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アンティキティラ島の機械は本当に機能していたのか?試作品だった可能性を示す最新研究

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(著) (編集)

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BBC Global/Youtube
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 1901年、ギリシャ沖のアンティキティラ島近くで発見された「アンティキティラ島の機械」は、古代に作られた世界初のアナログコンピュータとも言われてきた。

 太陽や月、さらには惑星の動きを予測し、日食や月食まで計算できたとされるこの機械は、その複雑で精巧な構造から、現代の科学者たちを長年驚かせてきた。

 しかし最近、アルゼンチンの研究チームによる新たなシミュレーションにより、この機械がこれまで考えられていたほど精巧な作りではなく、実は動作からして不安定だった可能性があるという。

 アンティキティラの機械は完成された機械ではなく、試作品の段階にあったかもしれないというのだ。

アンティキティラ島の機械に関するこれまでの見解

 アンティキティラ島の機械は、1901年、ギリシャのアンティキテラ島沖に沈んでいた難破船の残骸から発見された。

 紀元前2世紀末から1世紀初頭頃のものと考えられるこの遺物は、当初その重要性に気付かれることはなかったという。

 ところが、やがてその内部にいくつもの歯車で構成された複雑な機構が備わっていることが明らかになると、さまざまな研究者の好奇心を強く掻き立てるようになった。

 そうした研究によるならば、アンティキティラ島の機械は、太陰暦を追跡し、太陽・月・惑星の黄道上の位置示し、日食や月食さえ予測できたという。

 あまりにも精巧な設計ゆえに、2000年以上も前の設計とはにわかには信じれず、オーパーツの1つに数えられることもある。

 だが、もしかしたら、そこまで精巧ではなかったかもしれないというのが、今回の研究の趣旨だ。

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Image credit:Joyofmuseums / WIKI commons CC BY-SA 4.0

最新の研究が示した動作の限界

 今回、アルゼンチン、国立ラプラタ大学の研究チームは、アンティキティラの機械の実際の形状や歯車の構造をできる限り忠実に再現したコンピューターシミュレーションを行った。

 これまでの復元では単純化されていた「三角形の歯」を正確に反映させたことで、装置の本来の動作状態がより詳しく検証された。

 その結果、アンティキティラの機械はおよそ4か月分の天体運行を再現した時点で、歯車の噛み合わせがずれたり、装置全体が停止してしまうことが分かった。

 再び使用するためには手動での調整が必要となり、長期間にわたって連続使用することは現実的でなかったという。

 このことから、研究チームは「アンティキティラの機械は当初から精密な計算機として設計されたのではなく、教育目的やデモンストレーション用の試作品だった可能性がある」と指摘している。

BBC放送が特集したアンティキティラの機械、存在するはずのない古代の「コンピューター」と称している

当時にしては高度な技術が使用されていたのは確か

 一方で、この機械の構造には非常に高度な技術が使われている。内部には50個以上の歯車が組み込まれており、それぞれが緻密に連動して太陽や月の運行を再現しようとしている。

 もし「実際には動かなかった」とするならば、なぜここまで複雑で精密な設計が施されたのかという新たな疑問が生まれる。

 また、現在私たちが観察しているアンティキティラの機械は、2000年以上もの間、海底に沈んでいた影響で、腐食や変形が激しい状態にある。

 CTスキャンや3Dモデリング技術によって内部構造の解析は進んでいるが、完全に正確な状態を再現するのは難しい。

 研究者たちも「現存するアンティキティラの機械の状態が本来の性能を正しく示していない可能性がある」と認めている。

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アンティキティラ島の機械の断片(裏側) 32個の歯車と黄道十二宮の星座や月の名が刻まれたプレートで構成されている / image credit:WIKI commons CC BY 2.5

