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1億2500万年前の赤ちゃんを身ごもっていた二枚貝の化石を発見

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Image credit:University of Portsmouth
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 恐竜が闊歩していた白亜紀前期、1億2500万年前の二枚貝の化石の中に、赤ちゃんが入ったまま保存されていた。

 イギリス、ワイト島地層から発見された淡水性の貝の化石を調べたところ、母貝のえらの中で卵から孵ったばかりの幼生が複数の発育段階で保存されていたのだ。

 スペイン地質鉱業研究所が率いる国際研究チームによると、貝類が母貝のえらの中で子どもを保護して育てていた最古の証拠となるという。

 通常なら死後すぐに腐敗してしまう軟組織だが、鉱物に置き換わったことで、内部の状態が保たれていた。

 この研究成果は『Scientific Reports』誌(2026年6月22日付)に掲載された。

参考文献:

絶滅した白亜紀の淡水二枚貝の化石の中に幼生

 イギリス南部に浮かぶワイト島は、白亜紀の化石産地として世界的に知られており、イグアノドンをはじめとする数々の恐竜の化石が数多く発見されてきた。

 スペイン地質鉱業研究所のグラシエラ・デルベネ博士が率いる国際研究チームがは、ワイト島の地層から発見された淡水性の二枚貝、「Margaritifera valdensis(マルガリティフェラ・ヴァルデンシス)」の化石の分析を行った。

 ヴァルデンシスはすでに絶滅してしまったが、現在の川や湖に生息する、イシガイ目カワシンジュガイ科カワシンジュガイ属の古代種だ。

 すると、貝のえらの中に卵から孵ったばかりの幼生が、複数の発育段階で保存されていることがわかった。

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ワイト島で発見された赤ちゃんを身ごもった二枚貝の化石標本の薄片 Image credit:University of Portsmouth

軟組織まで保存された極めて稀な化石 

 通常、動物の死後に軟組織はすぐに腐敗してしまうため、化石として残ることはほとんどない。

 今回の化石では、えら組織や育房((母貝のえらの中にある幼生を育てるための部屋))、幼生の体といった繊細な軟組織が鉱物に置き換わることで、1億2500万年という長い時間を経ても形を保っていた。

 研究にかかわった、イギリス・ポーツマス大学の化石軟体動物専門家マーティン・C・マント博士は、貝類がえらの中で発育中の幼生を保護していたことを示す最古の化石証拠になると語った。

 これまでこの繁殖戦略は現生種にしか確認されていなかった。 

貝の赤ちゃんは魚に寄生して育つ

 イシガイ目に属するカワシンジュガイ科とイシガイ科の淡水二枚貝は、無脊椎動物の中でも特に複雑な繁殖サイクルを持つ。

 卵から孵った幼生はまず母貝のえらの中で育つ。

 ある程度成長すると水中に放出される。放出された幼生は川の中を漂い、魚のえらや体表に寄生して栄養を吸収しながら稚貝へと変態する。

 やがて魚から離れて川底に落下してから独立した生活を始める。

 カワシンジュガイ属は100年を超える長寿で知られるが、河川環境の悪化や水質汚染により個体数が激減しており、現在は絶滅危惧種に指定されている。

 今回の化石では、えらの内部に残された微小な鉱物の沈着物が、幼生が自分の殻を作るためのカルシウム供給源として機能していたことも確認された。

 現生のカワシンジュガイ属でも同じ仕組みが観察されている。

1億2500万年前から続く繁殖の記録

 何十年にもわたって探し続けられてきた淡水性二枚貝の繁殖戦略の起源が、1億2500万年前の化石によってついに裏付けられた。

 河川環境の悪化により絶滅の危機に瀕するカワシンジュガイ属の進化の歴史を解き明かすうえで、大きな一歩となる発見だ。

まとめ

この研究でわかったこと

  • 1億2500万年前の貝の化石のえらの中に、幼生が複数の発育段階で保存されていた
  • 貝類が母貝のえらの中で幼生を育てる繁殖戦略は、白亜紀前期にはすでに確立されていた
  • 幼生が自分の殻を作るためのカルシウムを、母貝が供給していたことも確認された

References: DOI: 10.1038/s41598-026-56499-1

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