この画像を大きなサイズで見るカナダ・ブロック大学をはじめとする国際研究チームは、オーストラリアで採取された岩塩の中に閉じ込められていた8億1500万年前の空気を取り出し、その成分を直接分析することに成功した。
これまで当時の酸素濃度はわずか2%ほどと推定されていたが、今回の分析により、予想を大きく超える数値が示された。
これは、初期の動物がすでに呼吸可能な環境で活動していた可能性を示す重要な手がかりとなる。
この発見は、地球の大気の進化だけでなく、生命の起源と進化の時期に関する理解を大きく書き換えるかもしれない。
古代の地球の大気を調べる方法
古代の地球の大気を研究する際、科学者たちは長らく、元素の含有量を推定するために岩石や鉱物に残された間接的な証拠に頼らざるを得なかった。
しかしこの手法では、元素の正確な含有量を把握するには限界があり、複雑な分析や仮定に基づく推定に頼らざるを得なかった。
そこで用いられてきたもう一つの手段が、南極の氷床に閉じ込められた空気を調べる方法だ。アメリカ海洋大気庁(NOAA)はこの手法について、次のように説明している。
恐竜の時代に琥珀に閉じ込められた先史時代のハエのように、塵や気泡、海塩、火山灰、森林火災の煤といった地球初期の気候の痕跡は、何百万年、あるいは何億年にもわたり氷河の氷に封じ込められます
これらの痕跡は、地球の気候と大気が何千年もの間にどう変化してきたかを物語るのです
この方法によって、近年では約500万年前の鮮新世(せんしんせい)の空気サンプルが得られている。
岩塩に閉じ込められた8億1500万年前の空気の分析に成功
しかし、地球の歴史はそれよりはるかに長い。
今回の研究では、従来の技術をさらに進化させ、8億1500万年前という遥かな過去の空気を、初めて“実物”として分析することに成功した。
この研究は、カナダのブロック大学に所属する地球化学者ナイジェル・ブレイミー博士をはじめとする、イギリスや南アフリカなどの国際研究チームである。
2016年、研究チームはオーストラリアの地中から採取された岩塩(ハライト)のコア試料を調査していた。
この岩塩には、空気を含んだごく小さな気泡が存在することが知られており、過去の大気を封じ込めている可能性があった。
ただし、こうした気泡は非常に小さく、従来の方法では内部のガスを取り出して分析するのが難しい。そこでチームは、新たな手法を開発した。
まず、岩塩のサンプルを、空気の混入を防ぐために真空状態に保たれた容器(真空チャンバー)の中で細かく砕き、内部に閉じ込められていたガスを放出させた。
そして、そのガスの成分を調べるため、ガスの質量を使って成分を詳しく判別できる分析装置(四重極質量分析計)を用いた。
この方法により、長い間閉じ込められていた太古の空気の成分を、外部の空気に触れることなく高精度で測定することに成功したのだ。
太古の酸素濃度は考えられている以上に高かった
8億年以上前の酸素濃度がどれほどだったのかについては、多くの議論がなされてきたが、古代の地球には酸素がほとんどなかったとされ、大気中の酸素濃度は約2%程度だったという説が広く信じられてきた。
「今回の結果は、まさにその一般的な見解を大きく覆すものである」と、ナイジェル・ブレイミー博士は述べている。
研究チームが岩塩から取り出して分析した大気には、酸素が10.3〜13.4%も含まれていたのだ。
その後の再解析で、酸素は6.6%と推定されたものの、現代の地球の酸素濃度(約20.9%)には及ばないが、動物が呼吸して活動するには十分な量である。
共同研究者として参加したイギリス・アバディーン大学の地球科学者ジョン・パーネル教授は次のように述べている。
この研究では、動物が呼吸できるだけの酸素が存在した証拠を“直接”測定することに初めて成功しました
これまでの推定はすべて間接的なモデルに基づいたものでしたが、今回は岩塩に閉じ込められた実物の空気を調べることができたのです
挑戦する価値はあると考えていましたが、それが成果につながったことをとても嬉しく思います(ジョン・パーネル教授)
ブレイミー博士らの研究チームは、今回の成果を足がかりに手法の改良を続けており、今後さらに古い大気の記録が明らかになることが期待されている。
この研究は「ScienceDirect」誌(2025年3月)に掲載された。
References: Abdn.ac.uk / Brocku / Sciencedirect
















昔観光地にどこどこの空気の缶詰
とか売ってたなあ。
結構薄いように見えるけど、例えば現在の地球でエベレストの頂上とかと比べてどうなん?
1/3気圧らしいから、酸素濃度は7%くらいだね
超人とはいえヒトが無酸素登頂出来るなら、十分生物が生存可能って理屈は直感的だ
酸素の代わりに二酸化炭素やメタンが今の10倍ぐらいあって温暖化とは何?とかなりそう。
陸上植生がなかったから低緯度に大陸が集中したら地球に注ぐ太陽エネルギーの何割かを反射してしまうので現代よりも冷えやすかった。酸素があるとメタンを減らすし山岳が発達すれば風化に伴って二酸化炭素が減る。ちょっとしたバランスの崩れで高緯度に氷床ができたら寒冷化が加速して1億年後には全球凍結に至る、という時代。
シアノバクテリアさん頑張りすぎだろ。
予想の3倍は頑張ってた事がデータで示されとる……。
サンプル数が少ないのは各国がこの様な調査にあまり予算を付けないからなのかな
古代の大気や重力や気温等分かるとロマンがあるし宇宙開発や人類滅亡などに備えられそうなんだけどなぁ
この気泡が純粋に大気のものなのか、がちょいと問題かな。
岩塩てことは海中の空気成分が混入してる可能性があるが……。
酸素濃度6.6%は普通に死ぬのでは…?
これが本当なら結構面白い発見だね
カンブリア爆発は酸素濃度の急激な上昇という外因によって引き起こされたという説もあった
カンブリア爆発前から酸素が十分あったなら、酸素濃度説は否定される流れになり、有眼生物登場説(光スイッチ説)やスノーボールアース説が補強されることになるのかもしれない
あるいは宇宙人説とかね!