本当のことはまだわからないが、興味は尽きない

 今回の研究は、「アンティキティラの機械は本当に機能していたのか?」という長年の問いに対して、新たな見方を提示した。

 もしこの機械が試作品や未完成のモデルだったとすれば、古代ギリシャの科学者たちがどこまで天文学的知識と技術力を持っていたのかを再評価する必要があるだろう。

 それでも、アンティキティラの機械が人類史における驚くべき遺物であることは変わりない。その構造は、1000年以上も後の中世ヨーロッパにおける機械式時計よりも進んでいたとも言われている。

 今後さらに高精度の解析技術や新たな発見によって、アンティキティラの機械の本当の姿に少しでも近づける日がくるかもしれない。

 この研究の未査読版は現在『arXiv』(2025年4月1日投稿)で閲覧できる。

References: Arxiv / So Did the Antikythera Mechanism Actually Work? New Research Casts Doubt

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この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. ふーん新しい新説が出て来たね面白い。
    一応復元したレプリカはちゃんと機能してるけどね
    まえTVでやってたの覚えてる。

    まあどちらにせよ魅力的な物ではあるよな
    これ作成した組織はどんなものだったんだろうね。
    少なくともただの機械工房集団ではなかっただろうし。
    歯車一つ取っても要求される精度は
    全然レベルが違うわけで
    それを作れた組織って凄いんだろうね。

    • +3
  2. 長期間にわたる精度の保証は無理なんだろうな
    計算済みの表があって、それで補正していたとかあるのかもしれないね

    • +2
  3. スイスの手巻き時計が絶賛されてたのは、その精緻な組み合わせもさることながら、部品の一つ一つを素材から厳選させて作り上げてること
    歯車の嚙み合わせとかも、理論上はそれで動いても、実際に動くもの、ましてや故障せずに作動し続けるものを作るとなると、ハードルは3段以上高くなる
    素材から制作の過程から完成時の精度から耐久性から考えても、古代の歯車にそこまで完成してたとは思えんのよね

    • 評価
  4. 完成品であってもなくても製作者はこれが海に沈んで悔しい思いをしただろうな。二千年後の同志が復活させるとはつゆ知らず・・・

    • +11
  5. 私は動いたと思うよ
    これレプリカ販売しててるじゃん

    で実物は『現存するのは30個の歯車を含め、全体のわずか3分の1と考えられており、しかも82個の断片に分かれている。』そうだ
    つまり現物だけでは動かないのは当たり前で、パーツをかなり足してるんだろう
    なら、そこを上手に作れば動くし、下手なら動かないだけ

    主張通り試作品なら、そんなモノに部品足して動くほうが奇跡だよ

    • +20
    1. >これまでの復元では単純化されていた「三角形の歯」を正確に反映させたことで、
      >装置の本来の動作状態がより詳しく検証された。
      当時の形状を忠実に再現したらかえって動作に不備が出たってことじゃないかな?
      別に不思議な話ではないと思う。昔の技術と今の技術で正三角形の部品作ろうってなったら当然最新技術の方が正確に作れるだろうし。
      見つかってない部品も他の部品の作りの精度見たらある程度推測して作ることはできるかと。
      要は設計思想はばっちりでも技術面が追いついてなかったのかなと。

      • +6
      1. 設計思想はばっちりでも技術面が追いついてなかったのは現代人なのかも
        失われた部分を残った部分と全く同じだと考えることに無理がある
        精度に関しても腐食したものから、元の形を推定しているだけなんだからね

        • +4
      2. 当時の形状って何をもとにしたの?
        そこから疑問に思わないと

        • 評価
        1. 「内部には50個以上の歯車が組み込まれており」
          本文を読もう。現物からして腐食が激しいとはいえ歯車自体は入ってるんだから当時の形状を推察することくらいできるでしょ。要はそこにどうバイアスがかかって都合のいいor悪い形に復元するかって話じゃないの?

