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タイムトラベルで過去を変えても、現在は自動的に調整されるので変えられないとする物理学者

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(著) (編集)

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 過去に戻るタイムマシンを実現するには、技術的な問題だけでなく、論理的な矛盾をもクリアしなければならない。

 例えば、もし自分の先祖を殺してしまったら、自分は産まれてこない。ということはタイムトラベルすることもできない、というパラドックス(矛盾)だ。

 この問題ゆえに、学者の中にはタイムトラベルはそもそも不可能なのだと考える人たちもいる。

 ところが数年前、とある優秀な大学生がこれを回避する方法を考案し、それを数学的に証明した。それは矛盾を矛盾でなくするとても冴えた考えだ。

 その一方で、過去に戻ったところで、現実はほとんど変えられないのだという、あまり夢のない真実をも示唆しているかもしれない。

もしも新型コロナの第一感染者をウイルスから守ったら?

 すでに説明したように、このパラドックス(矛盾)はタイムトラベルを不可能にするかもしれない厄介な問題だ。

 この問題について、当時オーストラリア、クイーンズランド大学の物理学者、ジャーメイン・トバー氏は、新型コロナのパンデミックを例にとり次のような説明をしている。

 たとえば、今あなたが過去に戻って、新型コロナの一番最初の感染者をウイルスから守ろうと思ったとしよう。その人さえ感染しなければ、世界的なパンデミックが起きることはなかったはずだ。

 ところが、それに成功したとすると1つ大きな問題が起きる。それは新型コロナのパンデミックが起きなかったのだから、そもそもあなたが過去にタイムトラベルする動機が失われてしまうことだ。

 ならば、あなたは過去には戻らないはず。だがしかし、あなたが過去にタイムトラベルして最初の感染者を守らなければ、やっぱりパンデミックは起きるわけで、そうなるとやはり過去に戻って…ああ、ややこしい。

 このように、過去にタイムトラベルしてとった行動がタイムトラベルを不可能にし、それゆえに話が堂々巡りに陥ってしまうという矛盾が生じる。

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パラドックスが起きないように世界は自動調整される

 この矛盾ゆえに、この宇宙でタイムトラベルは不可能なのだと考えられることもある。

 その一方、それでもタイムトラベルは可能なのだと考えることもできる。ただし、そう考えたとしても、あまり嬉しい結果は待っていない。

 と言うのも、タイムトラベルできるかわりに、私たちの行動の自由が強く制限されるからだ。

 つまり過去に行けたとしても、パラドックスを引き起こすような行動は一切とれないと考えるのなら矛盾は起きない。

 だが私たちの自由意志に反するようなその状況をすんなりと受け入れられるだろうか?

 トバー氏の考えは、そのような行動の制限がないまま、矛盾が起きないようにする方法だ。

 その冴えたアイデアは、タイムトラベラーが自由に行動すると、世界の状況がそれに合わせて調整されるというもの。彼はこれを数学的に証明した。

 先ほどの例で説明すると、あなたはタイムトラベルして、最初の感染者をウイルスから守ることに成功したとする。すると、世界はその帳尻を合わせるために、あなた自身やほかの誰かを感染させてしまうのだ。

 その結果、あなたが何をしようとも、結局新型コロナのパンデミックは起きる。

 こうしてあなたは過去で自由に行動することができるし、そのせいで過去にタイムトラベルする動機が失われることもない。美しい解だ。

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 ただし、この答えはちょっとがっかりな現実をも示唆しているかもしれない。

 それはあなたが過去に戻って何をしようとも、重要な出来事は何一つ変えられないということだ。

 世界を救いたい、あるいは人生を変えたいなど、あなたがどんな野望を抱いて過去に戻ったところで、この宇宙は矛盾が生じないように世界を再調整してしまう。どんなにがんばったところで運命は変えられないようだ。

 そういった意味では、過去のあなたはただの傍観者でしかない。それでもあなたは過去に行きたいだろうか?

