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本物のモネの作品をAI生成と偽って投稿した結果、自信満々で批判する人が続出

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(著) (編集)

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睡蓮 (モネの作品) public domain / Wikimedia
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 印象派の巨匠クロード・モネと言えば、水生植物の『睡蓮」を題材に描いた一連の絵画が有名だが、この作品がSNSに投稿され、ちょっとした騒動になっていた。

 その投稿では、100年以上前にモネによって描かれた正真正銘の『睡蓮』の画像を「AIが生成した」と説明し、「本物に比べて何が劣っているのか」という質問が投げかけられていた。

 するとその絵を見たユーザーたちは、「構図が破綻している」「魂がない」「心に響かない」など、自信満々で批判を展開したのだ。

AI生成の「睡蓮」は本物と比べて何が劣っているのか?

 2026年5月13日、Xユーザーの@SHL0MS氏が、モネ特有のスタイルで描かれた睡蓮の絵を共有した。

AIを使ってモネ風の画像を生成しました。これが本物のモネの絵と比べて劣っている点を、できるだけ詳しく説明してください

 そしてこの投稿には、「AIで作成」という、Xの公式ラベルまできちんとつけられていた。

 するとこの投稿に対し、この絵が「いかに本物のモネの作品とは似ても似つかないか」を主張する、自信たっぷりのコメントが殺到した。

  • これはAI生成そのもの。モネっぽさなんて全ない。誰かがモネ風を真似して、その20%くらいしか再現できてない感じ。モネ特有の鮮やかな色使いもないし、全体的に鈍い
  • たしかにモネっぽさはあるし、普通にきれいだとは思う。でも、気取った言い方になるかもしれないが、実物のモネを美術館で間近に見た時の迫力とは比べものにならない。この絵は筆致がそこまで繊細じゃないし、色の微妙な変化も少ない。全体的に「ぼやけた塗り」っぽく見える。あと、本物のモネより平面的だ。モネの絵には奥行きがあって、絵そのものが動いているように感じる
  • 奥行き、コントラスト、一体感。このあたりが一番わかりやすい違いかな。あと視線を集める焦点がない
  • 芸術って、作家の精神的成長の記録みたいなものなんだよ。ボタン押して「モネ風の画像生成」したものには、それがないんだ
  • 技術デモとしては面白い。でも本物と同じじゃないし、今後も同じになることはないね
  • その差は、まだ人間がうまく言葉にできていない領域にあると思う
  • 構図の問題かな。自分には感情が感じられない。何かスパークのようなものが欠けてる。モネというより、美術学生が美術館で模写した習作みたい
  • モネの絵を見た時、そこから何を感じる? 美しさ、静けさ、汚されていない自然だ。でもAI画像はどうだ? 同じものを感じるか? 静けさはないし、水面は緑色の炎で燃えてるみたいだ。騒がしくて人工的で、自然が混乱し汚染されてるように見える
  • モネの絵には没入できる。でもAI絵は、今すぐその場から逃げ出したい気分になるんだ
  • AIは植物の反射と水中の植物を区別できてない感じがする。その二つの要素を適当に混ぜてるせいで、彩度がバラバラな絵になってる
  • 構図にまとまりがない。視線が左下3分の1あたりに引っ張られるのに、そこに焦点になるものがない。睡蓮のコントラストも弱いし、周囲の余白もゴチャついてる。水面の質感も縦方向に偏り過ぎ
  • この偽物は「後期モネっぽさ」を必死に演出し過ぎ。本物の1917~1919年頃の作品が荒々しいのは、モネが白内障でほとんど見えてなかったからだ
  • 人間が作ったものじゃないから、人間経験の表現になってない。それに時間も努力も思考も創造性もない。「きれいな物を見る」以上の意味で芸術を理解してないんだろ。盗作AIと同じくらい魂がないよ
  • こんなの説明されないとわからない時点で残念。奥行きと色選びに統一感がない。木の反射が空間感覚を無視して睡蓮に溶け込んでる。背景の睡蓮と藻の混ざった部分も曖昧過ぎる。典型的なAI絵
  • AIはどんどん上達してるから見分けにくくなってるけど、この絵は平坦で、柔らか過ぎて、混ざり過ぎてる感じがする。うまく言えないけど
  • モネの絵より劣ってる理由? 絵の具で描かれてないからだよ。ただの退屈な画像だ

