この画像を大きなサイズで見る地球の大気粒子はどのように宇宙空間へ放出しているのか?そのメカニズムがついに明らかになった。
NASAの観測ロケット「エンデュランス」が、60年以上前に提唱された「両極性電場」を初めて直接測定することに成功した。
計測された電位の変化は、時計の電池くらいのごく微弱なもので、大気中の荷電粒子にごくわずかな影響しか与えず、検出すら難しいものだ。
だがそれは、重力や地磁気と同じくらい基本的な構造として地球全体を包み込んでおり、北極や南極の上空で見られる荷電粒子の宇宙への流出、すなわち「極風(ポーラーウィンド)」の主要な原動力となっている。
スヴァールバル諸島から打ち上げられたエンデュランス
NASAの観測ロケット「エンデュランス」は2022年5月、ノルウェー領スヴァールバル諸島ニーオルスンから打ち上げられた。
この打ち上げは、いきなり出鼻を挫かれている。ホワイトアウトするほどの強烈な風に見舞われ、延期を余儀なくされたからだ。
じつはロケットの名前は、南極の氷に閉じ込められ沈没した冒険家アーネスト・シャクルトン卿の船にちなんだもの。まさにその名にふさわしいスタートだったようだ。
だが、そんな環境であえてロケットの打ち上げが行われたのには訳がある。今回のミッションはここでしか行えなかったからだ。
この画像を大きなサイズで見るレスター大学の宇宙物理学者スージー・インバー氏はNASAのプレスリリースで、「スヴァールバルは、極風を通過して我々が必要とする測定を行うことができる唯一のロケット発射場です」と説明する。
幸先の悪いスタートだったものの、11日午前3時31分(現地時間)、ロケットは無事に打ち上げられ、高度768kmまで上昇。20分後にグリーンランド海へ着水した。
この飛行でロケットは、かねてから想定されていた電場の存在を公式に確認。その詳しい特徴が『Nature』(2024年8月28日付)で報告されている。
この画像を大きなサイズで見る地球を包む微弱な電場が存在していた
南極や北極の上空では、地球大気の粒子が宇宙へと流れ出る様子が観察されている。これを「極風(ポーラーウィンド)」という。
謎めいているのは、この宇宙に向かって吹く風が冷たいことだ。まったく温められた形跡がないのに、音よりも速い。
もしその原動力が太陽の熱ではないのなら、極風は何によって動かされているのか?
今回の調査では、地球を包む微弱な「両極性電場(ambipolar electric field)」がその背後にあることが明かされている。
電場は、電荷に力を及ぼす空間の性質のひとつで、エンデュランスが上空で確認したのはわずか0.55ボルトの電位の変化だ。
エンデュランス・ミッションの主任研究員グリン・コリンソン氏によれば、0.5ボルトは時計の電池程度の強さで、「ほとんど何もないも同然」でありながら、「極風を説明するのにちょうどいい量」なのだという。
この画像を大きなサイズで見る両極性電場が地球の大気粒子を宇宙に流出させていた
地上から150kmの上空では、大気中の原子がマイナスの電荷を帯びた電子とプラスの電荷を帯びたイオンに分離し、綱引きを行っている。
電子は圧倒的に軽く、ちょっとしたエネルギーがあればすぐに宇宙へと放り出される。
一方、イオンは電子より1836倍重く、地上へと沈んでいく。だからもしそこで働く力が重力だけならば、両者はだんだんと離れていくことだろう。
ところが電子とイオンは正反対の電荷を帯びているために、互いに引き合って、離れ離れにはならない。
電子がイオンを上に引っ張り上げる一方、イオンは電子を下へと引き下ろそうとする。
発見された電場が両極性と呼ばれるのは、このように力の働き方が2方向であるためだ。
この互いに引き合う力を差し引きすると、大気は宇宙へ向けて膨らんで、一部のイオンを高く引き上げる。
こうして極風となってイオンが流出していくのである。
つまり両極性電場は、地球の大気の形状や磁気圏の構造などにも関係している。このことは、惑星の進化を理解するうえでも鍵を握っている可能性がある。
大昔の金星や火星は地球に似ていたとされるが、現在では生物が暮らすには過酷すぎる環境だ。
これらの惑星はなぜ、それぞれ異なる道を歩むことになったのか、今回の発見はその謎を解くヒントになるかもしれない。
References: NASA Discovers a Long-Sought Global Electric Field on Earth - NASA Science
















電場でルンバ
将来的には大気が無くなるのか
そりゃ地球だって息抜きしたくなるだろ。