          • +1
    2. 『4ヶ月分の天体運行を再現(つまりそこまでは動く)』とも、『現存するアンティキティラの機械の状態が本来の性能を正しく示していない』とも、そもそも再現したのは『機械の形状と歯車の構造』であって全体復元ではないともしっかり書かれてるよ。
      要は今まで雑だった歯車の形をしっかり再現して、噛み合わせをコンピュータにシミュレーションさせた結果、歯車が4ヶ月分を境にズレ始めるという話であって”2/3継ぎ足したけど動かなかった!”なんてトンチキ一言も書かれてない。
      読んでない部分を「だろう」とか妄想で補完するのはやめた方がいいぞ。
      あとその書き方だとメッチャ誤解を招くけど「現状見つかってるのが『30個の歯車を含む82個の断片で合計して3分の1』」だね。
      取説なんかはX線からほぼ全文見つかってるし、これってトンデモ理論の代表天動説における星の動きを強引に再現したものだからズレ出すのは当然だと思う。

      • +1
  6. 歴史の記述通りならアルキメデスが作った同類のものがこの百年も前に稼働してたみたいだし、原理は確立されてただろうね

    • +10
  7. この手の作成者が1個で済ますわけが無いので
    どっかに試作品があるはずなんだよね

    • +3
  8. こんな精密な機械を作ったという頭脳が凄い
    この技術者が冷凍技術や機械式の計算機も作ってたといわれても
    俺は信じてしまう

    • -1
  9. 目覚まし時計を一般人が見様見真似で作る様に、見つかってないだけで完璧な物があったのかもしれない。

    • +1
  10. Wikiだと、キケロ他著名人が記録に残してて、同様な機械が複数’(記録の上では最低4個?)あったことが示唆されている。
    試作品から改良を繰り返してたんだろうね。

    • +8
  11. 四ヶ月も動いたら凄すぎる
    ロレックスなんか一ヶ月の日数変わるたびにズレるのに

    • +2
  12. エイプリルフールの論文で内容も全く具体的ではないってのがねw

    • -4
    1. 論文の内容を確認するとすぐわかるよ
      「三角形の歯」を正確に反映させたというのが
      引っかかるように尖らせたもので
      一目でこりゃだめだってなる
      エイプリルフールにしてもずさんすぎる
      古代人がせせら笑う代物

      • 評価
  13. なんか携帯用のやつだったとかだろうから、結構作ってた可能性があるんじゃないかな?
    もし1つ~少数のものなら、小さくするための試作品ということも。
    天体位置予測機械という物自体は、当時にはそこまで珍しい物じゃなかったみたいだし。

    • +1
    1. まあいきなりこんな小さなものじゃなくてまずは大きいものから作ってただろうね

      • 評価
  14. まあ、だいぶ腐食してるし部品も欠けてそうだしなー
    化石の復元みたいなもんで、まだまだ議論は尽きないんだろーね

    • +3
  15. セールスに使う技術プレゼン用の現物見本。
    「こんなの作れちゃいますよ!お好みで装飾も!」

    • +1
  16. ふと、「謎は謎のままがいいよね」と研究者の声が聞こえてきたような…
    これが何か、もう、疑う余地もなく解明されてしまったら終わっちゃうから、ロマンを追い求める人達はあれこれ想像する楽しみを失くしたくないから…くらい思っちゃう。

    • -2
  17. 論文の方しっかり読んだけど、
    理想的な条件下におけるギア同士のペアを動かした時、それまで現代基準の正確無比な軸と歯の配列を持つ歯車ではなく、
    実際に見られた軸ズレや歯列異常といった誤差を考慮するとどのくらいエラーが起きるかというものだった。

    この機械は製造誤差0の超理想条件下でならちゃんと動くけど、少しでもズレると詰まりや歯外れが出て、誤差のひどい箇所は止まっちゃうらしい。
    それでも時計みたいに短期的には精巧に動くから当時基準の天文計算(といっても天動説ベースのインチキ計算だけど…)でなら問題ないとのことだった。
    つまり記事の書き方が誤解を招いてると思う。そこから妄想で都合よく補完させちゃうまではともかく誤解に基づくコメントまで許しちゃうのは科学の記事として如何なもんかと…

    • +4

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