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ナイル川の失われた支流が古代エジプトのピラミッドの謎を解く鍵になるかもしれない

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(著) (編集)

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 エジプトには有名なギザの大ピラミッドを含め、1000年にわたって建設されたピラミッドが31もある。これらは現在のナイル川の流れから西へ数キロ地点の砂漠化した細長い土地に沿って点在している。

 ナイル川は古代エジプト文明の中心のはずなのに、なぜ川から離れた場所にこれほど多くのピラミッドが建設されたのだろうか?

 新たな研究により、ピラミッド群はもともと、今は消えてなくなってしまったナイル川の支流に沿って建てられていた可能性があることがわかった。この支流は労働者や資材の輸送を担っていたと考えられるという。

変わりゆくナイル川の秘密に迫る

 他の川もそうだが、ナイル川もまた気候変動、洪水、干ばつなどに応じて時間の経過ととも変化していった。人も土地も川と共に動き、文明の盛衰も繰り返された。

 昔のナイル川の姿や機能は今とは違っていた。エジプトの風景を読み解くと、かつてのナイル川とその支流の痕跡が地表のすぐ下に隠れていることがわかる。

 何世紀もの間に川の泥に埋もれ、現在では耕作地や都市集落に隠された古い水路とその物語は、時の流れとともに失われつつある。

 だが、かつて水路と湿地のモザイクだったナイル川にはまだ再び秘密に迫る手がかりがあるようだ。

 これまでの研究で、古代の水路や湿地の跡を示す証拠はわずかながら認められており、記録として残っている。特にギザのピラミッド付近にはその痕跡が顕著にあるという。

 ルクソール近くの上流では、ナイル川周辺の移住パターンが調査され、下流で放棄された水路がナイルデルタで発見されている。

 しかし、すでに失われている水路、リシュトからギザに至る広大なピラミッド群に水や物資を供給していた水路の包括的な地図などは無く、よく知ることができなかった。

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photo by Unsplash

最新技術でナイル川の支流を特定し追跡

 ノースカロライナ大学ウィルミントン校の研究主任著者であるエマン・ゴネイム博士率いる国際研究チームは、衛星画像、高解像度デジタル標高データ、古地図を利用して、これまで未知だったナイル川の支流を特定し追跡した。

 アフラマト支流と呼ばれている流れはかつて、古代ピラミッド近くのナイル川の氾濫原のへり、西の砂漠に沿って流れていた。

 古王国時代(紀元前2700~2200年)と中王国時代(紀元前2050~1650年)の間に建設されたピラミッドの多くには支流につながる土手道があった。こうした道の多くは、川の桟橋として機能していたと思われる神殿で終わっていた。

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ナイル川の古代アフラマート支流の水路。かつてのアフラマト支流は、古王国時代から第3王朝から第13王朝に至る第2中間期にさかのぼる多くのピラミッドと隣り合っている / image credit:Eman Ghoneim

アフラマト支流がピラミッド建造の水路となっていた可能性

 これはアフラマト支流がピラミッド建設の多くの段階で機能していて、おそらく労働者や建築資材を現場に輸送する水路としての役割を担っていたことを示している。

 他のものよりも長かったり角度の異なる土手道をもつピラミッドもあり、建設者が変化する川の景観や砂漠のへりという地域の状況に合わせて、建設方法を適応させていたことがうかがえる。

 アフラマト支流にすぐ行けるよう河岸のすぐそばに建てられていたピラミッドもあった。

 31のピラミッドの地面の標高と氾濫原への近さの分析は、古王国時代と第2中間期(紀元前2649~1540年)の間のアフラマト支流の位置と相対的な水位を説明するのに役立った。

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photo by iStock

さらに深く掘り下げ、支流の詳細が明らかに

 アフラマト支流の地図を作り上げたチームは、次に地形を詳しく調査した。以前の川の構造と堆積を研究するために、深部にあるコアサンプルを採取した。

 さらに、考古学者、科学者、地元コミュニティと協力して、より多くの背景事情を収集した。

 そこからかつての支流の詳細が明らかになってきた。支流は現在のナイル川の西2.5~10.25kmの間を流れていて、長さはおよそ64km、深さ2~8m、幅200~700mだったと考えられる。これは今日の川の幅とほぼ同じだ。

