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月の危険な砂塵「レゴリス」を取り除け!NASAの防塵技術が月面で実地試験に成功

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月の砂塵、レゴリスで真っ黒になったアポロ17号の船長ユージン・サーナン(NASA)
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 月の有人探査計画が進行する一方、最大の障害のひとつが月の表面に舞う細かい砂塵「レゴリス」だ。

 レゴリスとは、隕石衝突などで岩石が砕けて天体の表面にたまった細かい破片の層で、月や火星に広く分布している堆積物の一種である。

 宇宙飛行士にとって非常に危険で厄介なこのレゴリスが、革新的な技術によって無力化されようとしている

 NASAがが開発した電気式の防塵システムが、月面での実地試験に成功したのだ。

レゴリスを防げ!NASAと民間企業が連携した月面ミッション

 2025年3月16日、アメリカの民間宇宙開発企業ファイアフライ・エアロスペースが実施した「ブルーゴースト・ミッション1」が無事終了した。

 ファイアフライ・エアロスペースは、NASAからの委託を受けて探査機を開発。

 この月探査ミッションは、NASAの「商業月面輸送サービス(CLPS)」の一環として行われたもので、NASAの10種類の実験装置が搭載されており、その中には今回の主役とも言える、レゴリスを防ぐ、NASA開発の「エレクトロダイナミック・ダスト・シールド(以下EDS)」も含まれていた。

 探査機は、2025年1月にフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げた後、3月2日に月の北東半球に位置する濃い色の玄武岩で覆われた月の海の1つ、「危難の海」近くの「モン・ラトレイユ」と呼ばれる地域に着陸した。

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月の表面を覆う砂塵のような堆積層、レゴリス NASA

月の砂塵「レゴリス」の危険性

 月の表面には「レゴリス」と呼ばれる微細な塵や砂粒「レゴリス」が大量に存在している。

 水が一切存在せず、数十億年にわたって無数の微小な隕石が衝突したことで、極端に鋭くとがった粒子が生まれた。

 また、宇宙線の影響でそれぞれの粒子が静電気を帯びており、宇宙服や機械、さらには人体にも付着しやすい性質を持つ。

 過去のアポロ計画でも、宇宙服がすぐにすり減ったり、機材に不具合が起きたりする原因となってきた。

 この問題は、1969年のアポロ計画からすでに知られていた。

 当時の宇宙飛行士たちは、ミッション後にまるで炭鉱労働者のような姿で月面車に戻ってきたという。

 スーツ、ヘルメットのバイザー、工具、電子機器までもが砂に覆われ、健康や装備の劣化にまで悪影響を及ぼした。

 そのため、レゴリスへの対策は、今後の有人月面探査における重要な課題とされてきた。特に、将来の長期滞在では、機器の性能低下や人体への影響が深刻な問題になりかねない。

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アポロ11号での月面調査時に付けられた月表面の足跡 AS11-40-5877 / WIKI commons

電気の力でレゴリスを弾き飛ばす最新技術

 レゴリス問題に対処するために、NASAが開発したのがEDSだ。

 これは、装置の表面に配置された電極に電圧をかけることで、宇宙飛行士や機器の表面に付着したレゴリスを電気的な力で弾き飛ばすという仕組みになっている。

 EDSは、NASAのフロリダ州ケネディ宇宙センターで設計・開発されたもので、NASAの「ゲーム・チェンジング開発プログラム」から資金提供を受けている。

 今回のブルーゴースト・ミッション1では、EDSが月面に運ばれ、実際の月の環境下でその効果が検証された。

 実験対象は、ガラス板と熱放射パネルの2つの表面だ。

 EDSを使用する前のBEFORE画像では、それらがレゴリスで覆われていたが、EDSを作動させた後のAFTER画像では、表面がきれいになり、レゴリスがしっかりと除去されていたことが視覚的に確認された。

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EDSを作動前(BEFORE)と作動後(AFTER)でガラスと熱放射パネルの表面のレゴリスを比較した画像 NASA

今後の宇宙探査に向けた重要な一歩

 今回の実験結果は、EDSが月面での現実的な防塵技術になり得ることを示している。

 EDSは現時点では試験用の装置で、実際の探査に使うには改良が必要だが、今回の実証実験により、今後の探査機や宇宙基地にこの技術が組み込まれる可能性が大きくなった。

 宇宙飛行士の健康と任務の安全を守るため、見えない電気のバリアが新たな標準装備になる日も近いかもしれない。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

月に人間が着陸するだけでも大変なのに、更に月の上では地獄のような環境が待っているとは!1972年12月に人類が最後に月に着陸してから52年も経過しているのは、様々な障害を乗り越えるためには長い準備期間が必要だったということなのだろうか?それにしても実際に月に降り立った宇宙飛行士たちはすごいな。

References: NASA

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この記事へのコメント 11件

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  1. 宇宙兄弟ではレゴリスを利用して基地居住区のコーティングしてたなぁ。
    自在に利用できるなら非常に便利な素材らしいので今後に期待

    • +7
  2. 宇宙兄弟ではレゴリスってとがってて目や肺に入ると傷つけて危険なんだってね。しかも静電気でくっつきまくるとか。

    • +2
  3.  発泡スチロールの粒粒が全身にまとわりついているようなものでそれが一つ一つがとても小さくてしかも凶悪にとがってるとくれば恐ろしい状態だなと容易に想像つきます。 半導体工場のように中間の部屋でエアシャワー?で吹き飛ばしができそうだけど、正負を反対に帯電させてから振動を与えれば取れそうというのは面白いですね。 たしか空気清浄機の一種で帯電して花粉とかホコリを集めるものがあったけどそんな感じにやるのかな……

    • +3
  4. アポロ11号の時クルーの目や皮膚に炎症起こして謎の病原体かとパニックになったやつか
    ガムテープでペタペタやって取ったらしい

    • +2
  5. 人類が再び月目指さないのは、シンプルに金がかかりすぎるから。
    ついでに当時の奇跡みたいな技術もまぁまぁ失われてる。

    • -4
    1. 必要な調査は無人でできるようになったし
      あのまま続けても、お金の無駄遣いになるからだよ
      だから、無意味に月面に人を送ることに誰もお金を出さなくなった
      これからやろうとすることができるようになる技術が開発できるまでの準備期間だっただけってことだね

      • 評価
  6. 将来月面農業をやるにしても月の砂はアスベストや火山灰みたいなものだからそのままだと使い物にならないということか

    • +2
    1. 月面農業の研究も行われているよ
      現地調達できるもの使うのは基本だからね

      • +2
  7. 例えばレゴリスのめちゃくちゃ有効な用途が見つかったとして、それこそ全レゴリスを活用して月にレゴリスがなくなったらどうなるんだろう。
    人が過ごしやすくなるんだろうか。そうなると我も我もとなって猫も杓子も月に行くようになって、人は地球の次は月を壊しちゃったりして。
    レゴリスは神が与えたもうた人の侵入を拒む月の防御物質なのかもな…

    • -1
    1. SFで人類が天の川銀河に広がっていった未来に
      地球土産に月の石を持ち帰る者がたくさんいて
      それで、気が付いたら月が半分になってしまっていて
      返してくれるように頼んで月を作り直すという話が合ったような

      • 評価

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