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レオナルド・ダ・ヴィンチは実は優れた調香師でもあったことが判明

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(著)

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 レオナルド・ダ・ヴィンチがルネサンス期を代表する天才的人物なのは誰もが知るところだ。

 単にこの時代に生きていたというだけでなく、芸術家であり、科学者であり、音楽家であり、人体の詳細な解剖図を描いた観察者であり、フランス王に捧げる機械仕掛けの人形の製作者でもあったマルチ人間だった。

 それだけでもすごいのに、彼は他にもすごい才能を持っていた。実は彼は優れた
香水の調香師でもあったのだ。

ダヴィンチの生きた時代、香水が重要だった理由

 万能の天才と言われる、レオナルド・ダ・ヴィンチ、はかつてイタリアに存在したフィレンツェ共和国で1452年4月15日に生まれ、1519年5月2日に67歳でこの世を去った。

 彼の生きたルネサンス期には、香水が非常に重要な役割を果たしていた。

香水の目的は、単に体臭を消すためにいい香りを漂わせるというためだけではありませんでした

ルネッサンス期の香水は、日常生活のさまざまな場面と密接に結びついていたものでした

家や病院、教会、さまざまな雑用など、あらゆるシーンにおいて遭遇するものだったのです

 香りと芸術史の専門家カロ・フェルベーク博士は説明する。

ジャスミン、ラベンダー、バラ、アイリスなど今日でもおなじみの香りから、今では
あまり心地いい香りとはいえないものまで、あらゆる場面に香りは存在しました

その後、高価な樹液や樹脂から作られた香りも登場し、乳香や没薬(もつやく)などは非常に人気がありました(カロ・フェルベーク博士)

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こうしたポマンダー(匂い玉入れ)には、それぞれの仕切りに異なる香料が入っている。ほとんどは香りは直接肌につけるものではなく、リネンやアクセサリーに使われた。Image credit: © Château du Clos Lucé – Parc Leonardo da Vinci Photo: Leonard de Serres

香水は儀式にも魔除けにも使用されていた

 教会で香を焚くなどカトリックの儀式のためにも香水は使われた。

 この行為は、”煙を通して”という意味がある”per fumum”といい、有史以来、神々を敬う方法のひとつだった。

 対局には、ダ・ヴィンチが”odori sgradevoli”と呼んだ、悪者を追い払うための悪臭がある。

 ダ・ヴィンチの調合レシピのひとつに、尿と人糞をガラス瓶に入れて、肥料の山の下で1ヵ月寝かせるというものがある。これは一種の悪臭爆弾だろう。

 かつて香水のもっとも重要な役割が、命を救うことだったと言ったら驚くかもしれない。

 当時だけでなく、わりと最近まで悪臭はペストなどの疫病の原因だと信じられていた。

 そのため、香水はこうした病気を予防したり治療したりするのに使われた。さらに悪魔を追い払う魔除けとしての意味もあった。

 香水には今よりももっとたくさんの機能があった。衛生状態が悪かった時代に体臭を隠すためだけに香水が使われたのではないのだ。

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ルネサンス期のイタリア・ミラノの貴族にとって、下着につける香水は差別化の手段のひとつだった Image credit: © Château du Clos Lucé – Parc Leonardo da Vinci Photo: Leonard de Serres

優れた調香師としてのダ・ヴィンチ

 調香師としての活動は、博学者としてのダ・ヴィンチがごく自然に始めた研究の一環だったと考えられる。

ダ・ヴィンチは動物や植物などあらゆる生命に魅了され、それらを絵に描いたり彩色したりするだけでなく、詳細に研究しました。香りについても同様の姿勢を貫いたのです(カロ・フェルベーク博士)

彼は香水を抽出する自前の装置まで持っていましたし、化学的な知識もありました

もともと好奇心が強くて実験好きだった彼が、独自の香りを作り始めたのは当然と言えば当然でしょう(カロ・フェルベーク博士)