 調査した遺跡のひとつ、ジルザの町近くでは、アフラマト支流が左右対称の水路形状を描いていて、周囲とは異なる泥や砂、堆積物で埋められていた。

 支流が現在の川の流れへと変化する間に洪水が何度も起こり、氾濫で流れ出した細かい土砂が少しずつ古い水路を埋めていったことを示している。

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遥か昔、川の港として機能したウナスの谷の神殿のピラミッド前に建つ研究チームメンバー / image credit:Eman Ghoneim

アフラマト支流はその後どうなったのか?

 時間がたつにつれ、アフラマト支流は東へと移動し、最終的には水が涸れた。その理由ははっきりはわからないが、おそらくアフラマト支流とその後できた現在の流れは一時期、共存していたと思われる。

 川は次第に低地の氾濫原へと移動し、現在のナイル川の位置に近づいたようだ。地殻活動によって、氾濫原全体が北東へ傾いたことも考えられる。

 もうひとつの可能性は、風に吹き飛ばされた砂が増えて水路が埋まってしまったことだ。

 砂の堆積が増加したのは、北アフリカのサハラ砂漠の砂漠化が進んだ時期と関係しているかもしれない。

 アフラマト支流の移動と消滅は、とくに古王国時代のこの地域の降雨量の減少と乾燥化で説明できるかもしれない。

 本研究は、河川景観の動的変遷を深く理解するには、河川科学への学際的なアプローチが必要なことを示している。

 今日ある河川、そこに密接に結びついている環境や文化的に重要な場所を理解し保護するには、河川に影響を与える要因や河川の管理方法をもっと深く理解する必要がある。

 本研究は『 Communications Earth & Environment』誌(2024年5月16日付)に掲載された。

References:We mapped a lost branch of the Nile River – which may be the key to a longstanding mystery of the pyramids / Majority of Egyptian Pyramids Was Built along Long-Lost Branch of Nile, Archaeologists Say | Sci.News / written by konohazuku / edited by / parumo

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この記事へのコメント 9件

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  1. 旧江ノ島道にもかつて石上の舟渡し場があり、盛り上がってたけど
    現在は河川がはるか遠くになり、ただの跡だけになってる
    数百年前の日本ですら河川が変わってしまうのに、エジプト時代
    という数千年前の文化が栄えた地域ではそりゃ川なんて消えちゃうよ

    • +5
  2. エジプトと言えば吉村教授
    タレントでもある同教授に「宇宙からピラミッドを見つけましょう」と持ち掛けられた時はうさん臭さ全開だったと某企業が答えていた記憶
    それが実は「人工衛星を使って地形を調査し川沿いにあるピラミッドをパターン化、そして失われた古代の川の痕跡と照合して未発見のピラミッド位置を予測する」モノだったとか

    • +2
  3. 近くに川があったと考える方が合理的よね
    物資を運ぶだけではなく、大勢の人間が重労働をするには水が不可欠
    毎回数キロ先になんて汲みに行ってられないし、まとめて運搬するにしても膨大な量になる

    • +4
    1. >>3 確かに。
      労働者は川の水を飲んでいたんだろうか?それとも井戸?泉?

      • 評価
      1. >>8
        ちょっと調べて見たけどさすがに直接は飲まなかったみたいですね
        不純物をろ過する方法は確立されていたみたいなのと、ポットインポットという気化熱を利用して水をある程度冷やす方法もあったみたい

        • +2
  4. ピラミッドといえば多くが河岸段丘の沿いにある事で知られるけど、その河岸段丘を形成したのがナイル本流ではなく支流だとは思いもしなかった。

    • +1
  5. ピラミッド点在する地域は地球規模の基板という噂も

    • -1
  6. なんかの番組でピラミッドはナイル川が氾濫した時に農家とかを集めてやってた公共事業って説あったな
    古代エジプトではナイル川から水路を引いて人工川を作ってたという研究もあったな

    • +1
    1. >>6
      なんで水路を作るなんて面倒なことをしたんだって思ったよな

      • 評価

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