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凍結した遺体の正確な死亡推定時刻を割り出すのに最適な方法を発見

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(著)

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Photo by:iStock
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 雪山で何者かによって殺害された死体が発見されたとしよう。その死亡時刻は、犯人を逮捕するための重要な手がかりだ。

 問題はその現場が、死体が腐りにくく凍りつくような寒さであることだ。はたして、こうした環境下では、どのように死亡時刻を推定すればいいだろうか?

 ノースダコタ大学をはじめとする研究チームは、分子生物学とバイオインフォマティクスを駆使してそのための方法を発見した。

 決め手となるのは「ネクロバイオーム」と呼ばれる微生物だ。死体に群がる微生物を調べば、死亡からどれくらい経過したのか最大6ヶ月の間、ほんの9日程度の誤差で推測できるという。

 名探偵コナンの推理にまた1つあらたな手法が加わりそうだ。

極寒の状態に置かれた遺体の死亡推定日時を探れ!

 遺体の死亡時刻は、犯罪解決に役立つ重要なヒントになる。だから専門家は、温度や死後硬直、あるいは体液の変化などを観察することで、死後どのくらい経過したのか推測する。

 だが、こうしたものは外部の状況によって影響を受ける。とりわけ極寒の環境では、死亡から数ヶ月間が経過しても腐らないことがある。

 ノースダコタ大学の法医学者ラビニア・イアンク氏らが拠点とするグランドフォークスという街は、アメリカでもっとも寒い街の1つで、冬になれば気温はマイナス40度にまで下がる。

 このような場所では、死体があっという間に冷えるため、体温による死亡時刻の推定は難しくなる。

 また寒さによって死後硬直の始まりや持続時間が遅れることもある。遺体の腐敗や、昆虫などによる分解も起きにくい。

 さらに雪も影響する。雪は遺体に残された熱を閉じ込めて、体温を周囲よりもほんの少しだけ高く保つ。その結果、遺体の分解は外気にさらされた場合よりも遅くなる。

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研究チームの拠点グランドフォークスの町は、アメリカでもっとも寒い都市の1つだ/Lavinia Iancu, CC BY-SA

遺体には微生物という”指紋”が残されていた!

 こうした死後の経過が大きく異なる寒い場所で死亡時刻を推定するには、腐敗プロセスを読み解く”もう一手”が必要になる。

 そのもう一手となるのが、分子生物学と生命情報科学(バイオインフォマティクス)だ。

 すべての生物には、それぞれに独特の微生物が存在する。それはいわば指紋のようなものだ。

 例えば、遺体の腐敗には「ネクロバイオーム」という微生物群が大きく関係している。そこでそれを詳しく見てみると、腐敗の各タイミングに応じて特徴的な微生物がいる。

 ならば、それを調べることで、死亡からの経過時間を推測できるはずだ。

 そこでイアンク氏らは、雪におおわれたブタの死体を実験台に、死亡経過時間と微生物の関係を観察してみることにした。なお、ブタの腐敗は人間と同様なのだという。

 23週間にわたり、鼻の内外から393の微生物サンプルを採取・分析し、極寒環境での腐敗に関連する微生物のパターンを割り出す。

 そして明らかになったのが、サイクロバクター属・シュードモナス属・カルノバクテリウム属の3種の細菌が死後の経過時間を正確に伝えているということだ。

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ブタの死体から微生物を採取し、死亡経過時間との関係を分析/ Lavinia Iancu, CC BY-ND

微生物の力を借りて、死亡推定日時が予測できることを確認

 イアンク氏らのモデルに基けば、死亡からどれくらい時間が経ったのか、最大6ヶ月、ほんの9日の誤差でぴたりと当てることができる。

 これらの細菌が増えるタイミングはそれぞれ特徴的だ。

 たとえば、サイクロバクター属は死亡から5週間で増加しはじめ、10週間後がピークとなる。シュードモナス属なら5~9週間で増加し、18週後にピークに達する。

 今回の研究では、寒冷環境でも遺体の腐敗が完全に止まるわけではないことが確認された。

 したがって、温度や湿度といった遺体が置かれた環境や、そこで行われている微生物の活動などを調べれば、死後どのくらいの時間が経過したのか推定することができる。

 こうした話は、できるだけ目を背けておきたいことかもしれない。

 だがいつ死んだのかを明らかにすることで、遺族に正義と安らぎがもたらされることもあるのだと、イアンク氏らはThe Convesationでその意義を語っている。

 この研究は『Frontiers in Microbiology』(2024年5月13日付)に掲載された。

References: Found dead in the snow − how microbes can help pinpoint time of death for forensic investigations in frigid conditions

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この記事へのコメント 9件

コメントを書く

  1. 遺体が凍結したままなら
    その方法が可能って条件だよね

    • +3
    1. いや。常温での研究も進んでるから、この方法でも可能
      常温、半凍結、凍結、など速度は変わるが仕組みは同じ

      • +3
  2. 途中の豚の画像見て
    綺麗な顔してるだろ。うそみたいだろ。死んでるんだぜ。それで
    って言いそうになった

    • +3
  3. 次は裁判で有効とされるまで実績を積み上げる段階かな。と言っても寒冷地で発見される不審なデッドボディとかそんなにないかもしれんけど。

    • +1
    1. 日本だけで凍死の件数は毎年1038人~1245人出てるから多い
      それと論文が出たなら計測出来しだい早々導入されると思う
      「参考までにネクロバイオームの結果から死後20日と推測されます」
      それは数ある証拠の一つだろうから

      • +4
  4. フリーズドライにして
    お湯を注ぐのはどう?

    • -2
  5. 死亡時間を誤魔化すネタで時々出てきますな。遺体の冷凍。

    • +2

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