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うれしいニュース、30年ぶりに新種ヤモリを再発見、研究者が特殊部隊さながらの捜索

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(著) (編集)

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image credit: @Endangered Wildlife Trust
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 南アフリカの岩だらけの断崖絶壁にヘリコプターから飛び降りた2人の男性。その姿はまるで特殊部隊のようだが、彼らの正体は爬虫類の生物学者だ。

 彼らの目的は、過去30年以上、一度も目撃されていないヤモリの捜索だった。

 砂色のこのヤモリは、1991年に新種として記録されたものの、それ以降一切の目撃例がなく、ついには存在そのものを疑う声すら上がっていた。

 そこで生物学者たちは体を張った捜索を開始。人間の近づけない岩山のてっぺんで、再びそのヤモリの姿を確認することに成功したのだ。

山頂で発見された新種のヤモリ

 南アフリカのムプマランガ州にある渓谷、ブライデ・リバー・キャニオンは、全長約26km。アメリカのグランドキャニオン、ナミビアのフィッシュリバー・キャニオンと並び、世界三大キャニオンのひとつに数えられている。

 ここには、「スリー・ロンダベル」と呼ばれる円錐形の岩が三つ並んだ景観がある。ロンダベルとは、アフリカ独特の円錐形の屋根を乗せた小屋のことだ。

 その頂上は切り立った断崖絶壁に阻まれて、空からしかアクセスすることができない。

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image credit:Pixabay

発見以来目撃例がない幻のヤモリ

 1991年12月、南アフリカの生物学者ニールス・H・G・ヤコブセン博士は、このスリー・ロンダベルで2匹のオスのヤモリを採集した。

 そのヤモリは特徴的な金色の眼と縞模様のある尾を持つヒラタヤモリ属の新種で、「アフロエドゥラ・ロンダヴェリカ(Afroedura rondavelica)」という学名がつけられた。

 「アフリカ(Afro)」と「鱗を持つ(edura)」のラテン語要素が合わさった名だ。

 英語では発見された場所にちなんでブライデ・リバー・フラット・ゲッコー(Blyde River flat gecko)と呼ばれている。

 しかし最初の発見以来30年以上にわたって新たな目撃情報がなく、やがてその存在自体が疑問視されるようになった。

 この地域一帯にはもともとよく似たヤモリが生息していたこともあり、既存種の幼体ではないかとの仮説を立て出す研究者もいた。

 そのサンプルの少なさから、国際自然保護連合(IUCN)は「データ不足」として「絶滅種」に分類し、長らく「幻のヤモリ」とされていたのだ。

 彼らが生息するとされるスリー・ロンダベルの頂上には、地上から近づくことは不可能だった。

 そのため、調査のために再び発見場所を訪れようとする研究者もいなかったのだ。

 しかしそれも過去のこと。このたびついに2人の研究者が幻のヤモリの存在を確かめるべくその不可能を突破。命がけで山頂に挑んだのだ。

研究者の執念。ヘリコプターから飛び降り山頂へ

 2025年4月、Endangered Wildlife Trust(EWT:絶滅危惧野生動物基金)の研究者、ダレン・ピーターセン博士とジョン・デイヴィス博士は、このヤモリが今も同じ場所に生息しているかどうかを確認するため、スリー・ロンダベルを訪れた。

 このアクセス困難な山頂の調査を行う許可を得るために、彼らは2年の歳月をかけて準備を進めてきたという。

ムプマランガ州立自然保護区から必要な許可を取得し、申請を承認してもらう必要があったため、長い時間がかかってしまいました

 ピーターセン博士は、今回の調査についてこのように説明している。

データが不足している種の存在には、本当に歯痒い思いがします。私は見つけにくかったり無名だったりするせいで、研究されずにいる種を常に愛してきたんです

 2人はヘリコプターで上空に行き、そこから地上に飛び降りた。まさに命がけでロンダベルの山頂に降り立ったのだ。

私たちはルイ・トリチャードで集合した後、マリープスコップまで車で向かい、ムプマランガ州観光公園局のパイロット、ジャナ・マイヤー博士と会いました。

Hope For Wildlifeがヘリコプターを手配してくれて、ロンダベルまでの飛行ができました。15分のフライトの後、私たちはヘリコプターから地上に飛び降りなければなりませんでした

