので、象嵌細工が全面に施されている矛鞘は、国内で例がなく、東アジア全体で見ても傑出した作りであることから、「ヤマト政権」が沖ノ島祭祀のために特注した可能性が高いという。

 このことは、当時の政権がこの神宿る島をいかに重視していたのか物語るという。

神宿る島で70年前に発見された国宝

 九州本土から北へ60km離れた福岡県・沖ノ島は、古代より”神が宿る島”として知られてきた。

 島全体が信仰の対象とされ、2017年には「「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群」の構成要素としてユネスコ世界文化遺産に登録されている。

 これまで沖ノ島からは8万点以上の奉献品が出土しており、令和6年には、文化庁の補助事業として、地元の文化財関係者を中心に出土品のうちの金属製品約4200点のデータベース化が進められた。

 その中でもひときわ異彩を放っていたのが、国宝「金銅製矛鞘」である。

 昭和29~30年に沖ノ島祭祀遺跡で行われた調査で発見されたこの国宝は、全長30.5cmの金銅製の鞘に、長さ28.6cmの矛が収めされたもの。

 X線を用いた最新の調査では、刃部は三角形の断面をもつ「三角穂式鉄矛(さんかくしきてつほこ)」であることが明らかになっている。

 袋部(ふくろぶ/矛を柄に取り付ける部分)は、銀の装具や銅の鞘留があり、柄にはしっかりと固定されていない。

 こうした構造から実用性は低く、武器としてではなく、祭祀のために特別に作られた奉献品だと考えられている。

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「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会・宗像大社

X線で浮かび上がった黄金の鳳凰

 また鞘に収められた鉄製の矛には、精緻な「象嵌(ぞうがん)文様」が施されていることも明らかになっている。

 象嵌とは、ある素材の表面に別の素材をはめ込んで模様や装飾を施す技法のことで、金銅製矛鞘のものは金製である可能性が高い。

 刃部と袋部ではデザインが異なっており、前者のものは「唐草文」だ。

 一方、後者は「鳳凰」を表したもの。専門的には、「亀甲繋鳳凰文(きっこうつなぎほうおうもん)の変形」とされ、六角形の枠の中に、正面を向き羽を広げた1羽の鳳凰の姿が簡略化されて描かれている。

 また、この象嵌の文様と技術的な特徴から、朝鮮半島の技術を継承しつつ、日本で製作された可能性が高いと推測されている。

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「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会・宗像大社

神の島に捧げられた東アジア随一の矛

 象嵌が全体に施され、銀や金銅で装飾されたこの矛は、東アジア全域でも類を見ないきわめて優れた“逸品”であるという。

 6世紀後半から7世紀初頭にかけて日本で作られたと推定されているが、同時期の国内の古墳から同じような矛が出土していないことから、ヤマト政権が沖ノ島の祭祀のためだけに「一品物」として作ったと考えられている。

 沖ノ島の祭祀では航海の安全や対外交流の成功が祈願されたというが、今回の発見からは、ヤマト政権がいかにこの祭祀を重視していたのか窺い知ることができる。

 なお、この金銅製矛鞘の象嵌発見を記念した特別展「永い眠りから覚めた黄金の文様 国宝金銅製矛鞘特別公開」が、2025年6月14日~8月31日まで宗像大社神宝館にて開催される。

 また関連展示として、世界遺産ガイダンス海の道むなかた館では、「宗像武人の装い」展が6月13日~7月27日まで行われる。

 1300年の時を超え、神に捧げられた“黄金の矛”が今、私たちの目の前によみがえる。この機会に、宗像の地を訪れてみてはどうだろうか。

 このニュースは海外でも報じられており、世界からも注目を集めている。

References: Archaeologymag / Interestingengineering / Munakata-taisha.or.jp

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この記事へのコメント 13件

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  1. そうか、鞘の中身の矛は鉄製だから錆びてもう抜けないのね。

    • +12
  2. こういうニュースを見ると、昔の祭祀ってきらびやかで荘厳だったんだろうなあ、下々には見れない(残念)けどって思います。

    • +14
    1. そういう場合はゼロに本物作ってもらう
      冗談はさておき、現在発掘されたものからある程度のものは
      想像できるので、現物は不可能でも想定は可能だと思う

      ホント当時の技術でここまで細工できるってどういう道具を使い
      加工できる高度な職人いたのか今更驚く

      • +16
  3. やはり古代日本では「剣」が何か権威や神聖さを象徴するものだったみたいだね

    • +2
    1. 一点ものとは言うけど、積み重ねがないとこういうのは作れないので、ここまでじゃなくても似たようなのはいくつもあったはず
      もしかしたら古い神社にはまだこういうのが眠ってるかもね

      • +4
  4. これはちょっと信じられない…いや、信じる信じないじゃなくて想像を超えた国宝って意味。

    百済・新羅由来の最高の象嵌細工で国内生産だろ?
    ヤマト政権の最高権力者に献上されてもおかしくないくらいの逸品。
    聖徳太子が手にとって肖像画に共に描かれていてもおかしくない逸品。

    それが、あのちっぽけな沖ノ島にわざわざ納められてたわけだ。
    「神宿る島」宗像・沖ノ島ってのはどれだけ重要視されてたか想像もできない。いや、想像できるけどそれ以上に重要な場所だと実感した次第です。

    • +13
    1. 今と島の形も大きさも違うんじゃないかな
      矛を置いて来たくなるくらいには、良い感じの形してたんじゃない?

      • -2
  5. いやあすごい
    神の島の祭祀のために作られた矛って興奮する

    • +12
  6. ものすごく繊細だ
    本当にその時代のものだろうか
    同じようなものが他にどこかで発見されるということはないんだろうか

    • +5
    1. この島からは「三つに折られた剣」や「砕かれた玉」なんかも見つかっていて、どうも古代神話を再現する儀式をしてたんじゃないかと言われている(スサノオがアマテラスに会いに行った場面ね)
      これも海をかき混ぜる儀式に使ったのかもね

      • +9

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