 この研究は『Classical and Quantum Gravity』(2020年9月21日付)に掲載された。

References: Young physicist ‘squares the numbers’ on time travel - UQ News - The University of Queensland, Australia

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この記事へのコメント 55件

コメントを書く

  1. この説ですが間違いがある何も関係ない事でタイムスリップした場合の事を想定してない

    どう言う事かと言うと大昔に観光で来て
    誤って虫を殺して進化がおかしくなったらどうか?と言う場合スリップした動機は消えない事になる、前見た映画であった

    • -13
    1. 進化がおかしくなったということは未来も変わるということ
      出会える人が出会わなくなり観光できた人が生まれない、生まれても歴史が違うので人格も違う
      違う人格で旅行に行くか?言ったとしてもそれは同一人物であると言えるのか?って問題をクリアしてないだろ

      • +1
  2. 「破壊魔定光」と言う漫画でも説明されてましたね
    とある事象を変えるために過去に行っても
    過去に行ったことありきでその事象は起きてるので
    変えることは無理と

    • -4
  3. 2億年前の微生物を死滅させるだけでも影響が大きそうだけどな
    時間を遡るほど影響が大きくなる

    • +1
    1. この説に則するなら、その場合はそれ以降の生命進化が大幅に変わって
      「タイムスリップした知的生命体」が誕生しないので大丈夫

      • 評価
    2. この説の論理だとむしろ時間を遡るほど
      帳尻合わせの時間的余裕が延びるのでは。
      5分前にワープして樹齢100年の木を伐採したら
      それこそトトロでも召喚しないと帳尻合わせができなくなる。

      • +6
      1. 面白い。確かに5分前に戻って木を斬ったらどうなるんだろうw

        • +2
        1. その場合は非観測地点に樹齢100年の木が生えてる
          仮にそれがネームドの木だった場合は地球の裏側まで根が伸びて反対に幹ができてる

          • -1
  4. まずタイムトラベルの理論を完成させてから考えろよ
    順番守れよ、そういうとこやぞ

    • -12
    1. むしろ理論だけで成立している状況なんだが…???🤔

      • +3
  5. 変えた先の未来は変わるが変えたいと未来に行って事を成して
    帰って来てもその時間軸では変わってないと思う
    変わった未来が見たいならその時空間に留まって見るしかないが
    別の事象で思い通りに成らない場合また改変するかと思うと気の長い話だ

    • +1
  6. 天国にも地獄にも行ったことない人達が天国に行くには地獄に行かないためにはと語っているのと変わらない
    真面目に真剣に語るほどアホらしく思える
    手段をなおざりにしたまま結果を想定してああでもないこうでもないと語ることを杞憂と呼ぶ

    • -14
    1. アホらしいと切り捨てたものに重要なヒントがあるのは珍しい事じゃない。
      だから研究所は今日も研究を続けるんだよ。

      • +10
  7. そもそも時間って科学的には存在しない。時間は便利だから使っているただの概念
    人は事象の結果を時間の流れとして認識している。
    事象の結果にタイムスリップもなにも存在しない

    • -9
  8. なんだかんだ過去改変は可能だと思うけどね
    よくある文句で夜空に輝く星の一つは、遠い遠い距離にあって実はすでに消滅してるかもしれないと言うが
    物凄い速度で、それこそ星の光が地球に届くよりも凄まじい速度で移動すれば消滅より前に着く
    そこで石を持ちかえれば、結局その石が持ち去られたという事実が生まれる
    干渉可能な速度で目の前の事象を変えるという意味では、倒れるドミノに指を挟んで止めるのと似てる

    もっとも現状では光速を凌駕することは不可能なのでまずタイムスリップができないと何ともな

    • -6
    1. 完璧に間違ってるしむづかしく考えるな

      過去を見ることはできても過去は変えられない

      星を見れば理解できる

      • -4
      1. いや理論的には光速を上回れば過去に行けるとは出てる
        問題としては光速に近づくほど時間の進行は遅れるんで、結局はムリって話し

