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小惑星ベンヌのサンプルから生命の原材料を発見!生命の起源は宇宙にあるのか?

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(著) (編集)

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小惑星ベンヌ / image credit:NASA/Goddard/University of Arizona
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 NASAの探査機「OSIRIS-REx」が2023年に地球へ持ち帰った小惑星「ベンヌ」のサンプルを分析した結果、DNAとRNAを構成する全5種類の塩基が含まれていることが明らかになった。

 さらに、地球の干上がった湖の堆積物と似た鉱物も発見されている。これらの発見は、生命の原材料が宇宙に存在し、地球の生命が宇宙由来である可能性を示唆している。

ベンヌのサンプルから生命の原材料を発見

  小惑星「ベンヌ」は、大昔に小惑星同士が衝突して生じた破片が集まってできたものだ。その中には太陽系が形成された45億年前当時の名残が保管されている。

 だからこそ、NASAの探査機「OSIRIS‐REx」が地球に持ち帰ったサンプルは、かつての太陽系の姿を知るうえで貴重な手がかりとなる。

 これまでのベンヌのサンプルの分析では、この小惑星がもともと太古の海洋世界にあったらしいことが明らかになっている。

 今回のNASAやアリゾナ大学をはじめとする研究チームによる分析では、ベンヌの前身である小惑星がどこで誕生したものか伝える痕跡が発見された。

 サンプルの化学組成が告げていたのは、その前身がもともと太陽系を形成した原始太陽系円盤の外縁部にあったということだ。

 こうした円盤外縁の温度は、マイナス240度にまで下がる。そのために温かいところではすぐに蒸発してしまう揮発性ガスが溜まる。

 そうしたガスは例えば、水蒸気・二酸化炭素・メタン・アンモニアといったものだが、最後のアンモニアはベンヌのサンプルからとりわけ高濃度で検出された。

 アンモニアは、条件が整えば、やはりサンプルから検出されたホルムアルデヒドと反応し、「アミノ酸」などの複雑な分子となる。

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ベンヌのサンプルで発見された含水炭酸ナトリウム。塩水が蒸発した後に残されたものの1つ/Rob Wardell/Tim McCoy/Smithsonian Institution; colorization: Heather Roper/University of Arizona

生命に必要な14種のアミノ酸と5種の核酸塩基

 アミノ酸は、生命には不可欠な「たんぱく質」のパーツだ。驚いたことに、地球の生命がたんぱく質を作るために利用する20種のアミノ酸のうち14種類が、ベンヌのサンプルで発見されたのである。

 さらにDNAやRNAを構成し、生命の情報を保存する5種類の「核酸塩基」までもが検出された。

 この発見について、NASAゴダード宇宙飛行センターのダニー・グラビン氏は、ニュースリリースで次のように語っている。

アンモニアが豊富なベンヌの祖先の起源が太陽系外縁であることのほか、太陽の遠方で形成された天体が、太陽系全体にとって生命の原材料の重要な供給源だったという仮説を裏付けています(ダニー・グラビン氏)

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小惑星ベンヌから持ち帰った物質のサンプルを手に持つ、OSIRIS-RExプロジェクトの科学者ジェイソン・ドウォーキン氏  image credit:NASA/James Tralie

宇宙で生命が誕生した可能性を示す環境の痕跡も発見

 一つ大きな疑問は、こうした生命の原材料からどうやって生命活動をうながす分子鎖に変化したのかということだ。

 スミソニアン国立自然史博物館のティム・マッコイ氏は、こう述べている。

いかなる材料が揃っていたとしても、それらに何らかの働きを引き起こす環境がなければ意味がありません(ティム・マッコイ氏)

