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金魚を自然の池に放流するとわずか2か月で生態系が崩壊することが実験で判明

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(著)

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Image by Istock Last ever
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 ペットであり外来種の金魚を自然の池や川に放流すると、わずか2か月で生態系が崩壊状態に陥ることが、初の大規模実験で明らかになった。

 米トレド大学とミズーリ大学の研究チームが32か所に人工池を作って実験を行った。

 その結果、金魚は水質を急激に悪化させ、在来の無脊椎動物や魚を壊滅的に減少させた。

 飼いきれなくなっても決して池に放してはいけない。

 この研究成果は『Journal of Animal Ecology』誌(2026年4月27日付)に掲載された。

参考文献:

金魚はなぜ生態系を壊すのか

金魚(学名:Carassius auratus)は、中国原産のフナの突然変異を人為的に選択し、観賞用に交配を重ねた結果生まれた淡水魚だ。

 コイ目コイ科フナ属に分類され、草食寄りの雑食性を持つ。

 飼育のしやすさから世界中で親しまれており、観賞魚としての流通量は地球上でもトップクラスに入る。

 水槽の中では愛らしいペットだが、自然の池や川に放たれた途端、その性質が生態系にとって脅威へと変わる。

 野生化した金魚は通常30cm程度まで成長するが、自然環境ではさらに大型化することが知られている。

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Image credit:Fisheries and Oceans Canada / Facebook

 問題はサイズだけではない。金魚はとにかくよく食べる。

 湖底の堆積物を口で掘り起こしながら、藻類、水草、小動物、腐敗した植物まであらゆるものを食べ尽くしていく。

 この「掘り起こし行動」が湖底に積もった泥や砂を水中に巻き上げ、水質を急激に悪化させる引き金になる。

 在来の水生生物と食物をめぐって激しく競合する点も見逃せない。

 ペット市場を通じて世界中に広まった金魚は、意図的な放流や池の氾濫による流出などをきっかけに、各地の淡水域で野生化している。

2か月で水質と食物連鎖が崩壊

アメリカのトレド大学とミズーリ大学の研究チームは、金魚が淡水生態系に与える影響を検証するため、32か所の実験用人工池を使った大規模な屋外実験を実施した。

人工池は現実の湖に近い環境に設定され、栄養分が少ない「貧栄養湖」と、農地や住宅地に隣接する湖に多い栄養分が豊富な「富栄養湖」の2つの条件で実験が行われた。

 わずか61日後、富栄養条件の人工池では、金魚を導入した直後から水質の悪化が急速に進み、水中に漂う浮遊物が最大81%増加し、水の透明度は最大65%低下した。

 金魚が湖底を掘り起こすことで堆積物が舞い上がり、水が濁っていく。

 透明度が失われた水の中では、光合成に必要な日光が水底まで届かなくなり、水草も育たなくなる。

 水生生物への打撃も同時に進んだ。

 水生生態系の基盤を支えるカタツムリの個体数は、金魚がいる環境で63〜72%減少した。ヨコエビ(端脚目、Amphipoda)と呼ばれるエビに似た小型甲殻類も同様の割合で姿を消した。

 さらに体長1〜3mm程度の微小な甲殻類であるミジンコは、金魚と在来魚が共存する環境で最大92%も減少した。

 ミジンコは魚の重要なエサであると同時に、水中の微細な有機物を食べて水質を保つ役割も担っている。

 ミジンコが消えることは、食物連鎖全体の崩壊を意味する。

 貧栄養湖でも同様に被害が確認されたが、影響の現れ方は富栄養湖とは異なっていた。

 なお、実験では糸状藻類(水中に糸のように伸びる藻の一種)の減少も記録されたが、これは金魚固有の影響ではなく、水中の魚の総数が増えたことによるものだと論文は指摘している。

 いずれの条件でも被害が出たことは、金魚に対して安全な淡水生態系は存在しないことを示している。

 研究チームはこの現象を「レジームシフト(regime shift)」と呼ぶ。

 生態系がある限界点を超えて取り返しのつかない別の状態へと急変する現象のことで、一度起きると元に戻すには膨大なコストと時間がかかることが知られている。

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Image by unsplash pouria oskuie

在来魚も食料を奪われ衰弱していた

 金魚の影響は他にもあった。

 北米に広く生息するコイ科の淡水魚、ゴールデンシャイナー(Notemigonus crysoleucas)を金魚と同じ環境に置いたところ、金魚と競合しなかった個体群と比べて体の状態が約12%悪化していた。

 栄養状態の悪化は繁殖力の低下や病気への抵抗力の減少に直結する。毎年12%ずつ体力が削られていく個体群は、やがて次の世代を十分に育てられなくなり、長期的には個体群そのものが消滅するリスクを抱える。

