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ボノボは人の心を察し、自分が知っていて人間が知らないことを教えてくれる

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(著) (編集)

公開:

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Photo by:iStock
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 現生の動物の中で人間にもっとも近いと言われるボノボは、人間の心を察することができるようだ。

 ジョンズ・ホプキンス大学が行った新たな実験によると、ボノボは、自分は知っているけど、人間はどこに入っているか知らないおやつの場所を、指をさして教えてくれたのだ。

 人間は日々、他者の気持ちや考えを推測しながら生活している。例えば、相手が何を知っているのかを想像し、それをに合わせて行動を変えることができる。この能力は「心の理論」と呼ばれ、複雑な社会を築く上で欠かせないものだ。

 この能力はこれまで人間特有だと考えられてきたが、ボノボにも備わっていたのだ。

ボノボは他者の心を察することができるか?

 私たち人間は「心の理論」を使うことで、相手の心を察し、お互いに協力し合ったり、助け合ってきた。

 では人間以外の動物たちはどうなのか?

 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のルーク・タウンロー氏とクリス・クルペニェ博士は、私たちと遺伝的に近い霊長類であるボノボにもこの能力があるのかを確かめるため、興味深い実験を行った。

 ボノボはチンパンジーの仲間で、人間に最も近い動物とされ、社交的な性格を持ち、集団での協力行動が見られることで知られている。

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実験に参加したボノボのニョタ Ape Initiative

3つのカップのどれかにおやつを隠す実験

 実験は、アメリカの研究施設「エイプ・イニシアチブ(Ape Initiative)」で行われた。参加したのは、25歳のニョタ、43歳のカンジ、13歳のテコという3頭のボノボだ。

 研究者の一人、ルーク・タウンロー氏がボノボの前に座り、テーブルを挟んで向かい合う。

 そして別の研究者が、おやつ(ぶどうやシリアル)を3つのカップのうち1つに隠す。このとき、タウンロー氏の前には2種類の仕切りが置かれた。

 それは透明なものと黒いもの2つで、透明な仕切りが使用された場合、タウンロー氏はおやつがどこに隠されていたかを知ることができる。だが黒い仕切りでは見えないので、どこに隠されたかはわからない。

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ボノボの見ている前でカップの1つにおやつを隠す Ape Initiative

人間が隠し場所を知らないと積極的に指を指して教えてくれる

 その上で、タウンロー氏が「ブドウはどこ?」と尋ねると、ボノボたちは反応を示す。

 タウンロー氏が隠し場所を知っている場合、ボノボは特に反応せず、落ち着いて待っていた。

人間がおやつを隠した場所を知っている時のボノボの反応動画

 だが黒い仕切りで、彼が隠した場所がわからなかったときは、積極的におやつの入っているカップに指を差し、どこに隠されているかを教えてくれたのだ。(なお、これは仕切りが外されてからの10秒間でカウントされた)。

人間がおやつを隠したカップを知らなかった時のボノボの反応動画

 ちなみにこのコップのルールを覚えさせるため、本番の実験前には、仕切りを使わないで同じような状況が試されていた。

 このとき、協力者となる人間がいない状況でコップにおやつを入れてもボノボは何もしないが、人間がいる状況ではその8倍の頻度で当たりを指差したという。

ボノボは心の理論を活用し、仲間の心を理解する

 今回の実験で注目すべきなのは、ボノボたちが「自分の知識」と「相手の知識」の違いを同時に理解していたことだ。

 「ボノボたちの行動は単なる偶然ではない」とクルペニェ博士は語る。彼らは確実に相手が知らないことを認識し、それを伝えようとしていたという。

 この実験では、ボノボには少なくとも一定程度の心の理論があると考えられる。

 とはいえ、実験はかなり作為的な状況下で行われたものだ。野生のボノボがこうした人間との協力関係を結ぶことはないし、プラスチック製のコップの下におやつが隠された状況に出くわすことだってまずない。

 また、実験に参加した3頭のうちの1頭、カンジは、食べ物への関心が強く、指を指すだけでなく、何度もメッシュ越しに手を出してタウンロー氏に知らせようとしたという。

 したがって今回の結果は、個体差による可能性もある。たったの3頭では、ボノボという種全体を知るには少なすぎるかもしれない。

 ただし野生のボノボが仲間に危険を知らせるとき、仲間がそれに気づかないようだと警告のやり方を変えるらしいことが観察されている。

 こうしたことや本研究の結果を踏まえるのなら、私たちの親戚であるボノボも他人の心を察している可能性は高いようだ。

 なおボノボは何十年経っても家族や友達のことを忘れない。彼らの友情や家族愛の強さを思えば、他者の心を察せるというのも意外なことでないのだろう。

 人間の中にも他者の心を察することができず、コミュニケーションがうまくいかない人も存在するんだから、ボノボだって個体差はあるかもしれない。もっと大規模な研究が待たれるところだ。

 この研究は『PNAS』(2025年2月3日付)に掲載された。

References: https://phys.org/news/2025-02-bonobos-humans-communicate.html / https://scitechdaily.com/mind-reading-bonobos-show-they-know-what-you-miss/ / https://arstechnica.com/science/2025/02/bonobos-know-when-youre-clueless/

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この記事へのコメント 17件

コメントを書く

  1.  へー、他者が答えを認識しているかどうかがわかるってのはすごいな。 かくれんぼができるってことですね。 例えば二歳児にかくれんぼで隠れてもらうとその場に突っ伏して「自分が見えない」(=相手も見えないとまでは考えてないでしょうがそういう行動をします)状態になったりしますが、ボノボだとその状態は相手からは見えているだろうという認識ができるともいえましょう。 だから難易度はともかくオニからは見えないであろう場所に隠れられるはずとね。
     ちゃんと自他が区別できるってのは知能が高い証拠。 ヒトに近いというのも納得の実験の記事で、面白かったです。

    • +15
  2. 地球上で人類が初めて出会うニュータイプ

    • 評価
  3. 自身手が届かないところに隠されたバナナ🍌を
    それを知らない相手に教えて分け前をもらう実験とどう違うかわからない
    『相手が知らないことを予想』できてるよね
    むしろこちらのほうが,味方なら教えて、そうでないなら嘘までつくのだから社会的行動まで見ることが可能では?
    一つ前に戻った実験にみえる

    • +2
  4. うちの亡くなった明治生まれの爺さんに顔が似ている

    • +4
  5. カンジって30年くらい前に見たドキュメンタリーに出ていたけどまだ生きてたのか! 飼育員や他のチンパンジー(ボノボじゃない)におやつを分けてあげたりもしていた。

    • +15
    1. カンジの名は「漢字」から取られている

      • +2
    2. 元気そうでうれしいよ。
      スー博士の動画大好きだった。
      妹が怒られた事は、自分も怖いのに必死でかばってたなあ。。。

      • +7
  6. なんか此処まで来ると檻越しの実験映像とかやっぱ考えちゃうなぁ

    • +2
  7. 人類はなぜボノボのように平和的な社会を作る方向に進化できなかったのか……

    • +3
  8. ボノボの英知 > 人間の英知

    欲にまみれた人間はどんなに進歩してもボノボに叶わない

    • +3
  9. 野生状態でも「あっちに食べられる木の実がたくさんある。一緒に行こう!」みたいな行動をすることで、個体ではなく群れとしての生存率を上げるんだろうか。

    • +1
  10. ボノボは人間の知らないことを教えてくれているのに人間が理解できていないパターンもありそうだな。

    • 評価

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