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指先で宇宙が展開。400年前の天文学者が愛用した天体の動きを追う指輪

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(著) (編集)

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展開する天体 Image credit:British Museum
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 人類は古来より円環(リング)を利用してきた。印章を刻む指輪や腕輪、死と再生、無限の象徴ウロボロス、聖人の光の輪、天体の動きを測る渾天儀(こんてんぎ)もそのうちの一部だ。

 円環は単なる装飾のみならず、秘密や概念や信仰、そして宇宙の秩序を映す形としても役立っている。

 博物館の収蔵品である金色の”天文環儀”も、円環で構成される道具の一つだ。

 3つの円環からできているこの芸術的な天文機器は、一見すると金の指輪だが、指から外して展開すると、なんと天体の動きを模した模型へと早変わりするのだ。

 400年前の天文学者たちが愛用したという、美しくも精巧な「小さな宇宙」を見ていこう。

時刻・星座を読み解ける精密な天文器具

 大英博物館の収蔵品であるこの天文環儀は16世紀末、フランドル地方(現在のベルギー、オランダ、フランスにまたがる地域)で製作された。

 同館では特定の名はなく、天文時計、リングダイアル、日時計(astronomical dial; ring-dial; sundial)などに分類されるようだが、ここでは便宜的に”天文環儀”と呼ばせていただく。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 直径約70ミリ。つまり7センチほどなので、野球のボールぐらいのサイズ。材質は真鍮に金メッキが施されたものと見られる。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 主な構造としては三つの環(外側から子午環・赤道環・極環)から成る。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 子午環に吊り下げ用の環、極環に実際の星や太陽に合わせるための照準器が備わっており、これらの3つの円環を駆使して緯度・時刻・星座を読み解くことができた。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 そのための非常に細かな細工として、子午環に緯度の目盛り、赤道環に時間の目盛りのほかに暦となる月の頭文字などと黄道十二宮を表す記号、極環には黄道記号や25の恒星の位置が精密に刻まれている。

たたむと重なり平らなリングに

 精密な器具として機能した天文環儀は、太陽光を利用して時刻や緯度を測定できる。やり方としては子午環で観測地の緯度を設定し、子午環に直角に固定される赤道環が日付や星座の目安となる。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 極環に設けられた照準器を太陽へ向けると、光の通り方で時刻がわかる。こうした工夫により季節の移り変わりや太陽の位置を確認することができた。

 さらに驚くことに、この器具は平らなリングに変形できた。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 たたむと各環が綺麗に重なり収納しやすくなるのだ。こうなるとパッと見はただの金色の輪にしか見えない。

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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)
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image credit:© The Trustees of the British Museum.(CC BY-NC-SA 4.0)

 この小さな輪に航海者や学者が必要とした知識が凝縮されてるなんてすごいじゃないか。

「知識の象徴」として小道具的に使われたことも

 こうした器具は当時は単なるツールにとどまらなかった。17世紀のヨーロッパでは、「知識の象徴」を示すアイコンとして使われることもあった。

 たとえば、ルネサンス期の科学者や著名人の間では、美しく複雑そうな天文器具に魅せられ、天文環儀と似てるが、置き型の渾天儀(こんてんぎ/アーミラリ天球儀)に片手を置いた肖像画が流行した。

 黄道十二宮を表す記号などは、装飾であると同時に、宇宙の秩序を示すシンボルでもあったため、当時から神秘的で謎に満ちた星の動きにロマンを感じる人もいただろう。

天文環儀が指輪に!ミニチュアサイズで再現

 美しく意匠を凝らした天文環儀は、現代のジュエリー作家にもインスピレーションを与えている。

 アメリカ・ミシガン州を拠点とするBlack Adept は、天文環儀をミニチュアサイズで再現したユニークな指輪を手掛けている。

image credit:blackadept
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image credit:blackadept

 ニューヨークのジュエリー業界で経験を積んだ金細工師が、幾何学的な天球儀のようにたためる指輪を製作。ロマンチックなカスタムジュエリーとして紹介中だ。

宇宙の神秘とロマンを感じる指輪

 デザインも豊富で環の数も3本から5本まで選べる。中には実際に博物館に収められてる天文環儀をモデルにした精巧なレプリカもある。

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image credit:blackadept
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image credit:blackadept

 素材は金やプラチナ。価格はデザイン・材質により、280から686ドル(4万から11万円)ほど。日本を含む国際発送も可能(送料別)だ。

 同店では、リング単品も取り扱っており、すべての作品に鳥、天文学への愛を表す鳥と三日月のマークを刻印する。

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image credit:blackadept

 古文書をもとに、英語、ラテン語、フランス語、ドイツ語、スペイン語のさまざまなフレーズや信条を刻むリクエストも受け付けるそう。

 小さくて実用はできなそうだが、この指輪さえあれば、宇宙の神秘とロマンをいつも感じていられそう。気になる人はBlack Adept をチェックだ。

References: Openculture / Britishmuseum / Blackadept

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この記事へのコメント 12件

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  1. フランドル地方=フランダース地方
    そう
    フランダースの犬の舞台である

    • +4
  2. オシャレ!キャプテンフューチャーが催眠術に使うやつみたい!

    • +6
  3. 普段アクセサリーを着けない私だが、これは欲しくなる!✨✨✨

    • +21
  4. 宝飾品製造業の親戚に作ってもらおうかな
    でも意匠登録されてるよね…
    個人で使うならいいかな?

    • +2
  5. パチもんに飛びついた私
    まったく使えず12宮マークは裏返し
    ホントにムダ金払った

    使えるやつならほしい
    でも今月はもう指輪とペンダントをオーダーしたんだよな

    • +2
  6. この精巧な手作り感も凄くアンティーク萌えを感じるけど
    時計メーカーとかが鬼精度で仕上げてくれたらめちゃくちゃかっこいいだろうなぁ

    • +7

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