        • 評価
        1. 高速で移動して行けるのは「未来」の間違いでは?
          そこだけなら確かに現代人はもう達成してる。

          新幹線乗って博多から東京まで移動した人は、東京駅で待ってる人より確か十億分の1秒だったか未来にいる。時計の針の進み方も実は変わってる。

          • -1
          1. 光速で移動することによって対象の時間の進行が遅れる、だから未来に着くことになる
            だが、相対性理論の式では光速を上回ると時間のほうが今度はマイナスになる
            簡単に言えば光速を基準として式が組まれているので、超えてしまった場合には時間がマイナスになる
            これが光の速さを超えれば過去へ行けると世間で言われていることの原因

            で、上の内容というのは、相対性理論で言う過去と未来が同時に存在するという話しも引用してる
            一般的に考えれば星はすでに消滅して地球に届いてるのは残像のようなもの
            けれどもその話しを信じるのであれば、地球の視点であればその星は存在している
            光の速度なんて比にならない瞬間移動でもできればその星に立つことはできるんだろう
            この辺りは量子もつれで過去と通信する話しなんかで聞いてるんじゃないかと思う
            ただ量子もつれも結局のところは光の速度を超えることはできないって結論出てるけどな

            • -3
  9. マンデラエフェクトで知らない内に過去は変えられているんじゃないかな

    • -5
  10. そもそも事件や事象とか人間本意な考え方があんまり好きでは無い。物質的に見ればどれもこれもただ物質が化学変化したり移動しただけの話だろう。それを事象が再発する様に自動調整するとか、時間に対してキャラクター性を期待し過ぎでは?と思ってしまう

    • -1
  11. > と言うのも、タイムトラベルできるかわりに、私たちの行動の自由が強く制限されるからだ。

    なんで?

    • +2
  12. 感染症くらいなら他の人が代わりに感染するなり
    割と簡単に帳尻合わせができるかもだけど、
    昨日にワープして自宅を燃やしたりしたらどうだろう?
    1日の間に家を無理なく復活させる・・・・
    なんてできるんだろうか。

    • +2
    1. この話の考え方で行けば、多分燃やそうとしても何らかの妨害(上手く火が付かない、雨が降り出す、それ以前に一日でたどり着けない場所になぜかタイムスリップしてしまう)って現象が起きるんじゃないかな

      まあ、現実にタイムトラベルが出来ない限り、何処までも行っても机上の空論にしかならないけど

      • 評価
      1. 妨害が起きるというのは今回話題になってる説より前の
        「私たちの行動の自由が強く制限される」の方じゃないかな。

        今回の説は「自由に行動できるけど「現在」までの間に
        帳尻合わせが起きて同じ結末になる」というものだから
        ワープして家を燃やすこと自体はできるという理屈になる。

        • 評価
  13. 「現在」から10年前に戻って過去を変えても、変えた影響が「現在」に波及するには10年かかる。でも10年後に「現在」は10年未来に進んでるから改変の影響が「現在」に達することは永遠にない。

    • 評価
  14. 過去へ行く?宇宙の総質量が増えるような事は許されなさそうだけどな

    • -2
  15. 身も蓋もない話だけど、そもそも「時間を移動する」という概念自体が間違ってるわけで…
    時間は単体で存在するわけじゃなく、現象が起こったときに感じるものでしかない
    「過去に戻る」ということは宇宙全体の現象全てがそっくりそのまま寸分違わず巻き戻ること(この時点で不可能だと分かる)
    当然それには自分自身も含まれるんだから、自分だけをひょいとピックアップして移動できるはずもない

    もし仮に「過去に戻った」としても、それは”人間一人分のスペースの物質が人間一人に突然変異した”という現象でしかない
    「過去に戻ろうとしている自分」と「過去に戻った自分」には何の連続性もないので、その人間が「祖先」をコロしたとしても別になんの矛盾も起きない。その現象をベースに世界は流れていくだけ

    • -3
    1. 記事の説を提唱している人と方向性が違うだけで
      真偽がわからない点ではこの人の説も所詮は一説の一つよな

      • +2
  16. 時間を巻き戻しても運命の強制力で同じ結果になってしまうってのは創作でよく見るけど、
    んなわけねぇだろっていつも思う。

    多少の乱数要素はあるにせよ、基本的に物理演算で結果が算出されるんだから、
    前回と違う要素を加えれば違う結果が出るのが当たり前。
    それを修正するには、当然なにかしらの物理的な力が必要になるはず。
    仮にそんな謎の力があるとしても、
    その力をどのように作用させれば同じ結果になるかなんて、誰にもわからない。