 じつはベンヌのサンプルからは、生命の化学反応にスイッチを入れるきっかけになったかもしれない環境の痕跡すら発見されている。

 それは方解石や岩塩といった11種の鉱物で、”塩水”が長い時間をかけて蒸発した後に残されることから「蒸発岩」と呼ばれる。

 こうした蒸発岩が意味しているのは、ベンヌを生み出した小惑星の内部は、水が液体のまま長い間保たれるくらい暖かかったことを示している。

 化学反応を促進してくれる液体の水は、生命には必要なものだ。また塩分は水の凍結を防ぐとともに、単純な分子を濃縮することで、生命が必要とする複雑な化合物の形成を助ける。

 これまでも隕石から蒸発岩が発見されたことはあったが、ベンヌのサンプルは、数千年以上続いた可能性のある蒸発プロセスの痕跡をとどめた史上初の完全なセットである。

 なおこれと同じプロセスは、地球の干上がった湖や海の浅瀬などでも起きる。

 ベンヌのような小惑星が地球に持ち込んだ原材料が蒸発によって濃縮され、やがて化学反応が始まった…もしかしたら生命はこんなふうにして始まったのかもしれない。

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小惑星ベンヌに着陸しようとしているNASAの探査機「OSIRIS-REx」 のイメージ図 Image credit: NASA/Goddard/University of Arizona

 パンスペルミア説は、地球の生命の起源は宇宙にあるのではないかという仮説だ。今回発表された米国アリゾナ大学などの研究チームによる2本の研究は、まさにそれを示した形となる。

 地球が形成される前の宇宙にはすでに、生命の素となる「アミノ酸」などを作り出す原材料と環境があったということだ。

 だとすれば、太陽系の地球以外の天体で生命が誕生していたとしても、何ら不思議ではないということだ。

 これらの発見は、『Nature』(2025年1月29日付)および『Nature Astronomy』(2025年1月29日付)で発表された。

References: Asteroid Bennu comes from a long-lost salty world with ingredients for life | University of Arizona News

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この記事へのコメント 9件

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  1. 断言する、「生命の起源」は素粒子の中にこそあり

    • -3
  2. >生命の起源は宇宙にあるのか?

    当たり前だ

    地球そのものが宇宙由来

    • -5
    1. その「当たり前」を研究するのも大事なのです。
      あまり素人考えでコメしない方がよろしいかと。

      • +3
  3. こういう発見に対して、最近ではよく「これは単に生命の原材料が見つかっただけで、DNAやRNAが自然に組み上がる確率は宇宙の星の数より低い」と唱える人が出てくるのだが、それならばなおのこと地球で生命が発生したとする確率の方が低いのでは?と思う
    地球誕生後、40億年前に海が生じてからたった5億年足らずで生命が発生したとすると、本当に生命誕生の確率が極めて低いというならこれは余りにも短時間過ぎる
    そもそも原始地球環境が生命発生に相応しい環境だったのかどうかも実際には分からないし、もっと生命発生に適した環境を持つ天体が宇宙のどこかにある可能性もある
    そう考えてみると、パンスペルミア説に根強い支持が集まるのも当然だろう
    例えるなら、いま自分がお金を持っているとして、それが天文学的確率の宝くじで当てたお金なのか?それとも他人から得たお金なのか?の二択で推定するなら他人からの方が断然可能性が高いはずだ

    • +3
      1. こういう煽るようなコメントって何でエセ関西弁にしたがるんだ?
        関西出身者としてマジで腹が立つし差別的だから止めて欲しい

        • +2
    1. 「材料の一部があった」話であって「生命の完成品があった」話ではないんだが…
      そして小さな小惑星にあったモノが、原始地球で生成されなかった理由にもならない
      地球なんて宇宙にあるありふれた星の一つなんで、何も特別視して「生まれない」と思い込む必要性もないし
      地球以外を特別視して、「地球以外こそが生命の起源!」と思い込む必要性もない
      ただ「アイテムの一部が宇宙にもあった」という可能性だけの記事

      • -3
  4. >生命の起源は宇宙にあるのか?

    ってか、地球は宇宙にあるだろ?

    • -4
  5. ベンヌって聞くと、真・女神転生2の妖鳥ベンヌを真っ先に連想しちゃう。

    • 評価

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