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NASAの探査機が衝突実験した小惑星の破片が火星や地球まで届く可能性

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(著)

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 NASAの探査機「DART」が小惑星「ディモルフォス」に衝突した際に飛び散った破片が、地球や火星にまで届く可能性があるそうだ。

 仮にそうなったとしても、地球の人々はほとんど何も気づかずに終わることだろう。だが火星では違う。

 最新のシミュレーションによれば、小さな粒子は今後13年のうちに赤い惑星に到達し、流星群となり、火星の空を彩るかもしれない。

小惑星から地球を守るNASAの防衛ミッション

 探査機「DART(Double Asteroid Redirection Test)」は、NASAによる実験的な地球防衛ミッションだった。

 その目的は、地球に危険な小惑星が迫ったとき、ミサイルのような物体をぶつけることで、その軌道を逸らすことができるかどうかを確かめることだ。

 2022年9月26日、DARTは二重小惑星の衛星「ディモルフォス」に衝突、それによってディモルフォスの軌道はほんのわずかに変化した。実験はひとまず成功裏に終わった。

 この衝突によってディモルフォスの形状は大きく変化し、大量の破片が飛び散った。

 そうした破片の一部は小型探査機「LICIACube」によって観測されており、1μm以上のものは最大500m/秒もの猛スピードで吹き飛んでいったという。

 一方、ワイツマン天体物理観測所の「ラージアレイサーベイ望遠鏡」やNASAの「スウィフト宇宙望遠鏡」などによる観測では、それよりさらに小さな粒子のような破片が1,400~1,800m/秒で飛び散っただろうことが確認されている。

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DARTがディモルフォスに衝突した瞬間。左がハッブル宇宙望遠鏡、右がジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したもの/Image credit: NASA/ESA/CSA/STScI

大きな破片は火星に到達、小さな破片は地球にも届く可能性

 ミラノ工科大学(イタリア)をはじめとする研究チームは、天体の重力によって受ける影響を踏まえつつ、こうした破片が太陽系にどのように拡散するかシミュレーションした。

 1つ目のシミュレーションはLICIACubeの観測データをもとにしたもので、10cm・0.5cm・30μmの破片で構成される300万個の破片が最大500m/秒で放出されたと仮定して行われた。

 2つ目のシミュレーションは、スウィフト宇宙望遠鏡や地上の天文台の観測データに基づいたもの。こちらのシミュレーションが対象としているのは、最初のものよりずっと小さな破片だ。

 そうした破片はμm(0.001mm)以下の粒子で、大きな破片よりもずっと高速で飛散する。

 こうしたシミュレーションによるなら、ディモルフォスから飛び散った大きめの破片は、地球には届かない。だが、13年以内(2035年まで)に火星に到達する可能性がある。

 大きなポイントとなるのは、ディモルフォスが火星を横切って太陽を周回することだ。

 そのおかげで、破片は高速で長距離を移動しなくても火星にまで届く。地球についてはそのようなショートカットがないので届かない。

 だが、もっと小さな粒子は違う。こちらは大きな破片よりずっと高速で飛び散ったので、DARTの衝突から5年以内に火星に到達し、7年後(2029年)には地球にまで届くかもしれない。

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DART は、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地のスペース・ローンチ・コンプレックス 4 イーストから SpaceX Falcon 9 ロケットで打ち上げられた。 image credit:NASA/Bill Ingalls

火星では流星群が出現する可能性

 こうしたディモルフォスの破片によって、火星では流星群が出現する可能性もあるという。

 だが地球では、ほとんどの人々が気づかないだろう。地球にまで到達する粒子は小さすぎるので、流星群が出現するようなことはない。

 ただし、LICIACubeが、地球に届くほど高速で飛び散る大きめの粒子を見逃してしていたとすれば話は別だ。

 そうしたものが地球に到達すれば、流星となって観測される可能性はある。

 なお今回のシミュレーションでは、地球や火星にやってくる破片が、もともとあった具体的な位置まで特定している。

 火星に届く可能性がある破片はDART衝突地点の北側にあったもので、地球に届く高速の極小粒子は衝突地点の南西にあった。

 こうした破片は、惑星や小惑星といった太陽系の天体同士で、今もなお物質の交換が続いていることを示しているそうだ。

 DARTのミッションによって地球の空が彩られることはないだろうが、10年後の将来、火星で孤独な作業を行う探査機たちには壮麗な流星ショーという贈り物が届けられるかもしれない。

 この研究の未査読版は現在『arXiv』(2024年8月5日投稿)で閲覧できる。

References: No, NASA's DART asteroid impact probably won't spark meteor showers on Earth — but maybe on Mars | Space / Debris from DART could Hit Earth and Mars Within a Decade - Universe Today

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この記事へのコメント 4件

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  1. サムネがピロシキ 「パルナス パルナス モスクワァ~の味ぃ~~♪」

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  2. パルナス パルナス パルナぁぁぁ~ス♪

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  3. 火星の地上からの流星群写真! 地球以外からの流星雨とか……夢は広がりんぐ

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  4. “10年後の将来、火星で孤独な作業を行う探査機たちには壮麗な流星ショーという贈り物が届けられるかもしれない。”
    なんてロマンチックな文章なんだ

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