メインコンテンツにスキップ

生命の材料が宇宙から届く。民家を直撃した隕石から地球外由来のアミノ酸を検出

記事の本文にスキップ

1件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Image credit: SETI Institute
Advertisement

 アメリカ・ニュージャージー州の民家の屋根を、宇宙から飛んできた1つの岩が突き破ったのは2024年の夏のことだ。

 この隕石を分析したアメリカのSETI研究所を中心とする国際研究チームは、たんぱく質のもとになるアミノ酸を検出したと発表した。

 しかもその多くは、地球の生き物にはほとんど見られない種類のもので、宇宙で生まれたと考えられている。

 隕石はもろく傷みやすかったが、発見者がすぐに汚染を防いで保存したおかげで、生命の材料が宇宙から地球へ運ばれた可能性を示す貴重な手がかりとなった。

参考文献:

地球の生命に欠かせない宇宙由来のアミノ酸を隕石から発見

 地球のあらゆる生き物は、たんぱく質でできた体を持っている。

 たんぱく質を組み立てる部品がアミノ酸で、生命にとって欠かせない材料になっている。

 このアミノ酸が、宇宙から地球に届いていた可能性があるという。

 地球外生命体の探索を目的としたアメリカの非営利科学研究機関、SETI研究所と国際研究チームは、2024年にニュージャージー州の民家に落ちた隕石を分析し、たんぱく質のもとになるアミノ酸を数多く見つけたと発表した。

 しかも見つかったアミノ酸の多くは、地球の生き物にはほとんど存在しない種類のものだった。

 研究チームは、これらのアミノ酸は地球で作られたものではなく、宇宙で生まれた地球外由来のものだと結論づけた。

民家の屋根を突き破って落ちた隕石

 隕石が落ちたのは2024年7月16日、真夏の昼間のことだった。

 ニューヨークやニュージャージーなど5つの州で、多くの人が空を横切る火球を目撃し、自由の女神像のすぐ南を通り過ぎたときには衝撃音まで響いた。

 時速およそ5万kmという猛烈な速さで地球の大気に突入した隕石は、上空およそ35kmで砕け、破片となって地上へ降り注いだ。

 その破片の1つがニュージャージー州ヒルズボロの民家の屋根を突き破り、寝室の天井を貫いて発見された。

この画像を大きなサイズで見る
左:ヒルズボロが落下した屋根(屋根瓦の幅、14cm)、右:衝突した穴を内部から撮影したもの Image credit: SETI Institute

発見者の素早い対応で分析が可能となったヒルズボロ隕石

 隕石はもろく傷みやすく、しかも空気中の水分を吸い込みやすい性質を持っている。

 雨や湿気にさらされると、宇宙から運んできた物質が地球の水と混ざり、汚れて分析できなくなってしまう。

 ところが家の住人は、破片が地球の物質で汚れないよう、すぐに手袋をはめてアルミホイルとガラス瓶で破片を集め、夜に雨が降る前に屋根の穴までふさいだ。

 この素早い対応のおかげで、隕石はほとんど汚染されずに保たれ、研究者は貴重な試料を手に入れることができた。

 こうして保存されたヒルズボロ隕石は、太陽系が生まれたころの姿を今に残す、原始的で希少なタイプの隕石だとわかった。

この画像を大きなサイズで見る
研究チームはヒルズボロ隕石の破片には塩分が多く含まれ、母天体である小惑星の表面付近から飛来したものであることを確認した Image credit: SETI Institute

塩水の働きで地球外由来のアミノ酸が作られていた可能性

 研究チームが分析すると、隕石のもとになった小惑星の表面近くで、塩分の濃い水が蒸発して塩が濃縮された痕跡が見つかった。

 塩分の濃い水があると、生命に欠かせない分子が作られやすくなり、有機物どうしの化学反応も進みやすくなる。

 隕石にはアミノ酸のほかにも、炭素を含むさまざまな有機物が含まれていた。

 研究チームは、隕石に含まれるアミノ酸が、この塩水の働きに助けられて小惑星の内部で作られたと考えている。

 NASAゴダード宇宙飛行センターのダニー・グラビン氏は、ヒルズボロ隕石に含まれていたアミノ酸の多くは地球の生命にほとんど存在せず、まさに地球外由来のものだと語った。

この画像を大きなサイズで見る
ヒルズボロ隕石 Image credit: SETI Institute

生命の材料は宇宙から運ばれてきたのか

 炭素を多く含む原始的な隕石は、大昔の地球に衝突して有機物を運んできた岩石だと考えられている。

 2021年にイギリスへ落下したウィンチカム隕石でも、地球にはほとんど存在しない地球外由来のアミノ酸が見つかっており、今回のヒルズボロ隕石と同じく、隕石が生命の材料を運んできた可能性を示していた。

 地球でまだ生命が生まれる前に、隕石がアミノ酸などの材料を宇宙から運び込んでいた可能性がある。

 グラビン氏は、ヒルズボロ隕石の分析は、隕石による有機物の供給が地球の生命の始まりに欠かせない材料の供給源だった可能性を、さらに裏づけるものだと述べている。

 生命の材料をめぐっては、天の川銀河の星間空間で糖が作られていた可能性も報告されている。

 生命の基本材料が宇宙で生まれ、隕石によって地球へ運ばれるという一連の流れが次々と裏付けられているようだ。

 今回見つかったのは生命そのものではなく、生命の材料になる分子であり、それが地球で作られた可能性が消えたわけでもないが、「地球の生命はどのように作られたのか」という謎の答えに少しずつ近づきつつある。

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 1件

コメントを書く

  1.  ペロ……「これは宇宙産のアミノ酸、うまい!」ってなことにはならんでしょうけど、意外と生命に関連する物質って宇宙空間でも多そうですね。 地球で生命が発生したかもですけど、その種は降ってきたものの可能性は高そう。 昔は放電(雷)とか熱とかですべて地球上で生命のもとが合成されたみたいな話でしたがこういう記事を最近はよく見るので、生命のもとの一部は隕石由来もそれなりにあるんじゃないかと思ってます

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

自然・廃墟・宇宙

自然・廃墟・宇宙についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。