    • -1
  17.  並行する次元へ肉体ごと行けても、時間流の延長上に必滅する肉体のまま移行できない。

    • 評価
  18. シンクロニシティというか、最初の感染者を助けてもほぼ同時に他に感染者が生まれるという説を推すかな。 同時多発というパターン。 悪役令状モノのお話でいえばシナリオ強制みたいなこともあるかも~ とマンガ読みすぎの私が語るw

    • 評価
  19. 過去の世界へ行き、現在のヒット曲を本来、作詞・作曲した歌手本人に自分が提供すれば、自分の作詞・作曲で歌手は本人のヒット曲として世に残るのでは?

    • 評価
  20. 全知全能の神がいるならいろいろ矛盾するって話と同じだな。

    • 評価
  21. わたしはIQ値が高く、記憶力が抜群に良い。
    そのせいなのか現在も過去の記憶が生々しく
    まるで浦島太郎状態に陥ってしまっている。
    もうすぐ死ぬのにどうしたものかな・・・

    • -2
  22. 運命の強制力というのは異世界モノと同じてネタとして面白いけどそのような意思または計画に沿って世界を動かしたい主体(システム)は無いだろう(この世界がシミュレートされたものならあり得る)。
    ということはだ、過去に戻ることはできないか、戻った時点で元の世界と違う(パラレルワールドとか世界線とか)か、世界そのものが一緒に過去に戻ってるかかな。

    • -3
  23. SF作家が山ほど思考実験を行った分野ですねえ。ラリー・ニーヴンの「我々はタイムマシンが発明されなかった歴史しか認識できない」という説が好き。(タイムマシンが存在すると歴史が改変され流動化し始めるが、それはタイムマシンが発明されなかった、という歴史を生み出すとそこで固定化されるため)

    • +4
    1. なんかすごく納得した
      良いSFはいつも一段上の視野を与えてくれる

      • +1
  24. コロナウイルスみたいなことは第一感染者じゃなくても遅かれ早かれ誰かが感染したんじゃないかな

    • 評価
  25. 身も蓋もないが
    言われているように未来からやってきた人が一人もいないってのが
    タイムマシンが未来おいても実現しない証左なんじゃないかな
    もっとも仮に誰かに「今」を変えられても僕らはそれを認識できないとは思うが

    • 評価
    1. じゃ地球に宇宙人はいないの?
      未発見の生物は?

      • 評価
      1. ① 地球人も宇宙人
        ②地球では新種の生物が今も時々発見されてる

        • -2
    2. 運命的に誰も信用しないってことでは? 未来の事象は、この言葉で全部解決できる

      • -1
  26. 映像を巻き戻す如くの時間移動のイメージは非科学的だと思う

    • 評価
  27. 過去は変えられなくても未来は変えられるさ。
    っつか、タイムマシンって誰が最初に言い出したんだろう?

    • 評価
    1. 小説だと海底二万マイルとかで有名なウェルズ

      • 評価
  28. 過去を変えたら、というかタイムマシンを使ったらタイムマシンを使った時点に使った後の世界が丸々くっつくんじゃないの?と思ってた

    • -1
  29. 直接過去に行かなくても特定の誰かにわかるような情報た

    • -1
  30. 時間なんて存在しない、あるのは今の瞬間だけ
    エネルギーや物質が変化してるだけ
    人の思考や感情もシナプス間のエネルギーの移動
    宇宙が広がってるのもただのエネルギーと物質の移動に過ぎない
    と思う

    • +1
  31. 過去に戻って何かを変えたならそれを変えた人物がそのまま存在できるか、もしくは消えてしまうのかをまず確定できないとこの説にまで話がいかないでしょ。
    「変わった世界」と「元の世界」をちゃんと認識できる存在がいないと帳尻合わせが起きたかもわからない。
    いつもの、単に自分はこう考えたという説のひとつにすぎないな。

    • -5

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