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image credit: Instagram @endangeredwildlifetrust

到着後その日のうちに新種ヤモリの「再発見」に成功

 山頂に到着後、2人はすぐにキャンプを設営し、最初の夜を迎えた23時30分。なんと彼らは、このヤモリの再発見に成功した。

信じられませんでした。本当に見つけられてよかったです!

 彼らは2~3日で20匹以上のヤモリを発見し、そのうち5匹を標本として捕獲。さらに数匹からは、遺伝子分析のために尻尾の先をサンプルとして採取した。

 この尻尾からDNAサンプルが取れれば、それぞれの個体が同種なのか別種なのかを確認できるはずである。

 ヤモリの尾は約1か月で再生するため、生体を採取したことによる個体への影響は最小限に抑えられた。

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image credit: @Endangered Wildlife Trust

 今回の「再発見」により、他のヤモリの幼体ではないかとの説を、ピーターセン博士らは明確に否定した。

Afroedura rondavelicaはより小型でスリムであり、尾の部分だけが紫色でした。私はこれがまったく異なる種であると、100%確信しています

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image credit: @Endangered Wildlife Trust

 このヤモリの正確な生息数ははっきりとはわからないが、ピーターセン博士らは、おそらく数百匹程度がロンダベルの山頂付近に生息しているのではないかと推測している。

彼らが絶滅の危機に瀕することは当分ないでしょう。少なくとも近い将来での絶滅などはないと思います

 今回収集された標本とデータの分析が進めば、この種の詳細な遺伝的情報が判明し、形態学的・分類学的にも大きな進展が期待できるはずだ。

 そしてさらに研究が進むことで、このヤモリが種として直面している脅威を特定し、必要な保全活動が計画・実施されることになるだろう。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

体を張って危険を冒して研究に挑む研究者は多いが、まさにこれもその1例だろう。こういった真摯な研究者により地球が救われたり、人間の命が救われたり、生態系が守られていくんだね。再発見できて本当によかった。こんな危険な場所には誰も来ることはないだろうから、安心して種を存続できそうだね。

References: ‘Absolutely ecstatic’: Scientists confirm survival of rare South African gecko / ‘Lost’ gecko species rediscovered after more than 33 years

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この記事へのコメント 14件

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  1. キャー、可愛いw
    自分、蛙も蛇も嫌いだけど中間のトカゲヤモリは普通に触れるの不思議w

    • +5
  2. 仮説を立て出す研究者もいれば
    ヘリコプターから飛び出す研究者もいるのね

    • +5
  3. 研究の為ならたとえ危険な場所でも体を張って現地まで行くってインディアナ・ジョーンズみたいだな。

    • +9
    1. ガチの研究者ってのはだいたい古今東西こんな感じ
      インディ・ジョーンズはそういう研究者の実話とかをモデルにしてる

      • +7
  4. ちっちゃかわいいおめめくりくり
    この子が赤ちゃんじゃないってんなら赤ちゃんはどんなちちゃいんだろう?

    • +10
  5. 特殊部隊と自然保護官、それにヒーローも満たしたレンジャーか、クールだ

    • +6
  6. こういった真摯な研究者たちのおかげで保全も進んでくんだろうね。そして本来ならそういう人たちの頑張りや野生生物の状況も知らずに過ごしてしまう私に、カラパイアさんたちが発信することで知ることができるよ。ありがとう!

    • +12
  7. 可愛いね。昔は家の中でヤモリを見かけて手に乗せてリリースしたりしてたが、近年は見なくなって寂しい

    • +2
  8. 飛び降りて行ったんなら、どうやって帰ってきたんだろう

    • 評価
  9. ヤモちゃんかわいいねチュッ
    ニホヤモみあるけど新種なのか

    • +1

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