実はAI生成ではなく、本物の「睡蓮」だったとネタばらし

 多くの「分析」が行われたが、そこには罠があった。この画像は、本物のモネが描いた「睡蓮」のものだったのである。

 この絵は1915年の作品で、現在はドイツのミュンヘンにあるノイエ・ピナコテーク美術館に所蔵されている。

 そもそもモネの『睡蓮』は、250とも300とも言われる一連のシリーズ全体の総称である。

 その製作期間は1890年代後半から、1926年の死去直前まで、およそ30年近く続いたとされている。

 そのため、『睡蓮』と銘打った個々の作品一つひとつを把握している人は多くない。中には複数の作品があることすら知らない人も少なくないのだ。

 下はフランスのジヴェルニーにある、モネ邸の庭に今も現存する「睡蓮の池」。奥に見えるのは「日本の橋(Le pont japonais)」と呼ばれる、日本風の太鼓橋だ。

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Amockens, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

 ネタばらしがされると、一連の「AI画像が本物に比べていかに劣っているか」を並べ立てていたコメントに対し、別の方面から批判や議論が沸き起こっていた。

  • 昔は「Photoshopを使った時点で本物のアートじゃない」って本気で言われてた時代を覚えてるよ。真のアーティストならデジタルツールなんか使わない、コンピューターで作ったものは芸術じゃないってね。でもコンピューターは単なる道具で、人がキーボードに向かわない限り何もしない。絵筆だって同じで、誰かが手に取らない限り、ただそこにあるだけだ
    • でも、それと「プロンプトを書くだけ」にはまだ違いがあると思う。デジタル音楽をゼロから作るのと、素人が画像を1000枚生成して素材として売るのは別物だよ
  • 本当に笑えるのは、「芸術通」を名乗る人たちが、かなり有名なモネの睡蓮すら見抜けなかったことだよな。しかも、もしAI画像検索でも使ってたらこんなこと起きなかったという皮肉
  • 返信欄の自信満々ぶりが最高に面白い。本物のモネ相手に「AI特有のアーティファクトが見える」とか本気で言ってるんだから
  • 大半の人はAI作品かどうか見分けられないから、疑心暗鬼になってるんだ。このコメント全体が、文化人気取りで意味不明な評論を垂れ流してる疑似評論家だらけだし、正直ちょっと悲しい
  • コメントの80%くらい、逆にAIっぽく見えるわ
  • これ最高。AIの使われ方に不安を感じる部分はあるけど、根拠もなく何でも「AIだ!」って決めつける雑な連中には同じくらいうんざりしてる
  • 「できるだけ詳しく、この絵が本物のモネより劣っている理由を説明してください」って言い回しがプロンプトみたいで、皮肉っぽくて笑える
  • 芸術を何も知らない人間ほど語る。で、君はその中途半端な評論を書くのにどのAIを使ったの? GPTのコメントみたいに見えるんだけど、って感じ
  • これ本当に笑える。コメントしてる連中は「魂」を感じ取れなかったんだな
  • 憎しみは真実を見えなくするんだよ
  • 連中は「本物の芸術」として広く認められてる作品を、出所に偏見があるってだけで否定してた。つまり最初から誠実に向き合ってなかったってこと。それがこの件の本質だよ。君も誠実に向き合ってない気がするけどね
  • これは何にでも当てはまる。偽物だと思い込めば欠点ばかり見えるし、本物だと思えば絶賛するんだよ

一連の批判・議論・炎上のすべてが「アート」?

 SHL0MS氏は、本名や素性を明かしていない匿名のコンセプチュアル・アーティストで、主にインターネットやSNSそのものを「作品空間」として扱うスタイルで知られている。

 活動の初期からNFTや暗号資産界隈と関わりが深く、2021年前後のNFTブーム時には、「透明な1ピクセル画像」や「真っ白な画像」など、一見すると意味がないように見えるデジタル作品を販売して注目を集めた。

 本人はインタビューで、「インターネットそのものを芸術媒体として扱っている」と説明しており、SNS上での議論や炎上、拡散、誤解、反応そのものまで含めて作品の一部と考えているという。

 今回の、モネの作品をAI画像だと偽って投稿した件についても、「投稿」「批評」「議論」「炎上」を含めた一連の流れ全体を、自分のパフォーマンスアート作品の一部だと語っている。

