この画像を大きなサイズで見る我々が日常的に肉眼で見る月は、太陽の光に照らされて明るめの茶褐色に見えるが、近くでみる月はどんな色をしているのだろう。
2026年4月、NASAの有人月探査ミッション「アルテミス2号」の宇宙飛行士たちは、月の間近を飛行し、月面の色を自分たちの目で確かめた。
地球で見る月よりもずっとカラフルで、黄色くっぽく見える台地や、沼のような濃い緑色をしていたという。
NASAの報告書によると、人間の目は、カメラでは捉えきれない月面の色の違いをしっかり見分けることができたという。
参考文献:
- Artemis II Preliminary Lunar Science Report - NASA Science
- NASA Releases Artemis II Lunar Science Data, Images - NASA
アルテミス2号の宇宙飛行士が月に大接近
2026年4月6日、NASAの有人月探査ミッション「アルテミス2号」の宇宙飛行士4人が、月の近くを通り過ぎる接近通過(フライバイ)を行った。
船長のリード・ワイズマン氏をはじめとする乗組員を乗せたオリオン宇宙船は、月からわずか約6500kmという至近距離を、約7時間かけて回り込むように飛んだ。
月の近くに迫った乗組員たちの目に飛び込んできたのは、緑や茶色、濃い青が入り混じる色とりどりの世界だった。
この画像を大きなサイズで見る肉眼で見た月面は予想以上にカラフルだった
2026年10月7日、NASAは宇宙飛行士たちが目撃した光景をまとめた「アルテミス2号 月科学予備報告書」を公開した。。
宇宙飛行士たちは、月の表側の北西端にある「アリスタルコス台地」のクレーターや台地を観察した。ここは古代の火山地形が密集している場所だ。
宇宙飛行士のクリスティーナ・コック氏は、台地にはっきりとした黄色が広がっているのを見てショックを受け、「黄色い雪を頂いた山」や「黄疸にかかった頬」に例えた。
パイロットのビクター・グローバー氏も、クレーターが緑色が見えることや、茶色が北から筋になって流れ落ちている様子を報告している。
報告書によると、これらの黄色や緑色は、チタンを多く含むオレンジ色の火山ガラスや、マグネシウムを多く含む緑色の火山ガラスの粒と関係している可能性があるという。
火山ガラスとは、噴き出した溶岩が急に冷えて固まってできたガラスの粒で、アポロ15号と17号が月から持ち帰ったものとよく似ている。
NASAの科学チームは、色の違いは、時代もタイプも異なる火山活動の名残を示していると説明している。
この画像を大きなサイズで見るクレーターに広がる「沼のような緑色」
さらに乗組員の注意を引いたのは、月の表と裏の境界付近にある「東の海(オリエンターレ盆地)」である。これは幅約950km、アメリカのマサチューセッツ州の幅の約3倍もある巨大なクレーターだ。
地球からはめったに見えないこの広大な盆地の上空を飛行した際、乗組員は眼下に灰色や茶色に加えて、黄褐色や緑色を目撃した。
コック氏は、盆地の一番外側のリングに「ほとんど沼のような色」が含まれていたと報告している。衝突地点から連なるクレーターの列は、ダイバーが下から吐き出す泡のように見えたという。
この画像を大きなサイズで見る人間の目が捉えた色彩が将来の月探査を導く
乗組員たちはただ漫然と月を眺めていたわけではない。彼らは出発前に地球のクレーターを訪れ、月の地質を研究するための訓練を2年以上にわたって積んできた。
報告書は、今回のミッションが人間の観察力の並外れた価値を証明したと結論づけている。
自律型カメラや周回衛星は、切り取られた狭い範囲しか撮影できない。それに対し人間の観察者は、周囲の状況をリアルタイムで解釈し、全体の文脈を理解できるのだ。
今回彼らが肉眼で確認した独特の地質学的特徴や色彩のデータは、世界中の宇宙機関が競い合う月面基地の建設において、将来の探査や着陸地点の決定に大きく役立つと期待されている。
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