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フランス、アンボワーズにあるクロ・リュセ城で9月15日まで開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチとルネサンスの香水」展。そこで展示されている香水の蒸留抽出器 © Château du Clos Lucé – Parc Leonardo da Vinci Photo: Leonard de Serres

 中国、アラブ、ビザンチンでは10世紀以降、水蒸気からバラの香りを抽出する蒸留法を使っていた。 ダ・ヴィンチもこのことを知っていて応用したという。

 また液体に植物の香り成分を吸収させる手法の一種である、液体アルコールへの浸出法などの知識もあったし、当時、非常に近代的だったアンフルラージュ法も知っていた。

 これは動物性油脂を利用して、花から香料を抽出する方法だ。

 しかし、独自の香りを調合していたのはダ・ヴィンチだけではなかった。

ルネッサンス期の画家たちは、自分の絵の具やワニスの材料を薬局で購入していました

樹脂やゴムなど絵画に使われる香りのいい材料の一部は、香水に使われるものもあって、香水の材料も薬局においてあったため、画家たちにもなじみがあったと思われます(カロ・フェルベーク博士)

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ダ・ヴィンチ Photo by:iStock

ダ・ヴィンチが調香師だったことが知られていなかった理由

 これだけ、ダヴィンチの香水への興味や研究が明らかになっているのに、なぜ現代の私たちはこのことを聞いたことがないのだろう?

これは西洋人が視覚や聴覚にばかりこだわり、嗅覚をないがしろにしたことと関係があります

人間が熟考し、考え、知識を得ることができる唯一の感覚は視覚や聴覚だけだと誤解していたのです

それに比べて嗅覚は「低次」の感覚で、幼稚で動物的、原始的で知的ではないとされていました。現在でもその傾向はあります(カロ・フェルベーク博士)

 その結果、ダ・ヴィンチの嗅覚に関する追求は、彼のすばらしい芸術や科学作品の影に隠れてしまい、無視されてきた。

 そのため、彼が香りのプロだったという事実が世間一般に知られることがなかったのだという。

 ちなみにポーランドのクラクフ国立美術館では、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の『白貂を抱く貴婦人』から漂っていたであろう当時の絵具の香りを再現した、香り付きペンを販売中だという。

References: Leonardo Da Vinci Was A Master Perfumer, But Practically Nobody Knows About It | IFLScience

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この記事へのコメント 10件

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  1. 正式な教育を受けられなかったにもかかわらず絵画、解剖学、建築、兵器開発、自然科学など様々な分野で天才的な活躍をしたのに今際の際の言葉は「言ってくれ、私は何かを成し遂げたのか?」 
    傍からはこれ以上ないくらいに様々成し遂げたと思えても自分に満足できなかったのか、天才過ぎて私のような非才の身には想像も付かない所を到達点として目指してたのだな。

    • +12
  2. ダ・ヴィンチみたいになりたい
    生涯で20点に満たない絵画を完成させただけで、万能の天才と評される
    ダ・ヴィンチみたいになりたい

    • -4
  3. 本当に様々な分野に手を出してるんだな
    実は集団の共通名義だったり襲名制だったりしない?

    • +3
  4. アロマセラピストの有資格者です。
    とても興味深い内容ですね。
    嗅覚が優れている人は五感が優れている人が多く、ダヴィンチもその一人ではないでしょうか。
    現代の精油抽出法としては、果皮圧搾法、有機溶剤抽出法、水蒸気蒸留法がほとんどです。昔の油脂吸着法は手間がかかるために今はほとんど行いません。油脂吸着法ば映画「パフューム」に詳しく出てきます。
    カトリックの祝日にお香をたくのは、癒しの作用もあると聞いたことがあります。

    • +5
  5. レオナルドダヴィンチとその仲間達っていうグループ活動してた可能性もあるんだよね

    • +4
    1. ダ・ヴィンチでダビンチ村のって意味なんだよね?
      村で受けてた仕事の名義なのかな?
      当時は自分の名前だって書ける人少なかったろうから
      1種類だけ全員書けるようにして仕事する人で使いまわしてたのかもなあ
      それにしたってやたらと器用な人達ってことになるけれど

      • 評価

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