自分としては、この一連の騒動全体を、匿名のSNSベースのパフォーマンスアート実践の一部だと考えているんだ。

ものすごい勢いでバズったけどね。その規模感をどう説明したらいいのか、正直よくわからないんだ

 SHL0MS氏は騒動後のインタビューの中で、「有名過ぎてすぐに特定される作品ではなく、少し認知度が低めの『睡蓮』を意図的に選んだ」と説明している。

 また、「多くの人はモネっぽいイメージは持っていても、特定の作品までは認識していなかった」とも語っている。

単に悪口を言う人もいれば、実際の画家や美術評論家が、構図の細部について長文の批評をしてくることもあった。

でも、それらは全部的外れだったんだ。最初は「モネ作品を批判する人たち」の層ができて、それがさらに多層的な議論へ発展していった。

人々は作品や私について、さまざまな知識レベルで返信してきたんだよ

 SHL0MS氏はそれらの回答にさらに返信することで、「モネの作品とAIが生成した画像の比較」という前提のもと、限定的な美的批評へと人々を導こうとした。

結果として、空間的なツリー構造みたいなものになった。最初の挑発、その下に条件を満たした回答群、そのあとに続くメタ議論。かなり膨大で、正直に言って非常に疲れるものだったよ

 また、人々がモネの絵の逆画像検索すらしなかったことについて、SHL0MS氏は次のようにコメントしている。

私は非常に懐疑的な人間で、初めて見たものはすべて逆画像検索している。何かに興味を持ったとして、今では簡単に情報が出てくるからね。

しかし、みんなそうしなかった。「これはAIだ」と決めつけると、検証欲求が疑念に取って代わられるらしいんだ。一度バイアスを持ってしまうと、もう逆画像検索することはないんだね

 もちろん、専門家の中にはこれが「本物」だと指摘した人も何人かいた。

 だが多くの人は逆画像検索はおろか、筆致を注意深く観察することすらしなかったのだ。

ネタばらしの後はNFTとして販売

 なお、今回の騒動はこれだけでは終わらなかった。SHL0MS氏は、その後この画像をNFTとして販売したのである。

 このNFTは28件の入札の末、約42,500ドル(約677万円)で、AIアートコレクターのJediwolfによって購入されたという。

 NFTとは、簡単に言えば「このデジタルデータがオリジナルである」とブロックチェーン上で証明・売買できる仕組みのことだ。

 画像そのものを所有するというより、「これが本物の所有記録です」という証明書を取引する感覚に近い。

 現在はAI生成画像を含め、多くのデジタルアート作品がNFT化され、ネット上で売買されている。

 NFTブームが起こったときには、数千万円から数億円規模で取引される作品も現れ、インターネット文化や現代アート、投機市場とも深く結びついてきた。

 だが今回の場合、NFT化されたのはAI画像ではなく、100年以上前に描かれた本物のモネ作品の画像である。

 NFT界隈では、「他人の名画画像をNFT化しただけではないか」「これはコンセプチュアルアートなのか、それとも単なる炎上商法なのか」といった新たな論争も発生している。

 もっともSHL0MS氏本人は、「Twitter(X)上で起きた出来事全体が作品の一部」だという姿勢を崩していない。

 今回の騒動が示したのは、人々が絵そのものを見る前に、まず「AI生成」という嘘の情報を与えられた結果、それを自然に受け入れてしまったという事実である。

 その時点で人々の判断は曇ってしまい、的外れな批判や議論が発生する。そしてそのすべてがSHL0MS氏の「作品」となったわけだ。

 門外漢にはなかなか理解しがたいところもあるが、これがIT時代における「アート」の新しい形というものなのだろうか。

References: How SHL0MS Turned a Monet Water Lilies Painting Into Viral Performance Art by Calling It AI

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この記事へのコメント 7件

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  1. で、叩いてたやつらはきちんと自らの誤りを認めて謝罪したのかね
    してないなら碌な人間じゃないね

    • -1
  2. ゴッホのネギを思い出す釣り

    • +1
  3. AIと批判するのなら色々なものにかけて、
    データを集めて確証を得てから言ったほうがいいかもね
    そこまでしたくないならAIと批判するのは辞めた方がいいだろう
    恥も外聞も気にしないと言うのなら別だが

    • 評価
  4. ローゼンハン実験みたいな事するやん
    秘密で実験した後に精神病医から苦情殺到して「じゃあまた近いうちにまたやります」て嘘の宣言し
    詐病疑った精神病医により今度は治療受けられない本物の患者が出たっつー

    • 評価
  5. ストラディヴァリウスをブラインドテストしたら普通に負けるみたいな話もあるし
    件の絵が名画という前提に立てば滑稽だが
    存外、真実の評価かも知れんぞ

    • 評価
  6. 人間って本当にバカよねw 

    • 評価
  7. やっぱりAIの本領は詐欺やね
    政府はディープフェイクを更に推進するべき

    • 評価

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