 金魚が在来魚を圧迫する理由は食欲の旺盛さにある。

 金魚は体のサイズに対して非常に高い割合で食べ続ける魚で、在来魚がエサにたどり着く前に食い尽くしてしまう。

 研究チームの分析によると、金魚とゴールデンシャイナーは採食の方法が異なるため、2種が共存すると水中の小型生物をどちらか単独の場合よりも速いペースで食べ尽くすことも確認された。

 天敵も競争相手もいない環境で金魚は際限なく増え、在来の生態系を内側から侵食していくのだ。

ゴールデンシャイナー

金魚の放流は生態系の破壊につながる

 金魚が北米の水路に最初に持ち込まれたのは1800年代半ばのことだ。

 当初はペットとして輸入され、装飾用の池に放流され、時に藻類を除去する目的で川に放たれた。

 市民による目撃情報は過去10年間で急増しており、各地で野生の金魚個体群が定着しつつある。

 にもかかわらず、金魚はコイなどと比べて侵略的外来種としての認知度が低く、規制や対策が追いついていないのが現状だ。

研究を主導したトレド大学環境科学学科のウィリアム・ヒンツ准教授は、ペットの金魚が淡水生態系を傷つけるプレデターになりうることを広く知らせることが重要だと訴える。

 飼いきれなくなった金魚を野外に放つことは見殺しにできないという良心の呵責から来る行動かもしれないが、重大な生態学的脅威になりうると警告する。

 論文共著者のミズーリ大学リック・レイリー教授も、野生化した金魚は急速に大型化し、湖底を掘り起こし、大量の生物を食べ、在来魚と競合すると指摘する。

 研究チームは世界中の自然資源管理者に対し、金魚を高優先度の侵略的外来種として位置づけ、個体群が定着する前に早期発見と駆除に取り組むよう求めている。

 販売時点での警告表示など、公衆教育の強化も訴えている。

 飼えなくなった金魚の扱いに困ったときは、池や川への放流ではなく、ペットショップへの返却、アクアリウム愛好家への譲渡、または地域の野生生物担当窓口への相談という選択肢がある。

 ペンシルベニア州エリー市のエリー動物園では、2023年9月より、飼い主が捨てようとするペットの金魚や鯉を、引き取るという「ラストチャンス・ラグーン」というプログラムを実施中だ。

 だが金魚の平均寿命は10〜15年、長ければ20年を超えることもあり、動物園や水族館の対応だけでは追い付かないのが現状だろう。 

 飼うからには最後まで責任をもって面倒を見ること。間違っても自然に放つようなことはしないようにしよう。

References: Invasive goldfish trigger a regime shift in experimental lake ecosystems of varying trophic state

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この記事へのコメント 32件

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  1. かわいい、可哀そうなんて言ってないでもっと大急ぎで
    滅ぼした方が良いんだろうな。外来種がいないと
    保てなくなってる生態系なんて存在しないんだから。

    • +5
  2.  水が濁るところはアメリカザリガニと同じような傾向がみられる感じね。 以前住んでいたところの川で金魚を川に流して「大金魚すくい大会」というのがあったのですが、今は銅なんだろう。 その川ではいつもその生き残りとみられる赤い魚影が数個いつでも見られたので、強いのだろうなとは思っていました。  1m 近い真鯉(だと思う)とかもいたりして、冬には鴨とかアオサギとかも来てました。 飼い始めたらなるべく最後まで面倒をみたいですね

    • +2
  3. 天敵がいないのが致命的なのかな。
    品質改良された魚は元々自然界にはいないものだし、外来種だからなおさら食物連鎖に組み込まれにくかったりするのかな。
    爆発的に増えたらエサも無くなるだろうし、金魚自体もいずれ数が減っていくのかな?
    ……共食いとかするんだろうか?死んだ金魚を食べるとか…?もう、金魚しかいない池もしくは湖になっちゃうのか?
    まさに侵略的外来種。

    • +8
    1. 金魚は共食いするよ
      ケガや病気で弱った金魚なんてエサにしか見えていない
      ただ目立つカラーリングのお陰で水鳥に捕食されるから天敵がいないなんて事も無い
      うちの池の金魚もサギられてばかりだ

