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ヒョウモンダコのオスは、交尾中にメスに食べられないよう毒を注入することが判明

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(著)

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ヒョウモンダコ Photo by:iStock
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 日本の海にも生息する猛毒を持つヒョウモンダコは人間にとって恐ろしい存在だが、ヒョウモンダコの愛憎劇もまた、人間を恐れさせるのに十分だった。

 ヒョウモンダコのメスは、オスよりも体が大きく交尾相手を捕食することもある。

 そこでオスは交尾初期にメスに噛みつき毒を注入し、一時的に麻痺させることで、自らの命を守りながら交尾を成功させていたことが、オーストラリア・クイーンズランド大学の研究で明らかとなった。

 交尾に成功するとオスはすぐに死んじゃうだけどね。メスも卵が孵化すると力尽き果てて死んじゃうんだけどね。

交尾中にメスに毒を注入し麻痺させるオス

 ヒョウモンダコは、マダコ科ヒョウモンダコ属に属する4種類のタコの総称だ。

 青い線状の模様を持つ小型の頭足類で、潮だまりやサンゴ礁などの浅瀬に生息する。彼らが持つ神経毒「テトロドトキシン(tetrodotoxin)」は、フグや一部のウミウシにも見られる強力な毒素であり、人間をも死に至らしめるほどの威力がある。

 ヒョウモンダコ(Hapalochlaena fasciata)のメスの大きさは10cm、体重は50gほどだ。オスはメスよりも体の大きさが2~5分の1しかなく、交尾後にメスに捕食されるリスクが高い。

 メスは産卵後、約6週間何も食べずに卵を守るため、その前に大量のエネルギーが必要なのだという。そのため、オスは自らが食べられるのを避ける戦略を進化させた。

 研究の筆頭著者であるクイーンズランド大学のウェン・スン・チョン博士によると、このリスクを回避するために、オスは交尾の最初にメスの大動脈に毒を注入し、一時的に麻痺させるのだという。

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研究者らは、40分から75分続く交尾中にオスのヒョウモンダコがメスの動きを止めているのを観察した image credit:Wen-Sung Chung/University of Queensland

 ヒョウモンダコのオスは、交尾の初期に「ヘクトコチルス」と呼ばれる特殊な触腕を使い、精子カプセルをメスの卵管に挿入する。

 しかし、オスのヘクトコチルスは短いため、距離をとった交尾ができず、メスの背中に乗る「マウント交尾」という方法をとる。その際、オスはメスに噛みついて毒を注入する。

 この毒が回ると、メスは約8分後に呼吸が止まり、体が青白くなり、瞳孔の反応も消えるという。これは完全な麻痺状態を示している。

 交尾は40~75分に及び、終わるころに麻痺は消え、回復したメスはオスを振り払う。研究者によると、交尾後のメスは通常通り餌を食べ、死ぬことはないものの、噛まれた箇所に腫れや傷が残るという。

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オスのヒョウモンダコ、メスはそれよりも3~5倍大きい。 image credit:Wen-Sung Chung/University of Queensland

 このような交尾戦略を進化させたヒョウモンダコ属のオスは、メスよりも3倍も大きな唾液腺を持っていることが分かった。

 唾液腺は毒を生成する器官であり、オスがより強い毒を分泌するように進化したことを示している。

どのみち交尾後オスは死ぬ運命、メスも卵孵化後に死亡

 ヒョウモンダコは「一生に一度だけ繁殖する」という「セメルパリティ」と呼ばれる繁殖戦略をとる。

 オスは交尾後すぐに死に、メスも卵が孵化した後、力尽き果て死んでいく。

 このため、オスにとって交尾の成功は、自らの遺伝子を次世代へ確実に残すための重要な機会となる。

 チョン博士は、「メスがどんどん大きく強くなったため、オスは特別な戦略を進化させた」と説明している。同じ生物なのに、お互いに対抗するために進化を続けているとは興味深い。

 この研究は『Current Biology』誌(2025年3月10日付)に掲載された。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

種の保存の法則から考えると、なぜメスが巨大化し交尾しづらくなったのかがよくわからないが、それに対応するためにオスが毒を使う戦略を発展させたということだね。いずれにせよ1度子供を残すとオスもメスも死んでしまうとか、せつなすぎるストーリーに思えるよね。人間にとって危険な猛毒を持っているけど、それは彼らにとっての命綱なんだね。

References: CELL / Male blue-lined octopuses inject females with venom during sex to avoid being eaten, study shows | Marine life | The Guardian / Male octopuses paralyze females during sex to avoid becoming a snack

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この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. なぜメスが巨大化し交尾しづらくなったのかがよくわからないが……言われてみれば、メスが大きくなりオスの生殖用の触腕が届きにくくなったと言っても。種を残すという目的が優先なら動きを控えれば済むことで。独でマヒさせなければ動きで生殖が困難だとしたら妙なもの

    • 評価
    1. >メスは産卵後、約6週間何も食べずに卵を守るため、その前に大量のエネルギーが必要なのだという。

      とあるからメスは巨大化した方が
      子孫を残すのに都合が良かったのかもね。
      オスも交尾後はメスに食べてもらってエネルギーになった方が
      自分の子孫を残す確率が上がりそう。

      • +15
      1. 交尾「後」ならいいけど、
        40~75分も要すなら、交尾完了前に食べられてしまうリスクも大いにあるから
        それを避けるための麻痺なのでは。

        • +2
  2. えー戦略? 腕を伸ばす進化をすればいいのに…

    • +4
    1. > 交尾は40~75分に及び
      長い腕を齧られるんだよ。時間はたっぷりある。

      • +2
  3. ヒョウモンダコってちっちゃくてかわいいよね

    • +3
  4. 麻痺状態40-75分はけっこう長い印象
    敵にしてみれば捕食には絶好のチャンスでは?
    リスク管理できるオスならまだしもそうでないオスに変な場所でスタンさせられたら詰みそう

    • +7
    1. カマキリとかと違って強力な毒を持っているから食べようとするやつはいないんじゃないかな
      メスもオスを食べ物としていないことだし

      • +2
  5. 薬を盛って事に至るなんて人間界では御法度

    • +8
  6. どせならオスは交尾直後にメスに食べられたほうが、メスの栄養となって子孫残す確率あがる。なぜオスは毒を注入し食べられないように動くか考えると ↓ が怪しい。
    >オスは交尾後すぐに死に、
    実は複数回交尾するオスがいるのでは。

    • +2
    1. くっついて交尾しなきゃいかんだが、オスはメスよりかなり小さいので触れようとするとすぐに襲われるか力任せに逃げられてしまう。なので先制攻撃で噛みついて毒を注入して動けなくするらしい。交接腕がメスの生殖器に精子嚢を限界まで入れる時間稼ぎの意味もある。

      あと交尾した後、食べられないようにオスはその場から逃げるんだ。力を使い果たして寿命になるとはいえ、やっぱり生き物の本能として死にたくはないんだろうね。

      • +8
  7. 75分も麻痺してむしろ外敵に狙われないのだろうか
    猛毒だからそのへんは大丈夫ってことか

    • +1
  8. どの種でもタコは交尾時に限らず普通に共食いするよ。
    食用に養殖が難しいのもそれが最大の問題

    • +3
  9. お互いにあと少し優しさを持ち寄れば毒なんて進化させる必要なかったのに・・・

    • 評価
    1. そういうナヨナヨした奴は、雌も雄も淘汰で敗れ去って消滅したのでは…?

      • +3
    2. そうなんだけど、それで種が保存されてきたわけで・・・

      • +2

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