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アメリカの刑務所がVRヘッドセットを取り入れた更生支援プログラム。社会復帰をリハーサル

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Image credit:  California Department of Corrections and Rehabilitation
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 アメリカ・カリフォルニア州の刑務所において、VR(仮想現実)ヘッドセットを活用した受刑者の更生支援プログラムが大きな成果を上げている。

 この試みは、長期間の服役によって社会の変化に取り残された受刑者が、最新技術を通じて未来の生活を擬似体験するものだ。

 受刑者はVR空間で世界を旅したり、就職面接をリハーサルしたり、日常生活のスキルを身につけることで、刑務所を出た後の生活に備える。

 このプログラムは受刑者の精神的な安定にも大きく貢献しており、導入された施設では規律違反が劇的に減少するという成果も出ている。

仮想現実で塀の外の世界を体験

 カリフォルニア州チョーチラにあるバレー州立刑務所では、男性受刑者を対象に1週間にわたるプログラムが実施された。

 このプログラムは受刑者にヘッドセットを着用させ、没入感のあるVR映像を使い、塀の外の世界や現実社会の具体的な場面を、まるでその場にいるかのように擬似体験させるものだ。

 VR体験の後には、湧き上がった感情を整理するための対話セッションも組み込まれている。

 このプロジェクトは、ロサンゼルスを拠点とする非営利団体のクリエイティブ・アクツ(Creative Acts)により運営されており、同団体は、創造的な体験プログラムを通じて受刑者の更生を支援している。

 受刑者はVRの中で世界の風景を探索したり、模擬面接を受けたり、日々の生活スキルを学んでいく。

 バレー州立刑務所の副所長であるベイリー・オブライエン氏は、クリエイティブ・アクツが受刑中の若者に自信を与え、彼らの経験を大きく変えるという目覚ましい成果を上げていると評価している。

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Image credit:California Department of Corrections and Rehabilitation

刑期が長いほど社会復帰が難しい

 刑期が長期間にわたると、受刑者は服役前とは劇的に変化した社会へ戻ることになる。

 多くの場合、ATM(現金自動預け払い機)の操作やスーパーマーケットでの会計、ガソリンスタンドでの給油といった単純な行動でさえ、長年の隔離生活の後では圧倒されてしまう。スマートフォンの決済なんてなおさらだ。

 ここでVRヘッドセットが役に立つ。実社会でそれらの場面に直面する前に、バーチャル空間でリハーサルができるからだ。

 20年間服役しているジェイコブ・スミスは、初めてVRでタイの風景を見て感動したという。

 スミスは現在、ボランティアとして、他の受刑者がVR機器を使いこなし、仮想空間での就職試験をスムーズに進められるよう手助けをしている。

 仮想の面接官を前にして、自分の長所をアピールする作業は、受刑者にとって非常に緊張を伴う経験なのだとスミスは説明している。

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Image credit:California Department of Corrections and Rehabilitation

VR体験が精神安定効果ももたらす

 各セッションの後には、訓練を受けたボランティアが、受刑者が自分の心の内を語れるようにサポートする時間を設けている。VR体験で刺激された感情や、よみがえった記憶を整理するためだ。

 オブライエン氏は、この革新的なアプローチが心の癒やしや個人の成長を助け、刑務所全体の環境に良い影響を与えていると述べている。

 クリエイティブ・アクツの創設者であるセブラ・ウィリアムズ氏は、VRデバイスを希望の機械と呼んでいる。

 ウィリアムズ氏によると、参加者の中には、体験できるとは想像もしていなかった世界の風景を目の当たりにして、涙を流しながらヘッドセットを外す受刑者もいるという。

 ウィリアムズ氏は、受刑者がヘッドセットを外して泣き出してしまう場面を何度も見てきた。世界がこれほどまでに美しい場所だと知らなかったと受刑者が口にすることを明かしている。

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Image credit:California Department of Corrections and Rehabilitation

規律違反が大幅に減少、更生効果に期待

 専門家は、この技術が更生において重要な役割を果たすと考えている。

 カリフォルニア州矯正・リハビリテーション局によると、このプログラムを実施した結果、1年間で規律違反の件数が96%も減少したと報告されている。

ニュージャージー州にあるラトガース大学ニューアーク校の刑事司法学部の学部長、ナンシー・ラ・ビーニュ博士は、VRが公共交通機関の利用方法など、現実世界での行動を練習するのに役立つと指摘している。

 アメリカ心理学会の研究では、自然の風景など落ち着いた映像に触れることで、矯正施設内でのストレスや攻撃性を減らせることが示されている。

 このプロジェクトは、メタ(Meta)社から寄贈された100台のオキュラス(Oculus)ヘッドセットを使用して運営されている。

 なお、この技術は一般の受刑者や、独房に収容されている受刑者、少年犯も対象となっており、現在はカリフォルニア州の4つの刑務所で年に3回実施されており、当局は今後、この取り組みを州全体や全米へと拡大することを希望している。

References: Cdcr.ca.gov / Cdcr.ca.gov

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この記事へのコメント 21件

コメントを書く

  1. 犯罪者の場合、倫理観が一般的な人達と違い過ぎる事があるからなぁ。
    厚生プログラムの試験的な取り組みということだろうけど。

    • +4
  2. 刑期が生きているうちに終わる受刑者が対象なんだろうけど、窃盗とかを気軽にやって受刑している受刑者に社会復帰できるほどの感覚はこれだけでは無理じゃないかな。
    ATMがある場所や使い方を知っていて、違法な事をせずに利用できるようになる事も重要だと思う。
    ATMを窃盗可能なお金がいっぱい入ってる箱という思考で社会に出ると考えるとまた刑務所に戻ってくるような気がする。

    • +5
  3. 違う使い方をすれば「極刑」体験させることも

    • +5
  4. あー わし、セルフレジとスマホ決済が苦手なんじゃがこのプログラムを適用してもらえんかのぅ…

    • +10
  5. たまに自らの悪の所業をVRで追体験させられたりしないの?

    • +6
  6. 社会は復帰よりも隔離を望んでるんじゃないか?

    • -4
    1. そのために、自分が汗水垂らして稼いだ給料の何割を
      財源の税金に出せるの?

      • +1
  7. 泣いた受刑者がこれまで見てきた世界はどんな姿だったのか……。

    それほど影響力があるなら、悪い方向にも……とよぎっちゃうな。

    • +1
  8. なんか見方を変えると「洗脳装置」みたいな感じだな。

    頭の中に「修行するぞ〜」「お布施するぞ〜」という声が響くイメージが湧いた(偏見)

    • -2
  9. 囚人だった俺がMMORPGの世界で無双してしまった件

    • -3
  10. 協力したのがメタ社でよかった
    X社なら脳にチップを埋め込まれてた可能性がある

    • +1
    1. 君は、中華人民共和国のような事をアメリカの刑務所でできると思ってるのかな?

      • +2
  11. >>長年の隔離生活の後では圧倒されてしまう。

    それなりの重大犯罪人が対象ということか

    • +1

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