この画像を大きなサイズで見るスイス全土で、2000枚を超える綿の白いパンツが土に埋められた。いったい何のために?と思うだろう。
実はこれ、チューリッヒ大学と農業研究機関アグロスコープによる実験で、2か月後に掘り起こし、どれだけボロボロになったかで土壌の健康状態を調べるためだ。
土の中の生物が活発なほど、パンツはボロボロになる。埋めた場所によってパンツの状態は大きく違っていたことが明らかとなった。
この研究成果は『Plants, People, Planet』誌(2026年8月26日付)に掲載された。
参考文献:
- Buried Underwear Shows Land Use Is Key to Soil Health | | UZH
スイス全土で2000枚以上のパンツが土に埋められる
2021年4月、スイスのチューリッヒ大学と農業研究機関アグロスコープの研究者たちが、市民科学プロジェクト「パンツによる証明」をスタートさせた。
スイス全土から集まった1000人のボランティアが、決められた手順に従って2000枚以上の綿のパンツを土の中に埋めたのである。
埋めた場所は自宅の庭、畑、牧草地、森、市街地とさまざまだ。
2か月後、参加者はパンツを掘り起こし、写真を撮り、土のサンプルと一緒に研究所へと送った。
この一見いたずらのようなプロジェクトの目的は、私たちの足元にある見過ごされがちな生態系、土壌の健康状態を調べることだった。
当時カラパイアでも、スイス各地の土に白いパンツが埋まめられた話題を紹介している。その答え合わせが今回明らかになったのだ。
この画像を大きなサイズで見る綿の白いパンツの分解度で土壌の生物の活動を探る
なぜパンツなのか。研究チームは当初、綿を四角く切った布や靴下を使うことも考えていた。
しかし専門家ではない一般の人が、このプロジェクトに参加してもらうためには引きが必要だった。
そこで思いついたのが、綿のパンツだった。これなら面白いうえに、過程もわかりやすい。
狙いは当たり、プロジェクトが告知されると、スイス全国の人々がこぞって応募してくれた。
綿の主成分は植物の細胞壁と同じ「セルロース」であり、土の中にいる生き物たちのエサになる。
土の中にミミズや菌類、バクテリアなどの生物が多く、活発に活動しているほど、パンツの綿は早く食べられて分解される。
2か月後に掘り起こしたパンツの布地が減り、穴だらけになっているほど、その土は健康で、生物学的な活動が活発だというわけだ。
布が食べつくされてもゴムは残るため、埋めた場所の目印にもなる。
この画像を大きなサイズで見る最もボロボロになったのは個人の庭
2026年8月、この実験の分析結果が発表された。
パンツの分解スピードは、埋めた場所によって大きく異なっていた。最も早く分解されたのは個人の庭だった。
個人の庭には有機物が多く含まれており、土の中の生き物たちにとって理想的な環境だったのだ。
一方、最も分解が遅く生物の活動が低かったのは芝生で、農地や牧草地はその中間の結果となった。
研究チームは、土壌の温度や水分、栄養レベルなども分解に影響するが、土地の利用方法そのものが土壌の健康に最も大きく関わることを確認した。
ただし、パンツが早く分解されれば無条件に土壌が良いというわけではない。自然の森や庭の場合には栄養過多を示している場合もあるという。
この画像を大きなサイズで見る市民参加型の科学研究が環境保護の意識を変える
土壌は作物を育て、水や炭素を蓄え、地球上の生物多様性の半分以上を支えている重要な基盤だ。
しかし、世界中で土壌の健康は悪化しており、食糧問題や生態系への影響が懸念されている。
今回のプロジェクトは、市民参加型の科学がいかに強力であるかを示した。
ボランティアの協力がなければ、国中の1000か所から標準化されたデータを集めることは難しく、高額な費用もかかっただろう。
参加者全員に個別の土壌テストの結果やアドバイスが送られ、約240人の市民が論文の共同著者として名前を連ねている。
パンツを土に埋めるというユニークな方法は、目に見えない土の中の世界を、誰もが理解できる形で見せてくれたのだ。
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References: Onlinelibrary.wiley.com
















