メインコンテンツにスキップ

火星の磁場は予想より長く2億年続いていた。生命存在の環境が整っていた可能性が高まる

記事の本文にスキップ

9件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

火星この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 火星の磁場は、従来の予測より2億年長く存在していた可能性があるそうだ。

 これが本当だとすれば、火星に液体の水が存在していた時期とも重なる。そのため火星の生命存在の可能性という点でもきわめて重要な新発見だ。

 では、なぜ今まで磁場が存在した期間は短く見積もられていたのだろうか?

 ハーバード大学の研究チームによれば、当時火星では「地磁気逆転」が起きており、そのせいで科学者たちは騙されていたのだという。

惑星の磁場を発生させるダイナモ効果

 今回の研究の中心人物であるハーバード大学のサラ・スティール氏によると、惑星のみならず、この太陽系全体が今なぜこのような姿なのか、それを知るきわめて重要な手がかりは磁場(じば)なのだという。

惑星の磁場は、多くの疑問に答えるための最良の手段であり、惑星の奥深くにある構造や初期の歴史について紐解く唯一の手段です(サラ・スティール氏)

 惑星の磁場は、その内部で起きている「ダイナモ効果(ダイナモ理論)」によって発生している。

 たとえば地球のような惑星なら、その鉄とニッケルの核は、「固体の内核」と「液体の外核」の2つの部分で構成されている。

 惑星が誕生した直後、核はまだ完全に液体だった。だが時間が経つうちにだんだんと冷えて固まり、固体の内核が成長したのだ。

 こうして内核から熱が逃げるとき、液体の外核を上昇させ、対流を引き起こす。

 こうして外核が元々あった磁場を通過すると電流が発生し、磁場をさらに強化する。これが惑星内部のダイナモ効果だ。

この画像を大きなサイズで見る
地球の磁場発生メカニズム WIKI commons

火星の磁場は41億年前に完全に消失したという説の由来

 だが地球の半分ほどしかない火星では、内部の冷却が早く、対流がすぐに止まってしまったと考えられている。その結果、磁場もすぐに消えてしまった。

 磁場の消失は、その後の火星に大きな影響を与えたはずだ。太陽から吹きつけられる太陽風を防ぐことができず、大気も水も失われ、生命にとって有害な宇宙線も容赦なく降り注いだ。

 現在の一般的な説によれば、火星の磁場がなくなったのは41億年前のことだとされている。

 その根拠は、41億~37億年前に作られた巨大な衝突盆地に、磁気の痕跡が残されていないことだ。

 そうした衝突のエネルギーは凄まじく、そこにある岩石は溶けてしまう。もしも火星に磁場があれば、岩石が冷えて固まるとき、磁力を帯びた鉱物は磁場の向きに整列するようになる。

 だが火星の衝突盆地にはそうした痕跡がないのだ。だから41億~37億年前にはすでに磁場がなかっただろうと推測される。

この画像を大きなサイズで見る
NASAの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」がとらえた火星 image credit:NASA/JPL/MSSS

火星の磁場は少なくとも39億年前までは存在した可能性

 ところが2023年、スティール氏らはそれが間違っていることを告げる証拠を発見した。それは地球の南極で発見された火星の隕石「アラン・ヒルズ84001」だ。

 この隕石を調べたところ、火星で「地磁気逆転」が起きていた痕跡が見つかったのだ。これは北極と南極の磁極が入れ替わる現象で、地球でも数十万年ごとに起きている。

 問題は、もしも火星の衝突盆地が形成された時期に地磁気逆転が起きていたとすれば、溶けた岩石に含まれる磁性鉱物は上手に地磁気に整列できなかっただろうことだ。

 ならば当時、本当はまだ地磁気があったのに、現在の惑星学者たちの目に見えるような痕跡は残らないということになる。

 実際、このほどスティール氏らが新たな研究としてシミュレーションを行ったところ、この仮説を裏付ける結果が得られたのだ。

 その結果によるならば、火星の磁場は41億年前に消えたりはせず、少なくとも39億年前までは存在した可能性が高いという。

この画像を大きなサイズで見る
火星 Image credit: NASA/JPL-Caltech/USGS

火星は生命が存在する環境を兼ねそろえていた

 この2億年という差は、火星に存在したかもしれない生命にとって大きな意味を持つ。

 と言うのも、磁場があった期間が延びたことで、火星に液体の水がまだ存在していた時代においても、磁場の守りを期待できるようになったからだ

 地球の生命がそうであるように、火星の生命もまた太陽風や宇宙線から守られていたかもしれないのだ。

 また磁場は、大気をも守ってくれる。もしも磁場が長く存在したのならば、大気もまた長く存在していたということになる。

 火星の大気がいつまで存在していたのか、それはNASAの火星探査機「MAVEN」が今もなお追跡調査しているところだ。

 この研究は『Nature Communications』(2024年8月9日付)に掲載された。

References: Mars may have been habitable much more recently than thought — Harvard Gazette / Boost for Mars life? Red Planet's magnetic field may have lasted longer than thought | Space

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. 今でも1m地下には生きた微生物がいると思う

    • +2
    1. 地球でも嫌気細胞の類は地下数千mからも発見される
      何なら海底直下の数キロ奥からも発見されるので、1mなんて浅い浅い。表層も表層ですわ

      • +1
  2. 数十億年前に我々と似たような人間がいてそいつ等が地球をテラフォーミングした説

    • +2
    1. 大体合ってますね
      火星の人達による争いは結構酷かった
      随分前の話ですね~

      • +1
  3. 今はこんな研究より先にやる事あるんやないの???
    じゃなきゃ、こんな研究も出来なくなるで?

    • -15
    1. そうやって近視眼的に優先順位をつけてリソースを絞るのが科学発展には一番の悪手
      科学では何が役立つ結果につながるか事前に予測できない
      天文学や宇宙探索が地球温暖化や政治問題に思いもかけない形で役に立つこともある
      というかすでに役立ってる

      • +7
    2. 今そんなことやってる場合じゃないって、大谷に野球やめさせてサッカーやらせませんよね。科学者にも一人一人好きな分野、得意な分野があるので、こっちをやれって言ってもそうはならないんですよ。

      • 評価
  4. 飛べ!! 走れ!!
    ダイナモ回せ!!
    フルチャージ!!フルチャージ!!

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。