      • +10
      1. 共食い、補食されるのが早いか、繁殖が早いか…

        • +6
  4. アメリカだと天敵がいなくて増え過ぎちゃうのかも
    いっそ汚水処理とかに使えないもんかねえ

    • +2
  5. 一枚目の写真の金魚、おなかがデカすぎて、まるで金…おっと、誰か来たようですな。

    • -8
  6. 日本も外来種を放流しまくりの民度の低さだが金魚はあまり見ないよな
    日本の場合はアメリカザリガニとコイで水質悪化が激しい
    アメリカザリガニは藻食なんだけど水草を根本から切って食べる習性がひどくて
    アメリカザリガニが一定以上の数になると藻が育たなくなり泥の池となる
    コイの場合もほぼ同じなんだがこちらは鯉が巨大化するのと食べ過ぎで藻がなくなり泥池化する
    こいつらの対処は水抜きと空干しコンボで絶滅させるしかない

    • +3
    1. 小骨が多くてまずいそうな

      • +6
    2. 家でペットで飼われてるやつは、人工飼料食ってるので水質いいとこで育ったのは、美味しいそうだ。ただ骨が見た目と違って結構ゴツく、食べにくいっぽい

      で、野生のはゲオスミン溜め込んでるので多分まずいけど、そこうまく処理できる調理法なら食えるんじゃないかな。

      たけもとあきら氏の動画見た感じではね。

      • +5
  7. フナじゃ フナじゃ フナ侍じゃ!

    • -5
  8. 私は 金魚
    すべての藻類 すべての水草
    すべての小動物を消し
    そして 私は消えない
    永遠に!!

    • +4
  9. アメリカにいる鷺は金魚を食べないのかな?
    日本だとかなり狙われるんだが
    川や湖の規模が大きくて狩りから逃れるのがいるから?

    • +7
    1. 多分鳥類による捕食圧は大したことなくて、日本や中国の河川で金魚が定着できないのは野生のフナが持ってる病気に弱いんじゃないかな

      • +2
  10. 日本のどこにでもいるコイそのものやね。あれも口に入ったら貝だろうが小魚だろうが水草だろうがなんでも食うからコイと亀しかほぼおらんような環境出来上がるんよ。

    • +8
  11. この獰猛な食性と環境破壊の醜悪を陸上動物で例えたら何になるだろう

    …もしかして「人間」かも?

    • +1
      1. ネコ。肉食すぎて地域によっては生態系破壊しまくりだけど
        可愛さで許されている問題は結構ある
        ニュージーランドやオーストラリアではノネコの撲滅運動やっているしね

        ちなみに日本も金魚やコイは外来種だけど、来てから1000年ほどたっているので
        遺伝的コンタミなどを含む在来種へ環境負荷はもう一通り終わっているだけだと思う
        金魚やコイによって絶滅させられた種もそれなりにあっただろうな

        • +9
      2. いや・・・寄生金魚か

        • +2
        1. 今日はこの顔で釣るか…

          • +2
  12. 今まで気にした事なかったけど、あらためて見ると飯食いそうな見た目してるわ

    • +2
  13. 悪いのは金魚ではなく、人間

    • +18
  14. 金魚にしても亀にしてもモラル無い人に何言っても無駄なんよ、厳しいルールにしないと。
    〇〇すくい営業してるのも、祭りだけタバコ捨てOKとか言ってるのも、不良時代に学校サボってみたがヒマなんで、ブラックバスとブルーギルセットでそこら中の河川・池・沼に放して”タダ釣り堀”作ってまわったのもみんな同じ類の人間ってどうかしてるよ。

    • +6
  15. 夏祭りで取った金魚は普通その辺の池に放流するよね

    • -17
  16. でっかくなるんだなー

    • +2
  17. 自分が産んだ卵すらぎゅんぎゅん飲み込むような魚がどうやってしぶとく繁殖できてるのか謎すぎる
    それを補って余りあるほど繁殖力が高いってことか

    • +2
  18. バスとかナマズのいい餌になりそうだけどね

    • +1
  19. 楽しい記事だけじゃなくて、こういうの載せてくれるのうれしい

    でも昔クリーナースポイトで「ごめん!すぐ終わるからね、怖くないからね!」って底のエサ拾ってたのアレ全部徒労?金魚下見えないってデメ限定?

    • +3
  20. 胃が無いとか腸が短いとかで
    やたら食うんだっけ
    そしてデカくなる

    • 評価
  21. 学生時代の友人宅の金魚がピラルクかってぐらい巨大化してて
    それ以来金魚は怪獣の稚魚ってイメージしかない自分

    • 評価
    1. 私も仕事で伺った高齢者のお宅で、巨大な水槽に一匹で泳ぐ巨大な魚が、昔、子供が金魚すくいでもらってきた奴だって聞いて驚いた。
      10匹くらいいたらしいけど、共食いで最終的に一匹になって、錦鯉並みに巨大化してた。
      15年前くらいたつって言ってたな。

      それから金魚すくい、出来なくなった…。

      • +3

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