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新種の小型草食恐竜の声帯化石を発見、鳥のようにさえずっていた可能性

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プラオサウルス・チンロンの化石 / Image credit:Hailong Zhang
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 2025年、中国で発見された新種の小型草食恐竜「プラオサウルス・チンロン(Pulaosaurus qinglong)」の化石から、声帯に関わる喉頭の骨化構造が確認された。

 現代の鳥類に似た形状を持つこの器官は、この恐竜が鳥のような鳴き声で仲間とコミュニケーションを取っていた可能性を示している。

 今回の発見は、鳥に進化しなかった恐竜(非鳥類型)の一部にも、鳥のような鳴き声でコミュニケーションをとっていた可能性を示す、きわめて重要な手がかりとなっている。

 この研究は『PeerJ』誌(2025年7月11日付)に掲載された。

新種恐竜の化石に保存された喉頭構造

 この化石は、中国河北省のジュラ紀中期の地層から、中国科学院の研究チームによって発掘された。

 発見された恐竜は全長約72cmの二足歩行の小型草食恐竜で、学名は「プラオサウルス・チンロン(Pulaosaurus qinglong)」と命名された。

 保存状態が極めて良好であったため、骨格だけでなく、通常は化石に残りにくい喉頭(こうとう)の骨化した構造も明瞭に確認された。

 これは、非鳥類型恐竜としては世界で2例目の極めて珍しい発見である。

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プラオサウルス・チンロンの頭蓋骨の左側面図/ Image credit:Hailong Zhang

鳥のような「さえずり」が可能だった?

 研究チームは、喉頭に見られた「披裂軟骨(ひれつなんこつ)」の形状が、現代の鳥類と酷似していることに注目した。

 披裂軟骨は、声をコントロールするための重要な構造であり、鳥類ではさえずりや鳴き声の発声に使われる。

 この構造から、プラオサウルスは「咆哮する」のではなく、「鳥のようにさえずる」ような発声が可能だった可能性があると推定されている。

 ただし、顎の幅などが化石で正確に測定できなかったため、音響的なシミュレーションまでは行われていない。

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プラオサウルス・チンロン復元イメージ図 Image created by DALL・E3

非鳥類型恐竜にも発声器官が存在していた可能性

 恐竜の声帯や喉頭といった発声器官は、もともと軟骨でできているため、化石として残ることは非常にまれである。

 たとえ保存されたとしても、他の器官と見分けがつきにくく、別の構造として誤認されてしまうことも少なくない。

 今回のように、骨化した喉頭構造が明瞭な状態で保存された化石は世界でもごくわずかしかない。

 現在の鳥は一部の恐竜から進化したとされているが、すべての恐竜が鳥になったわけではない。

 鳥に進化しなかった恐竜は「非鳥類型恐竜」と呼ばれており、今回のプラオサウルス・チンロンもその一種にあたる。

 これまでに、非鳥類型恐竜の中で発声に関わる構造が確認された例は、モンゴルで発見されたピナコサウルス(Pinacosaurus)だけだった。

 ピナコサウルスは白亜紀後期に生息していた装甲恐竜で、全身を骨板で覆ったアンキロサウルス類に属する。プラオサウルスとは系統も時代も異なるが、どちらも喉頭の構造が保存されていた。

 こうした点から、研究チームは、発声器官が恐竜全体に広く存在していた可能性があると考えている。

 さらに、すでに発見されている化石の中にも、喉頭の構造が見落とされている例があるかもしれないとして、標本の再評価を呼びかけている。

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ピナコサウルスの復元骨格  / Image credit:Kabacchi / WIKI commons CC BY 2.0

鳴き声の進化を示す貴重な証拠

 今回の発見は、「恐竜=咆哮(ほうこう)」というこれまでのイメージを見直すきっかけとなるかもしれない。

 映画などで描かれるような吠える恐竜ではなく、現代の鳥に近い鳴き声を使っていた恐竜も存在していた可能性が、徐々に証拠によって裏付けられつつある。

 プラオサウルスの喉頭化石は、恐竜の音声コミュニケーションの進化に関する研究において、今後も重要な手がかりとなることが期待されている。

 尚、プラオサウルス・チンロンの学名の「プラオサウルス」は、中国神話に登場する小さな龍「蒲牢(プラオ)」にちなんで名付けられている。

 プラオは、大声で鳴くことで知られ、古来より寺院の大鐘の装飾にも用いられてきた存在だ。

 「鳴く」恐竜に「鳴き龍」の名が与えられたことは、偶然ではなく、この恐竜が声を発していた可能性があることにちなんだ、象徴的な命名である。

References: Peerj / Ancient Voice Box Finally Reveals How Dinosaurs May Have Sounded

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この記事へのコメント 17件

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  1. 小型犬くらいのサイズがピヨピヨ鳴いてたのか…
    いやでも小鳥でもギエェェェって鳴くのいるからそっち系か?

    • +4
    1. 甲高い系(ヒヨドリ)ではなく濁音系(オナガ)なイメージ
      まさか雀やメジロみたいなかわいい系ではあるまい

      • +3
      1. 私も尾長思った
        ただ彼らも求愛期は「ヒョツヒョツヒョー」みたいな声を出すので
        この恐竜も音のバリエーションは多いかも

        モノマネ恐竜もいて獲物を集めて食べたりしてたかも

        • +8
    2. アヒル・ガチョウのような「グヮッグヮッ」かもしれないし、ニワトリのような「コッコッコッ」かもしれない。

      • +1
  2. そう言えばのび太の恐竜のピー助が「ピューイ」(原作版)と鳴いていたけど、これは演出というだけではなかったのか!

    • +3
    1. 失礼、ピー助は魚竜だから恐竜とは別の生き物だよ

      • +2
  3. キシャアアァとかアンギャアアァとか
    ギャオオオオスじゃないの?

    • 評価
  4. コトドリみたく他の鳴き声マネして誘き寄せて捕食する頭良い恐竜とかも居たかもね。コトドリは求愛行為みたいだけど

    • +4
    1. 【怪鳥】森で子供の名前を呼ぶな!?“コトドリ”の恐怖
      地球バグ図鑑【自然の雑学】
      人の声をまねてしまうから、コトドリに悪気はなくても
      子供なら呼ばれたら声が聞こえた方に行ってしまうことまで想定しないといけないみたい
      日本なら怪談になることがオーストラリアでは実際に起こるから怖い

      • +4

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